月別アーカイブ: 2022年12月

【12月8日】ゼミ活動報告

皆さんこんにちは、M2の叶です。

最近おすすめのスポットは三四郎池です。論文執筆期間の気晴らしの良い場所です。(雨天は足元を注意すべき)

冬(?)の三四郎池

早速今週のゼミ内容を共有します。今週は関連研究と文献輪読の回でした。発表者は叶、M1の大空さんと特任研究員の木村さんでした。

「Introduction」と「Literature Reivew」の書き方(叶)

自分は今回、少し変わったテーマではありますが、論文執筆時の「Introduction」と「Literature Reivew」の書き方について共有しました。最近は英語論文の書き方について色々調べた情報を整理しました。南カリフォルニア大学図書館の論文執筆ガイド(①)とユーチューブでの論文執筆に関する動画(②③)を参照して、この2章の書き方と構成などを以下の図にまとめました。

イントロダクションの内容と構成
文献レビューの準備と執筆時の構成

参考文献


インストラクショナルデザイン理論とモデル(①)(第1章&第8章)(大空さん)

第1章は「学習者中心の教育パラダイム」です。「学習者中心」とは、個々の学習者と学習そのものに焦点を当てる立場であり、「指導者中心」の反対とも言えます。その普遍的原理には、①達成基盤型のインストラクション、②課題中心型のインストラクション、③個人に合わせたインストラクション、④役割の変化、⑤カリキュラムの変化があります。

第8章は「学習のためのゲームのデザイン」です。ゲーム型基盤の教育アプローチは、豊かで没入型の経験を通した学習促進を目指しています。その普遍的原理には、①ゲームのビジョンを創造する、②ゲーム空間の設計、③教授空間の設計があります。

大空さんは、今回紹介した理論から自分の研究の気づきを得て、研究に「学習者中心」というキーワードを導入して説明し、また、ゲームのデザイン上はレベル分け、カードのカスタマイズ性の活用、ミルフィーユ型プログラムなど、デザイン上のアイデアを共有しました。今後の大空さんの研究のゲーム型ワークショップデザインのさらなる具体化を楽しみしています。

参考文献

  • ① C.M.ライゲルース, B.J.ビーティ, R.D.マイヤーズ(編), 鈴木克明(監訳)(2020)学習者中心の教育を実現するためのインストラクショナルデザイン理論とモデル.北大路書房.

ビデオゲームの活用と脳活動に関連する実証的研究の紹介(木村さん)

特任研究員の木村さんは、①医療のシリアスゲーム研究、②高齢者の認知制御トレーニングのシリアスゲーム研究、③ビデオゲームトレーニングと報酬系の研究という3本の論文を紹介しました。

その中で、自分が最も面白いと思ったのは②です。この研究は『ニューロレーサー(NeuroRacer)』という視覚運動追跡課題と同時に知覚弁別課題に取り組む型のシリアスゲームの実証実験です。この研究は、「ニューロレーサー」を60歳〜85歳までの高齢者46名を毎週3時間の頻度で、1か月の間にプレイしてもらいました。プレイしていない対照群と比較すると、実験群は1か月後でマルチタスクのパフォーマンスが有意に向上しました。しかも驚くことに、実験効果は6か月後も持続していました。簡単に言いますと、脳はマルチタスクのシリアスゲームのトレーニングにより活性化できることが証明されました。

最後に、木村さんはビデオゲーム研究の現状についての所見を述べました。

  1. インパクトのあるシリアスゲーム研究は、実証的研究の専門性とビデオゲームの開発力を両立させている。
  2. 厳密な人対象の実証的研究では,複合的刺激であるビデオゲームの扱いが非常に難しい。
  3. 研究データとして行動ログを取得可能なビデオゲームを開発することが重要である。

参考文献

  • ① Cole, S. W., Yoo, D. J., & Knutson, B. (2012). Interactivity and reward-related neural activation during a serious videogame. PLoS ONE, 7(3),e33909.
  • ② Anguera, J. A., Boccanfuso, J., Rintoul, J. L., Al-Hashimi, O., Faraji, F., Janowich, J., Gazzaley, A. (2013). Video game training enhances cognitive control in older adults. Nature, 501, 97–101.
  • ③ Lorenz, R. C., Gleich, T., Gallinat, J., & Kühn, S. (2015). Video game training and the reward system. Frontiers in Human Neuroscience, 9, Article 40.

今回の報告は以上になります。最後にお読みいただきありがとうございます。

【7月7日】ゼミ活動のご報告

こんにちは、M2のイェです。
今週のゼミ活動を報告させていただきます。

研究テーマ関連論文紹介 升井さん
升井さんがゲーミフィケーションのパーソナリティに関する以下の2本の論文を取り上げられました。

  1. User types HEXAD (Marczewski, A. 2015)
  2. The Gamification User Types Hexad Scale (Tondello, G. et al.,2016)

1本目の論文は、ゲーミフィケーションのパーソナリテイ分類の基礎となった文献です。バートルをはじめ、様々なゲームプレイヤーのタイプ分類がなされてきましたたが、ゲーミフィケーションに特化したものはこれまでなかったです。そこで、この論文は、ゲーミフィケーションを使用する際には、ターゲットの属性に適したゲーム要素を取り入れてデザインすることが大切だと主張しています。

2本目の論文は、Marczewski の提唱したHexad user types の測定方法(テスト)を考案した研究です。Marczewskiの提唱したHexadモデルは、①Hexadユーザーの嗜好を測定する標準化されたプロトコルがない、②実験的な実証がされていない、という問題点が存在しています。本研究はその二つのギャップを埋め、テストの妥当性が担保され、ゲーミフィケーションのデザインに有用なことが示されました。

関連論文概要紹介 春口さん
発表のキーワードは「産業界の実践」とされ、日本とイタリアの情報セキュリティを学ぶ大学院のカリキュラムコンセプトから、情報セキュリティ教育の要点とシリアスゲームが有効である切り口などについて検討しました。具体的には、日本の情報セキュリティ大学院大学の実践と、バーリ大学(University of Bari) の修士課程である「The Hack-Space」のコンセプトが取り上げられました。

調査結果における注目点は二つあります。まず、①理論の構造や抽象的な概念ではなく、産業界の実践をもとにカリキュラムが構成されている点という点です。例えば、情報セキュリティ大学院大学は、「技術」「管理運営」「法制度」「情報倫理」という概念によってカリキュラムが作られています。

また、②SOU、CSIRT、SUの3つに業務を整理することに知識の有用性に説得力があるという点です。例えば、情報セキュリティ大学院大学はコースの内容を技術系とマネージメント系の2 つに分けています。

今回の報告は以上になります。

M2の皆さん、再来週の中間発表会に向かって頑張りましょう!

参考文献

  • Marczewski, A. (2015) User types HEXAD. Even Ninja Monkeys Like to Play: Gamification, GameThinking &Motivational Design. CreateSpace Independent Publishing Platform, pp.69–84.2.
  • Tondello, G. F., Wehbe, R. R., Diamond, L., Busch, M., Marczewski, A., and Nacke, L. E. (2016). The Gamification User Types Hexad Scale. In Proceedings of the 2016 Annual Symposium on Computer-HumanInteraction in Play , pp.229-243.
  • Teaching Cyber Security: The Hack-Space Integrated Model Maria Teresa Baldassarre, Vita Santa Barletta, Danilo Caivano,Domenico Raguseo , Michele Scalera

【10月14日】ゼミ活動のご報告

皆さん、こんにちは。M1の叶です。
今学期の2回目のゼミ活動をご報告します。

今回は関連論文3本紹介(担当:叶)と、日本教育工学会(JSET) 2021年秋季全国大会の発表リハーサルの週でした。

今回紹介した論文は、9月30日の記事で言及した論文であり、 5月6日に紹介した論文、Errol Scott Rivera & Claire Louise Palmer Garden (2021) 『Gamification for student engagement: a framework』の基にもなります。

  • Bedwell, W. L., Pavlas, D., Heyne, K., Lazzara, E. H., & Salas, E. (2012). Toward a taxonomy linking game attributes to learning: An empirical study. Simulation & Gaming, 43(6), 729-760. (学習と結びつくゲーム属性の分類法の実証研究)
  • Landers, R. N. (2014). Developing a theory of gamified learning: Linking serious games and gamification of learning. Simulation & gaming, 45(6), 752-768. (シリアスゲームとゲーミフィケーションを結びつける:ゲーム化学習理論の構築)
  • Kahu, E. R. (2013). Framing student engagement in higher education. Studies in higher education, 38(5), 758-773.1(高等教育における学生のエンゲージメントを定義する)

Bedwell (2012)の主な研究成果としては、①9種のゲーム属性という新たな分類法の提案、②新たな分類法を先行文献の研究成果とリンクさせるゲームマトリックスの整理です。具体的なゲーム属性の一覧は9月29日の記事を参照していただければと思います。

Landersの研究(2014)は、まずシリアスゲームとゲーミフィケーションとの比較を踏まえて2研究領域の関係を考察された。また、ゲーミフィケーションが学習成果を影響する2種類の因果関係、mediate(媒介)とmoderate(調整)を区分して詳しく論じました。媒介プロセスとは、ゲーミフィケーションが学習者の行動・態度を変容させ、その変化が直接に学習成果を影響するというプロセスです。一方、調整プロセスは、変容した態度・行為が直接的に学習成果を影響するよりは、既存の学習・教授コンテンツの効果を増強したり、その魅力を発揮させたりして、コンテンツが学習成果に対する影響を増幅するというプロセスを指します。

Kahuの研究(2013)は、 Behavioral、Psychological、 Socio-cultural とHolistic という4視点から高等教育における学生のエンゲージメントに関わる研究をレビューし、エンゲージメントの弱い定義とエンゲージメントにおける重要概念の区分の欠如の課題を提示し、「高等教育における学生のエンゲージメントに関する概念的フレームワーク」を新たに提案しました。9月29日の分析ではこのフレームワークを用いてゲーム文脈での実例分析を行いました。

今回紹介した論文は以上になります!これらの論文を読んだ後、また5月6日の論文と9月29日の記事を振り返ると4本の論文に対する理解が深まると思います。

論文紹介した後、JSET秋大会に出番の三人(升井さん、K.I.さん、張さん)はブレイクアウトルームでポスト発表のシミュレーションを行いました。 その後、発表者が各自の振り返り、聴衆役の他の皆さんがコメントしました。

今回の記事は以上になります!
お読みいただきありがとうございます〜

【6月10日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは!M1の叶です。

今学期第九回のゼミは、関連論文紹介+プレイセッションの回です。以下は発表順で報告させていただきます。

関連論文3本(叶芷晴)

1.Chen, H.‑J. H., & Yang, T.‑Y. C. (2013). The impact of adventure video games on foreign language learning and the perceptions of learners.Interactive Learning Environments, 21(2), 129–141. (アドベンチャービデオゲームが外国語学習者の学習意識と実践にもたらす影響)

本研究は、市販アドベンチャーゲームが第二言語学習者の意識と学習にもたらす影響を探究するために、「BONE」という市販ゲームを使って大学生に対して短い期間の実験 (n=22)と長時間の介入後(n=35)で質的複合研究法で測定するという二つ研究を行いました。結論として、「BONE」のようなゲームは、大学生に英語のインプットを提供することにより、学習者の英語聴力、読解力、語彙力と学習動機づけを高められるということがわかりました。

2.Chen, Z.‑H., Chen, H. H.‑J., & Dai, W.‑J. (2018). Using Narrative-based Contextual Games to Enhance Language Learning: A Case Study.Journal of Educational Technology & Society, 21(3), 186–198.(言語学習を促進するための物語中心のゲームの活用に関する事例研究)

研究2は1と同一の研究グループにより行われ、研究①から得た知見と理論に基づいて物語中心デザインフレームワーク (Narrative-based contextual game fo language learning, NCGLL) が提出された。このフレームワークにもとづく「PlanetAdventure」という英語学習ゲームが作られ、実証研究が行われました。この研究での注目点として、筆者たちがラスター分析を行い、ゲームログとアンケート調査の結果によって被験者を3グループに分け、それぞれの学習パターンを理論と関連づけながら解釈したところです。

3.Hulstijn, J. H. (2003). Incidental and Intentional Learning. In C. Doughty & M. H. Long (Eds.),The Handbook of second language acquisition(pp. 349–381). Blackwell. (偶発的学習と意図的学習)

本研究は、偶発的学習と意図的学習の系譜について詳細にレビューした論文で、ゲーム学習領域、特に第二言語習得のためのゲーム学習における偶発的学習の読まなければならぬテキストだと思います。偶発的学習と意図的学習の心理学の起源が語られ、21世紀に至ってこの二つの言葉の理論的使いがより方法的な使いに変化しつつあることが指摘されました。

関連論文3本(升井さん)

升井さんからは、アバターに関する三本の研究を紹介してくださいました。

1. Yee, N. and J. Bailenson. 2007. The Proteus Effect: The effect of transformed self-representation on behavior.Human Communication Research 33: 271–290. 

プロテウス効果が「アバターがヒトの心理的状態・態度・振舞いに影響を与える効果」と定義された。アバターになることが人々の行動にどのような変化を生むのかを明らかにするため、2つの実験行った。結果として、アバターの「魅力」がVR空間でのコミュニケーションでの「距離」と「自己開示」に影響を与えていおり、アバターの「身長」が「自信」を影響していることが分かりました。

豆知識:プロテウスはギリシャ神話に出てくる「姿を自在  に変えられる海神」のことである。

2. 鳴海 拓志(2019)「ゴーストエンジニアリング:身体変容による認知拡張の活用に向けて」認知科学, 26 巻, 1 号, p.  14-29 

本研究の面白いポイントとしては、身体変容による認知と行動に変化と表情変形による能力向上のことです。(例: ビデオチャットで疑似的に双方を笑顔に変形させると、 通常の1.5倍のアイデアが出る。)

豆知識:「ゴースト」=自己のアイデンティティを司る心的機能(情動、認知機能、意識、思考様式等)

3. 小柳 陽光 他(2020)「ドラゴンアバタを用いたプロテウス効果の生起による高所に対する恐怖の抑制」日本バーチャル  リアリティ学会論文誌, 25巻, 1 号, p. 2-11

「ドラゴン」と 「ヒト型」 のアバターが準備され、被験者にVR空間で空を飛ぶ体験をしてもらう 。その後、VR空間で高さ40mまで上昇するリフトに乗ってもらい、どちらのほうが高所を怖いと感じるかを測定した結果、ドラゴンアバタの方が、高所への恐怖感が抑制されたことがわかりました。

プレイセッション(張さん)

今回は張さんが準備してくれたゲームの名前は「ito」で、その名前には相手の「意図」を読み取ると「糸」に従って脱出するというダブルミーニングが含まれています。

ざっくりルールを説明しますと、①プレイヤーは1~100の数字を配られ、 ②お題(例:おにぎりの人気)にそって各自、自分の数字に当てはまるものについて話し合う(例:83 → ツナマヨ、92 → 鮭)。③みんなで推理して、全員を順番に並べることが出来たら勝利。

このゲームでは、遊んでいるうちにプレイヤー同士の物事に対する物差しがだんだんわかり、ゲームに勝利するために相手の自分のルブリックと照らし合わせながら、より統一なルブリックを作っていくのを目指している。自分と相手の世界観と価値観を伝え合う、面白くて不思議なゲームですので、ぜひやってみてください!

以上は今回のご報告でした。

【5月13日】ゼミ活動のご報告

いつもお世話になっております。M1の叶(イェ)です。
5月に入り、東京は暖かくなりましたね。緑にあふれたキャンパスで対面のゼミができないのは残念ですが、早速、今週のゼミ内容について報告させていただきます。

今週のゼミは、事例研究(叶、升井さん)と研究テーマの関連論文3本概要紹介(K.I.さん、張さん)という流れで行われました。

・事例研究(1)-「Word Castle」(担当:叶)

2018年に2人の開発者により作られた、中国のある英単語学習系インディーゲームです。「Word Castle」は実は「ローグライクゲーム」と「英単語ドリルアプリ」の融合だと思われます。基本的なルールとしては、語彙力(単語を覚えるの)がゲーム進行の必須条件(手段)になり、ゲームを楽しみながら英語の語彙力を身につけることができます。

ゲームのレビューを分析してみたところ、ゲームの形より、学習のデザインの厳密性や効率性がプレイヤーに懸念されていることがわかりました。「World Castle」のような学習ゲームは、学習に関する部分がさらによくデザインされれば、未来のいいシリアスゲームになるのでしょうか?

・事例研究(2)- 「Geoguessr」(担当:升井さん)

ランダムに飛ばされたGoogle ストリートビューの場所を当てる「地理系シリアスゲーム」です。升井さんは過去の面白いゲーム経験を踏まえて、ゲーミフィケーションカードを使ってそのゲームシステムを詳しく分析しました。

その後、Geoguessrに取り入れられなかった「ロールプレイ要素」を加えるのであればどんなゲームデザインが可能なのか、日常生活でどんなモノがゲーム化できるのかについて皆の意見を交わし、「学術論文を探したり整理したりする際はゲーム化できるのか」についての議論が盛り上がりました。

とても面白いゲームで毎日5回無料で遊べますので、興味がある人はぜひやってみてください!(東大に飛ばされたら安田講堂と駒場キャンパス1号館が似ているのにお気をつけくださいね:D)
https://www.geoguessr.com/

・研究関連論文3本紹介(1)(担当:K.I.さん)

①富田誠, 2019, 「共創の場における視覚的対話手法の比較」『芸術学研究 = Tsukuba Studies in Art and Design』 24 : 31-39.
②伊藤ふみ子・田代和子,2020, 「独居高齢者の社会的孤立に関する文献検討」『淑徳大学看護栄養学部紀要 』12 : 69-77.
③阿部彩,(2019)「包摂社会の中の社会的孤立 – 他県からの移住者に注目して – 」『東京大学社会科学研究所 社會科學研究』 65巻1号, 13-30

社会的孤立に関する2本の論文(②、③)の他に、論文①はデザインゲームの定義、歴史と現状を述べた論文で、まちづくりだけでなく、他の領域のデザインゲームに関する研究でも先行研究として引用できる論文でした。

研究関連論文3本紹介(2)(担当:張さん)

①『The Seeds of Speech』Chapter 2:  5. The Family Tree & 6. A Devious Mind
② Tseng, V., & Fuligni, A. J. (2000). Parent‐Adolescent language use and relationships among immigrant families with East Asian, Filipino, and Latin American backgrounds. Journal of Marriage and Family, 62(2), 465-476.

『The Seeds of Speech』の第2章は言語誕生の仮説、人間に言語が必要な理由、言語がなにかできるのかなどを述べた章で、論文②は移民家族の言語使用状況と親子関係の関連性の実証研究です。どれも言語学に関する興味深い論文で、ぜひチェックしてみてください。

以上は今回のゼミ報告でした。研究室の説明会、皆様のご参加をお待ちしております!

【1月7日】ゼミ活動のご報告

皆さん、あけましておめでとうございます!
早速、2021年一回目のゼミについてご報告させていただきます。今回は文献研究の週で、私とK.I.さんはテキストの輪読で、張さんは三本の相関論文を紹介してくれました。

文献輪読(発表順)
● 『ルールズ・オブ・プレイ』(K.I.さん)
・第27章 シミュレーションの遊びとしてのゲーム

本章では、シミュレーションを「現実」の諸側面を進行過程として表現したものだと定義され、進行過程と「現実」という2要素をめぐって、色々な例があげられ、シミュレーションのデザイン手法が分析され、メタコミュニケーション、再媒介化 (remediating)といった概念が説明されました。また、最近のゲームデザイナーはシミュレーションをデザインする時には、「没入の誤解」、つまり「シミュレーションは現実似ているほど完璧だ」、という罠にかかりがちだという現象が指摘されました。

● 『インストラクショナルデザインの理論とモデル』 (叶)
・第11章 理解を促進するために
・第12章 情意的な発達を促進する:感情的知能

第11章では、理解というのは知識よりも実践する能力だという定義に基づいて、「理解のためのフレームワーク」について詳しく説明し、その教授法の普遍的構成要素、新しいテクノロジーとの統合、他の教育フレームワークとの関連、状況依存原理について論じました。第12章では、感情的知能のための近年の三種類の教授モデルが紹介され、ミリルのIDの第一原理を枠組みとしてその普遍的な教授原理を説明され、学習者の感情発達レベルとその発達の影響要因などの、個体的な異なる状況に応じた原理も挙げられました。

●  研究テーマの関連論文(張さん)
・吉田 国子, 2009, 「語学学習における動機づけに関する一考察」『武蔵工業大学環境情報学部紀要』1:1-13
・加藤 映子,2011,「語学教育とゲーム」,『コンピュータ&エデュケーション』 31,pp.28-33.
・大西 博子, 2006, 「言語能力はいかにして評価するべきか : ACTFL-OPIにおける言語能力観の分析と考察をとおして利用統計を見る」『言語文化教育研究』4:17-30

言語学習の動機づけの論争をレビューした論文 (吉田,2009) が紹介されました。また、現在が行われているほとんどの言語能力標準テストの基準を基底しているのが「母語話者」という概念であることを指摘している論文(大西, 2006)も紹介され、それについてゼミの皆さんの留学生活を触れて、言語能力の評価の新しいあり方の可能性についてディスカッションしました。

今回の報告は以上になります。
新しい一年も一緒に頑張りましょう!

【12月10日】ゼミ活動のご報告

こんにちは。M1の張です。

早速ですが、今回のゼミ活動をご報告させていただきます。

今回は、K.I.さんと張が文献の輪読、イェさんが研究テーマの関連論文の発表でした。

文献輪読

インストラクショナルデザインの理論とモデル』 C M.ライゲルース、A.A.カー=シェルマン by K.I.さん

第9章 シミュレーションを用いたアプローチ

第10章 スキルの発達を促進する

・第9章では、シミュレーションは学習者の集中度と全体把握スキルを向上させ、多様なパフォーマンスの文脈における学習者のスキル統合を向上させ、動的パフォーマンス範囲を利用して多様な学習進度に対応し、学習が動的システムにおいて時間経過とともにパターンを見つけることを助けます。第10章はスキル開発の共通知識基盤を明らかにしました。

ルールズ・オブ・プレイ』 ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン by 張

第26章 物語の遊びとしてのゲーム

・ゲームを物語の空間として捉えようとする前提で、「物語は一体ゲームのどこに存在している」や「どのようにしたらゲームを物語の経験としてデザインできる」「どういった種類の物語の経験がゲームを可能にする」など浮かんでくる問いについて検討しました。

研究テーマの関連論文 by イェさん

ゲームを利用した第二言語習得の事例とその研究に関する論文をいくつか紹介してくださいました。事例の内容だけではなく、調査の実施やデータの分析などの方法論についてもディスカッションを行いました。

年内のゼミもあと1回!事例研究の回になります!

お楽しみに!!