投稿日時:   2021-11-05   投稿者:   masui

【11月4日】ゼミ活動のご報告

M1の升井です。お世話になります。

先日、東京六大学野球の東大野球部の試合を観戦してきました。結果は0-0で引き分けでしたが、強豪相手に一生懸命プレーする選手たちの姿に勇気をもらいました。秋季リーグも終わって、すっかり秋も深まり気温も低くなりました。皆さん、カゼを引かないようにお気を付けください。

さて、本日のゼミは、研究関連論文の紹介&文献研究&事例研究の3本立てでした。

  • 研究関連論文の紹介(担当 升井)

今回私が紹介した論文は次の3本です。

Ortega-Arranz A., Bote-Lorenzo M., Asensio-Perez J., Martinez-Mones A., Gomez-Sanchez E., Dimitriadis Y. (2019) To reward and beyond: Analyzing the effect of reward-based strategies in a MOOC. Computers & Education, vol.142. 103639. https://doi.org/10.1016/j.compedu.2019.103639

雨宮 智浩, 青山 一真, 伊藤 研一郎(2021)「遠隔講義における講師アバタの見かけによって変化する受講希望度が授業への積極的参加行動に与える効果―オンライン授業への導入事例―」日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 26 巻, 1 号, p. 86-95,

佐藤 満明, 柄本 健太郎, 向後 千春(2015)「講義動画中におけるクイズの提示が受講者の学習意欲に及ぼす効果」日本教育工学会論文誌, 2015, 39 巻, Suppl 号, p. 77-80

1本目のArranzさんの論文はMOOCsのゲーミフィケーションに関するもので、特に報酬(reward)に焦点を当てています。バッジ(badge)とリディーム(redeem)の2種類の報酬の効果を実験的に測定しています。実験では、バッジだけでなく何かしらの特典がある方が学習者のエンゲージメントを高めることが示唆されています。

2本目の雨宮さんの論文は遠隔授業時の教師の顔をアバターにする研究です。教師の顔をそのまま映すのではなく「Avatarify」というアプリを使用して別人の顔になって講義をします。実験では、より学習者にとって魅力的なアバターで講義をした方が、学習者の積極性が高まることが示唆されています。

3本目の佐藤さんの論文はe-learningの講義動画にクイズを挿入する取り組みです。実験では、クイズを挿入することでARCSモデルから参照した注意、関連性、自信、満足感のうち自信と満足感が高まったと報告されています。

  • 文献研究(担当 張さん)

張さんが発表した文献は教授エージェントに関する海外の論文でした。

Sahimi, S. M., Zain, F. M., Kamar, N. A. N., Samar, N., Rahman, Z. A., Majid, O., Atan, H., Fook, F. S., & Luan, W. S. (2010). The Pedagogical Agent in Online Learning: Effects of the Degree of Realism on Achievement in Terms of Gender. Contemporary Educational Technology, 1(2), 175-185. https://doi.org/10.30935/cedtech/5973

教授エージェントとは、オンライン学習のコンテンツで教師の役割を果たし、学習者とコミュニケーションしながら学習をサポートするものです。この論文では、エージェントのアバターのリアル度を3段階設けて、その効果の違いがジェンダーで差があるかを実験的に調査しています。結果は、学習効果に有意差はなく原因としてスプリットアテンション効果の影響が大きいと考察されています。実験で有意な差が出なかったときに、いかに論文としてまとめていくかの参考になる論文でした。

  • 事例研究(担当 叶さん)

今回叶さんが選んだテーマはREADING AIDSでした。叶さんは物語中心のゲームプレイと第二言語学習に関する研究をしているので、その補助ツールとなるREADING AIDSについて深堀してくれました。Readlang、Mouse dictionary、リーディング・チュー太の3つのツールについて比較検討して、ゲームで外国語を学ぶ際に必要なREADING AIDSの要件を考察しました。個人的には、Mouse dictionaryのレスポンスの速さに驚きました。また、英語論文を読んで整理するためのコツのようなものも皆で話し合えて、ためになりました。

本日のゼミを終えて、やはり一人で論文などに触れるよりも、他者の視点を入れることでより自分にとって有意義なものになることを実感しました。今週は藤本ゼミの説明会もあり、冬期の大学院入試が迫っています。興味を持たれている方は、ぜひエントリーをご検討ください。

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カテゴリー:   Lab news     作成者:   masui   パーマリンク