東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2024年10月
投稿日時: 2024-10-10 投稿者: snii
藤本研究室が所属する文化・人間情報学コースの入試説明会が10月26日(土)14時から対面とオンラインのハイブリッドで開催されます。学際情報学府に入学して藤本研究室で活動したい方は、どうぞご参加ください。
詳細は以下のサイトに告知されていますので、ご確認ください。
これに合わせて、藤本研究室への入室を希望する方を対象とした説明会を以下の通りオンラインで開催します。
日時:
2024年10月30日(水)17:00-19:00(希望する面談が終了した方から順次解散)
17時00分〜17時30分:藤本研究室の説明、Q&A(全体)
17時30分〜19時00分:(希望者のみ)藤本准教授との個別面談
(希望者のみ)研究室所属の大学院生やスタッフとの面談
どのような活動をしているか、どのような研究で指導を受けられるかを説明します。
参加希望の方は、事前に下記の参加申込フォームに必要事項を記入してお申し込みください。折り返し、Zoom会議室のURLをメールでお送りします。
https://forms.gle/gTYrWgQz76XyzkDW9
ご参加をお待ちしています。
投稿日時: 2024-10-10 投稿者: leafyyan
本日のセミナーは、修士研究の計画と進捗報告に焦点を当てて行われました。濱田さん、莫さん、大空さん、犬田さんが、それぞれ熱意を持って取り組んでいる研究を発表しました。
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山内研の李佳誠さんも参加しました!彼は自身の課題に関する紹介で今日のセミナーの幕を開けました。彼の研究課題は、オープン教育資源(OERs)および大規模オープンオンラインコース(MOOCs)を通じて、学習者の自己調整学習を支援することに焦点を当てています。
この研究は、学習者が学習過程で自分の時間を効果的に管理し、学習計画を立て、学習動機を維持することの重要性を強調しています。彼の研究の核心は、「共調整」という方法が学習者の自己調整能力を強化し、学習効果を向上させる方法を探ることにあります。これにより、学習者により効果的な支援方法を提供し、彼らの独立した学習能力の向上を促進することを目指しています。
濱田さんの研究課題は、「Minecraftを使用した英語学習の研究」です。まず、過去の夏に埼玉県の学習塾で小学生を対象に実施したワークショップ実験について紹介しました。このワークショップには、計画を立てる(make a plan)、図書館を建てる(build a library)、図書館を共有する(share your library)などの手順があり、特に英語の使用を奨励するルールが重要視されました。さらに、Minecraft教育版を使って長崎の歴史を学び、ゲーム内で地元の歴史的建物を再現するなどの事例を展示しました。濱田さんが紹介した子供たちの作品は非常に素晴らしく、興味のある方はぜひご覧になるように勧めています。
研究課題の紹介では、Minecraftがどのようにwillingness to communicate(WTC)に影響を与えるかを探討しました。具体的には、以下の2つの側面に注目しました:
1. trait WTC:個人の性格に関連し、長期にわたって安定した意欲。2. state WTC:短期的な状況に応じて変化する意欲。濱田さんは、「再生面接法」やidiodynamic methodの2つの主要な方法を用いて、WTT質問紙、参加者の英語学習歴、Minecraftのスキルレベル、活動中のMinecraft画面の録画などのデータを統合的に使用し、trait WTCを測定する計画です。
アマンダさんからは、co-designというツールの使用が助けになるのではという助言があり、濱田さんに期待されています!๑╹◡╹)ノ
犬田さんの研究課題は、オンライン調査における問題、特に消極的な回答者の対応を、ゲームを活用して最適化することに焦点を当てています。セミナーでは、この方法の心理的効果、ユーザー体験の向上、動機付けの向上、参加率の向上といった、多方面にわたる効果について説明しました。
犬田さんは、先行研究における問題や、現在の実験哲学における複雑すぎる課題が、参加者の消極的な回答を引き起こす原因であることを紹介しました。
彼は、ゲーム制作ツールや画像生成ツール(AI:Midjourneyなど)を使用している現在開発中のデモを紹介しました。犬田さんが披露したデモ作品は非常に興味深く、多くのインタラクションとさまざまなシナリオが含まれており、ユーザーフィードバックも非常に良いものでした。従来のアンケート調査よりも明らかに魅力的であり、彼の今後の作品が楽しみです!
莫さんが今日のセミナーで、「殺人ミステリーゲーム(MMG)を用いてチーム学習を強化する」という課題を紹介しました。彼女は殺人ミステリーゲームの要素と形式を詳しく説明し、昨年の研究計画に基づいてさらに深い補足を行い、MMGを通して教育プロセスに新しい価値を加えることを目指しています。
彼女はチーム学習(Team-Based Learning)という学習方法について説明しました。この方法は、5~7人の学生チームを中心としたもので、構造化されたワークフローを持つグループ学習の形式です。一般的なグループワークとは異なり、読解、証拠収集、分析、投票の4つの段階に分かれ、教師の指導による事前学習から始まり、significant problem, same problem, specific choice, simultaneous report「4S原則」に従います。そして最後にピアレビューで締めくくられます。莫さんは、この学習モデルはチームのコミュニケーション能力を向上させるものの、学習効果に対する影響は未確定であると指摘しています。彼女は、その研究結果を検証するために、対照群と定量的メタ分析(Meta-Analysis)を導入しました。
さらに、莫さんは彼女の研究と密接に関係する資源配分理論について紹介しました。この理論での「資源」とは、MMGゲーム内の情報を指します。彼女は情報サンプリングモデル(Information Sampling Model)を使用して、MMG内でのプレイヤーの情報交換パターンを探りました。最近の研究では、チーム学習を通じて大衆心理教育(Popular Psychoeducation)、すなわち一般向けのメンタルヘルス啓蒙を紹介する部分も追加し、この分野でワークショップを設計・実施することを計画しています。
本学期、莫さんは卒業に必要なコースを可能な限り修了し、その後はワークショップのデザインに集中できるようにする計画です。同時に、修士論文の文献レビューも完了させる予定です。彼女の応援をしましょう!⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ˂̶͈́)۶⁾⁾
大空さんは参加者に向けて、彼の研究計画の時間表を詳しく説明しました。その中には、KJ法を活用した情報整理、計画の策定、そして将来の発表日程や会議参加の予定が含まれています。研究に初めて触れる人々に向けて、「QRP Game」というカードゲームを通じて研究倫理を学ぶ方法について魅力的な紹介を行いました。これには事例確認、評価、発表、そして採点といったプロセスが含まれています。さらに、「Moon Shooter(Moon Shop Project)」についても紹介し、多くの関心を引きました。
また、大空さんは現在進めているワークショップ計画を共有しました。これらの活動は異なる場所で3回開かれ、幅広い参加者情報を集める予定です。彼は長期および短期の目標についても述べ、例えば学習分析スキルの向上やNHKや高等教育機関での研究推進を目指しており、カードゲームを倫理教育に革新的に活用することを意図しています。この一連の計画は彼の最終的な目標に向けた基盤を築いており、期待が高まります!
最後に藤本准教授は藤本研究室が主催する研究発表に関する企画「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム」を紹介しました。次回の開催に向けて準備を進めていますので、今後のお知らせを楽しみにお待ちください!
投稿日時: 2024-10-10 投稿者: inuda
みなさん、こんにちは!
修士2年の犬田悠斗です。今回は、夏休みの活動報告9月編です。
9月を一言で表すと、「遊びと研究のバランス」です。
学会発表や大阪遠征などで研究発表を行う反面、友達と会ったり、ゲームイベントに行ったりと遊びも充実した一ヶ月でした。今回は、その中でも印象に残っている「日本デジタルゲーム学会2024年夏季研究発表大会」、「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 大阪」と「遊び」の話について書こうと思います。
■日本デジタルゲーム学会2024年夏季研究発表大会
9月6日(金)と9月7日(土)に、「日本デジタルゲーム学会2024年夏季研究発表大会」が開催されました。私は、下記の2つの発表を行いました。学部3年生の頃から毎回発表することを習慣にしていたので、バタバタしていたのですが思い切って発表しました。
①インタラクティブセッション:クラウドソーシングゲームのプラットフォーム「Meta Crowdsourcing Game」の開発
②ライトニングトークセッション:実験哲学におけるゲーミフィケーションを活用した WEB 調査の開発実践の進捗
今回の学会を通じて感じたことは、「ゲーミフィケーションであっても、ゲームとして評価・判断されることが多い」ことです。ゲーミフィケーションは、「コンピュータゲームのなかで特徴的に培われてきたノウハウを現実の社会活動に応用する行為のこと」です。つまり、必ずしもゲームを開発することではありません。
エンターテインメントを目的としない場合、むしろゲームにしすぎるとその部分がノイズになってしまい、ユーザー体験を損なうことが往々にしてあると思います。メモ帳を開くたびに長々とゲームをするのは億劫ではありませんか。
ゲーミフィケーションの場合は、「ゲーム要素を通じて何を実現したいのか」を見ることが重要だと思います。ユーザーのエンゲージメントを高めたいのか、ゲームのシステムを通じて社会構造を表現したいのか。ゲーミフィケーションと一言にいっても、様々な目的があると思います。
ゲーミフィケーションを活用したものには幅があり、ゲーム要素がしっかり盛り込まれているものもあれば、少しだけゲーム要素を足したものもあります。ただ、1つ言えることは、ゲーミフィケーションに関しては、ゲーム要素の量で評価することはできないということです。つまりゲーム要素が少なくても、目的が達成されていたなら、その制作物は素晴らしいということです。
ゲーミフィケーションを評価する場合には、ゲームとして面白いかではなく、「ゲーミフィケーションを活用することで、何を実現することができているのか」を考えることが良いのではないかと個人的には思っています。
■ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 大阪
9月18日(水)に「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 大阪」が藤本研究室のイベントとして開催されました。私は下記の4つの発表を行いました。
①SF作品を作ろう!「ゲームを基盤とした社会」を創造するワークショップ(ワークショップ)
②クラウドソーシングゲームのプラットフォーム『Meta Crowdsourcing Game』(デモ展示)
③実験哲学ゲーム『Free Will 自由意志と道徳的責任』(デモ展示)
④英語の勧誘表現を学習できるカードゲーム『Shall we dance? 一緒に踊らないかい』(デモ展示)
今回のイベントは、大学院で培ってきたことが凝縮された良い展示ができたと思っています。デジタルゲーム、アナログゲーム、ゲーミフィケーションを活用したWEBアプリ、ワークショップでできた創作物、グラフィックと多様なものを展示しました。「多様なメディアを用いて表現していく」という自分らしさを出すことができたと思います。
今回のイベントをはじめとして、このような挑戦の機会をいただけているのは、藤本研究室を支えてくださっている皆様のご支援のおかげです。本当にありがとうございます。
■遊び
最後に、「遊び」として、「東京ゲームショウ2024」と「勇気づけられた友人との話」を簡単に紹介したいと思います。
・東京ゲームショウ2024
内定先の企業からチケットをいただき、「東京ゲームショウ2024」に行ってきました。実は、私の東京ゲームショウに行く目的は、「ゲームを遊ぶこと」ではなく、「各企業の展示を見に行くこと」です。どの企業も、ゲームをモチーフとした様々な展示を行っていて、こんな見せ方があるのかと毎回感動しています。人が多すぎて試遊はなかなかできないのですが、展示を見に行くというモチベーションだと、東京ゲームショウも楽しめるのではないかと思います。
・勇気づけられた友人との話
最後に、友人と会った時に話した「研究者のタイプと評価の話」を紹介させてください。
ここから相当ざっくりとした話になりますがご了承ください。話の概要は以下です。
研究者には、「注目度の高い領域で熾烈な競争を生き抜いていく研究者」と「独自の世界観を作り育てていく研究者」がいる。前者は一見華やかで注目されがちだけど、後者はしっかりと時間をかけて世界観を育て続けていったら、競争だけでは辿り着けないより大きくて広い世界に行けるんじゃないか。
私は、完全に後者のタイプなので、本当に勇気づけられました。久しぶりに友人と腹を割って話すのもいいものだなと改めて思いました。
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以上が、犬田の9月の活動報告になります。また次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。
それでは!!!
投稿日時: 2024-10-10 投稿者: qikeyi
みなさん、こんにちは!研究生の斉です。
2024年度Aセメスターの第一回ゼミを報告致します!
今回は、新しいメンバーが加わったので、各メンバー自己紹介と夏休みの活動報告でした。
先ず藤本先生からAセメスターの活動・ゼミ内容・研究段階について紹介しました。
・新メンバーの自己紹介
叶さんと厳さんが外国人研究生として、アマンダさんが特別研究学生として藤本研究室に加わりました。皆さんを心より歓迎いたします!
叶さんは中国出身で、学部では生物工学を専攻し、修士では学科教育(生物)を専攻されました。また、高校で3年間生物の教師を務められていたとのことで、素晴らしいご経験をお持ちです!現在の研究テーマは、マグロに関する知識を紹介するゲームの開発です。生物の知識を学習者に提供しながら、環境保護の重要性も訴える内容となっており、とても楽しみです!
厳さんは中国出身で、最近ご家族と一緒に日本に引っ越されました。学部ではメディアコミュニケーションと映画研究をダブルメジャーとして専攻し、修士ではジャーナリズムを専攻しました。修士論文では女性プレイヤーが直面する性別による差別や障害について研究されました。また、BBC News New Yorkやハーレム地区での地域報道にも従事されました。卒業後、厳さんは中国で5年間、ゲームデザインとマーケティングに関連する職務に従事していました。幅広い経験をお持ちです!現在の研究テーマは、メタ要素を取り入れたゲームを活用して経済関連分野の世界を紹介することです。とても興味深いですね!
アマンダさんはアメリカ出身の特別研究生で、現在オックスフォードインターネット研究所の4年目の博士課程に在籍しています。研究テーマは「遊びを意味づける:ビデオゲーム、知識、社会の絡み合い」です。ゲーム研究、教育、科学技術研究、人間とコンピュータのインタラクションに関する文献を基に、質的研究を行っています。具体的には、ゲームプレイの進行、日記研究、プレイヤーや開発者へのインタビューなどを通じて、ゼルダ、スカイリム、スターデューバレーといった事例研究も行っています。アマンダさんの今後の計画には、日本でのデータ収集の準備や、改造ゲームのプレイヤー体験に関する論文の執筆が含まれています。一緒に頑張りましょう!
・自己紹介と夏休みの活動報告
莫さんは、Murder Mystery Gameに関する研究を行っており、この夏、大阪で開催されたシンポジウムで初めての発表をしました。おめでとうございます!
また、レビュー論文と本郷巡り謎解きの進展についても紹介しました。
私は斉です。中国出身で、研究テーマは「ゲーミフィケーションにおけるフロー体験」です。この夏休み中に、日本語の学習を強化しました。また、スタッフとして2回のシンポジウムに参加し、皆さんの研究発表や研究の進め方について多くのことを学びました。とても貴重な経験でした。さらに、興味を持って東京ゲーム展にも訪れ、様々なゲームを初めてプレイした印象が非常に深く残っています。今学期には、自分の研究テーマをさらに充実させたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします!
犬田さんは夏休み中に、2回の「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム」と「日本デジタルゲーム学会2024年夏季研究発表大会」に参加し、自身の研究成果を非常に充実した形で発表しました。さらに、シリアスゲームジャムにも参加し、日本デジタルゲーム学会の広報委員としても活動しています。本当に充実した時間を過ごされていますね!
大空さんは夏休みの期間中に国際学会「Replaying Japan 2024」に参加し、発表を行いました。無事に発表を終え、世界中の学者からの積極的な反応を得られたことは本当に素晴らしいですね!その間に、アメリカとカナダの研究実験室も訪問しました。大空さんの夏休みの活動報告には非常に詳しい内容が記載されていますので、ぜひ皆さんもお読みください。
木村先生は主にゲーム心理学に焦点を当てて研究を行っています。特にfNIRSなどの生理指標を用いて、プレイヤーのフロー状態や感情の変化を調査しています。この夏休み、木村先生は解説文の校正、シンポジウムでの発表、ゲーム研究の古典の再読、実験データの分析、レビュー論文の執筆など、様々な活動に取り組まれました。今学期のサブゼミでも、ご指導のほどよろしくお願いします。
新居先生はLudix Labに協力している学術専門職員で、研究室の日常の進行を管理し、またメンバーにアドバイスや支援を提供しています。
では、今回の活動報告は以上になります。
新しいメンバーの加入は、研究室に新たな活力をもたらしてくれることでしょう。本学期の皆さんの研究活動や交流をとても楽しみにしています!
来週は、所属学生の研究計画や進捗の発表があります。研究の詳細について聞けるということで今からとても楽しみです!来週の記事もぜひご覧ください。