東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
post date and time: 2024-05-30 contributor: osora
こんにちは、M2の大空です。
今週はゲストセッションとして、福島真人先生にお越しいただき、「ハイリスク環境での学習」というテーマで、ディスカッションを行いました。
福島先生には、とても刺激的な発表を行っていただき、新たなアプローチで自分たちの研究分野および研究テーマを考えるきっかけになりました。
本記事では、その内容を少しご紹介できればと思います。
福島先生の発表では、切り口の一つとして「正統的周辺参加」を提示していただきました。
正統的周辺参加とは、社会的な実践共同体への参加の度合いを増すことが学習であると捉える考え方のことを指します。
この考え方には、課題として、現場(特にハイリスク環境)では、学習に必要な「ゆとり」「タイムリーな教授」「失敗への寛容」がないため、人は学べないのではないか?という指摘があります(ベッカーの難問)。
しかし、「正統的周辺参加」における、その周辺には、実験的施行が可能になるような領域があるのではないかという議論も同様にあります。
福島先生は、これを”学習の実験的領域”と呼んでいます(著書『学習の生態学』でもご紹介しています)。
より具体的に、この学習の実験的領域を成り立たせるためには、3つの制約を取り除く必要があるとされています。
①時間的制約
現実では実験的試行を十分に行う時間がない
②経済的制約
試行そのものやそれによる失敗にはコストがかかる
③法的制約ー免責構造
責任を免除して失敗を学習資源として活用できない
これらの点をクリアする手法として、リスクの高い多くの組織が導入しているのはシミュレーションによる教育です。
擬似的な空間で学ぶことは、現実ではできないような失敗も許容されることが大きなメリットで、これはゲームにもつながる話題だと感じました。
もちろん、シミュレーションやゲームでの学びと現場で活動にギャップはあります。とはいえ、これらの学びが意味ないわけではないと思います。
この感覚を言葉にして体系的にまとめたいなと感じたため、次回の発表では、本ゼミでの福島先生のお話を踏まえ、自身が考えたことをゲーム学習と結びつけつつ、アウトプットしたいと思います!
改めて今回、福島先生には、大変貴重なお時間をいただき、素敵な発表および対話を行っていただきました。私自身、本分野でのモチベーションがさらに高まるきっかけとなりました。
こうした機会をいただけていることに感謝しつつ、積極的に経験を活用していこうと思います。
今週のゼミ報告は以上となります。では、また来週!
P.S.
ゼミ終了後に、みんなでご飯を食べに行きました!