東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
post date and time: 2024-07-19 contributor: jona
皆さんこんにちは!研究生のジョナです。
今回のゼミでは、坂井先生の研究員発表と莫さんのプレイセッションの2本立てで行いました。それでは早速、ゼミ活動のご報告に移りたいと思います。
坂井先生:研究発表
坂井先生は「死と喪失をテーマにしたゲームの影響」について研究発表を行いました。若者の自殺は他の年齢層に比べて多く、近年では増加傾向にあります。その一因として、自分の命に対する態度、すなわち死生観の欠如が挙げられます。このため、死生観に影響を与える要因の検討は極めて重要です。
従来、死生観の空洞化については、伝統儀礼からの離脱や大衆娯楽文化の影響が指摘されており、特に死を繰り返すことができるゲームが死生観を揺るがしているのではないかという意見がありました。しかし、ゲームでの死の繰り返しが現実世界との混同を引き起こすという指摘に対しては、ゲームは現実世界と切り離された空間であり、若者は混同していないという反論もあります。
坂井先生は自身の研究で、ゲーム(殺傷表現のあるゲーム)がどのように死生観に影響を与えているかを検討しました。そして、適切な使用モデルを提示することで、若年層のWell‐Beingに貢献することを目指しました。この研究では大学生と短期大学生を対象に、バトルロイヤル形式のゲームのプレイ時間と死生観の関係を分析しました。その結果、殺傷表現のあるゲームのプレイ時間が長い若者は、短い若者に比べて死への恐怖・不安が低く、人生の目標意識が低い、死後の世界観が希薄であるという結果が得られました。
このことから、ゲーム自体が死生観に影響を及ぼすのではなく、ゲームとの接し方が関連していると推測できます。適切な指導を行い、現実世界での習慣や活動への参加を推進することで若者の死生観を育み、自殺予防につなげることが可能と考えられます。
発表後、ゼミメンバーで活発な討論が展開され、プロゲーマーなど異なる背景を持つ対象者についての検討、死を積極的にとらえるゲームの効果についての検討など、様々な見解が提示されました。
莫さん:プレイセッション
莫さんからは、自分の設計した室外謎解きゲームのテストプレイを行いました。このゲームはキャンパス内の建物やスポットでヒントを探し、チームで協力して謎を解く内容でした。
私はこのゲームを通じて、学校に関する新しい知識や今まで知らなかったスポットを知ることができました。建物を観察し、歴史などの関連知識を得ることもでき、校内をゆっくり散歩するには最適なゲームだと思いました。
今回のテストプレイを通して、レベルデザインや安全性の確保、言語の適切性などについて先生方から非常に有益な意見がありました。この経験を基に、進化したゲームの完成が楽しみです。ゲームの完成版は来学期の制作展で公開されるとのことです。皆さんもぜひお楽しみください!
今回のゼミ活動報告は以上となります。
お読みいただきありがとうございました!