東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
post date and time: 2021-04-13 contributor: Ye Zhiqing
改めまして、外国人研究生からM1に進学した、叶芷晴(Ye Zhiqing)です。
時間の経つのが早いもので、既に半年間藤本研にお世話になっていました。研究生期間には、毎週ゼミに参加させていただき、事例研究、文献研究、研究進捗の報告の回を重ね、極めて充実な時間を過ごしました。事例研究の回でいつも様々な興味深いゲーム事例を知り、文献の輪読会で学習デザインとゲームデザインの知見を深め、進捗報告の機会で様々な貴重なご意見を伺ってきて、ゼミの皆様に心より感謝を申し上げます。
この半年間、前立てた研究計画に沿って研究を始めたものの、研究を実際に行うと色々課題にぶつかり、研究のロジックを絶えずに考慮して直したり、より良い研究問題と研究法の設定を模索してきました。未だに改善せねばならぬところが多いと思うが、簡単にこの先続けていく研究テーマについて紹介させていただきます。
修士期間の研究は、研究生期間の「ゲーム活動における第二言語学習」というテーマを続けたいと思っております。
ゲームプレイヤーは外国語のゲーム、特に物語中心のゲームをする時、実は外国語の本を読むと同じ、外国語に囲まれています。プレイヤー自身は気づいていないかもしれないけど、第二言語の「偶発的な学習」がゲーム行為とともに常に生じています。例えば、英語を勉強するためにゲームをしているわけではないが、英語のゲームテキストを読みながら、ついにそのゲームでよく出てくる語彙を身につけるようになりました。また、一部分の積極的な学習者としてのプレイヤーは、そのような物語中心のゲームを「独学教材」として扱っています。その場の学習は既に「偶発的」から「意図的」に変化しました。
また、ゲームは第二言語の本と違って、フィードバック、インタラクションがあるので、プレイヤー・学習者の参加度、集中力、学習動機づけが高まる上に、文脈的に基づいた意味ある語彙の獲得にも繋がり、第二言語の習得に有効だと考えられます。
しかしながら、現在の物語中心のゲーム (Narrative-based game)は、ほとんど市販ゲームで、偶発的学習が行った、学習材料として活用されていると言っても、その効果はまだ明らかではなく、勉強できることもゲームのテーマに関わるものに限られているなど、その学習に豊かな可能性とともに、いろいろな課題があると思われます。
そこで疑問に思うのは、どのように「物語中心のゲーム」というゲーム種を、第二言語学習のためによく活用できるかということです。この問題を答えるために、まず実際の遊びの場(gaming in the wild)で、第二言語でのゲーム活動と第二言語学習の関係を探究せねばならないと思っています。
この研究を進めながら、実は時々「ゲームで遊ぶのは本当に勉強になるか。勉強になるのであればどれぐらいの程度に役立てるのか」と、色々と戸惑わずにはいられなくなってしまいます。ですが、外国語ゲームプレイヤーと外国語学習者という「ダブル・アイデンティティ」を持っている一人として、自分の経験から見ると、やはりゲームがもたらした「楽しい知識獲得」は他のコンテンツがもたらせないものなのではないかと常に思い、ゲームの学習価値を信じたい、ゲームに含まれている学習の可能性を拡張したいと、思っています。そのため、これからも頑張っていきたいと思っております。引き続き、報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
また長い話しになってしまいましたが、読んでいただきありがとうございます!
Category: Lab news Author: Ye Zhiqing permalink