東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
Monthly archive: December 2022
post date and time: 2022-12-22 contributor: yangxiao
みんなさん、こんにちは。研究生ヨウです。
天気がだんだん寒くなってきて、皆様はお元気でいらっしゃいましょうか。
さて、早速今週のゼミ内容を報告に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
今回は文献研究(升井さん)とプレイセッション(財津さん)という内容でした。
文献研究(升井さん)
著者の紹介と論文は下記をご覧ください
Richard N. Landers (John P Campbell Distinguished Professor of I-O Psychology, University of Minnesota)
Gamfication Science, Its History and Future: Definitions and a Research Agenda.
升井さんはRichard N. Landers 氏の研究文献に記載されている、①現代のゲーミフィケーション研究の哲学的基盤を説明し、②ゲームとゲーミフィケーションの関係を定義して、③ゲーム科学の下位分野としてゲーミフィケーション科学を定義して位置づけ、ゲーミフィケーション科学における主要な関心事項の六つ要素(予測因子構成、基準構成、メディエータ構成、モデレータ構成、設計過程、研究方法)の枠組みを目的提起として解説いただきました。
ご研究の結論は次の通りです。
①ゲーミフィケーション科学とは、ポスト実証主義の認識論の中で、ゲーミフィケーションデザインに関する理論の開発と実証的評価を行うことを指す。
②ゲーミフィケーション科学者・実践者の目標は、ゲーミフィケーションの介入策の設計を通じて、ゲーミフィケーション科学とゲーム研究の両方から得られた洞察を広く活用し、組織の目標を達成する最善の方法を理解することであるべきである。
ゲームとゲーミフィケーションの科学的な定義は、もっと深く追求されるべき問題ですが、こうした文献研究をきっかけに、私自身もゲーミフィケーションの科学の定義についてより深く考えるようになりました。
プレイセッション(財津さん)
今回のプレイセッションは研究室みんなが力を合わせて二つのボードゲームでした。一つは、「JUST ONE」、もう一つは「DIXIT」でした。
「JUST ONE」は、ひとりずつ交代で回答者となり、他の人が出したヒントをもとに、自分だけが見えない秘密の言葉を推理するゲームです。ただし、出したヒントが誰かと同じ内容だと、そのヒントを回答者が見ることはできなくなります。そして、今回はインターネットからランダムに単語を使用することで、より難易度を上げました。このゲームでは、なるべく他の人と同じヒントを出さないように、お互いに考えて協力し合う必要があり、たいへん楽しかったです。
次の「DIXIT」というゲームでは、ひとりずつ交代で語り部となり、自分の手札を一枚の絵柄から連想される言葉を言い、他のプレイヤーは自分の手札の中からその言葉に最も関連していると思うカードを一枚選びます。全員で選んだカードはシャッフルして展示し、語り部以外のプレイヤーは「語り部の出したカード」だと思うカードに投票し、全員当たり、または全員外れの場合は、語り部の得点はゼロ、それ以外は語り部と当たる人の得点となります。つまり、語り手は選んだカードを的外れたりバレたりしにくい曖昧な言葉で表現する必要があるのです。ルールは簡単ですが、ゲームのアイデアは天才的だと思います。
ボードゲームには、創造力・想像力、また魅力があふれています。お正月にみんな様のご家族と一緒にボードゲームをするのは、きっと楽しい時間になされると思っています。もちろんこの二つのゲームはどちらもおすすめします。
今回の報告は以上になります。最後にお読みいただきありがとうございます。
歳末寒気いよいよ厳しき折、皆様のご健康何よりですから、どうぞ、ご自愛ください。よき年を迎えられますことを心より祈念しております。
それでは、また来週!
post date and time: 2022-12-15 contributor: Ye Zhiqing
皆さんこんにちは、M2の叶です。
最近おすすめのスポットは三四郎池です。論文執筆期間の気晴らしの良い場所です。(雨天は足元を注意すべき)
早速今週のゼミ内容を共有します。今週は関連研究と文献輪読の回でした。発表者は叶、M1の大空さんと特任研究員の木村さんでした。
「Introduction」と「Literature Reivew」の書き方(叶)
自分は今回、少し変わったテーマではありますが、論文執筆時の「Introduction」と「Literature Reivew」の書き方について共有しました。最近は英語論文の書き方について色々調べた情報を整理しました。南カリフォルニア大学図書館の論文執筆ガイド(①)とユーチューブでの論文執筆に関する動画(②③)を参照して、この2章の書き方と構成などを以下の図にまとめました。
参考文献
インストラクショナルデザイン理論とモデル(①)(第1章&第8章)(大空さん)
第1章は「学習者中心の教育パラダイム」です。「学習者中心」とは、個々の学習者と学習そのものに焦点を当てる立場であり、「指導者中心」の反対とも言えます。その普遍的原理には、①達成基盤型のインストラクション、②課題中心型のインストラクション、③個人に合わせたインストラクション、④役割の変化、⑤カリキュラムの変化があります。
第8章は「学習のためのゲームのデザイン」です。ゲーム型基盤の教育アプローチは、豊かで没入型の経験を通した学習促進を目指しています。その普遍的原理には、①ゲームのビジョンを創造する、②ゲーム空間の設計、③教授空間の設計があります。
大空さんは、今回紹介した理論から自分の研究の気づきを得て、研究に「学習者中心」というキーワードを導入して説明し、また、ゲームのデザイン上はレベル分け、カードのカスタマイズ性の活用、ミルフィーユ型プログラムなど、デザイン上のアイデアを共有しました。今後の大空さんの研究のゲーム型ワークショップデザインのさらなる具体化を楽しみしています。
参考文献
ビデオゲームの活用と脳活動に関連する実証的研究の紹介(木村さん)
特任研究員の木村さんは、①医療のシリアスゲーム研究、②高齢者の認知制御トレーニングのシリアスゲーム研究、③ビデオゲームトレーニングと報酬系の研究という3本の論文を紹介しました。
その中で、自分が最も面白いと思ったのは②です。この研究は『ニューロレーサー(NeuroRacer)』という視覚運動追跡課題と同時に知覚弁別課題に取り組む型のシリアスゲームの実証実験です。この研究は、「ニューロレーサー」を60歳〜85歳までの高齢者46名を毎週3時間の頻度で、1か月の間にプレイしてもらいました。プレイしていない対照群と比較すると、実験群は1か月後でマルチタスクのパフォーマンスが有意に向上しました。しかも驚くことに、実験効果は6か月後も持続していました。簡単に言いますと、脳はマルチタスクのシリアスゲームのトレーニングにより活性化できることが証明されました。
最後に、木村さんはビデオゲーム研究の現状についての所見を述べました。
参考文献
今回の報告は以上になります。最後にお読みいただきありがとうございます。
post date and time: 2022-12-08 contributor: osora
皆さんこんにちは。M1の大空です。
気づけば12月で、急に冷え込んできたことに冬をひしひしと感じています。本郷キャンパスでは、いちょうの葉が落ちて一面黄色の風景が写真映えするのですが、毎回写真を取ろうか暖かい室内へ急ごうか悩んでしまいます。結局、自分はいつも暖かさを優先してまうので、いつか写真を取りたいと思っています笑
さて、それでは今週のゼミ報告に移りたいと思います。
今回は、研究進捗発表(春口さん&大空)とプレイセッション(升井さん)という内容でした。
■研究進捗発表(春口さん)
春口さんは、情報セキュリティをテーマにしたシリアスゲーム(デジタル)の開発と検証をテーマにこれまで研究をされてきました。
そして、今回はそのテーマがより具体化し、高校で学ぶ「情報 Ⅰ」の範囲である「情報通信ネットワークとデータの活用」の分野で活用できるゲームの開発を行われるとのことでした。
活用シーンとしては、学校以外のインフォーマルな場で使用されることを想定されており、実験の方向性も提示していただきました。
現状の課題としては、実験を行う際の対象者である高校生をどのように集めるかということで、その点はゼミでのディスカッションの中で協力してくれる、関心がありそうな関係者の方々のご紹介がありました。
自分自身、春口さんの研究テーマはとても興味深く、開発されるゲームも楽しみなので、今後の実験(ゲームプレイ)を通して、ゲームの有効性が証明される結果が出ることを期待しています!
■研究進捗発表(大空)
大空は、今回は2部構成で発表を行いました。
1部では、前回の進捗発表で、現在の研究テーマとは別で、他の研究テーマにも検討してみたいとゼミの皆さんにお伝えしており、そのテーマが具体的に4つできたので、まずはそれぞれの内容を発表しました。
その中で、最も自分が関心をひかれる研究テーマをあらかじめ決めており、そのテーマと、なぜそのテーマにしたのかという理由もあわせて、ゼミの皆さんへご共有しました。
そして、2部では、新たなテーマである「研究倫理教育に資するカードゲーム型学習プログラムの開発と検討」の紹介を行いました。
ゲームのプロトタイプ自体はできており、今後はそれを授業に組み込む際の学習設計や理論との紐付けを行い、ゲームプレイによる評価を行っていく予定です。
研究倫理の分野における学習手法の1つとなるよう、研究による効果の証明を行い実際の実装までを修士の間で行っていきます。
■プレイセッション「ソクラテスラ」(升井さん)
プレイセッションでは、「ソクラテスラ」というカードゲームをプレイしました。
この「ソクラテスラ」は、様々な偉人の身体のパーツを組み合わせ、最強の偉人を作り出して戦わせるゲームです。
エンターテインメント性の強いゲームではありますが、内容が日本史や世界史に関わることで、プレイする中で偉人の顔と名前が一致したり、分割された偉人の名前からどの人だろうと考える瞬間が多々ありました。
ゲームでは、偉人の名前を組み合わせることで、上記の画像のような新たな偉人を作り出すのですが、この語感の面白さのようなものは留学生の方にも伝わるのかということもテーマに話し合いました。
結論としては、留学生の場合、偉人の名前を知っていることが面白さにつながっているのではないかという話になりました。
全国の書店などで販売されているゲームのため、また別の機会で遊んでみようと思います!
今回の報告は以上でした。最後までお読みいただきありがとうございます。それでは、また来週!