Monthly archive: June 2023

【6月8日】ゼミ活動のご報告

post date and time:   2023-06-14   contributor:   inuda

みなさん、こんにちは!M1の犬田です。

近頃は、7/7-7/10に開催される東京大学制作展EXTRA2023の準備で、充実した日々を過ごしています。多様な専門の人たちと共同で取り組む経験は、刺激的だなと感じています。研究活動をこつこつと進めながらも、研究以外の活動にも全力で取り組んでいきたいと思います。そして、東京大学制作展EXTRA2023の一般予約が開始されたので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください!

さて、今週のゼミ活動報告に移りたいと思います。今回の内容は、研究テーマ関連論文紹介(大空さん、春口さん)とプレイセッション(犬田)になります。

■研究テーマ関連論文紹介(大空さん)

大空さんは、以下の4つの論文を紹介してくださいました。

1)山根悠平ら:国内の研究倫理教育の実践に関する研究動向(2019)
2)鈴木大助:ジグソー法を用いた研究倫理教育(2020)
3)有江文栄ら:看護研究倫理の課題: 研究倫理教育に焦点を当てて(2017)
4)札野順:技術者倫理教育, その必要性, 目的, 方法, 現状, 課題(2006)

発表では、研究倫理教育の体制は整ってきているが、研究倫理教育の評価や初等中等教育における研究倫理教育の実践が不十分であること、ジグソー法を用いた情報リテラシー教育の実践事例などを紹介してくださいました。特に「国内の研究倫理教育の実践に関する研究動向」については、日本の研究倫理教育が網羅的にまとめられており、今後の大空さんの研究の基盤となる論文だと思いました。

研究倫理教育というと、大学生もしくは大学院生を対象にするものが真っ先に思い浮かびますが、自由研究などで研究に近い活動を行い始める初等中等教育から研究倫理教育が今後行われていくようになるのではないかと思いました。また、レビュー論文を読むことによって、対象とする研究分野の全体像を俯瞰することができ、効率よく研究を進めることができるというお話を聞き、自分の研究分野のレビュー論文を探してみようと思いました。

■研究テーマ関連論文紹介(春口さん)

春口さんは、以下の3つの論文を紹介してくださいました。

1)Dave, F.:Teaching Simplified Network Protocols(2010).
2)飯塚正明:情報ネットワーク通信プロトコルの理解を深める教材,千葉大学教育学部研究紀要 第66巻 第1 号,pp. 405~408 (2017).
3)Shaoqiang, W. DongSheng, X. ShiLiang,Yan.: Analysis and Application of Wireshark in TCP/IP Protocol Teaching (2010).

これらの論文では、高校生、中学校の教員免許取得者などにプロトコルと階層化を教えた実践例が紹介されていました。具体的には、各階層のプロトコルの役割を様々なメタファーで表現した事例や実際にネットワーク機器を用いて実習を行った事例を紹介されていました。春口さんは、今回の論文を読み、プロトコルと階層化の効果的な教育事例では「各階層の役割」を教えるフェーズと「プロトコルの役割」を教えるフェーズ、その後に「2つの対応」を教えるフェーズの3つの段階で構成されていることに気づかれていました。

これまでの事例を聞くと、実際にコードを書いたり、ネットワーク機器を使用したりとプログラミングやネットワークに関する知識を前提とする事例が多く、初学者にとってはハードルが高いなと思いました。一方で、春口さんの研究はゲームを用いたプロトコルと階層化の教育なので、この分野の初学者にとっては、とっつきやすいだろうなと思いました。

■プレイセッション(犬田)

プレイセッションでは、『刑法ポーカー』を行いました。刑法ポーカーは、犯罪を構成する要件が書かれた5枚のカードを上手くそろえて、最も重い犯罪を作るドローポーカーを基にしたボードゲームです。今回は、最初に全員でルールを確認した後、ゼミ内で刑法ポーカー王決定戦を行いました。このゲームは東京大学法科大学院生が開発したボードゲームで、東京大学生協でも販売されています。

ゲームとしては、運の要素が強いものの、重い役を作るのかある程度の役で抑えておくのかなど駆け引きをすることができ、とても楽しかったです。一方で、学習については、構成要件と犯罪の対応など刑法についてしっかりと学ぶことができたとは言えませんでした。原因としては、法律に詳しい人がいなかったことや刑法について学ぼうという意識が低かったことが挙げられると思います。学習効果を高める方法としては、法律に詳しい人と一緒に行うことや最後手札を公開する際に構成要件と成立した犯罪を読み上げることなどが話として上がりました。他にもゲームデザインについて様々な意見が出ていました。

以上で、6月8日のゼミ活動報告は終了となります。今週のゼミは藤本先生の海外出張でお休みです。ぜひ来週のゼミ報告記事もお読みください。それでは!