東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
Monthly archive: September 2023
post date and time: 2023-09-30 contributor: osora
皆さんこんにちは。大空からの活動報告です。
今月は、9/2(土)に行われた<日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会>についてご報告します。
自身もライトニングトークセッションで参加したので、その振り返りを行いつつ、どのような発表があったかもご紹介していきます。
本研究発表大会のテーマは「拡大するゲーム空間 発展するゲーム研究」でした。そのテーマ通り、ゲームが貢献する領域や空間をさらに拡大できるような発表や企画が多くありました。
また、今回は新型コロナウイルスの感染拡大以降、2回目の対面での開催でした。オンラインではなかなか感じづらい雰囲気や対面だからこそできるゲームのデモ機も見せつつ行うポスター発表が行われ、普段出会えない人と交流を深める機会となりました。
そして、基調講演では「新しい文化としてのeスポーツ」として、東京都eスポーツ連合会長の筧 誠一郎氏に語っていただきました。eスポーツへの注目が集まっている中、あらためてeスポーツとは何か、その魅力、面白さ、可能性について考える機会を得ることができました。
eスポーツに関しては、これまで研究対象として見ていなかったのですが、今回の講演を聴いて、自分のテーマとも結び付けられるのではないかと考えることができ、「拡大するゲーム空間 発展するゲーム研究」というテーマに沿う学びが得られました。
そして、発表に関しては本当に様々なテーマがあり、聴く側も非常に有意義で学びの多い時間となりました。
個人的には、今回の研究発表大会では、普段あまり触れていない分野・領域の理解を深めようと考えており、「中国におけるゲームの在り方」や「ゲーム資料の保存」に関する発表を中心に聴いていました。
大会予稿集やプログラムに関しては、こちらのURLから確認できますので、ぜひ御覧ください!
https://easychair.org/cfp/DiGRAJAPAN-2023Summer
最後に、冒頭でもお伝えした通り、大空はライトニングトークセッションにて発表を行いました。
今回が初めての学外での発表ということもあり少し緊張していたのですが、藤本先生、財津先生、坂井先生、犬田さんが会場に来てください、リラックスしていつもの調子で発表を行うことができました。
様々な分野の方から意見や質問をいただけたことは、自分の研究を前に進めてくれることにも繋がり、自分自身にとっても良い経験になりました。
今後も、日本デジタルゲーム学会をはじめ、他の学会にも積極的に参加して発表というアウトプットを重ねて行きたいと思います。まずは、2月頃に次回の日本デジタルゲーム学会が開催されるため、そこに向けて準備を進めていきます!
以上が、報告となります。
夏休みも終わり、10月からAセメスターが始まりますが、体調には気をつけて、引き続き研究を進めていきたいと思います。
それでは!
post date and time: 2023-09-30 contributor: haruguchi
こんにちは、春口です。
夏休み活動報告の9月版をご報告致します。
活動報告と言っても夏休みで行った事の大半は研究で作成しているゲームの改修作業でした。
ですので、ここでは私がゲーム制作で使用しているUniRxとObserverパターンの簡単な紹介をしたいと思います。
UniRxは、リアクティブプログラミングというプログラミングの手法をUnityで利用するために使用するライブラリです。リアクティブプログラミングがゲームプログラミングと相性が良いため、Unityで使用できるようにライブラリとして開発されました。
リアクティブプログラミングは、「データを通知すること」と「データを受け取って処理すること」を扱ってプログラミングを行う手法です。「キャラクターが敵の攻撃に当たりHPバーが減少する」という処理を実装する場面を例に取ると、攻撃に当たったという事が「データを通知すること」HPバーが減少する事が「データを受け取って処理すること」に相当します。
UniRxではリアクティブプログラミングの実装のためにObserverパターンを導入しています。Observerパターンでは、SubjectとObserverという2つの概念を取り扱います。Subjectは何か通知したいデータ(あるいは通知したいイベントなど)を持っている側が作成します。Subjectは自身に登録したObserverに対してイベントメッセージを発行できます。先ほどの例だと、攻撃に当たったというイベント(データ)をキャラクターはSubjectを通して通知します。Observerは登録されたSubjectからのイベントを受信できます。HPバーはキャラクターのSubjectからの通知をObserverを使って受信し、受けたダメージによってHPバーを減らすという処理を行います。UniRxではSubjectのイベント通知にSubject.OnNext();、SubjectへのObserverの登録にIObservable.Subscribe()を使用するようになっています。
こうした機能を使用する事で、イベント通知が必要な様々な場面でスマートな実装を行う事ができます。また、インゲームの実装だけでなくMVRPというデザインパターンを利用してUIの実装も行う事ができます。このようにObserverパターン及びUniRxは使い方を覚えると色々な場面で助けてくれる頼もしい存在です。是非Unityを使ってゲーム開発をされる際は勉強してみてください。