東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
投稿日時: 2022-05-23 投稿者: masui
M2の升井です。今回のゼミは自身初の対面で行われ、とても新鮮な気持ちで迎えることができました。M1の優秀な後輩もできて、これから1年頑張ってゼミを盛り上げたいと思います。
C.M.ライゲルース, B.J.ビーティ, R.D.マイヤーズ(編), 鈴木克明(監訳)(2020)学習者中心の教育を実現するためのインストラクショナルデザイン理論とモデル.北大路書房.
第3章 課題中心型インストラクションの原理
第4章 個人に合わせたインストラクションの原理
第3章では、課題中心型インストラクション(TCI)について扱われています。TCIとは学習課題を中心に①学習課題、②既有知識の活性化、③例示/モデリング、④応用、⑤統合/探究の要素で構成され、さらに、フェードアウトする足場かけが施された学習モデルです。
ディスカッションでは資源対学習者数の効率の悪さを克服するためには何が必要かなどを話し合いました。アクティブラーニング全般に言えることですが、協働作業の時間の確保のために③例示の部分を事前のビデオ視聴に置き換えるなどの工夫ができます。しかし、そのビデオと協働作業との接続の工夫の余地はまだまだ残っていそうだと思いました。
第4章では、個人に合わせたインストラクションについて様々なことを個別化する方法論が示されています。章の中で「グラインディング=わざと繰り返し作業をプレイヤーにさせること」というゲーム用語が出てきて、グラインディングについての経験などを話しながら盛り上がりました。やはり、ゲーム学習の研究室なのでゲームの話になると白熱します。
ケイティ・サレン, エリック・ジマーマン (2019) ルールズ・オブ・プレイ:ゲームデザインの基礎(再編集版)ニューゲームズオーダー
第3章 意味ある遊び
第4章 デザイン
M1の春口さんが担当でした。春口さんの発表資料はスライド形式で、自分の解釈なども交えながらのプレゼンは斬新でした。第3章の「ゲームを作ること」とは何かというディスカッションで、「人の行為の変換装置を作ること」や「体験を作ること」などの各々の意見が出たり、スプラトゥーンとFPSのデザインの違いなどを考察したりして盛り上がりました。また、第4章では記号論などを織り交ぜながら、ゲームデザインとは何ぞやということを話し合いました。藤本ゼミの研究ではシリアスゲームなど、自作のゲームを作る学生も多いので、ルールズ・オブ・プレイのゲームデザイン論はとても役に立つ内容だと思いました。
財津さんが担当したプレイセッションではルールを追加・削除する大富豪を2チームに分かれてプレイしました。片方のチームは大富豪になった人がルールを新たに1つ追加して、もう一方のチームは大富豪になった人がルールを1つ削除するという特別な仕掛けがありました。大富豪といえば、そもそも人によっては大貧民と呼んだり、ローカルルールがあったりで、ルールに調整がかかりやすいゲームです。私のチームは減らす方で、Jバックを消すなどのルール変更がなされました。ディスカッションで興味深かったのは、どこまでルールを消すと大富豪がゲームでなくなるのか?ということです。極論、「手札を配る」というルールを消すとゲームが成立しなくなったり、手札を全部見せてプレイするというルールにすれば、ゲーム感覚は全然違うものになったり、ルールを作るという作業は思ったよりもクリエイティブであるということを体感しました。対面ならではのゲームで、久しぶりにリアルの人と交流できて楽しかったです。
さて、今日はこのあと藤本ゼミの入試説明会があります。院生として、受験しようと思っている人たちにZOOMで話す機会があるので、多くの人にゼミの魅力が伝えられるように頑張ります。