東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
カテゴリー: Lab news
投稿日時: 2025-07-05 投稿者: keirinkyou
こんにちは!M1の叶馨霖です。梅雨明け直前の7月3日に、研究室小会議室にて定例ゼミを開催しました。今回は以下の3名が発表し、その後活発な質疑応答を行いました。
最初に発表を行ったの私は、認知負荷理論(Cognitive Load Theory, CLT)に基づく教育設計とそのゲームへの応用可能性について紹介した。CLTの基本構造として「内在的負荷」「外在的負荷」「学習的負荷」の三分類を取り上げ、教育/ゲームデザインにおける負荷調整の重要性を論じた。特にKesterらの実験を通して、ヒント提示のタイミングが学習効果に及ぼす影響を示し、「Supportive情報」と「Procedural情報」の提示タイミングを操作したデザインが紹介された。また、再生紙の利用などを例に、実生活への接続を意識した支援情報のゲーム内提示の意義についても触れた。
発表後には、荒さんより「CLTは教育ゲームの中で直接用いられる理論というより、支援設計や教材設計における方針として捉えるべきである」との指摘があり、この視点を踏まえてCLTの活用の位置づけについて理解を深める機会となった。実際のゲーム設計において、認知負荷という抽象的概念をどのようにデザイン原則に落とし込んでいくかが今後の課題として浮かび上がった。
続いて謝さんが、フロー理論(Flow Theory)に関する文献紹介を行った。発表では、チクセントミハイによる理論の提唱から始まり、教育ゲームへの応用事例(例:『Minecraft教育版』や中国の語彙学習アプリ『開心詞場』)を通じて、明確な目標設定・即時フィードバック・課題と技能のバランスがもたらす没入体験のメカニズムについて解説された。フローの六大特徴と、それらを活かしたゲームメカニクスとの具体的接続がわかりやすく整理されていた。
発表後には、学生との共同制作によるゲーム映像の紹介もあり、そのビジュアルと構成に対して参加者からも好意的な反応が寄せられた。莫さんからは「フロー状態とこのゲームの関係性」についての質問があり、藤本先生とLeafyさんからは関連文献に関する具体的なアドバイスがなされた。次回の発表では、さらに具体的な事例や設計プロセスの説明が加わることを期待しております。
最後に木村さんより、「暴力的ビデオゲームが攻撃性に与える影響」に関する研究紹介が行われた。Sestir & Bartholow(2010)などの実験に基づき、暴力的ゲーム・非暴力的ゲーム・ゲームをしない対照群の3条件における攻撃的思考や援助行動の変化が詳細に紹介された。特に、「単語完成課題」や「ストーリー完成課題」などを通じた測定手法の工夫や、研究における統計解釈の誤解(misleading)の危険性にも触れ、正確な論文読解の重要性が強調された。
討議では、Johannaさんから「動作性の高い非暴力ゲームと暴力ゲームの区別」に関する問いが出され、木村さんは「本研究ではこのようなジャンル分類を行っているが、異なる結果が出る可能性はある」と応じた。友利さんは「非暴力的ゲームで15分後に攻撃性が高まった理由」に注目し、私も「非プレイ群をコントロール群としてどこまで有効といえるか」について質問を行った。木村さんは、「社会心理学的実験における条件対照の限界性」について具体例を交えて回答した。大空さんは「今回の研究では大学生を対象としているが、被験者が小学生であれば結果が異なるのではないか」と、研究の一般化可能性についての意見を述べた。最後に浜田さんが「攻撃性の測定に文字課題を使う理由」や「他に測定方法はあるのか」といった測定法に関する質問をし、木村さんがその根拠を補足するかたちで説明を加えた。
今回のゼミでは、それぞれ異なる理論的視点からゲームと教育の接点が丁寧に論じられ、改めて「理論を読む力」と「それをどう使うか」の両輪の重要性を実感しました。私自身も、他の発表者の工夫や熱意に多くの刺激を受けました。これからの自分の研究や実践にも活かしていきたいと思います。
学期もそろそろ終わりですね。みなさん、もう夏休みの計画は立てましたか?
投稿日時: 2025-07-01 投稿者: ziminmo
こんにちは、M2の莫です。梅雨でじめじめしていても、ゼミの時間はいつもどおり元気いっぱいです!
6月26日のゼミは3本立てで、豊かな内容となりました。
蓮池さん:関連論文紹介
最初の発表は蓮池さんによる、AI英会話アプリ『スピークバディ』を対象とした研究に向けた関連論文の紹介でした。
今回は、ユーザーの性格特性と学習体験の関係をテーマに、MBTIやビッグファイブなど複数の性格モデルを使った文献を丁寧に比較・整理してくれました。
特に印象的だったのは、内向的な学習者の方がゲーミフィケーション環境下で学習効果が高まるという知見や、国によって性格傾向が異なるため、適した学習設計も異なる可能性があるという点です。性格に基づいた学習体験のデザインという視点に、教育ゲーム研究の広がりを感じました。
発表後のディスカッションでは、最近話題になっているMBTI診断の学術的信頼性や、研究における性格分類の扱い方についても議論が深まりました。
「MBTIは正式な診断じゃないケースもあるよね」「研究ではビッグファイブの方がよく使われるかも」などのコメントもあり、性格診断そのものへの関心の高さが伝わってきました。
大空さん:文献研究
続いては大空さんによる文献研究の発表でした。今回は「創発」という概念をキーワードに、ゲームプレイ中に生まれるプレイヤーの自己表現や意味の生成について考察されました。
事例として挙げられたのはボードゲームDixitで、シンプルなルールから複雑で多様な表現が生まれる構造が「創発」の典型だとされます。
また、問いかけに対して明確な正解がなく、参加者同士の対話を通して意味が創出される構造が「還元不可能性としての創発」に当たるとのことでした。
「創発」がもたらす創造的対話は、学習との関連も深く、これをどう研究の中で捉えていくかが今後のテーマになりそうです。ご自身のゲーム制作との接点にも触れながら、具体的な研究計画にもつなげてくださったのが印象的でした。
大空さん:プレイセッション「Moon Shooters」
最後は、大空さんによるプレイセッションでした。今回は“Moon Shooters”というゲームを体験しながら、「研究者/市民」という異なる立場から同じ課題をどう捉えるかを考える機会となりました。
プレイ中には、「倫理的」「法的」「社会的」な視点からの問いが提示され、それぞれがとても実践的で示唆に富んだ内容でした。
ちょうど私自身も最近、倫理審査の書類を作成しているところだったため、「この考え方、参考になりそう!」と思う場面が何度もありました。
また、ひとつの出来事に対して複数の立場があることで、見方の違いや意見の対立が生じる可能性にも改めて気づかされました。
でも、それこそが物語の厚みを生み出したり、ゲームの設計において重要なエッセンスになったりするのではないかと思います。今後の創作にも活かしていきたい気づきでした。
以上、6月26日のゼミ報告でした。
今回はそれぞれの発表が異なる角度から「学び」と「ゲーム」を見つめていて、とても勉強になりました。
それでは、また次回のゼミもお楽しみに!
投稿日時: 2025-06-20 投稿者: leafyyan
こんにちは!M1のLeafyです。6月19日のゼミでは、スペシャルゲストとしてタツナミ シュウイチさんをお迎えし、「マインクラフト教育の進化とプログラミング教育の再定義――AI普及時代に改めて問う、学びの価値と可能性」というテーマでご講演いただきました。
昨年に続いてのご登壇ということもあり、今回も内容は濃密!AI・メタバース・探究学習……今まさに教育の最前線で起きている変化を、マインクラフトというプラットフォームを軸に語ってくださいました。
まず紹介されたのは、マインクラフト教育の爆発的な普及状況です。教育関係者向けの公式研修には世界で10万人以上が参加し、Microsoft認定の学校も年々増加。こうした流れを背景に、タツナミさんは「人間にしかできない力」――創造性、協働性、メタ認知といった要素を育む教育の重要性を強調されました。
そして、こうした非認知能力を実践的に育てる環境として、マインクラフトは非常に高いポテンシャルを持つとのこと。AIとの連携も進んでおり、NPCとChatGPTをつなげることで、ゲーム内で学習支援や対話的指導を行う取り組みも紹介されました。今後はマインクラフトのワールド内だけで「調べる・考える・学ぶ」が完結する未来が見えてきます。
印象的だったのは、授業の成果が家庭や社会にまで波及しているという具体的な事例の数々。
たとえば、サイバーセキュリティをテーマにした教材では、小学生が授業後に家で家族と話し合い、スマホやPCのパスワードを見直すなどの行動が8割以上の家庭で確認されたとのこと。ただ知識を得るだけでなく、実際の生活を変える力があるという点に、大きな可能性を感じました。
また、長崎の平和教育プロジェクトでは、子どもたちが自らマインクラフトで建物を作ったあと、「爆弾(TNT)」が登場する演出によって「失うことの怖さ」を直感的に体験させる仕掛けが紹介されました。怖がらせるのではなく、”壊されたくない”という感情を通じて、戦争の悲惨さを“自分ごと”として捉えるきっかけとなっていたのが印象的でした。
後は、参加者との活発な質疑応答タイムへ。
私は、ゲームに不慣れな学習者や3D酔いしやすい人への対応について質問させていただきました。タツナミさんは、現場でもそうしたケースはよくあるとしたうえで、まずは観察役から参加させる、画面設定を調整する、ペアやグループ作業を通じて自然に慣れてもらうなど、段階的な工夫を実践されていると話されていました。
他にも、メタバース的な学びがどのように日本の教育現場に根付くか、AIとの協働において子どもの主体性をいかに守るかなど、多様な角度からの問いが投げかけられ、参加者それぞれの視点が交差する、非常に充実したディスカッションとなりました。
「遊び」から始まる学びが、ここまで深く、そして社会と接続しうることに驚きと感動を覚えました。AIと教育の融合が進む中で、「創造性」や「探究心」といった人間ならではの価値をどう育てていくか。そのヒントが、マインクラフトという世界にたくさん詰まっていると実感しました。
以上、6月19日のゼミ報告でした。次回のゼミもお楽しみに!
投稿日時: 2025-06-18 投稿者: osora
こんにちは!M2の大空です。6/12のゼミ内容は、莫さんの事例紹介、蓮池さんの関連論文紹介、藤本先生のプレイセッションでした。それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!
莫さんは、2つのゲーム事例の紹介を行いました。目的は、デザイナー視点とプレイヤー視点から、ゲームのナラティブを比較し、自身の実践にどう活かせるか検討するためです。
まず、デザイナー視点の事例では、環境教育ゲーム『Citizen Science』を紹介いただきました。このゲームのナラティブは、rewardとしてプレイヤーの好奇心と行動を誘発するものとして設計されており、発表では具体的なナラティブと教育的役割についても言及されました。
そして、プレイヤー視点の事例では、ミステリー型教育ゲーム『Murder on Grimm Isle (MOGI)』を紹介いただきました。このゲームにはミステリーとしての正解がなく、情報を収集して自分なりの仮説を立て、それを物語としてまとめることがゴールになります。ある意味、ゲーム的構造が欠けているとも指摘できますが、「仮説を立て、自分なりのストーリーを構築する」こと自体が内発的な動機となる特徴的な事例でした。
ディスカッションでは、各事例のレビューを踏まえて、莫さんのMMGの具体的な改善策の話題で盛り上がりました。その観点の一つに、ミステリー型教育ゲーム『Murder on Grimm Isle (MOGI)』の事例のように、オープンエンドにするか否かの議論が進みました。
結末の扱い方によっては、プレイヤーの体験そのものが変わってしまう可能性があるため、実装は慎重になる必要がありますが、最終的には莫さんが学んでほしいことからの逆算によって決まるので、バージョンアップデートされたゲームがどのような形になるかとても楽しみです。
蓮池さんは、3つの研究関連論文を紹介されました。蓮池さんは、AI×教育×ゲームをメインキーワードとした研究を行っています。論文紹介の目的は、ゲーム内でのAIとのインタラクティブが実世界でどういった影響を与えるか明らかにするためです。
①Addressing Public Speaking Anxiety with an AI Speech Coach (GARCIA Jr, Frederick Voltair, et al.)
ーAIスピーチコーチサービス『Yoodli』が人前で話すことの不安を解消できるのか、スピーチ能力を向上させる上でどれほど効果的なのかを明らかにするために実施。学生20人を対象に、『Yoodli』を1週間最低10分程度使用してもらい、事前・事後でPRPSAとCSSEFを用いて不安レベルとスピーチ能力を測定した論文。
②Looking through goal theories in language learning: A review on goal setting and achievement goal theory (Xiaofang Cheng)
ー言語学習における目標理論の考察論文で、目標設定理論と達成目標理論について言及。この論文では、第二言語学習におけるモチベーションを解き明かす鍵として、目標設定理論と達成目標理論がどのように関連しており、教育現場でどう活かすことができるのか考察されている。
③Mobile language app learner’s self-efficacy increases after using generative AI
(Audrey K. K., et al.)
ーDuolingoに搭載されたリアルタイムの会話練習がどれだけ言語学習者の行動に強い影響を与えるかを調査した研究で、有料プランにすでにしている人 :既存ユーザー(153名) と使ったことのない人 :新規ユーザー(232名) の2つのグループに分けて実験を行っている。
3つの論文は、どれも最新のもので、この分野の研究が近年急速に進んでいることがわかります。蓮池さんの研究では、こうした次々と情報が更新される分野なので、キャッチアップが大変な一方、その研究成果には大きな関心が集まることが期待されます。ぜひ今回の論文を踏まえて、どのような研究成果が出るのか楽しみです。
最後に、藤本先生のプレイセッションとして、Nintendo Switch 2を使ってみんなでゲームをプレイしました。
プレイしたのは『Nintendo Switch 2 のひみつ展』です。楽しみながら、Nintendo Switch 2の機能や開発の裏側を知れるゲームになっています。具体的には、ゲーム内でNintendo Switch 2のコントローラーを探索しながら、開発背景に関するクイズや、新機能を使ったミニゲームなどがプレイできます。
時間の関係ですべてのゲームやクイズをプレイすることはできませんでしたが、特に「トゲトゲよけ」というゲームがゼミでは人気で、新機能であるコントローラーのマウス機能を使って盛り上がりました。
シリアスゲームの事例としても面白かったので、ぜひYoutubeでプレイ動画も参照したいと思いました!
以上、6月12日のゼミ活動の報告でした。次回のゼミ報告も楽しみにしててください 🙂
投稿日時: 2025-05-31 投稿者: mtomori
こんにちは!そして、はじめまして!!
今年から藤本研究室でお世話になります、M2の友利です。
5/22のゼミの内容は、Yeさんによる関連論文紹介でした。
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!
Yeさんは、「ゲームプレイ」と「動物保護」をキーワードとして研究されています。現在は、「ゲーム中の動機付けによるゲーム行動が動物保護の行動に関する知識への移行、さらには動物保護の意識への影響を与えるか」という問いを立てて文献調査に取り組んでいらっしゃいます。
今回のゼミでは、「Theory of Planned Behavior」と「Value-Belief-Norm Theory」という心理学の2つのモデルに関する論文と、この2つのモデルを比較した論文を紹介されました。
Theory of Planned Behaviorは、最終的に人の行動・ふるまい(behavior)を引き起こす意図(Intention)が形成される過程を、態度(attitude)、主観的規範(subjective norm)、認識された行動(perceived behavior)の3つの要素から説明しようとするモデルです(図1)。
図1. 図式化したTheory of Planned Behavior (Ajzen, 1991)
一方、「Value-Belief-Norm Theory」は、環境保護の意識の形成について説明するモデルです。環境保護の意識は、価値観(values)、信念(beliefs)、個人的な規範(personal norms)の要素が相互に影響して形成されるというものです。
図2. 図式化したValue-Belief-Norm Theory (Stern, 2000)
また、Yeさんはこれら2つのモデルを比較した研究であるLópez-Mosquera & Sánchez (2012)の研究を紹介しました。この研究は、郊外にある自然公園の訪問者の自然保護に対する支払い意欲(Willingness to Pay)を測定し、2つのモデルを用いて説明を試みています。
結果としては、Value-Belief-Norm Theoryの方が「やや劣る」ということが示唆されていましたが、それぞれ限界があることも示されています。
発表後には、心理学を専攻しているヨハンナさんからTheory of Planned Behaviorに関する詳しい解説もありました。実は、この理論は心理学を専攻されているヨハンナさんから紹介されて、調べられたそうです!!研究室が良いコミュニティとして、機能している証拠でもありますね😊
Yeさんの今後の研究活動が楽しみです!
以上、5月22日のゼミ活動の報告でした。次回のゼミ報告も楽しみにしててください 🙂
Ajzen, I. (1991). The theory of planned behavior. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 50(2), 179–211.
Stern, P. C. (2000). New environmental theories: Toward a coherent theory of environmentally significant behavior. The Journal of Social Issues, 56(3), 407–424.López-Mosquera, N., & Sánchez, M. (2012). Theory of Planned Behavior and the Value-Belief-Norm Theory explaining willingness to pay for a suburban park. Journal of Environmental Management, 113, 251–262.
投稿日時: 2025-05-22 投稿者: jaskeridis
こんにちは!特別研究生のヨハンナです。今回のゼミ活動をお届けします。
今回は、友利さんとLeafyさんの発表でした。
友利さんは、プレイヤーインタラクションとco-located console gamingについての論文を三つ紹介しました。中学生と大学生のコミュニケーションを育てるスペースを作るのは、友利さんの研究のチャレンジです。ゲームとゲーミングセットアップは、両方大事です。Voida et al. (2010)は、group-oriented とindividual-orientedのインタラクションパターンを調調べまして、Emmerich & Masuch (2017) はインタラクションに対するplayer interdependence, time pressure, shared controlの影響を調べました。研究結果から、social interactionを高まるゲームを選ぶ事ができると思っています。例えば、相互依存性が高いデザインは、social interactionを向上かもしれません。そして、Szentgyorgyi et al. (2008)の研究では、ゲームセットアップについてでした。友利さんはshared displayの重要性を強調しました。
Leafyさんの発表テーマは、lateral thinking(水平思考)でした。Vertical thinkingと言う考え方は、順番を守ってシーケンシャルですが、lateral thinkingは飛躍を生み出せるジェネレーティブな考え方です。Lateral thinkingを利用するゲームもあります(例:ウミガメのスープゲーム)。Leafyさんは、アンチフィッシングシミュレーションゲームのデザインプロセスにもlateral thinkingを使う事になりました。シーケンシャルなシナリオより、ダイナミックとリープレイ性なゲームの方が作りたいと考えているそうです。ゼミの最後に、私はゼミの皆さんに短いゲームプレイのビデオを見せました。
先週、私 (ヨハンナ) は大阪万博のドイツのパヴィリオンで、circular sustainabilityに関するシリアスゲームをプレイする機会がありました。Game-based learning in a public spaceの目的について良い例だと思っていましたので、ゼミの皆さんに見せて良い点を話し合いました。
今回のゼミも、面白かったです!発表者の皆さん、ありがとうございました。論文の結果をどんな感じで自分の研究に使うか考える事も、新しい考え方をやってみる事も難しいですね。ゼミでプロセスの大変な所もシェアするのは、良かったと思いました!
さて、以上、今回の活動報告でした!
Emmerich, K., & Masuch, M. (2017). The impact of game patterns on player experience and social interaction in co-located multiplayer games. In CHI PLAY 2017: Proceedings of the Annual Symposium on Computer-Human Interaction in Play (pp. 411–422). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/3116595.3116606
Szentgyorgyi, C., Terry, M., & Lank, E. (2008). Renegade gaming: practices surrounding social use of the Nintendo DS handheld gaming system. In CHI 2008: Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1463–1472). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/1357054.1357283
Voida, A., Carpendale, S., & Greenberg, S. (2010). The individual and the group in console gaming. In CSCW 2010: Proceedings of the 2010 ACM conference on Computer supported cooperative work (pp. 371–380). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/1718918.1718983
投稿日時: 2025-05-11 投稿者: fhasuike
こんにちは!M1の蓮池です。
Ludix Labに所属してから、初めてNews記事を作成いたしますので、お手柔らかに読んでいただけると幸いです。
ゴールデンウィークが終わり、研究活動に一層熱心に取り組む時期となりました。今回は、 関連論文紹介と研究員によるプレイセッションという豪華な内容でした!
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!
大空さんは、研究倫理教育に資するカードゲーム教材「QRP GAME」の開発背景と評価計画について3つの関連論文の紹介を踏まえながら、詳細に発表されました。「QRP GAME」では、疑わしい研究活動(QRP)をカード化した疑似体験型のゲームを通じて、参加者自身が倫理判断力を養えるのが大きな特徴です。
設計段階ではADDIEモデル(Analysis, Design, Development, Implementation, Evaluation)に沿ってα版からγ′版まで段階的にブラッシュアップされていました。評価手法として、関連論文の「研究倫理教育効果の評価手法に関する試行的考察1」を参考にして、カークパトリックの4段階評価モデル(反応・学習・行動・成果)をベースに、ワークショップ直後の満足度アンケートや事前・事後のQRP把握度評価を行うことを提案されました。
また、研究不正に関する倫理観の変化を評価するために、関連論文の「研究不正に関する態度・価値尺度の改変可能性の検討2」及び「公正感受性尺度日本語版(JSI-J)の作成3」を参考にして、公正感受性尺度を6段階評価によって評価することを提案されました。
発表後のディスカッションの時間では、アンケート項目の改善点等が活発に議論されました。
大空さんの今後の研究活動が楽しみです!
ゼミ後半は、研究員の広瀬さんによる、自己理解を深めるワークショップ「ココロミ」を実施しました。まず「Work・Fun・Learning・Love・Health」の5領域について自己評価シートに100点満点で点数を付け、その後「自分の好きなこと」を6つリストアップしました。それらを深掘りするとともに、関連キーワードをマッピングして自身の価値観を可視化しました。最後に自身の考え整理して、「自分のIKIGAI(生きがい)」を考えるといったワークショップでした!
ワークショップ中には、グループでの発表の機会があり、他の参加者の価値観を理解したり、自分の考え方に対するフィードバックを受けることで、自分では気づきにくい強みを発見する貴重な時間となりました!
私自身、「ココロミ」のワークショップを通じて、自分の生きがいを言語化でき、素晴らしい体験を得られたと感じています。
「ココロミ」ワークショップ中の様子も掲載します!
最後には、坂井先生から性格特性・思考・行動スタイル診断「キャラフルレインボー」についての説明が少しありました!
また、時間がある時に「キャラフルレインボー」を活用して、自分自身についてより深ぼることができたらなと感じました!
以上、5月8日のゼミ活動の報告でした!
それでは、また!
投稿日時: 2025-05-02 投稿者: keirinkyou
皆さんこんにちは!M1の叶です。
2025年度Sセメスター第4回ゼミ活動についてご報告します!
今回は春休みを経て、それぞれの研究進捗を共有する機会となりました。新しいメンバーも増えて、活気あるスタートになりました! では、さっそく今回のゼミ内容を見ましょう!
大空さんは、研究倫理教育におけるゲーム活用の可能性について発表されました。
まず、近年問題となっている研究不正(STAP細胞事件など)を例に挙げながら、研究倫理教育の必要性とその限界を分かりやすく整理されました。特に現行のeラーニング型教育(知識詰め込み型)の問題点や、現場での倫理教育(ORT)だけでは不十分であることを丁寧に説明し、「スキル開発を重視した双方向型の学び」の重要性を訴えられました。
また、既存のDilemma Gameの長所と課題を分析し、大人の学習者特性(自律性・目的志向性など)を踏まえた新たなゲーミフィケーションの方向性も提案されました。
非常に体系的で、問題意識が明確な発表で、聞いていて背筋が伸びる思いがしました!Sセメスター後半の実践がとても楽しみです。
蓮池さんは、語学学習アプリのゲーミフィケーション要素と学習継続率の関係について研究計画を発表されました。
元々は『Rocksmith+』という音楽ゲームをきっかけに、ゲームの教育的可能性に興味を持たれたそうですが、今回はさらに進めて、語学学習アプリ『スピークバディ』を対象に研究を展開されます。
特に、ゲーミフィケーション要素(即時フィードバック、報酬ポイント、リーダーボードなど)が、日本人英語学習者の内発的・外発的動機づけにどのように作用するか、またそれが継続率にどう影響するかを、自己決定理論(SDT)に基づいて検討される予定です。
アンケートとインタビューを組み合わせた堅実な方法設計で、動機づけタイプ別の比較にも挑戦するとのことで、非常に意欲的なプランでした!
発表後には、友利さんから「英語能力をどう測るか?」という実践的な質問があり、大空さんからもDoulingoの検証研究が紹介されるなど、活発な議論になりました。これからの設計ブラッシュアップも期待しています!
友利さんは、児童養護施設に入所する中学生を対象に、大学進学への興味を促すためのゲーム共同プレイ環境に関する実践報告をされました。
この春休みには、実際に東京都内の施設で『Super Smash Mitaka Cup』というゲーム大会を開催され、小中高生と大学生を交えてチームプレイを実施されました。
大会中、大学生に中学生が興味を持って話しかけたり、進路について自然な会話が生まれる場面も観察できたとのことです。一方で、もっと積極的に交流を引き出すには、ゲームの設定やルール設計に工夫が必要だと感じたそうです。
木村さんと藤本先生からは、「今後、ボードゲームとの比較も試してみると面白いかもしれない」とアドバイスがありました。友利さんのフィールド感覚に基づいた実践報告は非常に臨場感があり、次の改善実践が本当に楽しみです!
私は、動物保護をテーマにした教育型協力カードゲームの設計に向けた研究進捗を発表しました。
春休み中には、ドキュメンタリー映画の限界について文献レビューを行うと同時に、市販されている動物保護関連ゲーム(『Animal Shelter』『Steer Madness』『Shelter』『Endangered』など)を実際にプレイ・レビュー調査しました。
それぞれの作品が「感情喚起」や「知識提供」にどこまで貢献できているかを自分なりにまとめ、現状では「個人の具体的行動」にまでつながる設計が不足していると分析しました。
また、新たにTheory of Planned Behavior(計画的行動理論)を理論枠組みとして取り入れることにしました。これはゼミメンバーのJohannaさんからアドバイスを受けたもので、「態度」「主観的規範」「行動意図」が実際の行動に結びつくプロセスを説明できるため、動物保護行動の促進にも適用できると考えています。
さらに、今回の発表後、藤本先生と厳さんから以下のような重要なフィードバックをいただきました。
今回のゼミは、全員が春休み中にしっかりと手を動かしてきたことがよく伝わる、非常に密度の高い会でした。
それぞれの研究が理論面でも実践面でも確実に前進しており、これからの展開がますます楽しみです!
今年度のSセメスターも、新メンバーも増えて、新たな風が吹き込んでいる藤本研。研究室全体で切磋琢磨しながら、いい形で進めていきたいと思います!
それでは、今回の活動報告は以上になります!
投稿日時: 2025-05-01 投稿者: leafyyan
こんにちは!M2の莫です。
4月も終わりに近づき、新年度のゼミも本格的にスタートしましたね。
今回は研究計画・進捗報告、そして研究員発表という豪華な内容でした!
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします。
莫:研究進捗報告
まずは私から、修士研究の進捗報告を行いました。
「Enhancing Team-Based Learning with Murder Mystery Game: A Psychoeducational Workshop Design on Stress Management」というテーマで、マーダーミステリーゲーム(MMG)の仕組みを活用し、チームベース学習(TBL)における情報共有の質を高めるワークショップデザインについて発表しました。
TBLにおける情報共有の偏り(Information Sampling Model)という課題に対して、MMGの役割分担・情報交換のメカニズムがどのように貢献できるかを考察しています。
今回は特に、今後のワークショップ実施に向けた実践面でのアドバイスをたくさんいただきました。本当にありがとうございました!
Leafyさん:研究進捗報告
続いてLeafyさんからは、前学期に配布したアンケート調査の分析結果を共有していただきました。
「ゲームを活用した金融リテラシー向上:アンチフィッシングシミュレーションゲームの設計と評価」というテーマのもと、異なる国・文化圏におけるフィッシング詐欺経験や、対策教育に対する認識の違いなど、興味深い洞察がたくさん紹介されました。
また、アンケート設計や実施における工夫や課題についての振り返りも共有され、非常に実践的な学びが得られました。
Johannaさん:研究計画発表
Johannaさんは、臨床心理学に由来するSORKCモデルについて紹介してくれました。
行動分析の枠組みとして、刺激(S)-個体特性(O)-反応(R)-結果(C)-連関(K)の要素に分け、なぜある行動が起き、持続するのかを分析する手法です。
GBL(Game-Based Learning)にも応用できる理論で、特に行動や感情の観察、介入設計に役立つとされます。
(個人的には、普段の生活でも応用できそうなとても実用的な考え方だなと思いました!)
XIE:自己紹介+研究計画発表
XIEさんは、第一回に間に合わなかった自己紹介を今回してくれました!
自身の研究テーマは「文化遺産をテーマにしたシリアスゲームの設計」。
これまで中国で手掛けた文化遺産関連のゲームプロジェクトや、取得した特許についても紹介してくれて、すごく印象に残りました。
実は、彼女の指導教員が昨年うちの研究室を訪問した際、私も立ち会っていたので、不思議なご縁を感じています!
坂井裕紀先生:研究員発表
最後は坂井先生による、JSET2025春季大会での発表内容のご紹介でした。
テーマは「オンライン学習環境における学びのエンゲージメントとゲーミフィケーションとの関連の検討 ―学習者のタイプに着目して―」。
オンライン講座を対象に、ゲーミフィケーション要素が学習者のモチベーションやエンゲージメントに与える影響を検討したものです。
特に、「プレイヤー型」(報酬志向型)の学習者にとってはゲーミフィケーションがポジティブな効果をもたらす一方で、必ずしもすべての学習者に有効とは限らないという、非常に示唆に富む結果が示されました。
学習支援デザインにおいて、受け手の個性に合わせた工夫が一層重要であることを改めて感じさせられました。
以上、4月24日のゼミ報告でした!
それではまた!
投稿日時: 2025-04-22 投稿者: leafyyan
皆さん、こんにちは! M1のLeafyです。
2025年度Sセメスターの第二回ゼミ活動の報告をお伝えできることを大変光栄に思います!今回のゼミ活動は特別なものであり、歴史教育の研究者とのゲストセッションでした。
お二人はMario Carretero教授(以下、カレテロ先生)と池尻良平准教授(以下、池尻先生)であり、彼らの発表は非常に魅力的で、多くの有意義な示唆を私たちに与えてくださいました。
まず、広島大学大学院人間社会科学研究科の池尻良平准教授が、彼の研究課題や最近の活動についてご紹介くださり、新たな視野を開いてくださいました。池尻先生の主な研究分野は、歴史を現代の問題解決に応用できる教材を開発し、高校の授業で実践・評価を行うことです。歴史から学べる人類レベルのラーニング・システムを構築することが夢であり、その専門は教育工学、歴史教育、そしてゲーム学習に及びます。
本日、池尻先生は伝統的歴史と現代教育というテーマで共有してくださいました。その中で、主に「歴史タイムマシーン」という教育的意義を持つシリアスゲームプロジェクトについてご紹介いただきました。このプロジェクトは、学生がゲームを楽しむ中で、歴史と現在の社会問題とのつながりを深く理解することを目的としています。
具体的には、「歴史タイムマシーン」では、社会問題を含むリアルタイムなニュースを入力し、いくつかのカテゴリを選択することで、関連する歴史情報を検索することが可能です。このゲームは、出てきた歴史上の因果関係を応用し、新しい視点でニュースの問題を捉え直すことを目指しています。また、この学習支援システムは、高校の先生が世界史の授業で利用したり、世界史を履修している高校生が授業の中で活用したりすることを想定しています。
池尻先生は、このゲームの操作画面を生き生きと示してくださいました。プレイヤーは、社会問題を含むリアルタイムなニュースを入力するだけで、複数のカテゴリを選択し、システムが関連する歴史情報を提示してくれるという仕組みです。これにより、学生は歴史の因果関係を通じて、現代のニュースの深い意味を理解することができます。このゲームは単なる学習ツールではなく、学生の歴史に対する好奇心や参加感を引き出すインタラクティブなプラットフォームとして機能します。興味のある方は、ぜひこちらのリンクから体験してみてください:http://www.historymining.org/timemachine/
続いて、スペインのAutonoma Universityからカレテロ先生が、彼の研究やテーマについてご紹介くださいました。心理学の教授であるカレテロ先生は、歴史のナラティブ、ゲーム、そして集合的記憶に関する広範な研究を行っており、国際歴史教育のハンドブックの編集者でもあります。本日のゼミでは、カレテロ教授が百篇以上の論文を発表され、多くの引用を得ている、非常に優れた学者であることを知り、大変感銘を受けました。
カレテロ先生はまた、歴史や教育に関するさまざまな理論を共有し、特に「ナラティブ(narrative)」が歴史の形成や情報伝達において果たす役割について詳しく説明してくださいました。また、ナラティブの六つの次元(six dimensions of narrative)についても、多くの生き生きとした事例を用いて、物語を通じて歴史のナラティブを理解する方法を示してくださいました。
現在、カレテロ教授は池尻先生と共に新たなプロジェクトに取り組んでおり、歴史に関連するゲーム(例:文明シリーズ)を探求し、プレイヤーがゲームを体験する中でどのように歴史を学び、理解していくのかを調査しています。このプロジェクトの今後の進展を非常に楽しみにしています!
さらに、二人の教授は日本での考察中に訪れた博物館の体験や撮影した写真を共有してくださいました。これは非常に意義深い学術の旅であり、私たちの研究室のメンバーと共にその経験を分かち合い、質問に答えていただき、心より感謝申し上げます。
ゼミ活動を主催している藤本研究室の藤本徹教授も、ゲストスピーカーと共に、教育工学やゲーム学習に関する研究課題を皆さんとシェアしてくださいました。具体的には、藤本先生と研究室のメンバーは、人の学びや成長につながる「楽しい経験(Ludic Experience)」を創出する学習コンテンツの開発や、教育プログラムのデザイン方法論について研究しています。
今日のゼミ活動は、時間があっという間に過ぎてしまうほどでした。皆さんの交流は非常に面白く、熱気に満ちていました。
以上をもちまして、報告を終了させていただきます!ご覧いただき、ありがとうございました!