カテゴリー: Lab news

【1月9日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-01-16   投稿者:   inuda

明けましておめでとうございます!修士2年の犬田です!

皆さん年始はどのように過ごされましたか。
私は、お正月から体調を崩してしまい、リポビタンDを飲みながら修士論文を書く壮絶な日々を過ごしていました。そんなこんなで、何とか修士論文を提出することができました。
ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
1月末にある修士論文口述審査に備えたいと思います!

さて、ゼミ活動の報告に移ります。1月9日のゼミ活動では、莫さんと犬田の研究進捗・春季活動計画の発表が行われました。


■【莫さん】研究進捗・春季活動計画

莫さんは、研究の進捗として、ワークショップデザインと修士論文の序章の作成を挙げられました。また、今後の計画として、ワークショップのテスト・改良とスケールの編集・作成、倫理審査の提出を挙げられました。

その中でも発表では、研究の進捗で紹介された「修士論文の序章の作成」について詳しく説明されました。具体的には、Team-Based Learningの概要と課題、そしてそれをMurder Mystery Gameを応用することで解決することができる可能性について説明されました。加えて、この研究のResearch Questionと研究の新規性についても説明されました。

そして、上記のこれまでの進捗を日本デジタルゲーム学会年次大会で発表されるとのことでした。修士1年の段階で序章の構成をしっかりと考えられていて、さすがだなと思いました!

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■【犬田】研究進捗・春季活動計画

犬田は、研究の進捗として、修士論文である「ゲーミフィケーションを活用したオンライン調査の開発と評価ー実験哲学の事例を通じてー」の作成・提出を報告しました。具体的には、この研究のResearch Questionと研究意義、そして結果について説明しました。

加えて、今後の計画として、修士論文口述審査と日本デジタルゲーム学会年次大会の発表準備、京都創造ゲームジャムから開発が続いている『INFOCALYPSE』の完成などについて紹介しました。あと、学生最後の長期休みなので、たくさんゲームで遊ぶんだという強い決意を表明しました!


以上が、1月9日のゼミ活動報告です。

おそらく今回が最後の記事執筆になると思うので、これまでの感謝の言葉を添えたいと思います。
藤本先生をはじめ藤本研究室の皆さん、2年間ありがとうございました。
そして、拙い文章ではありましたが、これまで私の書いた記事を見てくださった皆さん、本当にありがとうございました。

引き続きゼミ報告記事をお楽しみに!それでは!

【12月26日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-01-08   投稿者:   ziminmo

明けましておめでとうございます!M1の莫です。

新しい年が始まりましたね!2024年ゼミの時間を通して、たくさんの学びや楽しい思い出を皆さんと一緒に作れて充実に過ごした一年です。

さて、早速ゼミを報告いたします。

2024年最終回のゼミは、Leafyさんの事例研究、莫の文献研究・プレイセッション三本立てでした。

Leafyさん:Emotion shop事例研究

今回Leafyさんはゲームにおける感情デザインについて、デザイン理論とCarnegie Mellon大学の事例研究を中心にを発表してくれました。

冒頭として、LeafyさんはSylvesterの感情とゲーム体験の理論を紹介しました。ゲームデザインに通じて、メカニクスがどのようにイベントを喚起して、感情トリガー(Emotional Triggers)を通じてプレイヤーの感情を引き起こすかを説明しました。Minecraftを例に挙げ、プレイヤーが夜から昼(危険→安全)に変わることで、どのように安心感(relieved)という感情が引き起こされるかを解説しました。

次に、メカニズムと感情のつながりを探究したEmotion Shopの開発事例を紹介してくれました。このプロジェクトは、ゲームメカニクスと感情の関係を研究するために、ゲームのプロトタイプを短期間で開発するもので、平和、満足、恥、勇気、誇り、傷つく、感謝されるの7つの感情をテーマに28本のゲームを制作しました。この事例から、デザイン(最初1つの感情分析から具体的なメカニズム構想)→プロトタイプ制作→ゲーム実装→テストの流れが自分の研究にたくさんの参考を提供できると思います!

最後に、Leafyさんはこれらの理論や事例を自身の研究課題と結び付け、ゲームデザインにおける課題への取り組みを振り返り、感情トリガーや関連モデルを活用することでデザインを改善する考えを提示しました。

莫:文献研究 『Rules of play』 – Ch16: Games as Information Theory System & Ch17: Games as System of Information

私は自身の研究理論に関連の深い文献として、『Rules of Play』の第16章と第17章を発表しました。第16章Games as Information Theory Systemでは、基礎認知に基づく情報論を軸に、ゲーム内の「推測」行動におけるludic experienceについて詳しく述べられています。また、この体験に影響を与える要因として、ノイズ(noise)と冗長性(redundancy)という二つの要素が取り上げられており、ゲームの設計やプレイヤーの意思決定に与える影響を深く掘り下げています。一方、第17章では、プレイヤーが完全情報(perfect information)や不完全情報(imperfect information)など、異なる種類の情報を分析しながら、情報を隠れる・騙るといった複雑な戦略を取ることを解説しています。

研究対象であるマーダーミステリーゲームは、不完全情報(imperfect information)を主軸としたゲームに分類されるため、プレイヤーがゲーム内で多くの隠蔽戦略を取る特徴があります。この2章の内容は、私のゲーム開発にも大いに役立っています。

プレイセッション

今回のプレイセッションでは、自分の修士研究のMMGワークショップを皆さんにお届けしました!ついにワークショップの内容を形にすることができました。学校での心理ケースをマーダーミステリーゲーム(MMG)の形式に改編することで、ストレスへの対処・ストレス管理についてより深く理解できることを目指しています。

皆さんに初版ワークショップを体験していただいたことで、多くの参考になるご意見をいただき、本当にありがたいです。ゲームバランスやヒントの配布、各段階の時間調整など、改良すべき点がまだまだたくさんあると実感しました。もし興味があれば、ぜひ次回もご参加くださいね!

それでは、12月26日のゼミ報告は以上になります。今年もどうぞよろしくお願いします~

また次回もお楽しみに!

【12月19日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-12-26   投稿者:   Amandancurtis.

みなさん、こんにちは! 特別研究学生のアマンダです。12月19日のゼミ活動では、大空さん、私アマンダ、そして木村さんがそれぞれ発表を行いました。以下、内容を簡単にご報告します。

大空さん

テーマ: サイエンスメディアとしてのゲーム

大空さんは、科学とゲーム、そして社会との関係性について発表しました。特に、科学を一般の人々に伝えるための手段としてゲームを活用する方法に注目しました。具体的な例を挙げながら、単に科学を伝えるだけでなく、対話を通じて新たな価値を創造する必要性を強調しました。サイエンスメディアとしてのゲームは、その取り組みを支える優れた手段であると述べられました。

アマンダ

テーマ: Modded Video Gamesにおけるプレイヤー体験

私の発表では、Modded Video Games(改造されたビデオゲーム)におけるプレイヤー体験に関する研究についてお話ししました。Modsとは何か、これまでの研究文献の概要、そして私が収集したデータの初期結果を共有しました。さらに、この研究をどのように発展させる予定なのかについても述べました。今後もこの研究を進めていきます!

木村さん

テーマ: ゲーム心理学と概念的基礎

木村さんは、日本におけるゲーム心理学の歴史と、その学問的発展について発表しました。ゲーム心理学が学術分野で普及しているにもかかわらず、まだ確立された学問領域ではないことを指摘し、その理由と課題について説明しました。また、今後この分野を発展させるためのアイデアや方向性についても提案されました。

今週のゼミも非常に充実しており、それぞれの研究が新たな視点を提供するものとなりました。次回も楽しみにしています!

【12月12日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-12-16   投稿者:   keirinkyou

皆さん、こんにちは! 外国人研究生の叶です。12月12日のゼミ活動では、叶、大空さん、Leafyさんの研究進捗発表です。

まず、私の発表です。私は『The Rules of Play』第27章「シミュレーションゲーム」について、その特徴をいくつか紹介しました。次に、自分のゲームについて、想像的没入をいくつかの観点から抽出し、その中で「代理感」を研究対象として選びました。代理感についての説明と関連文献のレビューを行い、それを基に2つの研究課題を提案しました。

この研究課題を解決するため、またシミュレーションゲームの特徴を活かすために、ゲームの基本的な枠組みを紹介しました。そして、代理感を表現するためのゲームデザインも行いました。しかし、代理感という概念はゲームデザイン学では公式な定義が存在せず、この点で研究が難航しました。

その後、木村先生から「主体感」という言葉を提示いただき、これが代理感を部分的に代替できる可能性があるとの示唆を受け、新しい研究の視点が開けました。また、藤本先生からは、ゲームデザインに関する具体的なアドバイスをいただきました。例えば、ゲーム内容を簡素化し、小さな要素から設計を始める方が初心者にとって取り組みやすいといった、非常に有益な提案をいただきました。

大空さん

まず、大空さんは最近読んだ文献についての調査を発表しました。教育社会学の観点からゲーム学習論を分析し、倫理学、教育工学、ゲーム学との相互作用や関連性について説明しました。また、自身の今後の研究との関係性や、将来的な研究進展の方向性についても触れました。

最近の活動としては、報告書の公開や卒業論文の執筆がありました。さらに、ある科学教育向けゲームを紹介しました。このゲームは、科学の世界に触れる機会のない子供たちに科学の魅力を伝えることを目的としています。ゲーム内容は、小球が光源を反射する仕組みを利用し、決められた回数内で自分の色の小球をより多く増やすというものです。子供たちはこのゲームを通じて光の反射の魅力や科学学習の楽しさを体験できます。

Leafy 厳

まず、研究テーマの変更に至るまでの経緯について説明しました。その後、最近行った背景調査について紹介しました。調査内容には、さまざまな詐欺防止教育の形式が含まれており、例えば従来の授業形式、シリアスゲーム、詐欺テストなどがあります。

さらに、具体的なケーススタディや、他のゲームから参考にした有用なゲームメカニズムについても報告しました。加えて、最近の成果として、効果的な詐欺防止教育の形式や行動学に関する理論を共有しました。これらは、私の研究にも多くの示唆を与えてくれました。

最後に、今後の研究計画について簡単に説明し、研究のタイムラインも提示しました。

以上が、12月12日に行われたゼミの内容です。それぞれの研究の進捗や意見交換を通じて、有意義な議論ができたと感じます。今後の研究活動も引き続き頑張りましょう。

【12月05日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-12-11   投稿者:   leafyyan

皆さん、こんにちは! 外国人研究生のLeafyです。12月5日のゼミ活動では、莫さん、犬田さん、アマンダさんの研究進捗発表、そしてLeafyが準備したプレイセッションが行われましたので、ご報告です。

■【大空さん】ゲームジャム

発表の開始前に、大空さんが参加したScientific Game Jamについての経験を共有しました。ゲームジャムは、ゲーム開発者やデザイナー、そしてゲーム愛好者が集まり、限られた時間の中でゲームを制作するイベントです。大空さんは『ULTRA FAST WAR』という対戦ゲームをチームで開発し、サイエンスゲーム賞及び観客賞を受賞しました!

■【莫さん】研究進捗発表

次に、莫さんが自身の研究進捗を発表しました。彼女の研究は、murder mystery game(MMG)のデザイン要素を活用し、学習の向上を目指すものであり、具体的にはケーススタディおよび標準化患者を通じてチームワークの強化を図る、いわゆるteam-based learningに関連しています。

莫さんは、研究問題「MMGメカニズムの活用はCoR理論を通じてTBLを向上させるか」を設定し、追加的な文献研究を進めつつ、ワークショップの作成に着手しています。現在、彼女が直面している課題は、ワークショップ作成の参考文献としてMOOCを選択するか、それともより伝統的な教科書を選択するかという点です。莫さんは皆から意見を募り、日本の臨床心理学に関する書籍を参考にしてワークショップを最適化する方針を決定しました。木村先生は、莫さんの研究テーマが主に日本人を対象としていることを確認し、日本の学生や関連する心理系の医師との接触に関するアドバイスを提供されました。

さらに、莫さんは謎解きゲームによる東京大学制作展への参加経験や、今後の短期的および長期的な計画についても報告しました。

■【犬田さん】研究進捗発表

犬田さんは「ゲーム手法を用いたデータ収集法の開発と評価」という研究テーマについて発表しました。彼は今回の進捗発表において、データの収集と分析が既に完了したことを説明しました。犬田さんは、Googleフォームを利用した調査結果、およびその分析方法について詳細に解説しました。

自由記述のセクションでは、共起ネットワーク図の解釈や概要に重点を置き、特にゲーミフィケーションを活用した調査における興味を引く要素およびその頻度について議論を行いました。犬田さんはKH Coderを用いた分析結果も提示し、具体的な説明と共に分析を行いました。

最後に、犬田さんは自身の論文作成の進捗についても触れましたが、その詳細についてはここでは省略いたします。

■【アマンダさん】研究進捗発表

特別研究学生のアマンダさんは、非常に魅力的な研究進捗を報告しました。アマンダさんの研究テーマは「ビデオゲーム、知識、意味生成の絡み」です。アマンダさんは、彼女の研究において重要なゲーム開発者チームであるConcernedApeとのインタビューについて発表しました。インタビューは、アマンダさんにとって学術的にも非常に意義深い時間となったようです。

続いて、アマンダさんは今後6ヶ月間の研究タイムラインや現在進行中の論文について説明し、また日本の学術環境におけるインタビュー設計での参加者報酬に関する問題についても意見を求めました。

■【Leafy】プレイセッション

12月5日のゼミ活動の最後には、私が主催したプレイセッションが行われました。今回のプレイセッションのテーマはボードゲームであり、Leafyはドイツ式とアメリカ式のボードゲームの種類やスタイルについて紹介し、持参した手作りのボードゲーム、つまり「Splendor」メカニズムに基づいたドイツ式の戦略ボードゲームを紹介しました。皆さんにドイツ式ボードゲームの魅力を感じていただけたかどうかわかりませんが、参加者全員が非常に楽しんでいただいた様子でした ♪

以上が、12月5日のゼミ活動に関する報告です。ご覧いただき、ありがとうございました!

寒さが厳しくなり、インフルエンザも流行していますので、皆様は健康に留意し、忙しい学業や仕事の中でも体調に気を付けてください。

【11月21日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-12-05   投稿者:   qikeyi

皆さんこんにちは!研究生の斉です。

11月21日のゼミは、叶さんの文献研究、私の関連論文紹介と坂井先生の研究員発表の3本立てでした。

それでは、早速報告させていただきます。


叶さん:文献研究

叶さんが Experiential Learning Theory(経験学習理論)について紹介してくださいました。この理論に基づいて提案された Experiential Gaming Model(経験型ゲームモデル)についても解説していただきました。このモデルを応用して分析されたゲーム「The Arctic」についても具体例として共有され、興味深い視点が提示されました。

叶さんは経験学習理論の4つのプロセスを紹介しました:

1.Concrete Experience:実際の体験活動にどっぷり没入する。

2.Reflective Observation:実際の体験活動を多角的に観察し振り返る。

3.Abstract Conceptualization:観察と思考を通じて論理的な概念と理論を抽象化する。

4.Active Experimentation:これらの理論を使用して意思決定を行い、問題を解決し、新しく形成した概念や理論を実際の作業で検証する。

また、この理論に基づいて、4つの学習スタイル(Diverging、Assimilating、Converging、Accommodating)が提案されています。

Experiential Gaming Modelは、Flow TheoryとExperiential Learning Theoryを融合させたもので、ユーザーのアプリオリ知識と経験がユーザーがゲーム世界をどのように体験し、認識するかに影響を与え、さらに学習者のスキルに応じた課題をシステムが提供できれば、フロー体験を得られる可能性が高くなると提唱しています。

Experiential Gaming Modelは、教育用ゲームの設計と分析に使用できます。ただし、このモデルは教育理論とゲームデザインの間のリンクとして機能するものであり、ゲームデザインプロジェクト全体に対する手段を提供するものではありません。

最後に、叶さんはThe Arcticを使用して実例分析を行い、詳細なフロー図を提供しました。


斉さん:関連論文紹介

今回私が紹介する内容は、ゲームユーザー研究(GUR)における一般的な研究ツールと、その中でも最新の「PXI(Player Experience Inventory)」についてです。

ゲームユーザー研究(GUR)は、ヒューマンインタラクションとゲーム開発を融合させた研究分野です。GURは、プレイヤー体験を測定、分析、理解し、ゲームデザインを最適化することに焦点を当てています。そのため、GURの専門家は、特定のゲームデザインの選択がプレイヤーにどのような体験をもたらし、それがどのように特定の感情的反応を引き起こすのかを理解することを目指しています。

現在のGUR研究ツールには、質的および量的なデータ収集と分析を含むさまざまな方法が含まれており、社会科学、心理学、ヒューマンインタラクションなどの分野から取り入れられています。

今回紹介する論文では、現在のところGURによって特別に設計され、こうした実用的なプレイヤー体験の洞察を提供できるツールが不足していると指摘しています。このギャップを埋めるために、研究者たちは「プレイヤー体験清単(PXI)」を開発しました。このツールは、手段-目的理論を参考にしており、機能的結果と心理社会的結果の2つの観点からプレイヤー体験を評価します。

藤本先生と木村先生は、実際のゲームテストプロセスの観点から、この調査方法が現実と多少異なる可能性があることを指摘しました。そして、ゲーム会社が実際に行っているゲームテストの方法について、皆さんと議論されました。私は引き続き、PXIを応用した実際の事例を探し、学習を進めていきます。


坂井先生:研究員発表

最後に、坂井先生が国際会議で発表した論文について共有してくれました。本研究では、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG」がストレス予防行動に及ぼす影響について検討しました。

近年、精神障害の労災やうつ病患者の増加が問題となる中、企業や従業員の中には、必要に迫られてメンタルヘルス対策を導入する動きがあります。特に、ゲーム要素を非ゲームシステムに導入する動きが注目されていますが、健康促進やストレス予防などの行動への効果はまだ検証されていません。坂井先生が紹介した研究では、この背景を踏まえ、メンタルヘルス教育ゲーム(SMG)を研修に取り入れることで、従業員のストレス予防行動にポジティブな影響があると考えられています。

この研究は、X市総務課が企画した中堅職員メンタルヘルス研修に参加した56名を対象に、ストレス予防行動に対する認識を測定するために「HSE(ストレス予防行動能力調査票)」を使用し、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG:Stress Management Game」を基に実施されました。その後、坂井先生はゲームの物語、役割、目標、ゲームの流れなど、具体的な内容について紹介しました。

最後に、調査結果は「SMG」実施前後のストレス予防行動の平均値と効果量として主に示されました。その結果、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG」が従業員のストレス予防行動にポジティブな影響を及ぼす可能性が示唆された。

討論の中で、皆さんはゲームの具体的な細部について質問し、各国の従業員の仕事のストレス状況についても議論しました。


以上で今回のゼミ活動報告でした!

【11月14日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-11-21   投稿者:   Amandancurtis.

みなさん、こんにちは! 特別研究学生のアマンダです。11月14日のゼミ活動では、Leafyさんの関連論文紹介と犬田さんの関連論文紹介と犬田さんのプレイセッションが行われました。


Leafyさん

Leafy introduced two papers on simulation games and their applications in research: “A Scientific Foundation of Simulation Games for the Analysis and Design of Complex Systems” and “What.Hack: Engaging Anti-Phishing Training Through a Role-playing Phishing Simulation Game.”

“A Scientific Foundation of Simulation Games for the Analysis and Design of Complex Systems” explores the use of simulation games as research tools, focusing on limitations, recommendations, and best practices. To do so, the paper reviewed related works, presented case studies, and conceptualized simulation games. It outlined three levels of inquiry: (1) philosophical level, (2) scientific level, and (3) practical level. It then provides a “scientific toolbox”. Simulation games were found to improve decision-making, team coordination, and understanding of complex systems.

“What.Hack: Engaging Anti-Phishing Training Through a Role-playing Phishing Simulation Game” focused on a game designed to teach participants how to identify phishing attempts. Using a controlled experiment, the authors found that the game was effective at improving phishing awareness, self-confidence, and decision-making in simulated and real-world scenarios. One of her main takeaways is that it is important to combine contextual learning theory with gamification design practices. 

Leafyさん then related this to her own research plans. 

Leafyさんの発表

Leafyさんは、シミュレーションゲームとその研究での活用に関する2つの論文を紹介しました。

1. 「A Scientific Foundation of Simulation Games for the Analysis and Design of Complex Systems」

2. 「What.Hack: Engaging Anti-Phishing Training Through a Role-playing Phishing Simulation Game」

「A Scientific Foundation of Simulation Games」では、シミュレーションゲームを研究ツールとして使うことについて議論されました。この論文では、他の研究をレビューし、ケーススタディを紹介し、哲学的レベル・科学的レベル・実践的レベルの3つの視点でゲームを分析しました。また、「Scientific Toolbox」を提供し、ゲームが意思決定、チームワーク、複雑なシステムの理解を向上させることがわかりました。

「What.Hack」では、フィッシング詐欺を特定するトレーニング用のゲームが紹介されました。実験では、このゲームがフィッシングへの理解、自信、意思決定力を向上させる効果があることがわかりました。Leafyさんの重要な結論は、文脈的学習理論とゲーム化デザインの実践を組み合わせることが重要だということです。

最後に、Leafyさんはこれらの内容を自身の研究計画に関連付けて発表しました。


犬田さん

犬田さん discussed a paper on gamifying online surveys: “Online research–game on!: A look at how gaming techniques can transform your online research”. It focused on transforming surveys with gamification techniques to make them more engaging and fun. Some key techniques are: personalization, emotion induction, projection (asking participants to take on another perspective), and fantasy scenarios. The study found that gamified surveys improved engagement, with visually rich versions showing higher satisfaction and response rates. 

犬田さん emphasized that gamification can make surveys immersive and more enjoyable without compromising data quality. His own research focuses on improving how questions are presented, using visuals and feedback mechanisms to boost engagement.

犬田さんの発表

犬田さんは、アンケート調査のゲーム化に関する論文「Online research–game on!: A look at how gaming techniques can transform your online research」を紹介しました。この論文では、調査をもっと楽しく魅力的にするためのゲーム化の方法が紹介されました。主なテクニックは次の通りです:

パーソナライズ(質問を参加者個人に関連付ける)

感情誘発(質問に感情を引き出す要素を追加)

視点の投影(他の視点で考えさせる)

ファンタジーシナリオ(仮想の状況を想像させる)

この研究では、ゲーム化されたアンケートが回答者の満足度を高め、回答率を向上させることがわかりました。特に、視覚的な要素が多い形式は、テキストのみの形式より効果的でした。

犬田さんは、ゲーム化が調査を没入的で楽しいものにしつつ、データの質を損なわないことを強調しました。また、犬田さん自身の研究では、質問の提示方法を改善し、視覚的要素やフィードバックメカニズムを活用することで、エンゲージメントを高めることに焦点を当てていると話しました。

【11月7日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-11-14   投稿者:   osora

皆さん、こんにちは! 修士2年の大空です。

11月7日のゼミ活動では、大空とAmandaさんの発表が行われましたので、ご報告です。


■【大空】KJ法について

大空は、データ分析手法の一つである、KJ法について発表を行いました。KJ法とは、川喜田二郎が、文化人類学の分野で考案した質的データ分析手法で、現在は多様な分野で応用されています。

具体的には、名刺サイズのカードにデータを転記し、それらをグループ化・図解することで、情報をコンパクトかつ視覚的に整理する手法です。混沌とした質的データも、KJ法を用いることで簡潔にまとめやすくなります。

また、ユニークな特徴として、データの分類・図解・文章化の過程で研究者の主観を活用することで、新たな発想や仮説が生まれやすくなります。ただし、その研究利用に゙関しては、エスノグラフィー等とは異なり、利用シーンが発展していない・科学的な手法としての検討が十分ではないため、注意が必要です。

自身の研究においても、このKJ法を部分的に採用しようと思い、KJ法の手順〜上記の注意点まで、マニュアル形式で発表しました。実際に、再来週に研究室内でワークショップを行う予定なので、まずは実践してみて、自分自身、KJ法に対する理解をより深めようと思います。

■【Amandaさん】インクルーシブ・ゲーミングについて

Amandaさんは、インクルーシブ・ゲーミングについて発表されました。

インクルーシブ・ゲーミングとは、インクルーシビティ(バックグラウンドや能力、アイデンティティに関係なく、すべてのプレイヤーがアクセスしやすく、公平で、歓迎されること)を兼ね備えたゲーム体験を指します。

発表では、ゲームにおけるアクセシビリティ、表現と多様性の観点から、複数の事例をご紹介いただきました。単なるゲームプレイのしやすさだけでなく、障がいやマイノリティの方を包括したアプローチが多数見受けられました。

また、誰がインクルーシブな体験をデザインすべきか?というテーマも提示され、本分野におけるステークホルダーの多様さと複雑性が感じられました。最後には、それぞれ身近な例をもとに、このテーマについてディスカッションし、知識をより広げることができました。

Amandaさんの研究は、本分野の解決にも寄与するものであるため、研究室の中でも継続的に議論を深めていきたいテーマとなりました。

以上が、11月7日のゼミ活動報告です。

それでは!

【10月31日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-11-07   投稿者:   ziminmo

皆さんこんにちは!M1の莫です。

今回のゼミは、叶さんの関連論文紹介、斉さんの文献研究と広瀬先生の研究員発表の3本立てでした。

それでは、早速報告させていただきます。

叶さん:関連論文紹介

叶さんが「没入感とゲームデザイン」をテーマに関連論文研究を紹介しました。ゲーム体験やナラティブデザインに関する複数の論文を紹介し、没入感の構成要素や内発的動機とナラティブが学習効果に与える影響について発表しました。

まず最初に、ゲーム体験における没入感の要素について「audiovisual quality and style」「level of challenge」「Imaginative Immersion」の三分類(SCI Model)から、これらの要素がゲーム体験の質に与える影響について触れ、プレイヤーの集中力を引き出すと説明されました。

次に、没入感の三分類に基づいて、ゲーム物語デザインの効果と学習効果の高いゲームデザインの特徴について、それぞれ実験・論文を紹介し、詳しく説明しました。

1つ目の特徴として、内発的な動機づけがプレイヤーの学習効果を向上させる事例研究がありました。シューティングゲームにおける「内在・外在・コントロール」要素の区別により、内在的動機が強化されるとプレイヤーが積極的に学ぶ傾向が確認されました。

2つ目の特徴は、共感を通じた臨場感の向上です。アバターに感情移入できると、臨場感が高まることが報告されています。「シンパシー群 vs コントロール群」の比較で、シンパシー群がより高い臨場感を体験したことが示されました。

3つ目の特徴は即時フィードバックで、シナリオ主導のゲームで即時のフィードバックが没入感やコントロール感を向上させることが示され、学習効果と感情的関与を深める役割を果たすとされています。

今回の紹介を通じて、叶さんはゲーム没入感の多面的な構造について詳細な分析を行って、多くの研究について学びました。自分としては、今後のワークショップデザインで、没入感を高めるために、様々な要素の設計に注意を払う必要があると感じました。

斉さん:文献研究

斉さんは「art of the games: Games trough Fiction」を中心に、著者の議論に沿って研究者たちのゲームとビデオゲームの定義理論・研究例を紹介しました。まず、ゲームとビデオゲームの定義について、ビデオゲームは「インタラクティブな関与」を基盤とし、目標達成型(ルーディック)と自由探索型(パイディア)に分類されることが説明されました。

続いて、ゲームとパズルの違いについても紹介してくれました。ゲームは競争や協力を通じて目標達成を目指すものであり、他のプレイヤーと状況が進行する点が強調されました。一方、パズルは複雑さを解消し、安定した解決策を見つけることが目的とされており、プレイヤーは自ら解決策にたどり着くことが求められます。このように、プレイスタイルや目的が異なることが両者の大きな特徴です。

また、ゲームのルールがFictionを通してプレイヤーに提示されることの意義についても触れられました。斉さんは「Portal」というビデオゲームを例としてあげました。Fictionがゲーム体験に密接に関わっていて、プレイヤーがゲーム世界を理解しないとプレイが難しい構造となっています。そして最後に、「マジック・サークル」理論が取り上げられましたが、この理論では現実とゲームの境界が曖昧になるビデオゲームの多様性を十分に説明できないという課題も指摘されました。

広瀬先生:研究員発表

最後に広瀬先生が最新の研究について共有してくれました。広瀬先生は、オレゴンでの研究紹介をはじめに、最近日本で「ライフキャリア支援」をテーマに、エリクソンの生涯発達理論に基づき、越境的な学習環境を活用して、移行期における若者のアイデンティティ確立や中高年の次世代への貢献意識を促進するワークショップを展開しています。

次に、広瀬先生はワークショップの具体的な流れと設計について説明しました。参加者は事前に指定された映画を視聴し、関連する問いについて考えます。当日は、学生と社会人の混合グループで意見を交わし、登場人物の「人生の目的」について話し合いながら、それぞれのキャリア観を広げ、世代を超えた学びの機会を得ることが目指されています。

最後に、広瀬先生は初期の成果を共有しました。参加者のフィードバックによれば、映画とディスカッションを通じて、自身のキャリア設計について深く考えるきっかけを得られ、特に転換期において新たな示唆を受けたとのことです。こうした意見をもとに、今後はワークショップの設計を最適化し、さらに多くの地域での展開も検討されています。

広瀬先生の研究報告は、私たちのワークショップのアイデア発案から設計、そして特に参加者フィードバックからワークショップに活用することまでのプロセスにおいて、多くの参考となる内容でした。また、先生は質問応答の際にも非常に親しみやすく、ネットワーク環境でのワークショップの運営・ネット環境で賑やかな議論の雰囲気を起こし方についても多く勉強になりました。

以上で今回のゼミ活動報告でした!

ちなみに制作展のお知らせです。11月7日~11日には東京大学制作展『付いて離れて』が開催されます!私が参加した『本郷キャンパス謎巡り ーAさんの消失ー』と『心の味わい』の2作品は工学部2ホールと92Bにそれぞれ展示されています。

ご興味がございましたらぜひお越しください^^

【10月24日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-10-31   投稿者:   inuda

みなさん、こんにちは! 修士2年の犬田悠斗です。

10月24日のゼミ活動では、莫さんの文献研究と犬田の関連論文紹介、大空さんのプレイセッションが行われました。


■【莫さん】文献研究

莫さんは、"Team-Based Learning A Transformative Use of Small Groups in College Teaching"の第2章 "Getting Started with Team-Based Learning"について発表されました。

この発表では、自分自身の経験を踏まえながら、Team-based Learning(以後TBL)における4つの原則とTBLを実行するプロセスについて主に説明されました。

TBLにおける4つの原則は、以下の通りです。
1.グループは適切に形成され、管理されなければならない(Groups Must Be Properly Formed and Managed)
2.学生には個人ワークおよびグループワークに対して責任を負わせなければならない(Students Must Be Made Accountable for Individual and Group Work)
3.グループの割り当ては学習とチーム開発の両方を促進しなければならない(Group Assignments Must Promote Both Learning and Team Development)
4.学生は頻繁かつ適切なタイミングでフィードバックを受け取らなければならない(Students Must Have Frequent and Timely Performance Feedback)

また、TBLを実行するプロセスは、授業前(Before Class)、初回授業(The First Hours)、主要単元(Major Unit)、学期末(End of the Term)の4つに分かれています。
授業前には、授業を4-7つの単元に分け、それぞれに学習目標を設けます。加えて、成績の評価制度についても定めておきます。初回授業では、TBLの説明を行い、その後グループを作ります。加えて、学生に成績評価制度について説明します。主要単元では、授業内容に対する生徒の理解を深め、チームの結束を高めていきます。まず単元の準備確認からはじめ、その後応用に移っていきます。学期末には、授業内容やチーム内の相互作用などについて振り返りを行います。

この発表を聞いて、教師だけでなく、学生もTBLの原則とプロセスについて知っておくことが、授業を円滑に進めていく上で重要なのだろうなと思いました。

■【犬田】関連論文紹介

私は、下記の論文に基づいて、修士研究で開発したゲーミフィケーションを活用したオンライン調査のデザインプロセスについて発表しました。

Harms, J., Wimmer, C., Kappel, K., & Grechenig, T. (2014). Gamification of online surveys: conceptual foundations and a design process based on the MDA framework. Proceedings of the 8th Nordic Conference on Human-Computer Interaction: Fun, Fast, Foundational. 565–568.

この論文では、ゲーミフィケーションを活用したオンライン調査のデザインプロセスについて論じられています。デザインプロセスは5つに分かれており、それぞれの段階で考えるべきことは以下の通りです。

1.Aesthetics and the Relationship Layer:回答者の属性やフォームの内容に基づいて、感情的な反応やユーザー体験に関する目標を設定する
2.Dynamics and the Conversation Layer:具体的な質問項目に基づいてユーザーとフォームのインタラクション、そしてそれによって引き起こされる行動について検討する
3.Mechanics and the Conversation & Appearance Layers:意図する感情と行動を生み出すために、適切なゲームメカニクスとゲーム要素を採用し、それに基づいて質問内容・質問構成とフォームの見た目を変更する
4.Prototyping, Evaluation and Iteration:アイデア出し、スケッチ、プロトタイピング、評価を3回程度繰り返す

修士研究では、このデザインプロセスに基づいて、ゲーミフィケーションを活用したオンライン調査を作成しました。加えて、この発表では、選択肢をトラッキングする技術的な方法やデバックの方法などについても説明しました。

今回開発してみて、頭で考えてできる事でも実際に開発してみるとエラーやトラブルがたくさん発生することを実感しました。そして、実際に手を動かしながら、地道に開発することの大切さを改めて感じました。

■【大空さん】プレイセッション

プレイセッションでは、大空さんが開発した、会社経営を短時間で疑似体験できるボードゲームを遊びました。このボードゲームは、マーケティング施策を通じて、12ラウンド(1年間)で営業利益を最大化することが目標です。

そして、このゲームの学習目的は、マーケティング、特に3C/4P(※1)の全体感を理解することです。3Cと4Pの要素がゲームメカニクスに組み込まれており、ボードゲームを遊ぶことで、これらを自然と学習することができます。

実際に遊んでみて、上手いプレイヤーは競合のいない場所を見極めるのが早く、ビジネスにおける競合の重要性を感じました。経営シミュレーションゲームはプレイ時間が長くなりがちなので、短時間で経営におけるマーケティングの全体感を把握できるのはとてもいいなと思いました。

※1 3C/4Pともにマーケティングの基礎的なフレームワーク
   3C=Company(自社)、Competitors(競合)、Customers(顧客)
   4P=Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(広告・販売促進)


以上が、10月24日のゼミ活動報告です。ぜひ来週のゼミ報告記事もお読みください。

それでは!