投稿日時:   2024-08-22   投稿者:   jona

【8月6日】「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」活動ご報告

皆さん、こんにちは!研究生のジョナです。

今年の夏は、藤本研究室にとって活動豊富で、経験と学びに満ちた夏となりました。

今月の6日と7日に長崎市民会館で開催された「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」は、無事終えることができ、素敵な交流と学びの場となりました。私もスタッフとして参加する中で、皆さんの発表や現場での討論から多くのことを学ぶことができ、この貴重な機会に心から感謝しています。

それでは、開催初日の活動をご報告いたします。


初日のイベントは、大きく分けて4つのセッションで構成されました。

午前のセッションでは、藤本研究室の研究発表が行われました。このセッションでは、研究員と大学院生がそれぞれ発表を行い、坂井先生が司会を務めていただきました。発表は、大空さん、犬田さん、そして坂井先生の順に進みました。

大空さん:シリアスボードゲームの開発と実践~ゲームを活用したデザインリサーチ

大空さんは、ゲーム開発に熟練しており、特にカードゲームの開発において多くの経験を積んできました。その経験を基に、QRPゲームの開発を例として、研修向けのゲームをアイデア段階から評価までどのように設計するかを提案し、継続的なゲーム開発モデルをていじしました。これは企業研修や教育現場で非常に有用なツールとなる可能性があると考えられます。

犬田さん:クラウドソーシングゲーム~遊ぶことで社会貢献できるゲームの可能性

犬田さんは、クラウドソーシングゲームに着目し、ゲームのプレイヤー人口が年々増加する中で、ゲームの課題を現実の課題に結びつけ、それを通じて社会貢献ができる可能性を探求してきました。今回の発表では、これまでに様々な分野で取り組んできたクラウドソーシングゲームや、ゲームを活用したWeb調査の事例を紹介し、専門的な観点から分析を行いました。

坂井先生:死と喪失をテーマにしたゲームの教育効果~学習意欲とWell-Beingに着目して

坂井先生は、『運命のダイス』というゲームを用いた死生観教育の学習効果について発表しました。現代において「死」という概念が人々の生活から遠ざかる中、死生観教育はウェルビーイングに重要な役割を果たすとされています。このゲームでは、大切なものを喪失する疑似体験を通じて、人生を振り返り、喪失に対する理解を深める機会が提供されます。また、チームでのプレイを通じて、他者への思いやりを育むことができるゲームでもあります。


休憩を挟み、午後「桃太郎電鉄教育版」の事例研究シンポジウムが行われました。このセッションでは、藤本先生が司会を務めていただき、最初にシンポジウムの趣旨説明を行いました。

桃鉄教育版エデュテイメントプロデューサー 正頭英和 先生: 子どもの学びを最大化するエデュテイメント

正頭先生は、自身の体験談から始まり、桃太郎電鉄の教育版を開発するに至った経緯をお話しくださいました。ゲーム自体が単独で教育機能を果たすのではなく、教育者によって効果的に利用されることで、教材としての多様な可能性が引き出されると説明されました。現代の教育において、正頭先生が重視しているのは、子どもたちに提供する体験です。過去の体験が学習や問題解決の意欲につながることが多く見られることから、エデュテイメントはその意欲を引き出すための入口としての役割を果たせると述べました。

広島大学 准教授 池尻良平 先生:学習から見た『桃太郎電鉄 教育版』

池尻先生は、変化する社会において『桃太郎電鉄 教育版』が持つ可能性を紹介しました。また、発見学習と直接教育を比較し、ゲーム教育がもたらす効果について詳しく解説しました。特に、プレイスタイルと学習効果の関連性については非常に関心をそそる内容であり、プレイヤーのゲーム習慣が学びにどのように影響を与えることはゲームを使った教材の編成や学習指導の設計にも利用できると考えられます。また、実践共同体における学びとマジックサークルとの関係について知見を共有してくださいました。

講演の後、先生方が現場の参加者からの質問に答えながら、ディスカッションを行いました。


続いてのセッションでは、大空さんと犬田さんがそれぞれの研究成果を来場者に体験してもらうワークショップを行いました。

大空さん:未来の研究について考えよう!カードゲーム「ムーンシューター」を使った対話型ワークショップ

「ムーンシューター」は、プレイヤーが研究者または市民として、提示された研究テーマに対して、社会のさまざまな視点からどのような意見や観点が現れるかを考えるカードゲームです。このゲームを通じて、プレイヤーは国が推進している研究事業について理解を深めるとともに、市民が抱える感情や関心についても考察できると思いました。

犬田さん:SF作品を作ろう!「ゲームを基盤とした社会」を創造するワークショップ

SFプロトタイピングとは、想像する未来像に基づいた試作品を作成し、それを他者と議論・共有する創造的な手法です。今回のワークショップでは、ゲームを基盤とした社会(GBS)という世界観のもとで、どのような価値観が生まれ、どのような出来事や問題が発生するのかを考えながら、参加者たちは自分のストーリーを構築しました。


以上のワークショップと同時に、東京大学渡辺研究室との連携企画である「ミライの平和活動展」のセッションも行われました。このセッションのテーマは「戦争とゲーム」です。まず藤本先生がテーマについての概要を紹介し、その後、木村先生が「平和学習とゲーム」というテーマで事例研究を発表しました。

木村先生:平和学習とゲーム

この事例研究では、戦争をテーマに扱ったシリアスなゲームがいくつか紹介されました。特に例として取り上げられたのが、『This War of Mine』というビデオゲームです。このゲームは、戦争下でのサバイバルをテーマとしたビデオゲームで、プレイヤーは生き延びるために常に選択を迫られます。その選択には、時に非常に残酷なものも含まれています。このような説得的ゲームは、反戦メッセージを伝える手段として注目されており、学校教育においても反戦教育の一環として活用されることが期待されています。

その後、来場者とのディスカッションが行われ、非常に興味深い観点が数多く寄せられました。


8月6日の活動報告は以上となります。引き続き、7日の活動報告もぜひご期待ください。
ご来場いただいた皆さま、そしてこのイベントの開催にあたりご協力いただいたすべての方々に、心より感謝申し上げます。

では皆さん、楽しい夏を!

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カテゴリー:   Lab news     作成者:   jona   パーマリンク