東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
投稿日時: 2022-11-08 投稿者: osora
皆さんこんにちは。M1の大空です。
先日、ゲームマーケットというアナログゲームイベントに参加してきました。開催されるたびに足を運ぶようにしているのですが、年々イベントの規模や出店しているジャンルの多様さも増しているように思え、ボードゲーム業界の盛り上がりを感じました。また一方で、会場で偶然、特任研究員の財津さんにお会いして、世間の狭さも感じました笑
さて、それでは今週のゼミ報告に移りたいと思います。今回は文献研究(春口さん)と事例報告&プレイセッション(大空)という内容でした。
■文献研究「ルールズ・オブ・プレイ 第12章/第14章」(春口さん)
春口さんは、2つのトピックについてご紹介してくださいました。
一つは、「3つの水準のルール」についてです。ゲームのルールは3つの水準に分けられ、ゲームの同一性は①と②の関係から生じ、ルールの特異性は①と②と③の関係から生じるということを端的にまとめていただきました。
①操作のルール:説明書に書いてあるルール
②構成のルール:定石や数学的な正しさ
③暗黙のルール:空気を読むという事、マナー
もう一つは、「創発システムとしてのゲーム」です。創発システムとは少数の限られたルールから複雑性を生み出すシステムを指すのですが、ゲームが創発システムであるとプレイヤーの遊びの幅が大きく広がるといわれています。ゲームやシステムをデザイン・理解する上で必要となる知識であるとともに、本当にそうなのか?と改めて問い直すいいディスカッションを行うことができました。
■事例報告「ひみつの研究道具箱」(大空)
大空は、科学技術表現論という授業の中でプレイした、東大の生産技術研究所が開発したカードゲームを事例として紹介しました。
本ゲームは、「キャット&チョコレート」のような、いわゆる大喜利ゲームのようなゲームシステムですが、自由な回答をしていいからこそ、参加者の心理的なハードルが下がってラフに科学技術に触れられる点がポイントです。
サイエンスコミュニケーションにおいて、科学者と市民の認識のギャップを埋めること、科学をわかりやすく伝えることが課題として挙げられますが、本ゲームはそのギャップを埋めるためのハブとしてとても有効であると感じました。言い換えると、コミュニケーションツール、メディアとしてのカードゲームであると表現できます。
また、HP(http://cardgame.iis.u-tokyo.ac.jp/)を見ると、回答のアーカイブ化も行われているようで、ゲームをプレイするだけで完結しない取り組みも行われています。これにより、科学者に市民の声が届くというゲームを超えたコミュニケーションが生まれているようです。
こうしたゲーム内だけのコミュニケーションで完結しない、コミュニケーションツールとしてのメディアとしてのゲーム制作を自分も目指したいと思います。
■プレイセッション「研究倫理ゲーム」(大空)
プレイセッションでは、新たに開発した研究倫理ゲームを皆さんにプレイしていただきました。今回が、本ゲームの初のテストプレイだったので、若干不安があったのですが、無事楽しんでいただけてよかったです。
本ゲームは、現在自分が履修している「研究倫理」の授業において、もっと課題を自分事にできるツールを開発したいと思ったことがきっかけで制作しました。基本的に研究倫理では講義が中心であり、アクティブラーニングの観点で見ても、ワークシートやシミュレーション型の動画教材が多いため、新たな学習手法として提案できるのではないかと思っています。
ゲームでは、課題に対するそれぞれの価値観が鮮明になるように、ゲーム内 / 外で話し合いができるようにデザインしました。テストプレイをして、自分が思っていた以上に、そこが大きく浮き彫りになったので、個人的に嬉しかったです。今後、改善を重ねて世に出せるように進めていこうと思います。
今回の報告は以上でした。最後までお読みいただきありがとうございます。それでは、また来週!