東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
投稿日時: 2025-06-18 投稿者: osora
こんにちは!M2の大空です。6/12のゼミ内容は、莫さんの事例紹介、蓮池さんの関連論文紹介、藤本先生のプレイセッションでした。それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!
莫さんは、2つのゲーム事例の紹介を行いました。目的は、デザイナー視点とプレイヤー視点から、ゲームのナラティブを比較し、自身の実践にどう活かせるか検討するためです。
まず、デザイナー視点の事例では、環境教育ゲーム『Citizen Science』を紹介いただきました。このゲームのナラティブは、rewardとしてプレイヤーの好奇心と行動を誘発するものとして設計されており、発表では具体的なナラティブと教育的役割についても言及されました。
そして、プレイヤー視点の事例では、ミステリー型教育ゲーム『Murder on Grimm Isle (MOGI)』を紹介いただきました。このゲームにはミステリーとしての正解がなく、情報を収集して自分なりの仮説を立て、それを物語としてまとめることがゴールになります。ある意味、ゲーム的構造が欠けているとも指摘できますが、「仮説を立て、自分なりのストーリーを構築する」こと自体が内発的な動機となる特徴的な事例でした。
ディスカッションでは、各事例のレビューを踏まえて、莫さんのMMGの具体的な改善策の話題で盛り上がりました。その観点の一つに、ミステリー型教育ゲーム『Murder on Grimm Isle (MOGI)』の事例のように、オープンエンドにするか否かの議論が進みました。
結末の扱い方によっては、プレイヤーの体験そのものが変わってしまう可能性があるため、実装は慎重になる必要がありますが、最終的には莫さんが学んでほしいことからの逆算によって決まるので、バージョンアップデートされたゲームがどのような形になるかとても楽しみです。
蓮池さんは、3つの研究関連論文を紹介されました。蓮池さんは、AI×教育×ゲームをメインキーワードとした研究を行っています。論文紹介の目的は、ゲーム内でのAIとのインタラクティブが実世界でどういった影響を与えるか明らかにするためです。
①Addressing Public Speaking Anxiety with an AI Speech Coach (GARCIA Jr, Frederick Voltair, et al.)
ーAIスピーチコーチサービス『Yoodli』が人前で話すことの不安を解消できるのか、スピーチ能力を向上させる上でどれほど効果的なのかを明らかにするために実施。学生20人を対象に、『Yoodli』を1週間最低10分程度使用してもらい、事前・事後でPRPSAとCSSEFを用いて不安レベルとスピーチ能力を測定した論文。
②Looking through goal theories in language learning: A review on goal setting and achievement goal theory (Xiaofang Cheng)
ー言語学習における目標理論の考察論文で、目標設定理論と達成目標理論について言及。この論文では、第二言語学習におけるモチベーションを解き明かす鍵として、目標設定理論と達成目標理論がどのように関連しており、教育現場でどう活かすことができるのか考察されている。
③Mobile language app learner’s self-efficacy increases after using generative AI
(Audrey K. K., et al.)
ーDuolingoに搭載されたリアルタイムの会話練習がどれだけ言語学習者の行動に強い影響を与えるかを調査した研究で、有料プランにすでにしている人 :既存ユーザー(153名) と使ったことのない人 :新規ユーザー(232名) の2つのグループに分けて実験を行っている。
3つの論文は、どれも最新のもので、この分野の研究が近年急速に進んでいることがわかります。蓮池さんの研究では、こうした次々と情報が更新される分野なので、キャッチアップが大変な一方、その研究成果には大きな関心が集まることが期待されます。ぜひ今回の論文を踏まえて、どのような研究成果が出るのか楽しみです。
最後に、藤本先生のプレイセッションとして、Nintendo Switch 2を使ってみんなでゲームをプレイしました。
プレイしたのは『Nintendo Switch 2 のひみつ展』です。楽しみながら、Nintendo Switch 2の機能や開発の裏側を知れるゲームになっています。具体的には、ゲーム内でNintendo Switch 2のコントローラーを探索しながら、開発背景に関するクイズや、新機能を使ったミニゲームなどがプレイできます。
時間の関係ですべてのゲームやクイズをプレイすることはできませんでしたが、特に「トゲトゲよけ」というゲームがゼミでは人気で、新機能であるコントローラーのマウス機能を使って盛り上がりました。
シリアスゲームの事例としても面白かったので、ぜひYoutubeでプレイ動画も参照したいと思いました!
以上、6月12日のゼミ活動の報告でした。次回のゼミ報告も楽しみにしててください 🙂