東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
Monthly archive: October 2025
post date and time: 2025-10-02 contributor: fhasuike
M1の蓮池です。 修士課程で初めての夏休みは、研究の準備を進めつつ、心身ともにリフレッシュする機会にも恵まれた、大変実りある期間となりました。
今回は、この夏休みの活動についてご報告します。
本格的な研究活動の準備として、元藤本研究室の犬田さんの修士論文を読み込み、自身の研究テーマの参考となる箇所の抽出を行いました。
また、私の地元である香川県の学校と連携し、「探求学習」のプログラム設計に携われる可能性が出てきました。まだ具体的な計画には至っていませんが、自身の研究が社会と繋がる可能性に大きな魅力を感じており、実現に向けて今後検討を深めていきたいと考えています。
ご縁があり、「親子ボードゲームジャム」というイベントのお手伝いをさせていただきました。 イベントでは、多くの子供達が非常に能動的に、そして楽しそうにオリジナルのボードゲームを制作していました。
その様子を間近で見て、改めてゲームが持つ力の大きさを実感しました。
ゲームは単なる遊びではなく、
といった側面に繋がることを強く感じました。特に、自分が小学生だった頃には思いもよらなかったようなユニークな発想に触れることができ、大変刺激的な経験となりました。
プライベートでも忘れられない経験をすることができました。
夏の大きな挑戦として、2日間かけて富士山に登りました。しかし、期待していた絶景とは裏腹に、登山中はほぼずっと雨。体温と体力を奪われる厳しい環境で、視界も悪く、ただひたすら自分の足元だけを見て一歩ずつ進む時間が続きました。
心が折れそうになる瞬間もありましたが、山小屋で仲間と励まし合い、ついに山頂に到達した時の感動は今でも忘れられません。この経験を通じて、困難な状況でも諦めずに進み続けることの大切さを、身をもって学びました。
夏休みには地元香川に帰省し、親戚一同で琴平の街を訪れました。温泉旅館に宿泊したり、名物のうどんを作ったりと、穏やかで温かい時間を過ごすことができました。東京での生活から少し離れ、ゆったりと流れる時間の中で家族との絆を再確認し、心からリフレッシュすることができました。
これまで自己流で筋力トレーニングは続けていましたが、無酸素運動が中心で、実戦的な動きの中でのスタミナ維持に課題を感じていました。そこで、新たな挑戦として柔術を始めました。
柔術は「体を使うチェス」とも言われるほど戦略性が高く、単なる力のぶつかり合いではない、技と知恵の奥深さにすぐに魅了されました。まだ白帯で基本の動きに必死ですが、練習で汗を流した後の心地よい疲労感は格別です。
研究とは全く違う種類の集中力が求められるため、公私の良い切り替えになっており、日々の生活に新たな活力が生まれているのを感じます。
夏休みの期間に得た学びや多様な経験を糧に、今後の研究活動に邁進してまいります。
post date and time: 2025-07-15 contributor: fhasuike
こんにちは!M1の蓮池です。暑さが増してくる季節になりました。
本日は、各々の研究の進捗状況をまとめて、中間発表として報告するゼミ活動となりました。
発表は、社会的課題の解決から、職業倫理教育、文化表象、研究方法論に至るまで、ゲームやインタラクションを共通の軸とした多岐にわたる内容となりました。
友利さんは、「大学生とのゲームを介した交流を通して、児童養護施設で生活する若者の大学に対するイメージの形成」と題した修士論文の中間発表を行いました。
この研究は、児童養護施設の子どもたちの大学進学率が全国平均に比べて著しく低いという背景から出発しています。友利さんは、進学率の低さの一因として、大学進学への具体的なイメージや身近なロールモデルの不足があると考え、大学生との交流がその解決策となりうるかを探っています。
研究では、「ボンバーマン」を用いたゲーム大会「Bomber Cup」を企画・実施。児童養護施設の生徒と大学生がチームを組んで交流する場を設け、その前後での意識変化をアンケートやインタビューを通じて調査しました。
研究結果より、ゲームを介した交流は、施設の子どもたちが大学生個人やその生活(学業、アルバイトなど)へ興味を深めるきっかけとなることが示されました。今後は、修士論文提出を目指し、得られたデータのさらなる分析に取り組むそうです。
大空さんは、「職業倫理教育に資するゲーム学習プログラムの開発と評価」と題した研究の進捗を報告しました。近年、研究不正や企業の不祥事が社会問題となる中、既存の倫理教育が一方的な知識伝達に留まり、実践的でないという課題意識から本研究はスタートしました。
大空さんが開発したカードゲーム「QRP GAME」は、「疑わしい研究活動(Questionable Research Practice)」をテーマに、参加者同士が対話を通じて倫理的な判断軸を自ら考えることを促す教材です。これまでに複数の領域でワークショップを実践し、プログラムの改善を重ねてきました。
ワークショップは参加者から高い満足度を得ており、特に価値観の異なる他者との「対話」のプロセスが学びや楽しさにつながっていることが確認されました。
ゲームの設計は、参加者の多様な価値観を引き出し、それがゲームの面白さに寄与するよう意図通りに機能している可能性が示唆されました。
今後は、収集した質的・量的データをさらに詳細に分析し、学習効果のメカニズムを解明していく予定です。
質疑応答では、『公正感受性尺度』は簡単に変わるものではない等の評価指標に関する議論が活発になりました。
Leafyさんは、「Playful Orient? – ビデオゲームにおける東アジア文化の(再)構築とプレイヤーのアイデンティティ・フィードバック」というテーマで新たな研究計画を発表しました。
当初はフィッシング詐欺対策のゲーム設計を検討していましたが、自身の関心を再考し、ゲーム研究の分野へと方向転換しました。
この研究は、西洋製の人気ゲームに含まれる日本、中国、韓国などの東アジア文化の表象(侍、武術、K-POPなど)を分析するとともに、それらの文化圏のプレイヤーがその表象をどのように受け取り、解釈し、あるいは批判しているかを探るものです。
分析は、『Ghost of Tsushima』『Sifu』『Overwatch』といったゲームのテキスト分析と、SteamやReddit、Bilibiliなどのプラットフォーム上でのプレイヤーの受容分析を組み合わせて行われます。
また、本研究内容は、2025年10月にソウル大学で開催される「SNU-UTokyo-NCCU合同シンポジウム」で発表される予定です。
楽しみです!
Johannaさんは、一連の研究活動の締めくくりとして、ゲームベース学習(GBL)における人間とゲームのインタラクションを分析するための方法論的フレームワークを提示しました。
Johannaさんの発表では、S-O-R-Cモデル(Stimulus-Organism-Response-Consequence)に基づき、プレイヤーの行動を「行動レベル」「認知レベル」「生理レベル」といった複数の階層で捉え、体系的に分析・モデル化するアプローチが紹介されました。
これにより、ゲームがプレイヤーに与える影響や学習が起こるメカニズムを、仮説に基づいた理論的モデリングと、実際のデータに基づいた経験的モデリングの両面から解明する道筋が示されました。
また、日本での生活も存分に楽しんでいる様子が紹介されました。
日本語の勉強だけに留まらず、合唱団のイベント・ラボメンバーとのTTRPG(Tabletop Role-Playing Game)をするなど積極的な活動を行っています。
Johannaさんが、2ヶ月後に帰国してしまうのは大変寂しいですが、それまでにたくさんの思い出を作ろうと思います!
今回のゼミの報告は以上です!もうすぐ夏休みが始まりますね。
体調には気をつけて、これからも研究活動を進めていきましょう!
それでは、また次回のゼミもお楽しみに。
post date and time: 2025-05-11 contributor: fhasuike
こんにちは!M1の蓮池です。
Ludix Labに所属してから、初めてNews記事を作成いたしますので、お手柔らかに読んでいただけると幸いです。
ゴールデンウィークが終わり、研究活動に一層熱心に取り組む時期となりました。今回は、 関連論文紹介と研究員によるプレイセッションという豪華な内容でした!
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!
大空さんは、研究倫理教育に資するカードゲーム教材「QRP GAME」の開発背景と評価計画について3つの関連論文の紹介を踏まえながら、詳細に発表されました。「QRP GAME」では、疑わしい研究活動(QRP)をカード化した疑似体験型のゲームを通じて、参加者自身が倫理判断力を養えるのが大きな特徴です。
設計段階ではADDIEモデル(Analysis, Design, Development, Implementation, Evaluation)に沿ってα版からγ′版まで段階的にブラッシュアップされていました。評価手法として、関連論文の「研究倫理教育効果の評価手法に関する試行的考察1」を参考にして、カークパトリックの4段階評価モデル(反応・学習・行動・成果)をベースに、ワークショップ直後の満足度アンケートや事前・事後のQRP把握度評価を行うことを提案されました。
また、研究不正に関する倫理観の変化を評価するために、関連論文の「研究不正に関する態度・価値尺度の改変可能性の検討2」及び「公正感受性尺度日本語版(JSI-J)の作成3」を参考にして、公正感受性尺度を6段階評価によって評価することを提案されました。
発表後のディスカッションの時間では、アンケート項目の改善点等が活発に議論されました。
大空さんの今後の研究活動が楽しみです!
ゼミ後半は、研究員の広瀬さんによる、自己理解を深めるワークショップ「ココロミ」を実施しました。まず「Work・Fun・Learning・Love・Health」の5領域について自己評価シートに100点満点で点数を付け、その後「自分の好きなこと」を6つリストアップしました。それらを深掘りするとともに、関連キーワードをマッピングして自身の価値観を可視化しました。最後に自身の考え整理して、「自分のIKIGAI(生きがい)」を考えるといったワークショップでした!
ワークショップ中には、グループでの発表の機会があり、他の参加者の価値観を理解したり、自分の考え方に対するフィードバックを受けることで、自分では気づきにくい強みを発見する貴重な時間となりました!
私自身、「ココロミ」のワークショップを通じて、自分の生きがいを言語化でき、素晴らしい体験を得られたと感じています。
「ココロミ」ワークショップ中の様子も掲載します!
最後には、坂井先生から性格特性・思考・行動スタイル診断「キャラフルレインボー」についての説明が少しありました!
また、時間がある時に「キャラフルレインボー」を活用して、自分自身についてより深ぼることができたらなと感じました!
以上、5月8日のゼミ活動の報告でした!
それでは、また!