東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2024年11月
投稿日時: 2024-11-14 投稿者: osora
皆さん、こんにちは! 修士2年の大空です。
11月7日のゼミ活動では、大空とAmandaさんの発表が行われましたので、ご報告です。
■【大空】KJ法について
大空は、データ分析手法の一つである、KJ法について発表を行いました。KJ法とは、川喜田二郎が、文化人類学の分野で考案した質的データ分析手法で、現在は多様な分野で応用されています。
具体的には、名刺サイズのカードにデータを転記し、それらをグループ化・図解することで、情報をコンパクトかつ視覚的に整理する手法です。混沌とした質的データも、KJ法を用いることで簡潔にまとめやすくなります。
また、ユニークな特徴として、データの分類・図解・文章化の過程で研究者の主観を活用することで、新たな発想や仮説が生まれやすくなります。ただし、その研究利用に゙関しては、エスノグラフィー等とは異なり、利用シーンが発展していない・科学的な手法としての検討が十分ではないため、注意が必要です。
自身の研究においても、このKJ法を部分的に採用しようと思い、KJ法の手順〜上記の注意点まで、マニュアル形式で発表しました。実際に、再来週に研究室内でワークショップを行う予定なので、まずは実践してみて、自分自身、KJ法に対する理解をより深めようと思います。
■【Amandaさん】インクルーシブ・ゲーミングについて
Amandaさんは、インクルーシブ・ゲーミングについて発表されました。
インクルーシブ・ゲーミングとは、インクルーシビティ(バックグラウンドや能力、アイデンティティに関係なく、すべてのプレイヤーがアクセスしやすく、公平で、歓迎されること)を兼ね備えたゲーム体験を指します。
発表では、ゲームにおけるアクセシビリティ、表現と多様性の観点から、複数の事例をご紹介いただきました。単なるゲームプレイのしやすさだけでなく、障がいやマイノリティの方を包括したアプローチが多数見受けられました。
また、誰がインクルーシブな体験をデザインすべきか?というテーマも提示され、本分野におけるステークホルダーの多様さと複雑性が感じられました。最後には、それぞれ身近な例をもとに、このテーマについてディスカッションし、知識をより広げることができました。
Amandaさんの研究は、本分野の解決にも寄与するものであるため、研究室の中でも継続的に議論を深めていきたいテーマとなりました。
以上が、11月7日のゼミ活動報告です。
それでは!
投稿日時: 2024-10-03 投稿者: osora
藤本研究室M2の大空です。
今回の記事では、夏休みの活動報告の第二弾として、国際学会に付随して訪れた、アメリカ・カナダの研究所等の様子について、ご共有します。海外の研究事情にご興味のある方は、ぜひご覧ください。
人工知能・データサイエンス研究所(Institute for Artificial Intelligence and Data Science)
まず紹介するのは、人工知能・データサイエンス研究所です。こちらは、アメリカのニューヨーク州立大学バッファロー校にある研究所です。
元々、ゲーム学習だけでなく、AIにも興味があったので、海外の研究事情を肌で感じたく、見学ツアーに参加したのですが、アメリカでも最先端の研究所ということで、施設がかなり充実していました。施設は新しく、日々の研究空間と連続する構造で、外部の方を招いた実験も行いやすい設計となっていたのが印象的です。
また、研究所の中でも、私が特に興味を惹かれたのが、National AI Institute for Exceptional Educationという教育研究所です。ここでは、音声言語処理課題を持つ児童の教育サポートとして、AIテクノロジーを駆使した解決策を試みており、多数のアメリカ国内の大学と連携して研究を進めているようでした。
実際に、研究所内には、子ども達を招いて行動を観察できる空間が広がっており、本分野とゲーム学習の組み合わせについても、研究者の方々と話し合うことができ、貴重な時間を過ごせました。
遊び博物館(Strong National Museum of Play)
続いて、「Strong National Museum of Play」という遊びをテーマとした国立博物館のご紹介です。
遊びをテーマとした博物館と聞いても、なかなかイメージしづらいと思うのですが、科学館、キッザニア、ゲームセンター等が融合したような空間でした。
博物館内には、多数の遊び場やゲームが立ち並んでおり、一日あっても飽きないと思えるほど、充実していました。
また、当博物館では、ゲーム保存にも積極的で、ゲーム本体はもちろん、関連資料まで多数の実物が保管されています。ツアーに参加し、特別にその保管室を覗かせていただきましたが、日本のコンテンツも非常に多く、改めて日本が生み出したエンターテインメントの強みを実感しました。
遊びと学びの融合に関する研究を行っている身として、普段自分が考えている理想を具現化したような場でした。ぜひ同分野で研究されている方は、一度訪れることを強くおすすめします。
教育研究所(Ontario Institute for Studies in Education)
学会はアメリカのニューヨークで開催されたのですが、カナダのトロントが近いこともあり、こちらの教育研究所にも訪れました。
通称OISE(オイジー)と呼ばれる研究所は、トロント大学の教育系大学院です。本大学院には、Adult Education & Community Development Programという成人教育を対象としたコースが存在します。
私は大人に向けたゲーム学習をメインに研究しており、企業・大学で活動しているので、成人教育の学び場を見てみたいと思い、実際に施設内を見学させていただきました。
トロント大学には、多様なバックグラウンドを持った学生が多く、それらの背景を活かしたユニークな研究が多いということで、研究自体を目にすることはできなかったものの、情報をキャッチアップし、今後はよりグローバルな目線で研究することを決めました。
メディア論の聖地(Marshall McLuhan Tour)
最後に、教育研究所と同じく、トロント大学にあるメディア論の祖といわれる、マーシャル・マクルーハンの縁の地を訪れました。
マーシャル・マクルーハンの有名な言葉の一つに「メディアはメッセージである」があります。私は、この言葉をきっかけに、ゲーム学習で用いるゲームもメディアであると認識しました。
ゲームならではのメディア特性を活かした情報伝達、他のメディアではできないコミュニケーションを目指し、現在は研究・開発を続けているので、改めて自分の原点に立ち返るきっかけを得られました。
ゲームで学びことを一つの代表的なメディアにできるように、今後も尽力したいと思います。
以上、活動報告の第二弾となります。
今後は普段のゼミ活動に関する記事をUPしていきますので、ぜひそちらもご覧ください。
投稿日時: 2024-10-03 投稿者: osora
藤本研究室M2の大空です。
今回の記事では、夏休みの活動報告の第一弾として、自身が8月に渡航し発表を行った、国際学会の様子について、ご共有します。ゲーム研究の国際学会にご興味のある方は、ぜひご覧ください。
学会発表(Replaying Japan)
今回参加した学会は「Replaying Japan 2024」です。本学会では、世界中から研究者やクリエイターが集まり、日本のゲーム研究を中心に革新的な技術や方向性に関する発表が行われました。
今年は、8/19(月)〜8/21(水)の3日間、アメリカのニューヨークで行われ、過去最大規模での開催だったようです。初めての一人での海外渡航&国際学会でしたが、当日はたくさんの海外の研究者と交流でき、とても有意義な時間を過ごすことができました。
学会発表では、「ゲーム学習」という観点から、研究倫理教育に資するゲーム学習プログラムについて発表を行いました。
発表内容に関して、本学習プログラムで用いるゲームは、アナログゲーム形式なのですが、そこに新鮮味を感じて興味を持ってくださる人が多かったです。「頭に衝撃が走った」、「もっと世界に向けて発信した方がいい」など、かなりポジティブなコメントをいただけて、研究へのモチベーションが上がりました。
研究倫理というテーマは、世界共通ということもあり、各国の状況について知ることができたのも良かったです。やはり、どの国でも少々退屈、面倒くさいというイメージは変わらない一方で、研究倫理上の問題の捉え方は国の違いもあるのではないかと思いました。
また、ゲーム内容だけでなく、デザイン面についても「海外の人々が親しみやすいように多大な努力を払ったことがわかる」「とても美しくて興味が惹かれる」という声がいただけたのも嬉しかったポイントです。自分が意図していたことが、良い反応として返ってきたことは、自信になりました。
発表枠は2時間ということもあり、当初は無事終えられるかすら不安でしたが、実際に発表を行ってみると、海外の研究者の方々から沢山の好評をいただき、心から楽しかったといえる発表になりました。
その他の発表では、ゲーム文化、人工知能、ビジネス、教育といった幅広いトピックが並び、エンターテインメントの新たな可能性について考えるきっかけとなりました。これまでは、ゲーム学習を中心にゲームや遊びについて考えていましたが、今後はより俯瞰的に捉えていこうと考えています。
学会発表後は、これらの発表を行った研究者とパーティーで連絡先を交換し、彼/彼女らとは、今でもメールのやり取りを続けています。お互いの研究テーマについて、自国の研究事情や流行を共有し合える関係性を築くことができたのが、今回最も参加して良かったことでした。
以上、活動報告の第一弾となります。
次回の記事では、学会終了後を含む、3週間のアメリカ・カナダの滞在中に訪れた「AI研究所」「遊び博物館」「教育大学院」「メディア研究の縁の地」について紹介します。こちらも多くの学びがあったので、ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
投稿日時: 2024-07-04 投稿者: osora
こんにちは、修士2年の大空です。
今週のゼミ活動について、報告いたします。今回は、莫さんによる文献研究、ジョナさんによる研究関連論文紹介、犬田さんによるプレイセッションの3本立てでした。
どの発表からも皆さんの研究進捗が伺える素敵な内容だったので、以下でそれぞれについて紹介したいと思います。
莫さん
莫さんは、チームの共有情報と未共有情報のバイアスにおけるInformation Sampling Modelの文献研究を行われました。
文献のテーマは「Information Sampling and Adaptive Cognition」のChapter 13「Information Sampling in Group Decision Making:Sampling Biases and Their Consequences」というものです。
専門的な内容ではありましたが、金魚すくいにおけるチーム戦を例に、分かりやすく解説していただき、当分野について、研究室メンバーの理解も深まったと思います。こうした分野の話はなかなか触れる機会がないため、個人的に学びの多い内容でした。
この文献から、莫さんは、自身の研究テーマである未共有情報を実体化とする手段としてのMMG(マーダーミステリーゲーム)について考察され、着実に研究が進んでいる様子が伺えました。ゲームデザイン時における厳密な設計のアイデアとして上手く使えそうです。
また、共有情報と未共有情報の配分については、ゲームデザインの観点から、研究室メンバーでディスカッションも広がり、今後の莫さんの研究にも寄与する内容が話し合われたので、今後の進捗も楽しみです。
ジョナさん
ジョナさんは、CLIL(Content and Language Integrated Learning)という概念に着目し、関連論文発表を行われました。
関連論文のテーマは「Content and language integrated learning through an online game in primary school: A case study」というものです。
CLILとは、教科科目やテーマの内容(content)の学習と外国語(language)の学習を組み合わせた学習(指導)の総称を指します。これは、ジョナさんの研究をより一層充実させる理論的枠組であるような印象を抱きました。
また、このCLILとGBL(ゲーム学習)の関係について、ジョナさんは考察されていました。具体的には、GBLは外国語学習に効果的で学生のエンゲージメントと動機づけを高めることができ、CLILも同様に、言語使用に目的と意味不安を軽減し興味と動機づけを高めるとされているため、共通の部分があることがわかりました。
その上で、では学習環境をどう設計すればいいのかという観点で、言語学習ゲームのインストラクショナルデザインが他分野とどう違うのかについてディスカッションが深まりました。ジョナさんは理論と実践の両方を行われているので、それらが上手く紐づいていくことが楽しみです。
犬田さん
犬田さんは、修士研究で開発中のゲーム「Free Will 自由意志と道徳的責任」を実践されました。
これは、実験哲学におけるゲーミフィケーションを活用したWEB調査で、ゲームを楽しんでいるうちに自然と社会課題解決に寄与するクラウドソーシング型のゲームです。
プレイセッションでは、内容は同一である、従来のWEB調査とゲームによる調査の比較を行いました。研究室メンバーを2つのグループにわけ、従来のWEB調査→ゲームによる調査を行う群と、その逆の群で行い、お互いの感想をシェアしました。
率直に、体験としてゲームの方がより豊かで、没入感あるものだったということが共通の感想として見出されました。また、これまでの発表で行われたゲームデザインやUIの内容が盛り込まれていたことも良かった点で、個人的に犬田さんのこれまでの研究活動が詰まった内容だったと思います。
これから犬田さんは修士の中間報告会がありますが、十分魅力的に感じる研究だと思うので、ぜひ頑張っていただきたいです。また、今後、外部の発表において、このゲームを触れられる機会があるので、関心のある方はぜひ引き続き情報をチェックしていただければと思います。
今週のゼミ報告は以上となります。それでは!
大空
投稿日時: 2024-05-30 投稿者: osora
こんにちは、M2の大空です。
今週はゲストセッションとして、福島真人先生にお越しいただき、「ハイリスク環境での学習」というテーマで、ディスカッションを行いました。
福島先生には、とても刺激的な発表を行っていただき、新たなアプローチで自分たちの研究分野および研究テーマを考えるきっかけになりました。
本記事では、その内容を少しご紹介できればと思います。
福島先生の発表では、切り口の一つとして「正統的周辺参加」を提示していただきました。
正統的周辺参加とは、社会的な実践共同体への参加の度合いを増すことが学習であると捉える考え方のことを指します。
この考え方には、課題として、現場(特にハイリスク環境)では、学習に必要な「ゆとり」「タイムリーな教授」「失敗への寛容」がないため、人は学べないのではないか?という指摘があります(ベッカーの難問)。
しかし、「正統的周辺参加」における、その周辺には、実験的施行が可能になるような領域があるのではないかという議論も同様にあります。
福島先生は、これを\”学習の実験的領域\”と呼んでいます(著書『学習の生態学』でもご紹介しています)。
より具体的に、この学習の実験的領域を成り立たせるためには、3つの制約を取り除く必要があるとされています。
①時間的制約
現実では実験的試行を十分に行う時間がない
②経済的制約
試行そのものやそれによる失敗にはコストがかかる
③法的制約ー免責構造
責任を免除して失敗を学習資源として活用できない
これらの点をクリアする手法として、リスクの高い多くの組織が導入しているのはシミュレーションによる教育です。
擬似的な空間で学ぶことは、現実ではできないような失敗も許容されることが大きなメリットで、これはゲームにもつながる話題だと感じました。
もちろん、シミュレーションやゲームでの学びと現場で活動にギャップはあります。とはいえ、これらの学びが意味ないわけではないと思います。
この感覚を言葉にして体系的にまとめたいなと感じたため、次回の発表では、本ゼミでの福島先生のお話を踏まえ、自身が考えたことをゲーム学習と結びつけつつ、アウトプットしたいと思います!
改めて今回、福島先生には、大変貴重なお時間をいただき、素敵な発表および対話を行っていただきました。私自身、本分野でのモチベーションがさらに高まるきっかけとなりました。
こうした機会をいただけていることに感謝しつつ、積極的に経験を活用していこうと思います。
今週のゼミ報告は以上となります。では、また来週!
P.S.
ゼミ終了後に、みんなでご飯を食べに行きました!
投稿日時: 2023-12-20 投稿者: osora
皆さんこんにちは、M2の大空です。
12月になって、本格的に寒くなってきましたね。特に朝は冷え込むので、布団から起き上がるのも一苦労です。皆さんは布団から出たくない時の解決法はありますか?
私はなかなか起き上がれないタイプなのですが、実は一発で布団から出る方法を隠し持っています。それが「Another Day of Sun」という曲をかけることです。これをかけると条件反射的に起き上がれます。皆さんの布団から出るための解決の一助になれば幸いです笑
さて、12月14日に行われたゼミ活動の報告をいたします。
発表内容は大空の研究関連論文紹介、濱田さんの文献研究、坂井先生のプレイセッションです。
【大空】研究関連論文紹介
大空は「研究者を目指さない学生に研究倫理は必要か」をテーマに、研究関連論文の紹介を行いました。
テーマの背景としては、自身の開発したゲーム/ワークショップのターゲットに「研究倫理を受講する学生」が含まれており、その中には当然研究者にならない方もいるということで、そうした学生に対してどういう意味付けができるのかということを探索するために設定しました。
関連論文から、大学生が結果を捏造する行為は悪いと認識していてもそれがなぜ悪いのかを理解していない可能性があると考えられること、社会人のコンプライアンス研修においても判断と行動は異なると言われていることが分かりました。
これらを踏まえ、今後、自身の研究倫理ゲーム/ワークショップの方向性として、市民や社会人としての基盤をつくるという視点を入れることにも取り組めればと考えました。一旦、それをゲームやファシリテーションに落とし込むことも行いつつ、さらなるバージョンアップデート進めていく予定です!
【濱田さん】文献研究
濱田さんは、文献『ルールズ・オブ・プレイ』を用いて、Minecraftをどのように定義するべきか(そもそも定義する必要はあるのか)について発表されました。
Minecraftは、一般的にゲームとして見られますが、ゲームの定義に沿うと、はたしてゲームと表現して良いのか?という疑問が生まれます。
ゲームの定義は、研究者によって様々な捉え方があります。濱田さんの発表では、それらの定義を紹介しつつ、どれに合いそうなのか/そもそも定義する必要はあるのかという観点から、研究室のメンバー含めてディスカッションを行いました。
Minecraftをどのように使うか、Minecraftの持つゲームとしての余白部分をどう捉えるかによって、その見方が異なるということが分かりました。また、文献『ハーフリアル』、ゲーム『Second Life』の時に起きた議論も参考になりそうとの声もありました。
いくらでも考えられるテーマですが、今後、濱田さんがどのようなポイントに着地してMinecraftを紹介していくか非常に興味深いです!
【坂井先生】プレイセッション
プレイセッションでは、坂井先生が開発に携わられたボードゲーム「Riskn * Taken(りすくんていくん)」をプレイしました。
“金融や投資を楽しく学ぶ”がテーマのボードゲームで、実際にプレイ中はとても盛り上がり、同時に個人のお金の捉え方や動かし方が見えて学びにもなりました。
こうした普段は学びづらいような内容をテーマにしたゲームは、学習の入り口にぴったりだなと改めて実感したとともに、ゲームをきっかけにその分野への興味の幅が広がっていけば良いなと思いました。
ゲームでは、私は犬田さんとチームを組んで、濱田さんとジョナさんを相手にプレイしたのですが、過激なお金の使い方をして無事負けてしまいました笑
ただ、このような失敗経験も現実ではできないことなので、貴重な学びになりました。またゼミの空いた時間等でプレイしたいです!
以上が12月14日のゼミ活動報告です。
それでは!
投稿日時: 2023-12-11 投稿者: osora
皆さんこんにちは、M2の大空です。
皆さんはどのような趣味をお持ちですか?私は趣味というものがないのですが、最近は何か夢中になれそうなことを探そうと色々と考えています。
今のところは、趣味としてカメラが良いかなと思っているのですが、どんなカメラが良いのか全く知らないので、まずはカメラについて学ぶことから始めています。いつ購入できるかわかりませんが、こんな感じなので、今のところはカメラ探しを趣味にしようと思います。
さて、12月7日に行われたゼミ活動の報告をいたします。
発表内容は春口さん、犬田さんの研究関連論文紹介です。
【春口さん】研究関連論文紹介
春口さんは「歴史の因果関係を現代に応用する力を育成するカードゲーム教材のデザインと評価(著:池尻良平)」の紹介を行っていただきました。
論文の選定理由としては、春口さんの修士論文におけるデータ分析方法と結果の書き方の参考にするためということでした。本論文では、知識テスト、アンケート、感想・フィードバックのデータを取っており、春口さんも同様のデータ取得を行っていたため、修論執筆にダイレクトで参考となるものだなと感じました。
春口さんは、論文からデータごとに5つの観点(目的、テスト内容、目的の評価法、評価法の裏付け、結果)を抽出し、自身の研究と照らし合わせる形で整理されていました。
結果の書き方は、私自身もとても参考になることが多く、論文の書き方のお手本的に活かせそうだなと感じました。また、データ分析に関しては、著者のオリジナリティが出る部分であるため、池尻先生の論文をベースにしつつ、春口さんがどのような分析を行うか非常に楽しみです!
【犬田さん】研究関連論文紹介
犬田さんには、下記3つの論文を紹介いただきました。どれも犬田さんの研究が必要な理由を裏付けたり、研究をさらに進めていくための材料となっていたりする論文で、私もとても学びになりました!
①Gamification of Online Surveys: Design Process, Case Study, and Evaluation(著:Johannes Harms , Stefan Biegler, Christoph Wimmer, Karin Kappel, and Thomas Grechenig)
本論文では、10代と若年成人を対象にした既存の調査にゲーミフィケーションを適用し、ゲーミフィケーションの心理的および行動的結果に関して60人の参加者を対象に評価しています。結果として、ゲーミフィケーションがユーザーの楽しさの認識、平均滞在時間、そして調査の使用および推奨意欲を増加させたことを示した一方で、全体的な応答率は低下したということが明らかとなっています。犬田さんは、この研究から、研究方法としての活用や実験における技術的な部分の参考にされるとのことでした。
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②The rise of motivational information systems: A review of gamification research(著:Jonna Koivisto a, Juho Hamari)
ゲーミフィケーションの概念に関する既存の文献を包括的にレビューした論文になっています。本論文では、現代におけるゲーミフィケーションの特徴や課題が示されており、ゼミ生全員の参考文献としても活用できそうな内容でディスカッションも深まりました。こちらの文献は、犬田さんの研究の背景として大いに活用できそうだなと感じました。
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③実験哲学入門(編著:鈴木貴之)
こちらは「実験哲学」に関する内容整理を行ったものです。犬田さんの研究テーマは「ゲーム的手法を用いたデータ収集法の開発と評価」ですが、それを考える上で実験哲学の話は切り離せません。なぜ犬田さんがこの分野でゲームを用いる必要があるのかを説得する材料になるものだと感じました。今回の発表を聞いて、ゲームであるからこそできる、これまで実現できなかった結果が期待できそうだと思いました。
以上が12月7日のゼミ活動報告です。
それでは!
投稿日時: 2023-11-02 投稿者: osora
こんにちは、修士2年の大空です。
皆さんはどうしても譲れないものはありますか?色んな切り口があると思いますが、例えばそれがダーツだとしたら、僕は一つ譲れないものがあります。ブルを狙うことです。ブルとはダーツボードの中心部を指します。しかし、ゲームルールによっては、必ずしもそこを狙う必要はなく、ブルに入れることで負けてしまう状況もありえます。ただ、僕はどうしてもブルを狙いたくなってしまうんです。ブルに入る嬉しさ>ゲームに勝つ嬉しさなのかもしれません。ゲームに負けたとしても、僕は今後もブルを目指していきたいと思います。
さて余談はこれくらいにして、10月26日のゼミ報告を行います。
発表者は大空、濱田さん、ジョナさんの3人です。
大空の発表では、修士研究で開発中の「QRP GAME」で参考にしたゲームの事例紹介を行いました。
「QRP GAME」を開発してちょうど1年が経ったのですが、これまでそのデザインプロセスを他の人にお伝えできるかたちで整理していなかったので、このタイミングでまとめるとともに、参考にしたゲームの紹介を行いました。
主に参考にしたゲームは、「Dixit」「キャットアンドチョコレート」「宝石の煌めき」という3つのゲームで、それぞれからコアとなるメカニクス、サブとなるメカニクスを抽出し、オリジナルの要素も加えて制作しました。また、制作前に行ったゲームの課題発見・定義やアプローチ選定等についてもご紹介しました。
現状、一旦プロトタイプですが、教育デザイン研究における「分析と探求」「デザインと構築」のフェーズは終わったので、今後は「評価と省察」「実装と普及」に向けて動いていこうと思います。まずは、11/18(土)にサイエンスアゴラというイベントでワークショップを行うので、そこで良い成果が出せるように努めます!
濱田さんの発表では、教育版Minecraftで実装されている化学の機能を使って、楽しみながら化学を学ぶことができる「Minecraft 化学のチュートリアル」の事例紹介を行われました。
この機能では、そもそも元素の概念が既に存在しており、化合物作成器(元素を組み合わせて30を超える化合物を作成できる)や実験テーブル(元素や化合物を組み合わせ新たな物質を作成することができる)といったアイテムが使用可能となっています。
ゲームならではの学びとして、即時的なフィードバックがありますが、このゲームでは機器を操作すると物質ができる / 誤った操作をすると爆発して廃棄物ができるというように、その結果がすぐに出るようになっています。だからこそ、現実では不可能なこともゲーム内では可能で、失敗から学ぶことができます。また、ゲームによるビジュアル化で複雑な概念の理解を促しやすいというメリットも挙げられます。
今回の発表をうけて、改めてMinecraftと科学教育の相性の良さを実感しました。濱田さんの研究では、英語教育におけるMinecraftの活用ですが、他分野の事例として紹介できるとともに、実際の教材づくりの参考にできそうな点も多いなと感じました!
ジョナさんの発表では、研究計画のより詳細な内容と今後の方向性について発表を行っていただきました。ジョナさんの研究では、モンゴル語学習を例に、小学生を対象とした少数言語・文化の学習を促すゲームの設計や開発、使用者調査を行い、デジタルゲームが少数言語・または文化の習得にどんな効果をもたらすかを明らかにすることを目的としています。
この研究目的を達成するために、参考になりそうな講義やゲーム「天穂のサクナヒメ」をご紹介いただくとともに、実際にどのようなゲームが良さそうかということも発表いただきました。モンゴル語に焦点を当てたゲーム案ではモンゴル語構造を列車のメタファーを使って表現する方向性を、文化の習得に焦点を当てたゲーム案ではモンゴル独自のチーズ作りを「天穂のサクナヒメ」のように表現する方向性を提示されました。
特に前者のモンゴル語に関しては、日本語とも英語とも構造が異なっており、純粋に言語として面白いなと思いました。そして、それを列車というメタファーを使って表現されることも感覚的でわかりやすいと感じました。今後のジョナさんの研究進捗が楽しみです!
以上が10月26日のゼミ報告となります。
それでは!
投稿日時: 2023-09-30 投稿者: osora
皆さんこんにちは。大空からの活動報告です。
今月は、9/2(土)に行われた<日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会>についてご報告します。
自身もライトニングトークセッションで参加したので、その振り返りを行いつつ、どのような発表があったかもご紹介していきます。
本研究発表大会のテーマは「拡大するゲーム空間 発展するゲーム研究」でした。そのテーマ通り、ゲームが貢献する領域や空間をさらに拡大できるような発表や企画が多くありました。
また、今回は新型コロナウイルスの感染拡大以降、2回目の対面での開催でした。オンラインではなかなか感じづらい雰囲気や対面だからこそできるゲームのデモ機も見せつつ行うポスター発表が行われ、普段出会えない人と交流を深める機会となりました。
そして、基調講演では「新しい文化としてのeスポーツ」として、東京都eスポーツ連合会長の筧 誠一郎氏に語っていただきました。eスポーツへの注目が集まっている中、あらためてeスポーツとは何か、その魅力、面白さ、可能性について考える機会を得ることができました。
eスポーツに関しては、これまで研究対象として見ていなかったのですが、今回の講演を聴いて、自分のテーマとも結び付けられるのではないかと考えることができ、「拡大するゲーム空間 発展するゲーム研究」というテーマに沿う学びが得られました。
そして、発表に関しては本当に様々なテーマがあり、聴く側も非常に有意義で学びの多い時間となりました。
個人的には、今回の研究発表大会では、普段あまり触れていない分野・領域の理解を深めようと考えており、「中国におけるゲームの在り方」や「ゲーム資料の保存」に関する発表を中心に聴いていました。
大会予稿集やプログラムに関しては、こちらのURLから確認できますので、ぜひ御覧ください!
https://easychair.org/cfp/DiGRAJAPAN-2023Summer
最後に、冒頭でもお伝えした通り、大空はライトニングトークセッションにて発表を行いました。
今回が初めての学外での発表ということもあり少し緊張していたのですが、藤本先生、財津先生、坂井先生、犬田さんが会場に来てください、リラックスしていつもの調子で発表を行うことができました。
様々な分野の方から意見や質問をいただけたことは、自分の研究を前に進めてくれることにも繋がり、自分自身にとっても良い経験になりました。
今後も、日本デジタルゲーム学会をはじめ、他の学会にも積極的に参加して発表というアウトプットを重ねて行きたいと思います。まずは、2月頃に次回の日本デジタルゲーム学会が開催されるため、そこに向けて準備を進めていきます!
以上が、報告となります。
夏休みも終わり、10月からAセメスターが始まりますが、体調には気をつけて、引き続き研究を進めていきたいと思います。
それでは!
投稿日時: 2023-08-31 投稿者: osora
皆さんこんにちは。大空からの活動報告です。
今月は、先週末に行われた<夏休み親子ゲームジャム2023@東京大学>についてご報告します。
2日間どのような活動が行われたのか振り返りつつご紹介していきます。
※ゲームジャムとは、初対面の人と一緒に短時間でゲームをつくるというイベントです。
【1日目】ゲームプレイによるインプット
1日目は、実際にゲームをプレイすることがメインでした。
ここで、共通のゲームプレイの体験を経ることで、共通言語を持った状態でゲーム制作に取り組むことができます。ゲームを通してお互いを知る機会でもあるので、ゲームを楽しんでいるうちに、徐々に緊張が解けていった様子も見られました。
またゲームプレイの合間に、親御さんにはゲーム制作や創造性に関する導入講義を、お子さんにはチャレンジゲームに取り組んでいただきました。本ワークショップは、財津さん(研究員)の研究としての面もあり、その効果や新たな発見に関しては、今後報告される予定です。
ちなみに、僕はチャレンジゲームの進行も務めたのですが、子ども達の豊かな創造性や感性に触れることができ、自分にとっても学びが多かったです。
最後に、本ワークショップでつくるゲームのテーマ「地球温暖化」が発表され、皆さんどのようなゲームをつくろうかとお話されながら1日目を終えました。
【2日目】ゲーム制作によるインプット
2日目は、いよいよゲームを作る本番です。外部からゲームデザイナーの方もお招きし、2〜3組の親子でグループを結成し制作に取り組みました。
午前中は、どのようなゲームをつくるか全く見えない状況から「地球温暖化」というテーマに対する課題を発見し、その中から具体的にコンセプトをつくることを目指して、付箋やフローチャートを使いながらアイデアを整理していきました。
どんな内容を知ってほしいのか、それをどの程度学んでもらいたいのか、どのような場面で遊んでもらいたいのかなど、具体化させていくことで、ゆるぎないコンセプトをつくることに励みました。
午後からはどのグループも、そのコンセプトに従って、昨日プレイしたゲームに基づいたルール構築とプロトタイプの制作に移りました。
しかし、ここで最も多くぶつかる課題がゲームが面白くない、現実っぽくならないということです。ここからは、改めてコンセプトに立ち戻り、ゲームと照らし合わせながら改良を加えていく必要があります。
かなりハードは作業ですが、親御さんはもちろん、お子さんもしっかり改善のアイデア出しを行い、どんどんブラッシュアップされていきました。
制作したゲームの発表時間になる頃には、どのチームもテストプレイを繰り返し、しっかりと遊べる状態になっていました。
実際に、他のグループのゲームを遊んだ子ども達からは「楽しかった」「もう一度遊びたい」という声もあり、すべてのチームがゲーム制作を行うことができました。
丸一日、普段使わない頭を使って皆さんかなりお疲れのようでしたが、しっかりとやりきった達成感に満ちた表情をされていました。
以上が、報告となります。
僕個人としては、2年目の参加ということもあり、よりオペレーショナルな部分でもさらに良くなったと実感しています。
また来年行われることが楽しみですし、藤本研究室では親子ゲームジャム以外にもマインクラフトを使ったワークショップも行っています。
こうした場で皆さんとぜひ直接お会いできればと思うので、研究室ブログもときどきチェックしてみてください。
それでは!