カテゴリー: Lab news

【7月18日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-07-26   投稿者:   ziminmo

皆さんこんにちは、修士1年の莫です。

充実な生活を過ごして、そろそろ今学期最終回のゼミ報告になります。今回は研究生たちの活動成果報告と、ゼミ生たちの研究進捗・夏季活動計画発表です。

では、早速ご報告させていただきます!

斉さんは研究計画の検討・深化を続けていきました。前回のサブゼミで先生から投げかけられた質問に基づいて、「なぜTOEICを研究対象に選んだのか」という研究背景を要約して、いくつかの研究質問から掘り下げて文献研究を通じて、デジタルゲームを用いた言語学習(Digital Bame Based Language Learning, DGBLL)の現状をより深く分析することを期待しました。ゲームデザインと妥当性テストについては、プロトタイピングでの要素を挙げて、それに対して解決策も提案しました。夏休みでは、DGBLLの文献調査を中心に活動しながら、研究計画書の作成に取り組む予定です。

今学期、ジョナさんはさらに研究計画をブラッシュアップして、CLD児(Culturally Linguistically Diverse Children)を今後の研究対象として絞り込みました。日本における継承語の問題点から、日本でのモンゴル語教室に質的調査を通して、CLDの子どもたちの言語学習の現状を把握しようとしています。また、その改善策として、継承語のシリアスゲームを開発して、有効性を評価する予定もあります。そして、今学期の活動報告としては、ジョナさんはデザイン関連の講座を多く履修して、figmaの使い方を学んだり、さまざまなゲームをデザインしたりしていました。

莫さんのこの夏休みでのメインタスクは、先週のプレイセッションで全員に体験して頂いた本郷巡り謎解きの制作、そして9月の遠征計画で口頭発表される予定のMMGレビューの2本です。この2ヶ月でいっぱい読んだり書いたりするのが必要があるので、自分の計画に従って完了できるように頑張ります!

犬田さんの進捗・活動計画発表は、まず修士研究の中間報告を中心として始ましました。従来のWEBアンケート調査は効率が低下しているという問題があって、ゲーム化は効果を上げることが証明されていました。しかし、これまでの調査ではゲーム開発に多くの時間を必要して、研究対象の問題も単一的であった。先行研究の問題点を解決するために、生成AIを活用したシナリオプロンプト型WEBアンケートを開発し、それを評価することで、先行研究の問題点に対して可能な改善方法を提示しようとしています。 現在、犬田さんの研究は倫理審査の段階で、承認後に調査を開始してデータを分析する予定です。夏休みの活動計画としては、多くの学習プログラムに参加するだけでなくて旅行・ゲーム等も予定されていて、すごく充実した2ヶ月になりそうな予感がします。

大空さんは図表を使いながら、今学期の成果と現在取り組んでいるいくつかの課題を見せてくれました。今学期の成果としては、社会調査とai倫理の2つの授業で研究倫理に関連するトピックについて研究を行いました。そして、サブゼミで研究要旨と背景を洗練させたことも上げられました。そこから修士研究で使えるデータにより多くサポートできると望んています。また、REPLAYING JAPAN、サイエンス・アゴラと遠征プログラムの準備も推進しているそうです。

ゼミの後は、福島先生の特任研究員満了と名誉教授就任お祝い会+研究室納涼会で、研究室のみんなで福島先生と合流して食事に行きました。福島先生、おめでとうございます!

それでは、今回のゼミ活動報告は以上となります^^

最後にお知らせですが、8.5~8.8の長崎シンポジウムでは、斉さん・ジョナとん・莫が一緒に、最前線記者として最新情報をお届けします。是非ともラボニュースをご一読ください。

皆さん、お疲れ様でした!

【7月11日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-07-19   投稿者:   jona

皆さんこんにちは!研究生のジョナです。

今回のゼミでは、坂井先生の研究員発表と莫さんのプレイセッションの2本立てで行いました。それでは早速、ゼミ活動のご報告に移りたいと思います。


坂井先生:研究発表

坂井先生は「死と喪失をテーマにしたゲームの影響」について研究発表を行いました。若者の自殺は他の年齢層に比べて多く、近年では増加傾向にあります。その一因として、自分の命に対する態度、すなわち死生観の欠如が挙げられます。このため、死生観に影響を与える要因の検討は極めて重要です。

従来、死生観の空洞化については、伝統儀礼からの離脱や大衆娯楽文化の影響が指摘されており、特に死を繰り返すことができるゲームが死生観を揺るがしているのではないかという意見がありました。しかし、ゲームでの死の繰り返しが現実世界との混同を引き起こすという指摘に対しては、ゲームは現実世界と切り離された空間であり、若者は混同していないという反論もあります。

坂井先生は自身の研究で、ゲーム(殺傷表現のあるゲーム)がどのように死生観に影響を与えているかを検討しました。そして、適切な使用モデルを提示することで、若年層のWell‐Beingに貢献することを目指しました。この研究では大学生と短期大学生を対象に、バトルロイヤル形式のゲームのプレイ時間と死生観の関係を分析しました。その結果、殺傷表現のあるゲームのプレイ時間が長い若者は、短い若者に比べて死への恐怖・不安が低く、人生の目標意識が低い、死後の世界観が希薄であるという結果が得られました。

このことから、ゲーム自体が死生観に影響を及ぼすのではなく、ゲームとの接し方が関連していると推測できます。適切な指導を行い、現実世界での習慣や活動への参加を推進することで若者の死生観を育み、自殺予防につなげることが可能と考えられます。

発表後、ゼミメンバーで活発な討論が展開され、プロゲーマーなど異なる背景を持つ対象者についての検討、死を積極的にとらえるゲームの効果についての検討など、様々な見解が提示されました。


莫さん:プレイセッション

莫さんからは、自分の設計した室外謎解きゲームのテストプレイを行いました。このゲームはキャンパス内の建物やスポットでヒントを探し、チームで協力して謎を解く内容でした。

私はこのゲームを通じて、学校に関する新しい知識や今まで知らなかったスポットを知ることができました。建物を観察し、歴史などの関連知識を得ることもでき、校内をゆっくり散歩するには最適なゲームだと思いました。

今回のテストプレイを通して、レベルデザインや安全性の確保、言語の適切性などについて先生方から非常に有益な意見がありました。この経験を基に、進化したゲームの完成が楽しみです。ゲームの完成版は来学期の制作展で公開されるとのことです。皆さんもぜひお楽しみください!

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今回のゼミ活動報告は以上となります。

お読みいただきありがとうございました!

【7月4日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-07-11   投稿者:   inuda

みなさん、こんにちは!修士2年の犬田悠斗です。

7月4日のゼミ活動では、斉さんの関連論文紹介と研究室企画「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」のミーティングが行われました。

今回は、報告内容が2つだけと短くなりそうなので、余った紙幅を使わせていただいて、はじめに私の研究関心について書かせてください。


私は、「ゲームを基盤とした社会(Game Based Society)」を目指して研究を行っています。

え、「ゲームを基盤とした社会(GBS)」ってなに?と多くの人が思われたと思います。

この「ゲームを基盤とした社会(GBS)」とは、多くの人がゲームを通じて社会貢献している社会のことを指しています。具体的には、多くの人がゲームをすることで、研究やボランティア活動に貢献し、社会を支えているような世界のことです。

このビジョンを目指そうと思ったきっかけは、ジェイン・マクゴニガル著の〈幸せな未来は「ゲーム」が創る〉で紹介されていた『Foldit』というゲームでした。『Foldit』とは、遊ぶことでタンパク質の折りたたみ構造の解析に貢献できるゲームです。このゲームを知った時に、「ゲームを遊んでいたら、勝手に社会貢献に繋がるってめっちゃ面白いな」と思いました。しかし、このゲームを実際に遊んでみると、「あまり面白くない」(個人的に)。そこで、より面白い、社会貢献のゲームを作り、この考えを広めたいと思い、「遊んでいたら勝手に社会貢献に役立つゲーム(クラウドソーシングゲーム)」の研究を始めました。

そして、現在、この社会貢献に役立つゲームの開発などを通じて、「ゲームを基盤とした社会(GBS)」の実現を目指しています。「ゲームを通じて社会をデザインする」って、すごく魅力的じゃないですか。

ただ、これだけでは、「ゲームを基盤とした社会(GBS)」や「社会貢献に役立つゲーム(クラウドソーシングゲーム)」について何を言っているかわからないという方も多いと思います。

「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」では、これらについてより具体的な話をしたいと考えています。そして、開発したゲームの試遊もできます!少しでも興味のある方は、ぜひ現地でお話させてください!

「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」の参加は、こちらから!

さて、長々と語ってしまいましたが、以下からゼミ活動の報告に移ります。


【斉さん】関連論文紹介

斉さんは、下記の論文を紹介されました。

Govender T, Arnedo-Moreno J. (2021) . An Analysis of Game Design Elements Used in Digital Game-Based Language Learning. Sustainability, 13(12), 6679. https://doi.org/10.3390/su13126679

この研究では、デジタルゲームベースの言語学習(以後、DGBLL)における5つのリサーチクエスチョン(以後、RQ)が立てられています。そして、それらをもとに、ゲームデザイン要素に関して、DGBLLに関する論文のレビューが行われています。

1つ目のRQは、「 DGBLLにおいて最も頻繁に使用されるゲームデザイン要素は何か?」です。このRQについては、フィードバックシステム、テーマと物語、ポイントまたは経験値、レベルと進行度合いの可視化が 最も頻繁に使用されていることが示されていました。

2つ目のRQは、「特注のゲーム、市販のゲーム、娯楽用ゲーム、教育用ゲームの間でゲーム要素にはどのような違いがあるか?」です。このRQについては、娯楽用ゲームと教育用ゲームで、ゲーム要素の量に大きな違いがあり、前者の方がゲーム要素が多いことが示されていました。また、特注のゲームと市販のゲームでは、前者の方がゲーム要素が多いことが示されていました。

3つ目のRQは、「特注のゲームと市販のゲームで、特定の年齢層における結果への影響に違いがあるか?」です。このRQについては、小学生以外では、市販のゲームの方が多く使用されていることが示されていました。ただし、年齢層で論文数に大きな違いがあるため(就学前、中学生が少ない)、就学前、中学生に対するより多くの研究が必要であることが指摘されていました。

4つ目のRQは、「言語技能に関するデザイン要素の間には違いがあるか?」です。このRQについては、語彙の獲得と保持でゲームの使用が最も多く、インプットとアウトプットでゲームの使用が少ないことが分かりました。また、コミュニケーションスキルで使用されたゲームが、最も多くのデザイン要素(ソーシャルディスカバリーなど)を含んでいることが分かりました。

5つ目のRQは、「DGBLLアプリケーションで潜在的な効果を示したあまり使用されていないゲームデザイン要素は何か?」です。このRQについては、評価のためのボスバトルや収集・交換などが挙げられていました。

斉さんは、この論文のRQをもとに不明瞭な箇所を分析し、より精緻なRQを立てられていました。この論文はDGBLLにおけるゲームデザイン要素のレビュー論文であり、今後の斉さんの研究で大いに役立つだろうと思いました。


■研究室企画「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」

8月6日(火)・8月7日(水)に長崎市中央公民館で開催する「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」のミーティングを実施しました。ミーティングでは、プログラム概要や会場の設備などについて話し合いました。

「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」では、ゲーム学習分野を中心にさまざまな研究成果を発表します。特に注目のセッションとしては、小学校教諭で、エデュテイメントプロデューサー の正頭英和氏と藤本徹先生らがパネルディスカッションを行う〈『桃太郎電鉄 教育版』事例研究シンポジウム〉やプロマインクラフターのタツナミシュウイチ氏を講師としてお招きする〈『教育版マインクラフト』特別講演セッション〉があります。

加えて、〈教育版マインクラフトで創る未来の学び:教育効果と実践事例〉という題目で、Minecraftカップ運営委員会ディレクターの土井隆氏に講演を行っていただきます。もちらん藤本研究室の研究員や大学院生の研究成果を中心とした、興味深い発表もご準備しております。

「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」の参加は、こちらのフォームから!

また、8月4日〜8日に長崎市役所で開催される「ミライの平和活動展 in 長崎 〜テクノロジーでつながる世界〜」に連動した企画セッション「戦争とゲーム」を8月6日(火)15:30〜16:30に長崎市役所多目的ホールで行います。

ミライの平和活動展 in 長崎の詳細についてはこちらのウェブサイトをご覧ください。

みなさんとともに、「ゲームの遊びと学びの未来」について考えられることを心から楽しみにしております。では長崎で!

以上が、7月4日のゼミ活動報告です。ぜひ、来週のゼミ報告記事もお読みください。

それでは!

【6月27日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-07-04   投稿者:   osora

こんにちは、修士2年の大空です。

今週のゼミ活動について、報告いたします。今回は、莫さんによる文献研究、ジョナさんによる研究関連論文紹介、犬田さんによるプレイセッションの3本立てでした。

どの発表からも皆さんの研究進捗が伺える素敵な内容だったので、以下でそれぞれについて紹介したいと思います。


莫さん

莫さんは、チームの共有情報と未共有情報のバイアスにおけるInformation Sampling Modelの文献研究を行われました。

文献のテーマは「Information Sampling and Adaptive Cognition」のChapter 13「Information Sampling in Group Decision Making:Sampling Biases and Their Consequences」というものです。

専門的な内容ではありましたが、金魚すくいにおけるチーム戦を例に、分かりやすく解説していただき、当分野について、研究室メンバーの理解も深まったと思います。こうした分野の話はなかなか触れる機会がないため、個人的に学びの多い内容でした。

この文献から、莫さんは、自身の研究テーマである未共有情報を実体化とする手段としてのMMG(マーダーミステリーゲーム)について考察され、着実に研究が進んでいる様子が伺えました。ゲームデザイン時における厳密な設計のアイデアとして上手く使えそうです。

また、共有情報と未共有情報の配分については、ゲームデザインの観点から、研究室メンバーでディスカッションも広がり、今後の莫さんの研究にも寄与する内容が話し合われたので、今後の進捗も楽しみです。


ジョナさん

ジョナさんは、CLIL(Content and Language Integrated Learning)という概念に着目し、関連論文発表を行われました。

関連論文のテーマは「Content and language integrated learning through an online game in primary school: A case study」というものです。

CLILとは、教科科目やテーマの内容(content)の学習と外国語(language)の学習を組み合わせた学習(指導)の総称を指します。これは、ジョナさんの研究をより一層充実させる理論的枠組であるような印象を抱きました。

また、このCLILとGBL(ゲーム学習)の関係について、ジョナさんは考察されていました。具体的には、GBLは外国語学習に効果的で学生のエンゲージメントと動機づけを高めることができ、CLILも同様に、言語使用に目的と意味不安を軽減し興味と動機づけを高めるとされているため、共通の部分があることがわかりました。

その上で、では学習環境をどう設計すればいいのかという観点で、言語学習ゲームのインストラクショナルデザインが他分野とどう違うのかについてディスカッションが深まりました。ジョナさんは理論と実践の両方を行われているので、それらが上手く紐づいていくことが楽しみです。


犬田さん

犬田さんは、修士研究で開発中のゲーム「Free Will 自由意志と道徳的責任」を実践されました。

これは、実験哲学におけるゲーミフィケーションを活用したWEB調査で、ゲームを楽しんでいるうちに自然と社会課題解決に寄与するクラウドソーシング型のゲームです。

プレイセッションでは、内容は同一である、従来のWEB調査とゲームによる調査の比較を行いました。研究室メンバーを2つのグループにわけ、従来のWEB調査→ゲームによる調査を行う群と、その逆の群で行い、お互いの感想をシェアしました。

率直に、体験としてゲームの方がより豊かで、没入感あるものだったということが共通の感想として見出されました。また、これまでの発表で行われたゲームデザインやUIの内容が盛り込まれていたことも良かった点で、個人的に犬田さんのこれまでの研究活動が詰まった内容だったと思います。

これから犬田さんは修士の中間報告会がありますが、十分魅力的に感じる研究だと思うので、ぜひ頑張っていただきたいです。また、今後、外部の発表において、このゲームを触れられる機会があるので、関心のある方はぜひ引き続き情報をチェックしていただければと思います。


今週のゼミ報告は以上となります。それでは!

大空

【6月20日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-24   投稿者:   hamada

こんにちは、修士2年の濱田です。今週も充実したゼミが行われましたので、報告いたします。今回は、大空さんによる関連論文研究、犬田さんによる事例研究、木村さんによる研究員発表の3本立てでした。

大空さん

大空さんは、「技術者倫理教育におけるケーススタディの有効性」をテーマに発表してくださいました。大空さんは先日、自身が研究で設計している倫理教育のためのゲームを使って研修を行ったそうなのですが、果たしてそれが本当に教育に有効なのか疑問に感じ、文献を通してその有効性を学ぶことを目的として、倫理教育の手筈や導入方法について説明しました。

倫理教育は、倫理学の歴史や様々な倫理理論の知識に加え、ケーススタディによる学習が重要となるようです。大空さんは、特にこのケーススタディの部分をゲームによって楽しく学べるようにできればとおっしゃっていました。

今回の文献研究によって、大空さんの研究の位置づけを再度明確にするような発表だったと感じました。

犬田さん

犬田さんは、「アナザーコード リコレクション:2つの記憶/記憶の扉」というゲームを事例研究として取り上げて発表してくださいました。このゲームは、3Dのゲーム世界を探索し、謎や仕掛けを解きながら、ストーリーを進めていくゲーム(アクション×ノベル)だそうです。

今回の発表では、このゲームのUIデザインに着目し、プレイヤーの視線を集める背景のフレームや、キャラクターの会話エフェクト、選択肢選択時のインタラクションについて詳しく解説してくださいました。犬田さんは、このゲームのUIを参考に、自身の研究で制作しているゲームのUI設計を進めています。ゲームのデモも披露してくださいました。完成が楽しみです。

木村さん

木村さんは、「ゲーム心理学」をテーマに発表してくださいました。ゲーム心理学という言葉はあまり学術的には一般化していないそうですが、木村さんはゲーム心理学を確固たる研究分野にすべく、研究を行ない、そしてこれからも研究をひろげていきたいとのことでした。発表の中では、ゲーム心理学を、ゲームスタディーズと心理学を融合した学問分野で、ゲームのプレイヤーの心と行動を実証的に扱う科学的な分野と定義していました。この分野では、ゲームとは何か、ゲームはプレイヤーにどのように影響するのか、ゲームが私たちの生活にどのように役に立つのかという3つの問いを掲げ、それらに応えることを目指すとのことでした。

ゲーム心理学というテーマに対してゼミ生から質問や意見があがり、木村さんも有意義な発表になったとおっしゃっていました。


今週のゼミ報告は以上となります。では、また来週!



【6月13日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-20   投稿者:   qikeyi

皆さんこんにちは、研究生の斉です!
今週のゼミでは、研究の進捗報告を行いました。


M2 犬田さん

犬田さんは、「実験哲学におけるゲーミフィケーションを活用したWEB調査の開発と評価」に関する研究計画を発表しました。また、犬田さんは研究過程で実践を非常に重視しています。「MDAモデルに基づいたフォームデザインプロセス」に基づいて、自身の研究内容に合わせて、以下の研究ステップをまとめました:
1.シナリオを考える
2.シナリオから画面構成を考える
3.画面構成からゲーム要素を考える
4.画面構成とゲーム要素から必要な素材を考え、作る
5.必要な素材から成果物を構築する
6.都度修正、ブラッシュアップ、デバッグ

第4ステップにおいて、ChatGPTの使用に関して、藤本先生は著作権問題に特に注意するよう指摘しました。また、藤本先生は犬田さんに計画を順調に進めるように励まし、研究計画にもっと理論的な支援を加えることを期待しています。

M2 大空さん

大空さんから研究の進捗をシェアしていただきました。
QRPゲームを題材として研修活動を開催し、「R&D従事者に必要とされる倫理感やリスクマネジメントについて再認識を図る」と「R&D従事者として知見と視野を広げる」ことを目的とした活動を行いました。この研修活動では、「著者の追加」、「生成AIを用いた調査」、「研究予算の申請」という三つのテーマを取り上げて、それぞれのケースを開催しました。

そして、実施中評価、事後評価、遅延評価の三つの評価方法を使用しました。この研修の評価手法は非常に豊富であり、量的および質的な要素がうまく組み合わされています。また、大空さんは今後の計画についても詳細に説明してくださいました。

大空さんの研究は、研究の現場だけでなく、多様な分野での論理教育においても、重要な意義を持つと思いました。

研究生 斉

今週発表した内容は英語学習ゲームのアイデアです。このゲームでは、魅力的な美少女キャラクターをデザインし、同時にroguelikeゲームのランダム性を活用し、プレイヤーがランダムなユニットと主人公との対話を通じて彼女を知り、英語を学ぶことができるようにしたいと考えています。

研究室の皆さんから多くのアドバイスをいただきました。木村先生と藤本先生は、現在のこのモデルは伝統的なroguelikeゲームとはあまり似ておらず、ランダム性のデザインは必要ではないように見えると指摘されました。プレイヤーに繰り返しプレイしてもらうためには、さらなる努力が必要であるとのことです。

莫さんはいくつかのクラシックな肉鳩ゲームを例に挙げました。ジョナさんはTOEICの知識を目標にするのが適切だと考え、具体的なアドバイスもいただきました。
このアイデアにはまだ多くの課題がありますが、皆さんの助言を得て、前進する方向が見えてきました。

M1 莫さん

莫さんはMMG(Murder Mystery Game)の研究進捗について説明しました。
莫さんはまず研究の背景部分を調整しました。実証研究のサポートが不足していると考え、そのために実証データを含む文献を追加しました。

研究の設計において、莫さんは自身の初めての試みとして、読んだ実験の流れを基に初めてのワークショップを設計する予定です。このワークショップは、外部要因と心理的健康との関連を理解するために開かれる、一般向けの研究会です。莫さんは文献の流れは変えず、内容だけを変更するつもりであり、これにより研究の適切性も高められるでしょう。莫さんは同時に研究計画を更新し、心理学教育を焦点として、謎解き、防災教育TRPGの開発に取り組んでいます。

藤本先生は、研究計画のタイトルに医学用語が含まれていることを指摘し、科学普及効果の負担が増える可能性があるため、適切に調整するよう助言されました。
莫さんのゲームを本当に楽しみにしています!

研究生 ジョナさん

Jonaさんはモンゴル語教育の研究を進めています。Jonaさんは今学期の文献発表とゲーム活動の経験をまとめ、現在は「動物なまえゲーム」と「文字ゲーム」の設計を改良しています。Jonaさんは継承語を学習する理由について常に考えており、文字の学習だけでなく、言語と文化の交差点を感じることを目的としています。また、モンゴル語ゲームのデジタル版についても探索中です。

先週のプレイセッションでは、研究室の皆さんと一緒に「文字ゲーム」を体験しました。本当に素晴らしい思い出であり、新バージョンの発表を楽しみにしています。


みなさん、それぞれ研究テーマに向けて頑張っていますね。

今後の時間がスムーズに進展することを祈っています!

【6月6日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-13   投稿者:   jona

皆さんこんにちは、研究生のジョナです!

今回のゼミ活動は、プロマインクラフターとして名高いタツナミシュウイチ先生のゲストセッションでした。前半は講義と質問コーナー、後半は教育版マインクラフトでの実況プレイを通じて、タツナミ先生はマインクラフトが教育にどのように活用されるかを具体的に示してくださいました。

前半:講義&質問コーナー

講義部分では、タツナミ先生が自己紹介をし、マインクラフトとの出会いや現在の仕事に至った経緯を話してくださいました。マインクラフトはCave Gameというゲームから始まり、後に様々な機能も拡張され、教育と深く関わるようになりました。マインクラフトの教育上の可能性は多岐にわたり、言語、情報、化学、歴史、建築、更に特別支援にも役立っています。これらはタツナミ先生自身の経験や活動を通じて検証されてきました。

従来の教育は暗記中心でしたが、これからは思考して応用できる教育へと変わっていくでしょう。学びを将来に繋げることは非常に重要であり、子供の頃にはその価値が分かりにくいため、楽しいものにする必要があります。また、マインクラフトをただの消費で終わらせず、子供の創造性に繋げることも非常に重要です。

タツナミ先生は自身のいくつかのプロジェクトを紹介してくださいました。例えば、JAXAとの共同プロジェクト「Lunacraft」では、マインクラフトで月面の環境を模擬したワールドを作成し、現実に即した重力や環境、月面での活動条件が再現されています。月面のリアルさが高いため、全世界で有名になったそうです。特に驚いたのは、月の表面に存在するレゴリスのブロックがなかったため、新たに作ったという点です。タツナミ先生はどのプロジェクトでも「誰かのために何かを作る」という心を持って行動しており、その心が教育の最も重要な部分だと私は感じました。

新しいメディアや娯楽の手段がどんどん現れる中で、大人はどのような態度を持って教育者として立つべきかが重要です。マインクラフトを楽しむ子供たちに対して、その探求心と好奇心を応えるために、大人も一緒に取り組むことで、変化する環境に柔軟に対応できる次世代が育つでしょう。タツナミ先生の教育者、プレイヤー、プロマインクラフターとしてのご知見を拝聴できたことは、とても大きな学びと経験になりました。

質問コーナーで特に興味深かったのは、マインクラフトやマインクラフトでのモノづくりに慣れていない子供たちに対して、どのように興味を引くかという質問への回答です。YouTubeやショートビデオが日常生活に溢れる中で、子供たちの好きな配信者がマインクラフトを使って何かをすると、それは一つの入口になることができます。このような導きにより、まずはプレイヤーとしての楽しみを体験し、次第に創造性を発揮し、さらには学びへと発展していくことが可能となるでしょう。

後半:「教育版マインクラフト」実況プレイ

実況プレイ部分では、タツナミ先生のプレイを現場で観るという機会に恵まれ、マインクラフトでどのような偶発的学びが生じるか、また学習ワールドではどのように学びがアレンジされているかを体験しました。例えば、以前ゼミでも紹介された化学ワールドでは、元素を構成したり化学物を作成したり、物質を元素に還元することなどができます。同じ成分と思われがちなダイアモンドと石炭は実は還元されると違う成分になっていました。このように、マインクラフトでは非常に細かく現実が再現されており、それが遊びを通して自然に身につく知識となります。

また、タツナミ先生は教育版マインクラフトで「脱酸素ワールド」と「金融学習ワールド」の2つのワールドを紹介してくださいました。いずれのワールドからもマインクラフトの膨大な可能性が感じられました。ゼミ後のお食事の際にも、タツナミ先生からいろいろなお話を聞けることができ、非常にありがたい時間を過ごせました。

今回の講演で紹介された内容を皆さんにもシェアしたいと思い、以下にURLを共有します。興味深い内容ばかりですので、ぜひご覧ください!

Lunacraft:https://edu.jaxa.jp/contents/other/game/LUNARCRAFT/

脱炭素ワールド:https://cn-tokushima.jp/

金融学習ワールド:https://www.promise-plaza.com/qof/


最後、金曜日に参加した講演会について少しご紹介できればと思います。東京大学B:AI Global Forumから主催したインタラクティブ講演会で、トロント大学のPaolo Granata氏がMarshall McLuhanのメディアの法則をご紹介し、後半ではMcLuhanの理論を用いたボードゲームを体験させてくれました。McLuhanのメディアの法則では、あらゆるメディア(人工物)には強化(EXTEND)、衰退(OBSOLESCE)、回復(RETRIEVE)、反転(FLIP/REVERSE)という4つの内在があります。メディアをこの四つの角度で分析することもあれば、四つの角度から新たにメディアを考え出すことも可能であるのがとても不思議でした。

この法則をボードゲームに具現化したものがPaolo Granata氏のThe MediuMです。プレイヤーはカードに書かれたメディアをいずれの側面で分析し、チームメイトがその中心となるメディアを当てるというルールです。具体的に言うと、私はVRというカードを引き、「このメディアは【場所】の回復である」と発言します。チームメイトはそれをヒントに「そのメディアはVRだ」と答え、チャレンジに成功します。ゲームの結果、チームの皆様と協力しながら優勝し、McLuhanの名言「The Medium is the Message」が書かれたTシャツをいただきました。

さて、ここまでお読みいただき、大変ありがとうございました。今回のゼミ報告は以上になります。

暑い日が続きますが、皆さんお体に気をつけてください。

では、Bayartai!

【5月30日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-06   投稿者:   ziminmo

みなさんこんにちは!M1の莫です。
5月30日に行われたゼミ活動をご報告させていただきます。
今回は濱田さんの進捗報告+関連論文紹介、大空さんの文献研究とショナさんのプレイセッションでした。

濱田さん:進捗報告+関連論文紹介

 濱田さんは先週主催したMinecraftワークショップについて、感想と学びを共有してくれました。Minecraftを通じで小学生ができる限り英対話をすることを試みましたが、単にMinecraftをプレイするだけでは英語を話す動機付けが不十分であることが分かりました。これを解決するために、具体的に「何が達成されるのか」を示す・明確に基準を設定することで、生徒たちに動機づけを向上させながらコミュニケーションに迫ると考えられました。

関連する論文も紹介しました:
Çeliktürk, H., & Bektaş-Çetinkaya, Y. (2023). The impact of a digital game on EFL students’ willingness to communicate in English. Eurasian Journal of Language Teaching and Linguistic Studies, 3(1), 317-333.

 この論文では、Minecraftを通じて高校生の「英語で話す意欲(Willingness to communicate, WTC)」が対面とオフラインの両方で向上することが実証されていました。続いて、WTCの分類と要素についても解説してくれました。論文研究とワークショップでの実体験を比べた結果、論文では学生の英語を話す意欲が高まったのに対し、ワークショップではそうならなかった理由として、実験対象の英語レベルの差・Minecraftの利用方法・環境なと、様々な要素の違いが考えられました。研究室のメンバーとのディスカッションを通じて、ワークショップで学生たちの「英語で話す意欲」を高めるための改善策も提案されました。

大空さん:文献研究

 大空さんは、福島先生の「正統的周辺参加」の概念をゲームデザイン理論と結びつけ、企業内教育における実践的な方法について考察ました。文献「ルールズ・オブ・プレイ:ゲームデザインの基礎」の「魔法円」と「主要図式」を通じて、学習とゲームの関連性を明確に示しました。

 正統的周辺参加とは、社会的な実践共同体への参加を増すことが学習であるという考え方です。これに対して、現場では学習に必要な「ゆとり」「タイムリーな教授」「失敗への寛容」が欠如しているため、効果的な学習が困難であるという論点があります。今回大空さんが紹介した文献は、ゲームが提供する「魔法円」での学びは、この課題を解決する一つの案として考えられます。

 「時間的制約」「経済的制約」「法的制約」の制約を取り除く手法として、シミュレーションやゲームを活用することの重要性を強調しました。特に、ゲームの「魔法円」は、特定のルールから特別な空間を提供し、プレイヤーが失敗を怖くないで学べる環境を作り出します。また、ゲームデザインの図式における「ルール」「遊び」「文化」の関係性を通じて、企業内教育における学習の実験的領域を検討しました。福島先生の「正統的周辺参加」理論を具体的な企業内教育の文脈に応用し、ゲームデザイン理論との関連性を明確に示したことですごく勉強になりました。

ジョナさん:プレイセッション

 ジョナさんが紹介したボードゲームは、モンゴル語の授業で遊んだボードゲームです。モノポリーのメカニズムを参考にしていて、「他人が購入したアルファベットを避ける」をゴールに単語を思い出して、自分のアルファベットを購入するというゲームです。


 特に面白い点は、時間制限の中で、つい他のプレイヤーが購入したアルファベットを使ってしまい、ポイントを支払わなければならないことと感じました。また、どうやって他のプレイヤーを誘導し、彼らに自分の購入した英語の単語を言わせるかと、ほどんどのアルファベットが購入された後にどうやって自分の損失を最小化するか、ゲーム戦略性も非常に高いと思います。
 このようなブレインストーミングの中で、参加者全員が非常に多様な英単語を思いつきました。遊びとして楽しむだけでなく、英語の語彙力を増やし、クリエイティブな思考も生み出せると思います。ジョナさんの紹介から、言語学習の新しいアプローチとして、このゲームの可能性を感じました。

これで、今回のゼミは以上になります……?

まだです!
そして、いよいよ研究室のみんなが準備した秘密のサプライズイベントです!
🎉藤本先生、お誕生日おめでとうございます!!🎉


【5月23日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-05-30   投稿者:   osora

こんにちは、M2の大空です。

今週はゲストセッションとして、福島真人先生にお越しいただき、「ハイリスク環境での学習」というテーマで、ディスカッションを行いました。

福島先生には、とても刺激的な発表を行っていただき、新たなアプローチで自分たちの研究分野および研究テーマを考えるきっかけになりました。

本記事では、その内容を少しご紹介できればと思います。

福島先生:ハイリスク環境での学習

福島先生の発表では、切り口の一つとして「正統的周辺参加」を提示していただきました。

正統的周辺参加とは、社会的な実践共同体への参加の度合いを増すことが学習であると捉える考え方のことを指します。

この考え方には、課題として、現場(特にハイリスク環境)では、学習に必要な「ゆとり」「タイムリーな教授」「失敗への寛容」がないため、人は学べないのではないか?という指摘があります(ベッカーの難問)。

しかし、「正統的周辺参加」における、その周辺には、実験的施行が可能になるような領域があるのではないかという議論も同様にあります。

福島先生は、これを\”学習の実験的領域\”と呼んでいます(著書『学習の生態学』でもご紹介しています)。

より具体的に、この学習の実験的領域を成り立たせるためには、3つの制約を取り除く必要があるとされています。

①時間的制約
  現実では実験的試行を十分に行う時間がない
②経済的制約
  試行そのものやそれによる失敗にはコストがかかる
③法的制約ー免責構造
  責任を免除して失敗を学習資源として活用できない

これらの点をクリアする手法として、リスクの高い多くの組織が導入しているのはシミュレーションによる教育です。

擬似的な空間で学ぶことは、現実ではできないような失敗も許容されることが大きなメリットで、これはゲームにもつながる話題だと感じました。

もちろん、シミュレーションやゲームでの学びと現場で活動にギャップはあります。とはいえ、これらの学びが意味ないわけではないと思います。

この感覚を言葉にして体系的にまとめたいなと感じたため、次回の発表では、本ゼミでの福島先生のお話を踏まえ、自身が考えたことをゲーム学習と結びつけつつ、アウトプットしたいと思います!

改めて今回、福島先生には、大変貴重なお時間をいただき、素敵な発表および対話を行っていただきました。私自身、本分野でのモチベーションがさらに高まるきっかけとなりました。

こうした機会をいただけていることに感謝しつつ、積極的に経験を活用していこうと思います。

今週のゼミ報告は以上となります。では、また来週!

P.S.

ゼミ終了後に、みんなでご飯を食べに行きました!

【5月16日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-05-24   投稿者:   qikeyi

みなさん、こんにちは!今年からLudix Labに入りました研究生の斉可意と申します。

今週は、斉による文献研究・犬田さんによる文献研究・大空さんによるプレイセッションの3本立てでした。

斉:文献研究

この論文を紹介しました:

Perttula, A., Kiili, K., Lindstedt, A., & Tuomi, P. (2017). Flow experience in game based learning–a systematic literature review. International Journal of Serious Games, 4(1), 57–72.

この論文は、過去10年間のゲームベースの教育に関するフロー理論の研究レビューです。フロー理論の研究計画を改善したいと思い、この論文を参考に選びました。この論文には具体的な例が非常に豊富に含まれており、フロー理論の研究は主に以下の側面に焦点を当てていることが明らかにされています:

1.シリアスゲームの文脈におけるフローの意味

2.フローと学習の関係

3.フローの発生に影響を与える要因

4.フローの具体化の方法

この論文は19件の実証研究を収録し、比較に重点を置いています。この論文を通じて、研究者たちがフローのレベルを定量化する方法には多くの違いがあり、現在のところ統一された枠組みがないことを認識しました。そのため、研究を進める際には適切な選択を行うことが重要です。

今後も関連する実証研究を読み続け、研究計画を改善し、ゲームデザインとフロー体験の関係を探求していきます。

犬田さん:文献研究

「ゲームデザインバイブル第2版」の第17章と第20章を紹介しました。この本は、ディズニーVRスタジオの元クリエイティブディレクターで、テーマパーク用アトラクション、MMORPG、VR、シリアスゲームなど、さまざまなゲームの開発を経験してきたトップクリエイターによって書かれたゲーム開発の指南書です。

犬田さんは、この論文を読んでゲーム開発に必要な前提知識を学びたいと思っています。最も重要な収穫は、「ゲームデザイナーの目標は、ゲームデザインをすることではなく、体験を創り出すことである」ということです。

第17章「ストーリーも体験の一種」では、2つの異なる開発手法が紹介されています。パールのネックレス(川と湖)の手法で成功する秘訣は、「事前に一本道のストーリーを作っておくストーリーマシン」です。一方、ストーリーマシンの手法で成功する秘訣は、「事前に用意するストーリー部分を最小限に抑える」ことです。

また、文章は夢のゲームデザインの問題点も紹介し、これらの問題に対するいくつかの提案を行っています。

第20章「世界にはキャラクターが含まれる」では、ゲームキャラクターの種類や特徴、魅力的なキャラクターの創造方法、さまざまなキャラクターの関連性を利用して世界を充実させる方法などが主に紹介されています。犬田さんは、キャラクターを創造するための10のヒントを挙げました。

皆さんは犬田さんが持ち込んだ内容に非常に興味を持ち、細部について多くの議論を展開しました。

大空さん:プレイセッション

大空さんが企画した協力交流ゲーム【プレゼンテーションを考え、実践するワークショップCommand L&R】が開催されました。

参加者は二人一組に分かれ、大空さんが提示したテーマに基づいてプレゼンを準備します。まず、プレゼンの感情スタイルを選ぶためにエモーションカードから選択し、次にロジックカードで提示されたヒントに基づいてプレゼン内容を書きます。最後に、ロジックを整理してミニプレゼンを行います。

スコア集計の段階では、各人が「logic」と「emotion」という名前の票を持ち、最優秀のプレゼンチームを選びます。

このゲームでは、「藤本研のここがすごい!」というテーマに沿ってプレゼンテーションを行います。

莫さんと犬田さんが情熱的な猫のコンテンツで全参加者の「エモーション」票を獲得し、藤本先生と木村さんは充実したロジック内容で一歩及ばずとなりましたが、敗れても名誉あると言えます。

ゲーム終了後、参加者からはゲーム内容について多くの提案がありました。ゲーム内のヒントカードのデザインが非常に素晴らしいと考えています。プレイヤーが「point」から出発し、「reason」と「sample」を探すことで発言内容を見つけるというこの方法は、非常に面白い活動です。

以上が5月16日ゼミのご報告となります。ここまでお読みいただきありがとうございました。