東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
カテゴリー: Research
投稿日時: 2023-01-13 投稿者: admin
我々の研究室、Ludix Lab(ルディックスラボ)では、人の学びや成長につながる「楽しい経験(Ludic Experience)」を創り出す学習コンテンツの開発や教育プログラムのデザイン方法論を研究しています。教育工学や教授システムデザイン論の領域を軸として、ゲーム学習(Game-based learning)のデザイン方法や、オンライン教育における学習支援方法の研究、ゲーミフィケーションを取り入れた学習コンテンツ開発、技術開発、調査研究などに取り組んでいます。
現在の教育機関が提供できる学習機会には、学ぶ必要性を感じている人や、学ぶのが好きな人、得意な人のための選択肢は充実していますが、従来の方法では学べない人や学びから離れてしまった人たちの学びや成長には充分に寄与できていません。我々の研究室のミッションとして、学びのきっかけづくりや、従来の教育の場を楽しくする仕組み、従来の学びの場の外での学び、新たな社会ニーズに対応した学び方を開発し、社会に実装することで、誰もが豊かな学びによって長い人生を豊かにできる社会を支えることを目指しています。
研究テーマ:
現在は主に次のような研究テーマで研究プロジェクトを展開しています。
1.ゲーム学習方法論
教育分野におけるゲーミフィケーションのデザイン手法の研究や、ゲーム要素を組み込んだ教育カリキュラム開発、ゲーム学習の導入支援ツールの開発など、「意味ある遊び」と「楽しい学び」を融合するデザインや方法論の研究です。ゲーミフィケーションの手法を取り入れた学校教育の研修プログラムの開発などを行っています。
研究実績例:
・藤本徹 (2015) ゲーム要素を取り入れた授業デザイン枠組の開発と実践. 日本教育工学会論文誌. 38(4) 351-361.
・藤本徹, 山田政寛 (2013) インフォーマル・ラーニングにおけるゲームの教育利用に関する評価の現状と今後の展開 , 日本教育工学会論文誌. 37(3). 343-351. ・藤本徹 (2012) シリアスゲーム開発を題材としたゲーム開発者教育の導入, デジタルゲーム学研究, 5(2). 53-58.
2.ゲーム学習コンテンツ、技術
ゲーム学習方法論を支える教材や学習システムの開発を行っています。 学校の授業での学びを促すゲーム教材や、学習アプリの開発を行う研究です。英語や数学の教科学習のためのデジタルゲーム教材アプリや、キャリア学習のためのカードゲームの開発など、さまざまなゲーム学習コンテンツを開発しています。
研究実績例:
・Fujimoto, T., Fukuyama, Y, Azami, S. and Konno, S. (2017) JobStar Online: Game-Based Learning on Smartphones to Promote Youth Career Education. International Conference on Computers in Education (ICCE 2017), Christchurch, New Zealand. 765-773.
・藤本徹, 岸本好弘, 西村圭一, 高橋薫, 高橋淳, 谷内正裕, 山内祐平 (2015) 学習ゲーム開発プラットフォームを利用したゲーム開発者教育の実践, デジタルゲーム学研究, 7(2). 13-21.
・Fujimoto, T., Misono, T., Takahashi, K., Otuji, Y., Suzuki, H., and Yamauchi, Y. (2012) Designing a Game-based Social Application for Mathematics Education. Proceedings of Meaningful Play 2012. East Lancing, MI, USA.
3.オンライン教育における学習支援方法
大規模公開オンライン講座(MOOC)などのオンライン教育における学習コンテンツの開発や教育方法の研究、コース開発や、オンライン学習コミュニティにおける学習支援の仕組みなどの研究を行っています。
研究実績例:
・Fujimoto, T., Takahama. A., Ara. Y., Isshiki, Y., Nakaya, K., and Yamauchi, Y. (2018). Designing a MOOC as an Online Community to Encourage International Students to Study Abroad. Educational Media International. 55(4). 333-346. DOI: 10.1080/09523987.2018.1547545
・藤本徹, 荒優, 山内祐平 (2018) 大規模公開オンライン講座 (MOOC) におけるラーニング・アナリティクス研究の動向. 日本教育工学会誌. 41(3), 305-313.
4.遊びの中の付随的・偶発的学習
オンラインゲームのプレイヤーコミュニティにおける学びや、ゲームへの関心に基づいて構成された活動の場「アフィニティスペース」における学びなど、エンタテインメントの活動の中で学ぶ経験に着目した研究です。
研究実績例:
・Fujimoto, T., and Yap, C. M. (2016). The Analysis of Incidental Learning in the Affinity Spaces of a Smartphone Game “Neko Atsume”. In the proceedings of the International Symposium on Emerging Technologies for Education (Roma, Italy), Springer, Cham. 3-13. https://doi.org/10.1007/978-3-319-52836-6_1
・Fujimoto, T. (2005). Social Interactions Experienced in the Massively Multiplayer Online Game Environment: Implications in the Design of Online Learning Courses. presented at the AECT annual conference. Orlando, FL.
投稿日時: 2021-04-08 投稿者: snii
株式会社イオンファンタジー(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長:藤原信幸/以下、イオンファンタジー)と国立大学法人東京大学大学院情報学環(所在地:東京都文京区、学環長:山内祐平、藤本徹研究室(准教授:藤本徹)/以下、東京大学)は、デジタルゲームのあそびをまなびに接続する共同研究を開始しました。
■共同研究の目的
この共同研究は、イオンファンタジーが推進するエンターテイメントとエデュケーションをかけ合わせた「エデュテイメント」によって「夢中になって楽しむうちに子どもの能力が最大限に引き出され、こころ・あたま・からだが成長してゆく」環境を実現するために、理論枠組みや実践方法を確立することを目的としています。
イオンファンタジーが運営しているエデュテイメント研究所のアンケート調査では、子どものゲーム時間が増加傾向にある中で、94.5%の保護者がゲームに対する何らかの不安(例:勉強時間が減る、外遊びが減り体が弱くなる等)を感じています。一方で、78.3%の保護者は不安がありつつも、ゲームに対して何らかの良い効果(例:子ども同士の共通の話題が出来る、集中力の向上等)を感じていることが分かりました。
この共同研究では、ゲームで遊ぶ時間が子どもたちの成長につながる仕組みに関する知見を研究成果として提供する活動を行います。
■共同研究の概要
人気デジタルゲームタイトルを対象として、まなびや成長に寄与するコンテンツやあそび方の評価、授業や課外活動等に導入するための学習プログラムや指導ガイドの制作、あそびの支援方法の開発と評価を行います。2021年度中にテーマ別のモデル活動プラン開発や、活動プログラムガイド・ファシリテーターガイド作成を行うための実証研究を行います。プロジェクトに参加する教育機関や企業、イオンファンタジーが展開するオンラインスクール「ゲームカレッジLv99」のレッスン等で試行的な導入を重ね、研究成果を広く社会へ提供いたします。
■研究代表者コメント
株式会社イオンファンタジー 代表取締役社長 藤原信幸
「未来に活躍する子ども達に必要な力は大きく変わってきています。それは文部科学省の定める学習指導要領の改訂でも示されています。子ども達に必要な新しい力はゲームを楽しむことで身につけることができるものが多数あり、子ども達が夢中になって取り組めるゲームだからこそ、効果的に身につけられます。
今回の共同研究において、ゲームの楽しさはそのままで、子ども達が夢中になることで自然に成長できる環境の実現につなげていきたいと思います。」
東京大学 大学院情報学環 准教授 藤本徹
「ゲームを利用した教育の研究は、これまで従来の学校教育向けの教材開発等を目的としたものが多く、インフォーマルな学びを高める研究は十分に行われてきませんでした。この共同研究により、ゲームでの遊びを通した豊かな学びや成長を子どもたちに届けることはもちろん、大人になってからの学びも豊かにする知見が提供できると考えています。」
■株式会社イオンファンタジーのエデュテインメント事業
『世界中に「あそび×まなび」を届けるエデュテイメント企業』を目指します。
当社が考えるエデュテイメントとは、エンターテイメント(あそび)とエデュケーション(まなび)がひとつになった体験。世界中に楽しい『あそび×まなび』を届けるエデュテイメント企業を目指し、あそびとまなびの融合で、夢中に楽しみながら、こころ・あたま・からだが成長する体験を提供してまいります。ゲームを遊ぶことが習い事になるオンラインスクール「ゲームカレッジ Lv99」を事業展開しています。
あそび!? まなび!? イオンファンタジーのエデュテイメントサイト:
https://www.fantasy.co.jp/edutainment/
ゲームカレッジ Lv99(レベルキュウキュウ):
https://level99.jp/
■東京大学大学院情報学環 准教授 藤本徹
博士(Ph.D in Instructional Systems)専門:ゲーム学習論、教育工学。著書に「シリアスゲーム」(東京電機大学出版局)、「ゲームと教育・学習」(共編著・ミネルヴァ書房)、訳書に「テレビゲーム教育論」(東京電機大学出版局)、「幸せな未来は「ゲーム」が創る」(早川書房)など。
研究室ウェブサイト:
https://ludixlab.net/
【本件に関してのお問い合わせ先】
株式会社イオンファンタジー
広報・IR室 圓藤(エンドウ)、山本、飯沼
TEL : 043-212-6188 公式HP :https://www.fantasy.co.jp/
東京大学大学院情報学環 藤本徹研究室
〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1
ludix-contact@ludixlab.net