東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2024年5月
投稿日時: 2024-05-02 投稿者: hamada
こんにちは、M2の濱田です。あっという間に学年が上がっていました。
では、今週のゼミ報告です。
今週は、濱田による事例研究・大空さんによる事例研究・夏休みの出張ゼミ企画検討セッションの3本立てでした。
今回の事例研究では、「トド英語」というアプリを紹介しました。このアプリは、動画や本、ミニゲームなどを使いながら英語を学ぶというもので、すべてクリアすると幼稚園~小学2年生レベルの英語をマスターできるとのことです。私はMinecraftを使った英語学習をテーマに、英語コミュニケーションが促進されるようなワークショップの開発をしているのですが、「トド英語」で使われている手法がワークショップでの英単語の導入などに使えるのではないかと思い、事例研究の対象としました。
今回の事例研究で、学習対象の単語に繰り返し触れること、そして綴りを画像や動画とともに学習することの2点が重要で、それはどちらもMineecraft上で実現可能であるとわかりました。
ここまでが事例研究の目的でしたが、研究室メンバーからのフィードバックで議論が進み、ワークショップにゲーミフィケーションの要素をどのように入れることができるかにまで話が広がりました。今後の研究のためになる発表となり、とても良かったです。
大空さんも事例研究として、『フードデザイン 未来の食を探るデザインリサーチ』という書籍を紹介していました。この書籍の中で『キャット&チョコレート』というゲームの事例が取り上げられており、それがどのように大空さんの研究に活かせそうかという観点から発表してくださいました。
大空さんは、疑わしい研究行為に関する新たな事例を作るために、『キャット&チョコレート』の手法を用いるとのことでした。このゲームは例えば、「大きな岩が転がって来た」といった非日常なお題に対して、「ガムテープ」や「マッチ」といった与えられた選択肢を使ってどのようにうまく乗り切るかを考えるゲームです。
この手法をとりいれることで、普段であれば思いつかない斬新なアイデアが期待できるそうです。これは「ジェネラティブ・リサーチ」と呼ばれます。
また、「なぜなぜ5回」という人の行動の背後にある理由を掘り下げて根底に潜む重要な理由を明らかにする手法や、「What ifシナリオ」という「もし~したらどんなことか?」のようなあらゆる事態を想定し、システムがうまく構築されているかを確かめる手法も研究に取り入れるとのことでした。
このような事例をふまえて、最後に大空さんの今後の研究の方向性について発表してくださいました。
企画検討セッションでは、夏休みに行う出張ゼミ企画について検討しました。
今年度は、長崎や大阪で研究室メンバーの発表の機会が設けられるそうです!研究室メンバーはそれぞれやりたいことが決まっており、とても有意義で楽しい企画になるのではないかと思いました!
今週のゼミ報告は以上となります。では、また来週!
投稿日時: 2024-05-02 投稿者: jona
皆さん、お久しぶりです!研究生のジョナです。
木曜日は晴れ渡った天気になり、駅まで自転車で走るのがとても気持ちよかったです。
今回の記事で、まずサブゼミについて少しご紹介できればと思います。
今学期より木村先生から、研究に必要な統計法やデータ収集法、またゲーム教育論に関連する知識を教える学びの場としてサブゼミを開講してくださいました。
オリエンテーションの後、科学とは何かという内容から始まりました。科学は:実証性、論理性、再現性、反証可能性がある必要があります。研究を行う上であれば、それらの性質が自身の研究に揃われているかを常に問い続けなければなりません。
サブゼミは学習だけでなく、振り返りや討論の場としてもありがたい機会だと思いました。
以上簡単な紹介となりますが、今後のサブゼミがとても楽しみです。
さて、ここからゼミのご報告に入りたいと思います。
本日のゼミでは、莫さん、斎さんの研究計画発表と大空さん、犬田さん、ジョナの研究進捗報告でした。では発表順にご報告いたします。
研究生 ジョナ
私は春休みに自身の研究テーマを見直しました。継承語教育では、学習者がコミュニティーベースで学習を行うことが多いため、子供たちが興味を持つのが難しいなど、様々な課題が存在します。私はゲームを通して、どのように継承語の教育現場を支援できるかに関心を持っています。
当初はデジタルゲームの設計を考えていましたが、それが実際の学習現場のニーズに適合するかどうかについて疑問を持ちました。その結果、アナログゲームの方が試行錯誤を繰り返しやすく、改善しやすいかと考えるようになりました。これから解決すべき課題や決めるべきものは多くありますが、体験や学習を通して視野を広げ、理解を深めていきたいと思います。
研究生 斎さん
斎さんはFlowの研究に深い関心を持ち、特定のゲーム要素がどのFlow要素と対応するかを、具体的なゲーム事例を基に研究したいと考えています。現時点では、「Baba is you」と「Keep Talking and Nobody Explodes」の二つのゲームを事例として取り上げることを検討しています。
「baba is you」は広く知られたインディーゲームで、そのゲームシステムはプログラミング思考にも関連しています。斎さんはこの要素を活用し、対象学習者の学習を促進する方法を探求しています。一方、「Keep Talking」は、二人で協力して爆弾を解除することを目的としたゲームで、論理的思考や協同作業などを学ぶことが期待されるようです。
斎さんが取り組んでいる研究からはゲームの要素とFlow体験の関連性を深く理解したいという強い思いを感じました。
M1 莫さん
莫さんは、Murder Mystery Game(MMG)を活用して、チームベース学習(Team-Based Learning)を向上させるゲーム設計について研究しています。前回の記事でも紹介されたMMGは、近年非常に人気があり、多くの人々が楽しんでいるようです。
MMGは、形式的には人狼ゲームに似ていますが、独自のシナリオとロールプレイング要素によって、より深い没入感を体験できるゲームです。共有知識(Shared Knowledge)と非共有知識(Unshared Knowledge)の差を利用して、チーム内の交流を深めるという莫さんのアプローチは非常に興味深いと感じました。
M2 大空さん
大空さんからは研究進捗をシェアしてくださいました。QRPゲームを題材として、いろんなところで実践を行っているようです。
現在、生成AIの倫理について多くの場所で議論が行われており、今後大空さんの研究倫理ゲームでも取り扱うことがあるため、研究室で活発な討論が行われました。AIの進化とその利用、そしてその正しい利用は、人々がAIを活用するにつれて避けて通れない課題となっています。大空さんの研究は、研究の現場だけでなく、多様な分野での論理教育においても、重要な意義を持つと思いました。
M2 犬田さん
犬田さんからは進捗報告と今後の予定の発表を行いました。犬田さんはクラウドソーシングゲームの研究を行い、今後の研究でナーミアの自由意志を取り扱った内容を用いて、ゲームの具体的な開発に取り組む予定だとのことです。
Stable DiffusionやMidjourneyなどの画像生成AI技術を研究に活用し、この分野のゲームを新たな手法で拡張することを目指しています。
ゲームの画面や、完成したゲームがどのようになるのかをシェアしてくださいました。完成後のゲームが楽しみです。
以上が4月25日ゼミのご報告となります。ここまでお読みいただきありがとうございました。
最後に少しだけ、個人の活動報告として、ゲームマーケットに行った体験を共有したいと思います。
ボードゲームの大規模なイベントとして、ゲームマーケットでは多くのメーカーや個人開発者が出展していました。驚くほど多くのテーマやメカニズムを目にして、実際に遊ぶことで、ゲームの幅広さに改めて感銘を受けました。
平安時代の色や歴史上の戦争などを扱ったゲーム、また、ルールの大部分を自分で決定するゲームなどあり、いろんな方にも説明してもらい、充実な一日を過ごせました。文化や歴史をテーマにしたゲームも非常に多く、学びとのつながりも様々だなと感じました。
私は、「じゅもんじ」という文字遊びのゲームと「ワンナイト人狼-狂気ver」という少し変わった人狼ゲームを購入しました。早く遊びたくてたまりません!
今後もこのようなイベントに参加することで、ゲームとの接触を深めて行きたいと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
楽しい毎日を!Bayartai!