東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2024年8月
投稿日時: 2024-08-24 投稿者: qikeyi
皆さん、こんにちは!研究生のサイです。
今月6日と7日に長崎市民会館で「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」が開催されました。初日には、魅力的な発表が行われ、来場者との充実した交流が展開されました。2日目のシンポジウムも予定通り進行し、大いに盛り上がりました。
それでは、2日目の活動をご報告いたします。
2日目の活動は、主に5つのセクションで構成されました。
『教育版マインクラフト』特別講演セッション
午前中の講演は、藤本先生が司会を務め、プロマインクラフターとして名高いタツナミシュウイチ先生による講演が行われました。タツナミ先生は、自身の学習体験からマインクラフト教育に携わるきっかけについて語り、現在マインクラフトが教育分野でどのように応用されているかを紹介しました。マインクラフトの教育的可能性は多岐にわたり、言語、情報、化学、歴史、建築、さらには特別支援教育にまで役立っています。これらは、タツナミ先生自身の経験や活動を通じて検証されてきました。
新しいメディアや娯楽の手段がどんどん現れる中で、大人はどのような態度を持って教育者として立つべきかが重要です。マインクラフトを楽しむ子供たちに対して、その探求心と好奇心を応えるために、大人も一緒に取り組むことで、変化する環境に柔軟に対応できる次世代が育つでしょう。
さらに、タツナミ先生は会場の聴衆とともに、マインクラフトを活用した長崎の歴史普及の新たな可能性についても議論しました。マインクラフトの世界で原爆公園を再現し、歴史を体感することは、非常に興味深い体験になることでしょう。
午後の3つセッションは、藤本研究室の研究員や大学院生の研究成果を中心とした、ゲーム学習研究の最新動向を学べる講演セッションです。
Minecraftを活用した英語コミュニケーション意欲向上のためのワークショップ実践(修士2年 濱田璃奈)
濱田さんは、Minecraftを英語学習に応用する研究に取り組んできました。今回、英語コミュニケーション意欲の向上を目的としたワークショップの設計と実践を行い、その効果を調査しました。調査結果に基づき、参加者の意欲や学習成果の変化を具体的に示し、教育現場での応用可能性について考察を行いました。来訪者はワークショップの具体的な実施状況について濱田さんと多くの交流を行いました。
教育版マインクラフトで創る未来の学び:教育効果と実践事例(修士2年 濱田璃奈)
濱田さんが土井さんの代わりに発表を行い、今回のシンポジウムと連動した企画として開催された。Minecraftワークショップ「教育版マインクラフトで長崎の歴史を学ぼう」やMinecraftカップ全国大会の取り組みなど、これまでのマインクラフトを導入した教育実践の成果について紹介しました。
大人のためのゲーム学習 ーゲーム研修における学習環境デザインー(修士2年 大空理人)
大空さんは修士に在籍しながら、ビジネスゲーム型企業研修を提供する会社で働いており、この経験を通じて、大人の学習者のための学習環境デザインに注力しています。
近年、企業内教育においてゲーム研修が新たな学習手法として注目されていますが、ゲームの性質上、学習とは関係のない「気晴らし的な楽しさ」を提供するものだと誤解され、研修への活用に対して懸念が生じています。
大人の学習者は経験を重視し、経験を効果的に活用することが優れた人材育成の鍵となります。そのため、経験を高める学習環境をデザインするには、経験要因のモデルを学ぶ必要があります。
そこで、大空さんは、従来のイメージから、ゲーム研修をリフレーミングするために、6つの学習理論と実践を結びつけて検討することを提案しました。
次のセッションでは、犬田さんによるワークショップが開催されました。
SF作品を作ろう!「ゲームを基盤とした社会」を創造するワークショップ(修士2年 犬田悠斗)
SFプロトタイピングとは、想像する未来像に基づいた試作品を作成し、それを他者と議論・共有する創造的な手法です。今回のワークショップでは、ゲームを基盤とした社会(GBS)という世界観を共有し、参加者たちはその中で生まれる価値観や発生する出来事、問題について考察しつつ、自分たちのストーリーを創り上げました。
参加者たちは円になって座り、それぞれが新鮮なアイデアを発表しました。否定せずに相手の意見を肯定し、さらに発展させる形で議論が進められ、非常に興味深い視点や意見を数多く共有することができました。
8月7日の活動報告は以上です。
今回のシンポジウムは無事に終了しました。知識と交流に満ちたこの活動で、皆さんが多くのことを得られたことと思います。
このシンポジウムで、皆さんの団結の力が発揮されました。ご尽力いただいた皆さんに感謝申し上げます。
次回の「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 大阪」をどうぞお楽しみに!
投稿日時: 2024-08-22 投稿者: jona
皆さん、こんにちは!研究生のジョナです。
今年の夏は、藤本研究室にとって活動豊富で、経験と学びに満ちた夏となりました。
今月の6日と7日に長崎市民会館で開催された「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 長崎」は、無事終えることができ、素敵な交流と学びの場となりました。私もスタッフとして参加する中で、皆さんの発表や現場での討論から多くのことを学ぶことができ、この貴重な機会に心から感謝しています。
それでは、開催初日の活動をご報告いたします。
初日のイベントは、大きく分けて4つのセッションで構成されました。
午前のセッションでは、藤本研究室の研究発表が行われました。このセッションでは、研究員と大学院生がそれぞれ発表を行い、坂井先生が司会を務めていただきました。発表は、大空さん、犬田さん、そして坂井先生の順に進みました。
大空さん:シリアスボードゲームの開発と実践~ゲームを活用したデザインリサーチ
大空さんは、ゲーム開発に熟練しており、特にカードゲームの開発において多くの経験を積んできました。その経験を基に、QRPゲームの開発を例として、研修向けのゲームをアイデア段階から評価までどのように設計するかを提案し、継続的なゲーム開発モデルをていじしました。これは企業研修や教育現場で非常に有用なツールとなる可能性があると考えられます。
犬田さん:クラウドソーシングゲーム~遊ぶことで社会貢献できるゲームの可能性
犬田さんは、クラウドソーシングゲームに着目し、ゲームのプレイヤー人口が年々増加する中で、ゲームの課題を現実の課題に結びつけ、それを通じて社会貢献ができる可能性を探求してきました。今回の発表では、これまでに様々な分野で取り組んできたクラウドソーシングゲームや、ゲームを活用したWeb調査の事例を紹介し、専門的な観点から分析を行いました。
坂井先生:死と喪失をテーマにしたゲームの教育効果~学習意欲とWell-Beingに着目して
坂井先生は、『運命のダイス』というゲームを用いた死生観教育の学習効果について発表しました。現代において「死」という概念が人々の生活から遠ざかる中、死生観教育はウェルビーイングに重要な役割を果たすとされています。このゲームでは、大切なものを喪失する疑似体験を通じて、人生を振り返り、喪失に対する理解を深める機会が提供されます。また、チームでのプレイを通じて、他者への思いやりを育むことができるゲームでもあります。
休憩を挟み、午後「桃太郎電鉄教育版」の事例研究シンポジウムが行われました。このセッションでは、藤本先生が司会を務めていただき、最初にシンポジウムの趣旨説明を行いました。
桃鉄教育版エデュテイメントプロデューサー 正頭英和 先生: 子どもの学びを最大化するエデュテイメント
正頭先生は、自身の体験談から始まり、桃太郎電鉄の教育版を開発するに至った経緯をお話しくださいました。ゲーム自体が単独で教育機能を果たすのではなく、教育者によって効果的に利用されることで、教材としての多様な可能性が引き出されると説明されました。現代の教育において、正頭先生が重視しているのは、子どもたちに提供する体験です。過去の体験が学習や問題解決の意欲につながることが多く見られることから、エデュテイメントはその意欲を引き出すための入口としての役割を果たせると述べました。
広島大学 准教授 池尻良平 先生:学習から見た『桃太郎電鉄 教育版』
池尻先生は、変化する社会において『桃太郎電鉄 教育版』が持つ可能性を紹介しました。また、発見学習と直接教育を比較し、ゲーム教育がもたらす効果について詳しく解説しました。特に、プレイスタイルと学習効果の関連性については非常に関心をそそる内容であり、プレイヤーのゲーム習慣が学びにどのように影響を与えることはゲームを使った教材の編成や学習指導の設計にも利用できると考えられます。また、実践共同体における学びとマジックサークルとの関係について知見を共有してくださいました。
講演の後、先生方が現場の参加者からの質問に答えながら、ディスカッションを行いました。
続いてのセッションでは、大空さんと犬田さんがそれぞれの研究成果を来場者に体験してもらうワークショップを行いました。
大空さん:未来の研究について考えよう!カードゲーム「ムーンシューター」を使った対話型ワークショップ
「ムーンシューター」は、プレイヤーが研究者または市民として、提示された研究テーマに対して、社会のさまざまな視点からどのような意見や観点が現れるかを考えるカードゲームです。このゲームを通じて、プレイヤーは国が推進している研究事業について理解を深めるとともに、市民が抱える感情や関心についても考察できると思いました。
犬田さん:SF作品を作ろう!「ゲームを基盤とした社会」を創造するワークショップ
SFプロトタイピングとは、想像する未来像に基づいた試作品を作成し、それを他者と議論・共有する創造的な手法です。今回のワークショップでは、ゲームを基盤とした社会(GBS)という世界観のもとで、どのような価値観が生まれ、どのような出来事や問題が発生するのかを考えながら、参加者たちは自分のストーリーを構築しました。
以上のワークショップと同時に、東京大学渡辺研究室との連携企画である「ミライの平和活動展」のセッションも行われました。このセッションのテーマは「戦争とゲーム」です。まず藤本先生がテーマについての概要を紹介し、その後、木村先生が「平和学習とゲーム」というテーマで事例研究を発表しました。
木村先生:平和学習とゲーム
この事例研究では、戦争をテーマに扱ったシリアスなゲームがいくつか紹介されました。特に例として取り上げられたのが、『This War of Mine』というビデオゲームです。このゲームは、戦争下でのサバイバルをテーマとしたビデオゲームで、プレイヤーは生き延びるために常に選択を迫られます。その選択には、時に非常に残酷なものも含まれています。このような説得的ゲームは、反戦メッセージを伝える手段として注目されており、学校教育においても反戦教育の一環として活用されることが期待されています。
その後、来場者とのディスカッションが行われ、非常に興味深い観点が数多く寄せられました。
8月6日の活動報告は以上となります。引き続き、7日の活動報告もぜひご期待ください。
ご来場いただいた皆さま、そしてこのイベントの開催にあたりご協力いただいたすべての方々に、心より感謝申し上げます。
では皆さん、楽しい夏を!
投稿日時: 2024-08-02 投稿者: snii
東京大学 藤本徹研究室は関西学院大学 福山佑樹研究室と共催で9月18日(水)に「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム in 大阪」を開催いたします。
ゲーム学習(エデュテインメント、シリアスゲーム、ゲーミフィケーション)分野のさまざまな研究成果を共有し、ゲームの遊びと学びを体感できる場を提供します。このテーマに関心のある方々に、次のアクションを起こすための学習や実践の機会を提供します。ぜひご参加ください。
日時:2024年9月18日(水)13:00〜19:45(12:30より1003教室で受付開始)
場所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪) 10階 1003・1004教室
(大阪市北区茶屋町19-19)
対象:教育関係者、研究者、学生、保護者、関連事業者など(発表テーマに関心のある方はどなたでもご参加いただけます。)
参加費:無料
参加申込期間:8月2日(金)〜9月18日(水)
※当日会場でも受付可能ですが、会場の席数が限られていますので、なるべく事前の参加登録を行っていただくようお願いします。
参加申込方法:こちらのオンラインフォームから
留意事項について
・飲み物は、ペットボトル又は蓋付きカップに限ります。施設内での食事はご遠慮ください。
・会場周辺の廊下は他のオフィスと共有となりますので、廊下ではお静かにお願いいたします。
・朝日放送テレビ「おはよう朝日です」のディレクターの方が当日取材にいらっしゃり、18時からの『桃太郎電鉄 教育版』事例研究シンポジウムの様子を撮影されます。
※9月6日追記<懇親会のご案内>
シンポジウム終了後、20:15から2時間程度の懇親会を会場近くの居酒屋で開催します。基本的に登壇者はほぼ全員参加しますので交流を深めていただければ幸いです。
参加費:4,000円(税込)、飲み放題付きプランです。
参加希望の方は、こちら のイベントページから9月16日までに「懇親会(4000円当日支払)」の無料チケットをお申し込みいただき、かつ「参加申込フォーム」の懇親会参加を尋ねる項目で「参加」ボタンを押してください。キャンセルの場合は下記のお問い合わせ先まで9月16日までにメールで必ずご連絡ください。9月17日以降のキャンセルは不可とさせていただきます。
参加費はシンポジウムの参加受付時に現金で回収させていただきます。
シンポジウムのみ参加の方はGoogle FormでもPeatixからのお申し込みでもどちらでも構いません。
主催:東京大学大学院 藤本徹研究室、関西学院大学 福山佑樹研究室
協力:NPO法人 Educe Technologies、日本デジタルゲーム学会ゲーム教育SIG
協賛(五十音順):株式会社イオンファンタジー、株式会社ギルドヒーローズ、株式会社ケーイーシー、株式会社KEC Miriz、株式会社コナミデジタルエンタテインメント、一般社団法人日本シングルマザー支援協会
後援:東京大学大学院情報学環メディア・コンテンツ総合研究機構
お問い合わせ: ludix-contact”@”ludixlab.net (ダブルクォーテーションを削除してください)
(予定・敬称略)
(1)企画セッション:『桃太郎電鉄 教育版』事例研究シンポジウム
<セッション概要>
関西エリアで桃太郎電鉄教育版を用いた授業に取り組む教員の方々による実践事例を紹介し、有識者を交えてこれまでの成果と今後の課題を検討するパネルセッションです。
・趣旨説明・利用状況調査結果紹介(藤本 徹)
・特別講演(小学校教諭、エデュテイメントプロデューサー 正頭英和)
・授業実践事例(東大阪市立小阪中学校 学力向上コーディネーター 藤井海、西宮市立山口小学校教諭 恒吉泰行、名古屋市立正色小学校 教諭 青木洸司)
・パネルディスカッション
(パネリスト)
・正頭英和
・藤井海
・恒吉泰行
・青木洸司
・池尻 良平(広島大学大学院 准教授)ほか
(2)企画セッション:新刊『シリアスゲーム』著者陣が語るシリアスゲームの現状と未来
<セッション概要>
「シリアスゲーム」著者陣によるトークセッションです。各著者の担当章の概要や読みたくなるポイントの解説、それぞれの立場から見た「シリアスゲームの今後の展望」について語ります。
(登壇者)
・藤本徹(東京大学大学院 准教授)
・池尻良平(広島大学大学院 准教授)
・福山佑樹(関西学院大学 教授)
・小野憲史(東京国際工科専門職大学 講師)
(3)企画セッション:「ゲームを作る&遊ぶ」から広がる学び
<セッション概要>
日本デジタルゲーム学会(DiGRA Japan)ゲーム教育SIGとの連携企画セッションです。ゲーム教育SIGで活動する発表者による「ゲームを作る&遊ぶ」から広がる学びについての話題提供とディスカッションを行います。
・(ゲームを)作ることで学ぶ
・ゲームを遊ぶことをきっかけにした学び
(登壇者)
・小野憲史(東京国際工科専門職大学 講師)
・岸本好弘(日本ゲーミフィケーション協会 代表)
(4)研究発表
<セッション概要>
藤本研究室の研究員や大学院生の研究成果を中心とした、ゲーム学習研究の最新動向を学べる講演セッションです。
・The history and practice of murder mystery games: from entertainment form to educational tool
・「ゲーム心理学」の構築に向けて
(5)ゲーム体験ワークショップ・デモ展示
<セッション概要>
藤本研究室の研究員や大学院生の研究成果を中心に、ゲーム学習研究の成果を体験しながら学べるセッションです。
🧩ワークショップ🧩
・「ゲーム(遊び)を基盤とした社会」を創造するSFプロトタイピングワークショップ
・未来の研究について考えよう!カードゲーム「ムーンシューター」を使った対話型ワークショップ
🪧デモ展示🪧
・死と喪失をテーマにしたゲーム『The Dice of Destiny(運命の賽子)』
・金融・投資を学ぶボードゲーム『Riskn × Taken(リスクン・テイクン)』
・実験哲学ゲーム『Free Will 自由意志と道徳的責任』
・クラウドソーシングゲームのプラットフォーム『Meta Crowdsourcing Game』
・研究のグレーゾーンについて考える!カードゲーム「QRP GAME」のデモ展示
・ 英語の勧誘表現を学習できるカードゲーム『Shall we dance? 一緒に踊らないかい』
・Minecraftを活用した英語コミュニケーション意欲向上のためのワークショップ実践