月別アーカイブ: 2024年6月

【6月20日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-24   投稿者:   hamada

こんにちは、修士2年の濱田です。今週も充実したゼミが行われましたので、報告いたします。今回は、大空さんによる関連論文研究、犬田さんによる事例研究、木村さんによる研究員発表の3本立てでした。

大空さん

大空さんは、「技術者倫理教育におけるケーススタディの有効性」をテーマに発表してくださいました。大空さんは先日、自身が研究で設計している倫理教育のためのゲームを使って研修を行ったそうなのですが、果たしてそれが本当に教育に有効なのか疑問に感じ、文献を通してその有効性を学ぶことを目的として、倫理教育の手筈や導入方法について説明しました。

倫理教育は、倫理学の歴史や様々な倫理理論の知識に加え、ケーススタディによる学習が重要となるようです。大空さんは、特にこのケーススタディの部分をゲームによって楽しく学べるようにできればとおっしゃっていました。

今回の文献研究によって、大空さんの研究の位置づけを再度明確にするような発表だったと感じました。

犬田さん

犬田さんは、「アナザーコード リコレクション:2つの記憶/記憶の扉」というゲームを事例研究として取り上げて発表してくださいました。このゲームは、3Dのゲーム世界を探索し、謎や仕掛けを解きながら、ストーリーを進めていくゲーム(アクション×ノベル)だそうです。

今回の発表では、このゲームのUIデザインに着目し、プレイヤーの視線を集める背景のフレームや、キャラクターの会話エフェクト、選択肢選択時のインタラクションについて詳しく解説してくださいました。犬田さんは、このゲームのUIを参考に、自身の研究で制作しているゲームのUI設計を進めています。ゲームのデモも披露してくださいました。完成が楽しみです。

木村さん

木村さんは、「ゲーム心理学」をテーマに発表してくださいました。ゲーム心理学という言葉はあまり学術的には一般化していないそうですが、木村さんはゲーム心理学を確固たる研究分野にすべく、研究を行ない、そしてこれからも研究をひろげていきたいとのことでした。発表の中では、ゲーム心理学を、ゲームスタディーズと心理学を融合した学問分野で、ゲームのプレイヤーの心と行動を実証的に扱う科学的な分野と定義していました。この分野では、ゲームとは何か、ゲームはプレイヤーにどのように影響するのか、ゲームが私たちの生活にどのように役に立つのかという3つの問いを掲げ、それらに応えることを目指すとのことでした。

ゲーム心理学というテーマに対してゼミ生から質問や意見があがり、木村さんも有意義な発表になったとおっしゃっていました。


今週のゼミ報告は以上となります。では、また来週!



【6月13日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-20   投稿者:   qikeyi

皆さんこんにちは、研究生の斉です!
今週のゼミでは、研究の進捗報告を行いました。


M2 犬田さん

犬田さんは、「実験哲学におけるゲーミフィケーションを活用したWEB調査の開発と評価」に関する研究計画を発表しました。また、犬田さんは研究過程で実践を非常に重視しています。「MDAモデルに基づいたフォームデザインプロセス」に基づいて、自身の研究内容に合わせて、以下の研究ステップをまとめました:
1.シナリオを考える
2.シナリオから画面構成を考える
3.画面構成からゲーム要素を考える
4.画面構成とゲーム要素から必要な素材を考え、作る
5.必要な素材から成果物を構築する
6.都度修正、ブラッシュアップ、デバッグ

第4ステップにおいて、ChatGPTの使用に関して、藤本先生は著作権問題に特に注意するよう指摘しました。また、藤本先生は犬田さんに計画を順調に進めるように励まし、研究計画にもっと理論的な支援を加えることを期待しています。

M2 大空さん

大空さんから研究の進捗をシェアしていただきました。
QRPゲームを題材として研修活動を開催し、「R&D従事者に必要とされる倫理感やリスクマネジメントについて再認識を図る」と「R&D従事者として知見と視野を広げる」ことを目的とした活動を行いました。この研修活動では、「著者の追加」、「生成AIを用いた調査」、「研究予算の申請」という三つのテーマを取り上げて、それぞれのケースを開催しました。

そして、実施中評価、事後評価、遅延評価の三つの評価方法を使用しました。この研修の評価手法は非常に豊富であり、量的および質的な要素がうまく組み合わされています。また、大空さんは今後の計画についても詳細に説明してくださいました。

大空さんの研究は、研究の現場だけでなく、多様な分野での論理教育においても、重要な意義を持つと思いました。

研究生 斉

今週発表した内容は英語学習ゲームのアイデアです。このゲームでは、魅力的な美少女キャラクターをデザインし、同時にroguelikeゲームのランダム性を活用し、プレイヤーがランダムなユニットと主人公との対話を通じて彼女を知り、英語を学ぶことができるようにしたいと考えています。

研究室の皆さんから多くのアドバイスをいただきました。木村先生と藤本先生は、現在のこのモデルは伝統的なroguelikeゲームとはあまり似ておらず、ランダム性のデザインは必要ではないように見えると指摘されました。プレイヤーに繰り返しプレイしてもらうためには、さらなる努力が必要であるとのことです。

莫さんはいくつかのクラシックな肉鳩ゲームを例に挙げました。ジョナさんはTOEICの知識を目標にするのが適切だと考え、具体的なアドバイスもいただきました。
このアイデアにはまだ多くの課題がありますが、皆さんの助言を得て、前進する方向が見えてきました。

M1 莫さん

莫さんはMMG(Murder Mystery Game)の研究進捗について説明しました。
莫さんはまず研究の背景部分を調整しました。実証研究のサポートが不足していると考え、そのために実証データを含む文献を追加しました。

研究の設計において、莫さんは自身の初めての試みとして、読んだ実験の流れを基に初めてのワークショップを設計する予定です。このワークショップは、外部要因と心理的健康との関連を理解するために開かれる、一般向けの研究会です。莫さんは文献の流れは変えず、内容だけを変更するつもりであり、これにより研究の適切性も高められるでしょう。莫さんは同時に研究計画を更新し、心理学教育を焦点として、謎解き、防災教育TRPGの開発に取り組んでいます。

藤本先生は、研究計画のタイトルに医学用語が含まれていることを指摘し、科学普及効果の負担が増える可能性があるため、適切に調整するよう助言されました。
莫さんのゲームを本当に楽しみにしています!

研究生 ジョナさん

Jonaさんはモンゴル語教育の研究を進めています。Jonaさんは今学期の文献発表とゲーム活動の経験をまとめ、現在は「動物なまえゲーム」と「文字ゲーム」の設計を改良しています。Jonaさんは継承語を学習する理由について常に考えており、文字の学習だけでなく、言語と文化の交差点を感じることを目的としています。また、モンゴル語ゲームのデジタル版についても探索中です。

先週のプレイセッションでは、研究室の皆さんと一緒に「文字ゲーム」を体験しました。本当に素晴らしい思い出であり、新バージョンの発表を楽しみにしています。


みなさん、それぞれ研究テーマに向けて頑張っていますね。

今後の時間がスムーズに進展することを祈っています!

【6月6日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-13   投稿者:   jona

皆さんこんにちは、研究生のジョナです!

今回のゼミ活動は、プロマインクラフターとして名高いタツナミシュウイチ先生のゲストセッションでした。前半は講義と質問コーナー、後半は教育版マインクラフトでの実況プレイを通じて、タツナミ先生はマインクラフトが教育にどのように活用されるかを具体的に示してくださいました。

前半:講義&質問コーナー

講義部分では、タツナミ先生が自己紹介をし、マインクラフトとの出会いや現在の仕事に至った経緯を話してくださいました。マインクラフトはCave Gameというゲームから始まり、後に様々な機能も拡張され、教育と深く関わるようになりました。マインクラフトの教育上の可能性は多岐にわたり、言語、情報、化学、歴史、建築、更に特別支援にも役立っています。これらはタツナミ先生自身の経験や活動を通じて検証されてきました。

従来の教育は暗記中心でしたが、これからは思考して応用できる教育へと変わっていくでしょう。学びを将来に繋げることは非常に重要であり、子供の頃にはその価値が分かりにくいため、楽しいものにする必要があります。また、マインクラフトをただの消費で終わらせず、子供の創造性に繋げることも非常に重要です。

タツナミ先生は自身のいくつかのプロジェクトを紹介してくださいました。例えば、JAXAとの共同プロジェクト「Lunacraft」では、マインクラフトで月面の環境を模擬したワールドを作成し、現実に即した重力や環境、月面での活動条件が再現されています。月面のリアルさが高いため、全世界で有名になったそうです。特に驚いたのは、月の表面に存在するレゴリスのブロックがなかったため、新たに作ったという点です。タツナミ先生はどのプロジェクトでも「誰かのために何かを作る」という心を持って行動しており、その心が教育の最も重要な部分だと私は感じました。

新しいメディアや娯楽の手段がどんどん現れる中で、大人はどのような態度を持って教育者として立つべきかが重要です。マインクラフトを楽しむ子供たちに対して、その探求心と好奇心を応えるために、大人も一緒に取り組むことで、変化する環境に柔軟に対応できる次世代が育つでしょう。タツナミ先生の教育者、プレイヤー、プロマインクラフターとしてのご知見を拝聴できたことは、とても大きな学びと経験になりました。

質問コーナーで特に興味深かったのは、マインクラフトやマインクラフトでのモノづくりに慣れていない子供たちに対して、どのように興味を引くかという質問への回答です。YouTubeやショートビデオが日常生活に溢れる中で、子供たちの好きな配信者がマインクラフトを使って何かをすると、それは一つの入口になることができます。このような導きにより、まずはプレイヤーとしての楽しみを体験し、次第に創造性を発揮し、さらには学びへと発展していくことが可能となるでしょう。

後半:「教育版マインクラフト」実況プレイ

実況プレイ部分では、タツナミ先生のプレイを現場で観るという機会に恵まれ、マインクラフトでどのような偶発的学びが生じるか、また学習ワールドではどのように学びがアレンジされているかを体験しました。例えば、以前ゼミでも紹介された化学ワールドでは、元素を構成したり化学物を作成したり、物質を元素に還元することなどができます。同じ成分と思われがちなダイアモンドと石炭は実は還元されると違う成分になっていました。このように、マインクラフトでは非常に細かく現実が再現されており、それが遊びを通して自然に身につく知識となります。

また、タツナミ先生は教育版マインクラフトで「脱酸素ワールド」と「金融学習ワールド」の2つのワールドを紹介してくださいました。いずれのワールドからもマインクラフトの膨大な可能性が感じられました。ゼミ後のお食事の際にも、タツナミ先生からいろいろなお話を聞けることができ、非常にありがたい時間を過ごせました。

今回の講演で紹介された内容を皆さんにもシェアしたいと思い、以下にURLを共有します。興味深い内容ばかりですので、ぜひご覧ください!

Lunacraft:https://edu.jaxa.jp/contents/other/game/LUNARCRAFT/

脱炭素ワールド:https://cn-tokushima.jp/

金融学習ワールド:https://www.promise-plaza.com/qof/


最後、金曜日に参加した講演会について少しご紹介できればと思います。東京大学B:AI Global Forumから主催したインタラクティブ講演会で、トロント大学のPaolo Granata氏がMarshall McLuhanのメディアの法則をご紹介し、後半ではMcLuhanの理論を用いたボードゲームを体験させてくれました。McLuhanのメディアの法則では、あらゆるメディア(人工物)には強化(EXTEND)、衰退(OBSOLESCE)、回復(RETRIEVE)、反転(FLIP/REVERSE)という4つの内在があります。メディアをこの四つの角度で分析することもあれば、四つの角度から新たにメディアを考え出すことも可能であるのがとても不思議でした。

この法則をボードゲームに具現化したものがPaolo Granata氏のThe MediuMです。プレイヤーはカードに書かれたメディアをいずれの側面で分析し、チームメイトがその中心となるメディアを当てるというルールです。具体的に言うと、私はVRというカードを引き、「このメディアは【場所】の回復である」と発言します。チームメイトはそれをヒントに「そのメディアはVRだ」と答え、チャレンジに成功します。ゲームの結果、チームの皆様と協力しながら優勝し、McLuhanの名言「The Medium is the Message」が書かれたTシャツをいただきました。

さて、ここまでお読みいただき、大変ありがとうございました。今回のゼミ報告は以上になります。

暑い日が続きますが、皆さんお体に気をつけてください。

では、Bayartai!

【マイブック】メディアテクノロジーシリーズ5 『シリアスゲーム』

投稿日時:   2024-06-13   投稿者:   snii

3月発売の書籍を東京大学大学院情報学環・学際情報学府Webサイトでもご紹介いただきました📗📕✨

【マイブック】メディアテクノロジーシリーズ5 『シリアスゲーム』(藤本 徹 准教授) – 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府

【5月30日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-06-06   投稿者:   ziminmo

みなさんこんにちは!M1の莫です。
5月30日に行われたゼミ活動をご報告させていただきます。
今回は濱田さんの進捗報告+関連論文紹介、大空さんの文献研究とショナさんのプレイセッションでした。

濱田さん:進捗報告+関連論文紹介

 濱田さんは先週主催したMinecraftワークショップについて、感想と学びを共有してくれました。Minecraftを通じで小学生ができる限り英対話をすることを試みましたが、単にMinecraftをプレイするだけでは英語を話す動機付けが不十分であることが分かりました。これを解決するために、具体的に「何が達成されるのか」を示す・明確に基準を設定することで、生徒たちに動機づけを向上させながらコミュニケーションに迫ると考えられました。

関連する論文も紹介しました:
Çeliktürk, H., & Bektaş-Çetinkaya, Y. (2023). The impact of a digital game on EFL students’ willingness to communicate in English. Eurasian Journal of Language Teaching and Linguistic Studies, 3(1), 317-333.

 この論文では、Minecraftを通じて高校生の「英語で話す意欲(Willingness to communicate, WTC)」が対面とオフラインの両方で向上することが実証されていました。続いて、WTCの分類と要素についても解説してくれました。論文研究とワークショップでの実体験を比べた結果、論文では学生の英語を話す意欲が高まったのに対し、ワークショップではそうならなかった理由として、実験対象の英語レベルの差・Minecraftの利用方法・環境なと、様々な要素の違いが考えられました。研究室のメンバーとのディスカッションを通じて、ワークショップで学生たちの「英語で話す意欲」を高めるための改善策も提案されました。

大空さん:文献研究

 大空さんは、福島先生の「正統的周辺参加」の概念をゲームデザイン理論と結びつけ、企業内教育における実践的な方法について考察ました。文献「ルールズ・オブ・プレイ:ゲームデザインの基礎」の「魔法円」と「主要図式」を通じて、学習とゲームの関連性を明確に示しました。

 正統的周辺参加とは、社会的な実践共同体への参加を増すことが学習であるという考え方です。これに対して、現場では学習に必要な「ゆとり」「タイムリーな教授」「失敗への寛容」が欠如しているため、効果的な学習が困難であるという論点があります。今回大空さんが紹介した文献は、ゲームが提供する「魔法円」での学びは、この課題を解決する一つの案として考えられます。

 「時間的制約」「経済的制約」「法的制約」の制約を取り除く手法として、シミュレーションやゲームを活用することの重要性を強調しました。特に、ゲームの「魔法円」は、特定のルールから特別な空間を提供し、プレイヤーが失敗を怖くないで学べる環境を作り出します。また、ゲームデザインの図式における「ルール」「遊び」「文化」の関係性を通じて、企業内教育における学習の実験的領域を検討しました。福島先生の「正統的周辺参加」理論を具体的な企業内教育の文脈に応用し、ゲームデザイン理論との関連性を明確に示したことですごく勉強になりました。

ジョナさん:プレイセッション

 ジョナさんが紹介したボードゲームは、モンゴル語の授業で遊んだボードゲームです。モノポリーのメカニズムを参考にしていて、「他人が購入したアルファベットを避ける」をゴールに単語を思い出して、自分のアルファベットを購入するというゲームです。


 特に面白い点は、時間制限の中で、つい他のプレイヤーが購入したアルファベットを使ってしまい、ポイントを支払わなければならないことと感じました。また、どうやって他のプレイヤーを誘導し、彼らに自分の購入した英語の単語を言わせるかと、ほどんどのアルファベットが購入された後にどうやって自分の損失を最小化するか、ゲーム戦略性も非常に高いと思います。
 このようなブレインストーミングの中で、参加者全員が非常に多様な英単語を思いつきました。遊びとして楽しむだけでなく、英語の語彙力を増やし、クリエイティブな思考も生み出せると思います。ジョナさんの紹介から、言語学習の新しいアプローチとして、このゲームの可能性を感じました。

これで、今回のゼミは以上になります……?

まだです!
そして、いよいよ研究室のみんなが準備した秘密のサプライズイベントです!
🎉藤本先生、お誕生日おめでとうございます!!🎉


「INSTeMコンベンション2024 Spring」レポート

投稿日時:   2024-06-05   投稿者:   snii

2024年3月9日(土)、10日(日)の2日間、「INSTeMコンベンション2024 Spring」が東京大学本郷キャンパスの福武ホールにおいて開催され、院生の大空さんはブース出展&ミニワークショップを実施されました。

その様子もレポートの冒頭の写真に掲載されています✨是非ご覧ください🌼🌼

うまく表示されない方はこちらをご覧ください。

M2大空さんが日本教育工学会2024年春季全国大会で学生セッション優秀発表賞を受賞

投稿日時:   2024-06-03   投稿者:   snii

大空理人さん(文化・人間情報学コース修士2年・藤本徹研究室)の研究が日本教育工学会2024年春季全国大会で学生セッション優秀発表賞を受賞しました。東京大学大学院 情報学環・学際情報学府Webサイトに掲載いただきましたのでぜひご覧ください🎉✨
https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/news/2024060320808