【1月7日】ゼミ活動のご報告

皆さん、あけましておめでとうございます!
早速、2021年一回目のゼミについてご報告させていただきます。今回は文献研究の週で、私とK.I.さんはテキストの輪読で、張さんは三本の相関論文を紹介してくれました。

文献輪読(発表順)
● 『ルールズ・オブ・プレイ』(K.I.さん)
・第27章 シミュレーションの遊びとしてのゲーム

本章では、シミュレーションを「現実」の諸側面を進行過程として表現したものだと定義され、進行過程と「現実」という2要素をめぐって、色々な例があげられ、シミュレーションのデザイン手法が分析され、メタコミュニケーション、再媒介化 (remediating)といった概念が説明されました。また、最近のゲームデザイナーはシミュレーションをデザインする時には、「没入の誤解」、つまり「シミュレーションは現実似ているほど完璧だ」、という罠にかかりがちだという現象が指摘されました。

● 『インストラクショナルデザインの理論とモデル』 (叶)
・第11章 理解を促進するために
・第12章 情意的な発達を促進する:感情的知能

第11章では、理解というのは知識よりも実践する能力だという定義に基づいて、「理解のためのフレームワーク」について詳しく説明し、その教授法の普遍的構成要素、新しいテクノロジーとの統合、他の教育フレームワークとの関連、状況依存原理について論じました。第12章では、感情的知能のための近年の三種類の教授モデルが紹介され、ミリルのIDの第一原理を枠組みとしてその普遍的な教授原理を説明され、学習者の感情発達レベルとその発達の影響要因などの、個体的な異なる状況に応じた原理も挙げられました。

●  研究テーマの関連論文(張さん)
・吉田 国子, 2009, 「語学学習における動機づけに関する一考察」『武蔵工業大学環境情報学部紀要』1:1-13
・加藤 映子,2011,「語学教育とゲーム」,『コンピュータ&エデュケーション』 31,pp.28-33.
・大西 博子, 2006, 「言語能力はいかにして評価するべきか : ACTFL-OPIにおける言語能力観の分析と考察をとおして利用統計を見る」『言語文化教育研究』4:17-30

言語学習の動機づけの論争をレビューした論文 (吉田,2009) が紹介されました。また、現在が行われているほとんどの言語能力標準テストの基準を基底しているのが「母語話者」という概念であることを指摘している論文(大西, 2006)も紹介され、それについてゼミの皆さんの留学生活を触れて、言語能力の評価の新しいあり方の可能性についてディスカッションしました。

今回の報告は以上になります。
新しい一年も一緒に頑張りましょう!

【12月3日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは!叶です。早速今週のゼミ活動を報告させていただきます。
今週は主に事例研究の週で、皆さんの発表内容は以下の通りです。

(発表順です)

● 『ローカルダイアログ』(K.I.さん)

K.I.さんは、実際の個人参加経験を踏まえて、『ローカルダイアログ』と呼ばれ、自分たちが暮らしたいまちの姿を考え、カードを使って対話しながら、まちづくり戦略を作っていく、というワークショップを紹介してくれました。『ローカルダイアログ』における楽しさと学習は、参加者の意思決定、意見交換、知識の共有により生じた、ということは注目に値するでしょう。

● 『RE:コロキュアル』(叶)

『RE:コロキュアル』は2019年7月に配信された、父が経営する英会話スクールを立て直せる物語を舞台にした英語会話学習ADVゲームアプリです。スマホ時代における、ゲームと学習の組み合わせの勇敢な試みとみなされるこのアプリでは、ゲーム要素と英語学習要素がうまく融合している点もありますが、残っている課題もかなり多いと思われます。英語学習ゲームアプリはどのように位置づけるかとの問題(これは多分研究者もゲーム・教材開発者にとっても厄介なのですが)を回答する際、そのターゲットの利用者は誰か、即ちそのプレイヤーのポートレートを考えねばならないのではないでしょうか。

● 研究進捗(張さん)

張さんは新バージョンのボードゲームと、その改良したルールを丁寧に説明してくれました。張さんは今回のゲームをパワーポイントでデジタル化してくれて、オンラインファイルの共同編集の機能を活用することにより、オンラインでもゼミ全員が張さんのゲームを楽しめられました!実際に遊んでみると、同じゲームカードでも、実は色々な形で遊べるのも明らかになりました。

(雑談ですが)今回のゼミでは、前できないと思ったことは、実は手間をかければ、オンラインでもなんとかできると感じます。これは多分コロナ時期からこそできた新たなマインドセットなのではないでしょうか。

今回のゼミ報告は以上です。次回の報告をお楽しみに!

【11月12日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは!叶です。日本は最近寒くなってきましたね。
早速、今週のゼミ活動をご報告させていただきます。

当日、K.I.さんと私は輪読発表の担当で、張さんは研究関連分野の文献について紹介してくださいました。

テキスト輪読(発表順)

● 『ルールズ·オブ·プレイ』 (K.I.さん)
・第24章 楽しみの遊びとしてのゲーム

● 『インストラクショナルデザインの理論とモデル』(叶)
・第5章 直接授業法を用いたアプローチ
・第6章 ディスカッションを用いたアプローチ

研究テーマ関連論文3本概要紹介(張さん)

三上 京子(2007)「日本語教育のための基本オノマトペの選定とその教材化」『ICU日本語教育研究』,3号,188-205
・Krashen, Stephen. (1982). Principles and Practice in Second Language Acquisition. Oxford: Pergamon Press
・吉満 たか子(2006)「ドイツ語授業における言語学習ゲーム–実践例とその効果」『広島外国語教育研究』,9号,77-99

テキスト輪読の報告後、藤本先生はその内容を踏まえて、私たちそれぞれの研究に関して質問をしてくださいました。その回答により、今回のテキストはどのように自分の研究かゲームの開発に活用していくかを、もう一度、見逃した視点から考えてみました。また、シミュレーションゲームを開発する時、どのようにそのリアリティ感を保ちながら、楽しさが入れられるかという、ゲームデザイン上のチャレンジも指摘されました。

ちなみに、『IDの理論とモデル』の視点からゼミの形を考えると、第6章の「ディスカッションのアプローチ」がよく使われて、第5章の直接授業法の「問いと応答」という方法も活用されていると感じました!

以上は今回のゼミ報告でした。
来週の中間進捗報告会をお楽しみに!

【10月22日】ゼミ活動のご報告

皆様、こんにちは。叶です。
本日は、10月22日のゼミ活動について報告させていただきます。

当日は、藤本先生は今回の冬入試について話してから(関心のある方はぜひ「注目」の記事を読みましょう)、K.I.さんと張さんは「事例研究」の結果を発表して、最後に私は研究進捗を報告いたしました。

まず、K.I.さんは「SIM熊本2030」という、熊本県庁職員の自主活動グループ「くまもとSMILEネット」によって開発された、町の2030年の問題を体感できる対話型自治体経営シミュレーションゲームを紹介してくださいました。その後のディスカッションでは、「SIM熊本2030」は実は熊本県だけではなく、他の県が主催したまちづくりをテーマとしたイベントや体験会でも積極的に活用している、ということが注目されました。また、研究で遊ぶ時間の長いゲームを利用すれば、その実行は難しくなるという研究上の注意点も強調されました。

それから張さんは、2020年上半期大人気だったゲーム「あつまれ どうぶつの森」の事例をめぐって、コロナ時代のオンライン授業の問題点、即ち「空間移動の不足=コミュニケーションの不足」について論じました。簡単に言えば、オンライン授業では簡単に会議室のURLにアクセスしてから始まり、カメラをオフにしてから終わるので、授業間の隙間時間や、建物間の移動をしている時に人との出会いと交流が失われました。どのように、「あつまれ どうぶつの森」での空間移動、空間共有(バーチャル空間でも)といった概念をオンライン授業に取り入れて、コミュニケーションの欠如のオンライン授業を良くするかは、コロナ後時代の新課題になるでしょう。

最後に、私は改良した研究計画を発表いたしました。半年間でできる、かつ修士期間の研究に繋げられる、といった点を考えて、テーマを「インタラクティブ・フィクション( IF )ゲーム活動における能動的な第二言語学習 ~中国人IFゲーマーに着目した事例研究~」に少し変えて、主要な研究手法はデプスインタビューにしました。張さん、K.I.さんから、研究結果の論理性を確保するためにさらに研究対象を絞って、その選択と限定を再確認するという非常に参考になるフィードバックと、藤本先生から、事例研究であればその事例が代表できる範囲を明らかにすべきである、などの貴重なご意見をいただきました。

以上、今週の報告でした。皆様の事例もその分析も面白くて意味深いので、ついたくさん書きました。記事が長くなって申し訳ありませんでした。読んでいただいてありがとうございました。

はじめまして、外国人研究生の叶です。

改めまして、こんにちは。今年の10月からLudix Labの外国人研究生になり、来年の4月からM1になる予定の叶 芷晴(イェ シセイ / Ye Zhiqing)です。
初めて投稿させていただきます。

学部での専門は国際経済と貿易でしたが、幼い頃からゲームが好きで、大学四年生の時ゲームが教育・学習に持つ可能性について触れ、非常に興味を持つようになり、大学院でこの分野で研究を進めたいと決めました。そしてようやく、ずっと憧れている藤本研究室に加入させていただきました(笑)。

ゲームと教育・学習の全般に興味を持っていますが、大学院ではまず「インタラクティブ・フィクション(IF)ゲーム活動における第二言語学習」について探究していきたいと思っています。IFゲームというのは、簡単に言えば、物語要素を中心として扱うゲームで、アドベンチャーゲームに属しており、時々ビジュアルノベルとも呼ばれています。『逆転裁判』、3 Minute’s Game『Lifeline』 などはその例として挙げられます。第二言語でIFゲームをする時、偶発的や意図的な第二言語学習が発生しているので、研究を通じて、ゲーム活動におけるインフォーマル・ラーニングに対して理解を深めていきたいと思います。

10月1日には秋学期第一回目のゼミに参加しました。今回の充実したゼミは予想通りにワクワクして、楽しんでいました。藤本先生にゼミ活動を紹介していただいてから、M1の張さんとK.I.さんの研究進捗を拝聴しました。二人ともより良い学習環境を作るために、ボードゲームの開発、ゲーム活動の設計をされていて、今回のゼミではそれぞれのプロトタイプを紹介してくれて、非常に勉強になりました。私の研究生段階の研究計画に対しても、先輩たちと藤本先生から貴重なご意見をいただきました。これらの意見に基づいて計画を改良して、今後また報告させていただきたいと思います。

今後とも、よろしくお願いいたします!

叶 芷晴