東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2024年12月
投稿日時: 2024-12-17 投稿者: snii
この度、藤本研究室において以下の3つのポジションで研究者・職員を募集します。募集要項をご覧いただき、関心をお持ちの方は奮ってご応募ください。
・学術専門職員(特定有期)
・学術専門職員(特定短時間)
・特任研究員(特定短時間)
投稿日時: 2024-12-16 投稿者: keirinkyou
皆さん、こんにちは! 外国人研究生の叶です。12月12日のゼミ活動では、叶、大空さん、Leafyさんの研究進捗発表です。
まず、私の発表です。私は『The Rules of Play』第27章「シミュレーションゲーム」について、その特徴をいくつか紹介しました。次に、自分のゲームについて、想像的没入をいくつかの観点から抽出し、その中で「代理感」を研究対象として選びました。代理感についての説明と関連文献のレビューを行い、それを基に2つの研究課題を提案しました。
この研究課題を解決するため、またシミュレーションゲームの特徴を活かすために、ゲームの基本的な枠組みを紹介しました。そして、代理感を表現するためのゲームデザインも行いました。しかし、代理感という概念はゲームデザイン学では公式な定義が存在せず、この点で研究が難航しました。
その後、木村先生から「主体感」という言葉を提示いただき、これが代理感を部分的に代替できる可能性があるとの示唆を受け、新しい研究の視点が開けました。また、藤本先生からは、ゲームデザインに関する具体的なアドバイスをいただきました。例えば、ゲーム内容を簡素化し、小さな要素から設計を始める方が初心者にとって取り組みやすいといった、非常に有益な提案をいただきました。
まず、大空さんは最近読んだ文献についての調査を発表しました。教育社会学の観点からゲーム学習論を分析し、倫理学、教育工学、ゲーム学との相互作用や関連性について説明しました。また、自身の今後の研究との関係性や、将来的な研究進展の方向性についても触れました。
最近の活動としては、報告書の公開や卒業論文の執筆がありました。さらに、ある科学教育向けゲームを紹介しました。このゲームは、科学の世界に触れる機会のない子供たちに科学の魅力を伝えることを目的としています。ゲーム内容は、小球が光源を反射する仕組みを利用し、決められた回数内で自分の色の小球をより多く増やすというものです。子供たちはこのゲームを通じて光の反射の魅力や科学学習の楽しさを体験できます。
まず、研究テーマの変更に至るまでの経緯について説明しました。その後、最近行った背景調査について紹介しました。調査内容には、さまざまな詐欺防止教育の形式が含まれており、例えば従来の授業形式、シリアスゲーム、詐欺テストなどがあります。
さらに、具体的なケーススタディや、他のゲームから参考にした有用なゲームメカニズムについても報告しました。加えて、最近の成果として、効果的な詐欺防止教育の形式や行動学に関する理論を共有しました。これらは、私の研究にも多くの示唆を与えてくれました。
最後に、今後の研究計画について簡単に説明し、研究のタイムラインも提示しました。
以上が、12月12日に行われたゼミの内容です。それぞれの研究の進捗や意見交換を通じて、有意義な議論ができたと感じます。今後の研究活動も引き続き頑張りましょう。
投稿日時: 2024-12-12 投稿者: snii
12月16日(月)19:00〜21:00に東京ミッドタウン日比谷 6Fで開催されますMITテクノロジーレビュー様主催のイベント「再考ゲーミフィケーションーー「遊び」が変えたビジネス・教育の現在」 に藤本准教授が登壇します。オンライン参加も可能です。
残席わずかのようですので、気になる方はお早めにお申し込みください。詳細はこちら⬇️
https://etn31.peatix.com
投稿日時: 2024-12-11 投稿者: snii
藤本徹研究室が12月21日(土)に別府国際コンベンションセンター(ビーコンプラザ)で開催する「ゲーム×未来の学びフォーラム in 別府」において、13:15より坂井裕紀特任研究員によるゲーム体験ワークショップ「喪失をテーマにしたゲーム『The Dice of Destiny』の体験と考察」が実施されます。
ゲーム体験ワークショップの詳細ページが公開されましたのでお知らせします。参加費無料・当日申込OKですので、ぜひ奮ってご参加ください。
詳細はこちら➡️https://diceofdestiny.peatix.com
また、ぜひ「ゲーム×未来の学びフォーラム in 別府」の他のセッションにもご参加いただければ幸いです✨
詳細・お申込はこちら➡️https://peatix.com/event/4179572
投稿日時: 2024-12-11 投稿者: leafyyan
皆さん、こんにちは! 外国人研究生のLeafyです。12月5日のゼミ活動では、莫さん、犬田さん、アマンダさんの研究進捗発表、そしてLeafyが準備したプレイセッションが行われましたので、ご報告です。
■【大空さん】ゲームジャム
発表の開始前に、大空さんが参加したScientific Game Jamについての経験を共有しました。ゲームジャムは、ゲーム開発者やデザイナー、そしてゲーム愛好者が集まり、限られた時間の中でゲームを制作するイベントです。大空さんは『ULTRA FAST WAR』という対戦ゲームをチームで開発し、サイエンスゲーム賞及び観客賞を受賞しました!
■【莫さん】研究進捗発表
次に、莫さんが自身の研究進捗を発表しました。彼女の研究は、murder mystery game(MMG)のデザイン要素を活用し、学習の向上を目指すものであり、具体的にはケーススタディおよび標準化患者を通じてチームワークの強化を図る、いわゆるteam-based learningに関連しています。
莫さんは、研究問題「MMGメカニズムの活用はCoR理論を通じてTBLを向上させるか」を設定し、追加的な文献研究を進めつつ、ワークショップの作成に着手しています。現在、彼女が直面している課題は、ワークショップ作成の参考文献としてMOOCを選択するか、それともより伝統的な教科書を選択するかという点です。莫さんは皆から意見を募り、日本の臨床心理学に関する書籍を参考にしてワークショップを最適化する方針を決定しました。木村先生は、莫さんの研究テーマが主に日本人を対象としていることを確認し、日本の学生や関連する心理系の医師との接触に関するアドバイスを提供されました。
さらに、莫さんは謎解きゲームによる東京大学制作展への参加経験や、今後の短期的および長期的な計画についても報告しました。
■【犬田さん】研究進捗発表
犬田さんは「ゲーム手法を用いたデータ収集法の開発と評価」という研究テーマについて発表しました。彼は今回の進捗発表において、データの収集と分析が既に完了したことを説明しました。犬田さんは、Googleフォームを利用した調査結果、およびその分析方法について詳細に解説しました。
自由記述のセクションでは、共起ネットワーク図の解釈や概要に重点を置き、特にゲーミフィケーションを活用した調査における興味を引く要素およびその頻度について議論を行いました。犬田さんはKH Coderを用いた分析結果も提示し、具体的な説明と共に分析を行いました。
最後に、犬田さんは自身の論文作成の進捗についても触れましたが、その詳細についてはここでは省略いたします。
■【アマンダさん】研究進捗発表
特別研究学生のアマンダさんは、非常に魅力的な研究進捗を報告しました。アマンダさんの研究テーマは「ビデオゲーム、知識、意味生成の絡み」です。アマンダさんは、彼女の研究において重要なゲーム開発者チームであるConcernedApeとのインタビューについて発表しました。インタビューは、アマンダさんにとって学術的にも非常に意義深い時間となったようです。
続いて、アマンダさんは今後6ヶ月間の研究タイムラインや現在進行中の論文について説明し、また日本の学術環境におけるインタビュー設計での参加者報酬に関する問題についても意見を求めました。
■【Leafy】プレイセッション
12月5日のゼミ活動の最後には、私が主催したプレイセッションが行われました。今回のプレイセッションのテーマはボードゲームであり、Leafyはドイツ式とアメリカ式のボードゲームの種類やスタイルについて紹介し、持参した手作りのボードゲーム、つまり「Splendor」メカニズムに基づいたドイツ式の戦略ボードゲームを紹介しました。皆さんにドイツ式ボードゲームの魅力を感じていただけたかどうかわかりませんが、参加者全員が非常に楽しんでいただいた様子でした ♪
以上が、12月5日のゼミ活動に関する報告です。ご覧いただき、ありがとうございました!
寒さが厳しくなり、インフルエンザも流行していますので、皆様は健康に留意し、忙しい学業や仕事の中でも体調に気を付けてください。
投稿日時: 2024-12-10 投稿者: snii
犬田悠斗さんが2024年3月5日から3月7日に日本大学理工学部駿河台キャンパスで開催された第9回シリアスゲームジャムに参加し、「備えたくなる防災ゲーム」というテーマを基に、チームで『さけべ!!!』という音声認識を用いたデジタルゲームを開発し、「The Best Game Award(優秀賞)」を受賞しました✨
また、2024年8月27日から8月29日に同会場で開催された第10回シリアスゲームジャムにも参加し、「ゲームで再定義する新しい防災訓練のカタチ」というテーマを基に、チームで『わんにゃん避難訓練』というペットとの避難所生活を体験できるシミュレーションゲームのプロトタイプを開発し、「The Serious Game Grand Prize(最優秀賞)」を受賞しました。
シリアスゲームジャムとは、社会における様々な課題をゲームのチカラで解決することを目的とし、専門家とゲーム開発者と学生らが力を結集して短期間でシリアスゲームを制作するイベントです。犬田さんはリーダーとして、企画・マネジメントなどを担当しました。
また、2024年12月6日(金)18:00-19:00にTOKYO MXで放送されたニュース番組「堀潤 Live Junction」で、『さけべ!!!』が紹介されました。犬田さんは、開発したきっかけなどについてインタビューを受けました。今後も犬田さんのご活躍にご期待ください!
関連リンク:
https://youtu.be/99j-b5XQqaA?si=s4lUnIKq5mgYQqpj
https://www.matsulab.org/#/event
https://www.matsulab.org/#/event/SGJ10
・関連記事
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202412091020/detail/
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e3d153b4c3258638fdac3582c9cab45fd189cc6
投稿日時: 2024-12-06 投稿者: snii
大空理人さんが2024年11月29日から12月1日に日本科学未来館で開催されたサイエンティフィック・ゲームジャム 東京2024に参加し、『ULTRA FAST WAR』という対戦ゲームをチームで開発し、サイエンスゲーム賞及び観客賞を受賞しました!
このゲームは分子に光のレーザーをあて、自分の色を増やす対戦ゲームで、「光相転移」という研究テーマをもとに制作されました。光がランダムに散乱する現象や分子が同じ状態を取らないことがゲームを通して体験できるものです。
サイエンティフィック・ゲームジャムとは、博士課程学生の科学的研究を題材にしたビデオゲームを48時間で制作することを目的に、複数のチームが集まるハッカソンです。
フランスで10年間開催されてきたもので、今年初めて日本での開催が実現しました。
関連リンク:
https://jp-minerals.org/scientificgamejam/jp/
https://itch.io/jam/scientific-game-jam-tokyo-2024
二つ目のリンク先では『ULTRA FAST WAR』をはじめ、ゲームジャムで制作されたゲームをプレイすることができます。ぜひお楽しみください!
投稿日時: 2024-12-05 投稿者: qikeyi
皆さんこんにちは!研究生の斉です。
11月21日のゼミは、叶さんの文献研究、私の関連論文紹介と坂井先生の研究員発表の3本立てでした。
それでは、早速報告させていただきます。
叶さん:文献研究
叶さんが Experiential Learning Theory(経験学習理論)について紹介してくださいました。この理論に基づいて提案された Experiential Gaming Model(経験型ゲームモデル)についても解説していただきました。このモデルを応用して分析されたゲーム「The Arctic」についても具体例として共有され、興味深い視点が提示されました。
叶さんは経験学習理論の4つのプロセスを紹介しました:
1.Concrete Experience:実際の体験活動にどっぷり没入する。
2.Reflective Observation:実際の体験活動を多角的に観察し振り返る。
3.Abstract Conceptualization:観察と思考を通じて論理的な概念と理論を抽象化する。
4.Active Experimentation:これらの理論を使用して意思決定を行い、問題を解決し、新しく形成した概念や理論を実際の作業で検証する。
また、この理論に基づいて、4つの学習スタイル(Diverging、Assimilating、Converging、Accommodating)が提案されています。
Experiential Gaming Modelは、Flow TheoryとExperiential Learning Theoryを融合させたもので、ユーザーのアプリオリ知識と経験がユーザーがゲーム世界をどのように体験し、認識するかに影響を与え、さらに学習者のスキルに応じた課題をシステムが提供できれば、フロー体験を得られる可能性が高くなると提唱しています。
Experiential Gaming Modelは、教育用ゲームの設計と分析に使用できます。ただし、このモデルは教育理論とゲームデザインの間のリンクとして機能するものであり、ゲームデザインプロジェクト全体に対する手段を提供するものではありません。
最後に、叶さんはThe Arcticを使用して実例分析を行い、詳細なフロー図を提供しました。
斉さん:関連論文紹介
今回私が紹介する内容は、ゲームユーザー研究(GUR)における一般的な研究ツールと、その中でも最新の「PXI(Player Experience Inventory)」についてです。
ゲームユーザー研究(GUR)は、ヒューマンインタラクションとゲーム開発を融合させた研究分野です。GURは、プレイヤー体験を測定、分析、理解し、ゲームデザインを最適化することに焦点を当てています。そのため、GURの専門家は、特定のゲームデザインの選択がプレイヤーにどのような体験をもたらし、それがどのように特定の感情的反応を引き起こすのかを理解することを目指しています。
現在のGUR研究ツールには、質的および量的なデータ収集と分析を含むさまざまな方法が含まれており、社会科学、心理学、ヒューマンインタラクションなどの分野から取り入れられています。
今回紹介する論文では、現在のところGURによって特別に設計され、こうした実用的なプレイヤー体験の洞察を提供できるツールが不足していると指摘しています。このギャップを埋めるために、研究者たちは「プレイヤー体験清単(PXI)」を開発しました。このツールは、手段-目的理論を参考にしており、機能的結果と心理社会的結果の2つの観点からプレイヤー体験を評価します。
藤本先生と木村先生は、実際のゲームテストプロセスの観点から、この調査方法が現実と多少異なる可能性があることを指摘しました。そして、ゲーム会社が実際に行っているゲームテストの方法について、皆さんと議論されました。私は引き続き、PXIを応用した実際の事例を探し、学習を進めていきます。
坂井先生:研究員発表
最後に、坂井先生が国際会議で発表した論文について共有してくれました。本研究では、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG」がストレス予防行動に及ぼす影響について検討しました。
近年、精神障害の労災やうつ病患者の増加が問題となる中、企業や従業員の中には、必要に迫られてメンタルヘルス対策を導入する動きがあります。特に、ゲーム要素を非ゲームシステムに導入する動きが注目されていますが、健康促進やストレス予防などの行動への効果はまだ検証されていません。坂井先生が紹介した研究では、この背景を踏まえ、メンタルヘルス教育ゲーム(SMG)を研修に取り入れることで、従業員のストレス予防行動にポジティブな影響があると考えられています。
この研究は、X市総務課が企画した中堅職員メンタルヘルス研修に参加した56名を対象に、ストレス予防行動に対する認識を測定するために「HSE(ストレス予防行動能力調査票)」を使用し、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG:Stress Management Game」を基に実施されました。その後、坂井先生はゲームの物語、役割、目標、ゲームの流れなど、具体的な内容について紹介しました。
最後に、調査結果は「SMG」実施前後のストレス予防行動の平均値と効果量として主に示されました。その結果、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG」が従業員のストレス予防行動にポジティブな影響を及ぼす可能性が示唆された。
討論の中で、皆さんはゲームの具体的な細部について質問し、各国の従業員の仕事のストレス状況についても議論しました。
以上で今回のゼミ活動報告でした!