月別アーカイブ: 2025年5月

【5月22日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-05-31   投稿者:   mtomori

こんにちは!そして、はじめまして!!
今年から藤本研究室でお世話になります、M2の友利です。

5/22のゼミの内容は、Yeさんによる関連論文紹介でした。
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!


Yeさん(M1)による関連論文紹介

Yeさんは、「ゲームプレイ」と「動物保護」をキーワードとして研究されています。現在は、「ゲーム中の動機付けによるゲーム行動が動物保護の行動に関する知識への移行、さらには動物保護の意識への影響を与えるか」という問いを立てて文献調査に取り組んでいらっしゃいます。

今回のゼミでは、「Theory of Planned Behavior」と「Value-Belief-Norm Theory」という心理学の2つのモデルに関する論文と、この2つのモデルを比較した論文を紹介されました。

Theory of Planned Behaviorは、最終的に人の行動・ふるまい(behavior)を引き起こす意図(Intention)が形成される過程を、態度(attitude)、主観的規範(subjective norm)、認識された行動(perceived behavior)の3つの要素から説明しようとするモデルです(図1)。

図1. 図式化したTheory of Planned Behavior (Ajzen, 1991)

一方、「Value-Belief-Norm Theory」は、環境保護の意識の形成について説明するモデルです。環境保護の意識は、価値観(values)、信念(beliefs)、個人的な規範(personal norms)の要素が相互に影響して形成されるというものです。

図2. 図式化したValue-Belief-Norm Theory (Stern, 2000)

また、Yeさんはこれら2つのモデルを比較した研究であるLópez-Mosquera & Sánchez (2012)の研究を紹介しました。この研究は、郊外にある自然公園の訪問者の自然保護に対する支払い意欲(Willingness to Pay)を測定し、2つのモデルを用いて説明を試みています。

結果としては、Value-Belief-Norm Theoryの方が「やや劣る」ということが示唆されていましたが、それぞれ限界があることも示されています。

発表後には、心理学を専攻しているヨハンナさんからTheory of Planned Behaviorに関する詳しい解説もありました。実は、この理論は心理学を専攻されているヨハンナさんから紹介されて、調べられたそうです!!研究室が良いコミュニティとして、機能している証拠でもありますね😊
Yeさんの今後の研究活動が楽しみです!

以上、5月22日のゼミ活動の報告でした。次回のゼミ報告も楽しみにしててください 🙂


Ajzen, I. (1991). The theory of planned behavior. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 50(2), 179–211.
Stern, P. C. (2000). New environmental theories: Toward a coherent theory of environmentally significant behavior. The Journal of Social Issues, 56(3), 407–424.López-Mosquera, N., & Sánchez, M. (2012). Theory of Planned Behavior and the Value-Belief-Norm Theory explaining willingness to pay for a suburban park. Journal of Environmental Management, 113, 251–262.

【5月15日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-05-22   投稿者:   jaskeridis

こんにちは!特別研究生のヨハンナです。今回のゼミ活動をお届けします。
今回は、友利さんとLeafyさんの発表でした。

友利さんは、プレイヤーインタラクションとco-located console gamingについての論文を三つ紹介しました。中学生と大学生のコミュニケーションを育てるスペースを作るのは、友利さんの研究のチャレンジです。ゲームとゲーミングセットアップは、両方大事です。Voida et al. (2010)は、group-oriented とindividual-orientedのインタラクションパターンを調調べまして、Emmerich & Masuch (2017) はインタラクションに対するplayer interdependence, time pressure, shared controlの影響を調べました。研究結果から、social interactionを高まるゲームを選ぶ事ができると思っています。例えば、相互依存性が高いデザインは、social interactionを向上かもしれません。そして、Szentgyorgyi et al. (2008)の研究では、ゲームセットアップについてでした。友利さんはshared displayの重要性を強調しました。

Leafyさんの発表テーマは、lateral thinking(水平思考)でした。Vertical thinkingと言う考え方は、順番を守ってシーケンシャルですが、lateral thinkingは飛躍を生み出せるジェネレーティブな考え方です。Lateral thinkingを利用するゲームもあります(例:ウミガメのスープゲーム)。Leafyさんは、アンチフィッシングシミュレーションゲームのデザインプロセスにもlateral thinkingを使う事になりました。シーケンシャルなシナリオより、ダイナミックとリープレイ性なゲームの方が作りたいと考えているそうです。ゼミの最後に、私はゼミの皆さんに短いゲームプレイのビデオを見せました。

先週、私 (ヨハンナ) は大阪万博のドイツのパヴィリオンで、circular sustainabilityに関するシリアスゲームをプレイする機会がありました。Game-based learning in a public spaceの目的について良い例だと思っていましたので、ゼミの皆さんに見せて良い点を話し合いました。

今回のゼミも、面白かったです!発表者の皆さん、ありがとうございました。論文の結果をどんな感じで自分の研究に使うか考える事も、新しい考え方をやってみる事も難しいですね。ゼミでプロセスの大変な所もシェアするのは、良かったと思いました!

さて、以上、今回の活動報告でした!


Emmerich, K., & Masuch, M. (2017). The impact of game patterns on player experience and social interaction in co-located multiplayer games. In CHI PLAY 2017: Proceedings of the Annual Symposium on Computer-Human Interaction in Play (pp. 411–422). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/3116595.3116606

Szentgyorgyi, C., Terry, M., & Lank, E. (2008). Renegade gaming: practices surrounding social use of the Nintendo DS handheld gaming system. In CHI 2008: Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1463–1472). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/1357054.1357283

Voida, A., Carpendale, S., & Greenberg, S. (2010). The individual and the group in console gaming. In CSCW 2010: Proceedings of the 2010 ACM conference on Computer supported cooperative work (pp. 371–380). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/1718918.1718983

広瀬特任研究員取材記事公開:PR TIMES

投稿日時:   2025-05-14   投稿者:   hatta

広瀬特任研究員が講師を務めた、沖縄県内のヒルトングループホテル6施設のスタッフ46名が参加した社内セミナー「自分を生きてますか?」の記事が公開されました。本セミナーは国際女性デーを記念した取り組みの一環として行われ、人生やキャリアを再考し、自分らしく生きるための第一歩を踏み出すきっかけとして、貴重な時間となりました。ぜひご覧ください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000060961.html

【5月8日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-05-11   投稿者:   fhasuike

こんにちは!M1の蓮池です。

Ludix Labに所属してから、初めてNews記事を作成いたしますので、お手柔らかに読んでいただけると幸いです。

ゴールデンウィークが終わり、研究活動に一層熱心に取り組む時期となりました。今回は、 関連論文紹介と研究員によるプレイセッションという豪華な内容でした!

それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします!


大空さん(M2)による関連論文紹介

大空さんは、研究倫理教育に資するカードゲーム教材「QRP GAME」の開発背景と評価計画について3つの関連論文の紹介を踏まえながら、詳細に発表されました。「QRP GAME」では、疑わしい研究活動(QRP)をカード化した疑似体験型のゲームを通じて、参加者自身が倫理判断力を養えるのが大きな特徴です。

設計段階ではADDIEモデル(Analysis, Design, Development, Implementation, Evaluation)に沿ってα版からγ′版まで段階的にブラッシュアップされていました。評価手法として、関連論文の「研究倫理教育効果の評価手法に関する試行的考察1」を参考にして、カークパトリックの4段階評価モデル(反応・学習・行動・成果)をベースに、ワークショップ直後の満足度アンケートや事前・事後のQRP把握度評価を行うことを提案されました。

また、研究不正に関する倫理観の変化を評価するために、関連論文の「研究不正に関する態度・価値尺度の改変可能性の検討2」及び「公正感受性尺度日本語版(JSI-J)の作成3」を参考にして、公正感受性尺度を6段階評価によって評価することを提案されました。

発表後のディスカッションの時間では、アンケート項目の改善点等が活発に議論されました。

大空さんの今後の研究活動が楽しみです!


研究員の広瀬さんによるプレイセッション

ゼミ後半は、研究員の広瀬さんによる、自己理解を深めるワークショップ「ココロミ」を実施しました。まず「Work・Fun・Learning・Love・Health」の5領域について自己評価シートに100点満点で点数を付け、その後「自分の好きなこと」を6つリストアップしました。それらを深掘りするとともに、関連キーワードをマッピングして自身の価値観を可視化しました。最後に自身の考え整理して、「自分のIKIGAI(生きがい)」を考えるといったワークショップでした!

ワークショップ中には、グループでの発表の機会があり、他の参加者の価値観を理解したり、自分の考え方に対するフィードバックを受けることで、自分では気づきにくい強みを発見する貴重な時間となりました!

私自身、「ココロミ」のワークショップを通じて、自分の生きがいを言語化でき、素晴らしい体験を得られたと感じています。

「ココロミ」ワークショップ中の様子も掲載します!

最後には、坂井先生から性格特性・思考・行動スタイル診断「キャラフルレインボー」についての説明が少しありました!

また、時間がある時に「キャラフルレインボー」を活用して、自分自身についてより深ぼることができたらなと感じました!


以上、5月8日のゼミ活動の報告でした!

それでは、また!

  1. 有澤和代, 神里彩子. 研究倫理教育効果の評価手法に関する試行的考察-倫理審査の質向上を目的とした倫理審査委員の教育・研修を題材として. 生命倫理. 2019 Sep 26;29(1):112-20. ↩︎
  2. 景山千愛. 研究公正に関する態度・価値尺度の改変可能性の検討: HIT-Res (How I Think about Research) の分析をもとに. Studia humana et naturalia. 2020 Dec 25(54):115-27. ↩︎
  3. 橋本剛明, 唐沢かおり. 公正感受性尺度日本語版 (JSI-J) の作成. 心理学研究. 2019;90(5):503-12. ↩︎

【5月1日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-05-02   投稿者:   keirinkyou

皆さんこんにちは!M1の叶です。
2025年度Sセメスター第4回ゼミ活動についてご報告します!

今回は春休みを経て、それぞれの研究進捗を共有する機会となりました。新しいメンバーも増えて、活気あるスタートになりました! では、さっそく今回のゼミ内容を見ましょう!


大空さんの発表

大空さんは、研究倫理教育におけるゲーム活用の可能性について発表されました。
まず、近年問題となっている研究不正(STAP細胞事件など)を例に挙げながら、研究倫理教育の必要性とその限界を分かりやすく整理されました。特に現行のeラーニング型教育(知識詰め込み型)の問題点や、現場での倫理教育(ORT)だけでは不十分であることを丁寧に説明し、「スキル開発を重視した双方向型の学び」の重要性を訴えられました。
また、既存のDilemma Gameの長所と課題を分析し、大人の学習者特性(自律性・目的志向性など)を踏まえた新たなゲーミフィケーションの方向性も提案されました。
非常に体系的で、問題意識が明確な発表で、聞いていて背筋が伸びる思いがしました!Sセメスター後半の実践がとても楽しみです。

蓮池さんの発表

蓮池さんは、語学学習アプリのゲーミフィケーション要素と学習継続率の関係について研究計画を発表されました。
元々は『Rocksmith+』という音楽ゲームをきっかけに、ゲームの教育的可能性に興味を持たれたそうですが、今回はさらに進めて、語学学習アプリ『スピークバディ』を対象に研究を展開されます。
特に、ゲーミフィケーション要素(即時フィードバック、報酬ポイント、リーダーボードなど)が、日本人英語学習者の内発的・外発的動機づけにどのように作用するか、またそれが継続率にどう影響するかを、自己決定理論(SDT)に基づいて検討される予定です。
アンケートとインタビューを組み合わせた堅実な方法設計で、動機づけタイプ別の比較にも挑戦するとのことで、非常に意欲的なプランでした!
発表後には、友利さんから「英語能力をどう測るか?」という実践的な質問があり、大空さんからもDoulingoの検証研究が紹介されるなど、活発な議論になりました。これからの設計ブラッシュアップも期待しています!

友利さんの発表

友利さんは、児童養護施設に入所する中学生を対象に、大学進学への興味を促すためのゲーム共同プレイ環境に関する実践報告をされました。
この春休みには、実際に東京都内の施設で『Super Smash Mitaka Cup』というゲーム大会を開催され、小中高生と大学生を交えてチームプレイを実施されました。
大会中、大学生に中学生が興味を持って話しかけたり、進路について自然な会話が生まれる場面も観察できたとのことです。一方で、もっと積極的に交流を引き出すには、ゲームの設定やルール設計に工夫が必要だと感じたそうです。
木村さんと藤本先生からは、「今後、ボードゲームとの比較も試してみると面白いかもしれない」とアドバイスがありました。友利さんのフィールド感覚に基づいた実践報告は非常に臨場感があり、次の改善実践が本当に楽しみです!

私(叶)の発表

私は、動物保護をテーマにした教育型協力カードゲームの設計に向けた研究進捗を発表しました。
春休み中には、ドキュメンタリー映画の限界について文献レビューを行うと同時に、市販されている動物保護関連ゲーム(『Animal Shelter』『Steer Madness』『Shelter』『Endangered』など)を実際にプレイ・レビュー調査しました。
それぞれの作品が「感情喚起」や「知識提供」にどこまで貢献できているかを自分なりにまとめ、現状では「個人の具体的行動」にまでつながる設計が不足していると分析しました。

また、新たにTheory of Planned Behavior(計画的行動理論)を理論枠組みとして取り入れることにしました。これはゼミメンバーのJohannaさんからアドバイスを受けたもので、「態度」「主観的規範」「行動意図」が実際の行動に結びつくプロセスを説明できるため、動物保護行動の促進にも適用できると考えています。

さらに、今回の発表後、藤本先生と厳さんから以下のような重要なフィードバックをいただきました。

  • 「対象が小学生〜中学生の場合、自分ができる個人支援行動を思い出すのが難しいことがある。できれば、ヒントカードや選択肢提示などを工夫してサポートするとよい」
    この指摘は、今後のゲーム設計に非常に重要な視点だと感じました。次のステップでは、具体的なヒントシステムの導入を検討していきたいです!

最後に

今回のゼミは、全員が春休み中にしっかりと手を動かしてきたことがよく伝わる、非常に密度の高い会でした。
それぞれの研究が理論面でも実践面でも確実に前進しており、これからの展開がますます楽しみです!

今年度のSセメスターも、新メンバーも増えて、新たな風が吹き込んでいる藤本研。研究室全体で切磋琢磨しながら、いい形で進めていきたいと思います!

それでは、今回の活動報告は以上になります!

【4月24日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2025-05-01   投稿者:   leafyyan

こんにちは!M2の莫です。

4月も終わりに近づき、新年度のゼミも本格的にスタートしましたね。
今回は研究計画・進捗報告、そして研究員発表という豪華な内容でした!
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします。


莫:研究進捗報告
まずは私から、修士研究の進捗報告を行いました。
「Enhancing Team-Based Learning with Murder Mystery Game: A Psychoeducational Workshop Design on Stress Management」というテーマで、マーダーミステリーゲーム(MMG)の仕組みを活用し、チームベース学習(TBL)における情報共有の質を高めるワークショップデザインについて発表しました。
TBLにおける情報共有の偏り(Information Sampling Model)という課題に対して、MMGの役割分担・情報交換のメカニズムがどのように貢献できるかを考察しています。
今回は特に、今後のワークショップ実施に向けた実践面でのアドバイスをたくさんいただきました。本当にありがとうございました!

Leafyさん:研究進捗報告
続いてLeafyさんからは、前学期に配布したアンケート調査の分析結果を共有していただきました。
「ゲームを活用した金融リテラシー向上:アンチフィッシングシミュレーションゲームの設計と評価」というテーマのもと、異なる国・文化圏におけるフィッシング詐欺経験や、対策教育に対する認識の違いなど、興味深い洞察がたくさん紹介されました。
また、アンケート設計や実施における工夫や課題についての振り返りも共有され、非常に実践的な学びが得られました。

Johannaさん:研究計画発表
Johannaさんは、臨床心理学に由来するSORKCモデルについて紹介してくれました。
行動分析の枠組みとして、刺激(S)-個体特性(O)-反応(R)-結果(C)-連関(K)の要素に分け、なぜある行動が起き、持続するのかを分析する手法です。
GBL(Game-Based Learning)にも応用できる理論で、特に行動や感情の観察、介入設計に役立つとされます。
(個人的には、普段の生活でも応用できそうなとても実用的な考え方だなと思いました!)

XIE:自己紹介+研究計画発表
XIEさんは、第一回に間に合わなかった自己紹介を今回してくれました!
自身の研究テーマは「文化遺産をテーマにしたシリアスゲームの設計」。
これまで中国で手掛けた文化遺産関連のゲームプロジェクトや、取得した特許についても紹介してくれて、すごく印象に残りました。
実は、彼女の指導教員が昨年うちの研究室を訪問した際、私も立ち会っていたので、不思議なご縁を感じています!

坂井裕紀先生:研究員発表
最後は坂井先生による、JSET2025春季大会での発表内容のご紹介でした。
テーマは「オンライン学習環境における学びのエンゲージメントとゲーミフィケーションとの関連の検討 ―学習者のタイプに着目して―」。
オンライン講座を対象に、ゲーミフィケーション要素が学習者のモチベーションやエンゲージメントに与える影響を検討したものです。
特に、「プレイヤー型」(報酬志向型)の学習者にとってはゲーミフィケーションがポジティブな効果をもたらす一方で、必ずしもすべての学習者に有効とは限らないという、非常に示唆に富む結果が示されました。
学習支援デザインにおいて、受け手の個性に合わせた工夫が一層重要であることを改めて感じさせられました。

以上、4月24日のゼミ報告でした!
それではまた!