【5月12日】ゼミ活動のご報告

皆さん、久しぶりです。M2の叶です。

早速、先週のゼミ活動についてご報告いたします。
今回は私と大空さんの事例研究と、木村研究員の研究発表の回でした。

大空さんは、ゲームマーケットで購入した『社畜牧場』というボードゲームについて紹介しました。このゲームではプレイヤーが「社長」となり、「社畜」を使って自社の「株価」の上昇を目指す対戦し、ワーカープレイスメントというメカニクスでゲームを進めます。

ワーカープレイスメント:プレイヤーが自分のポーン(ワーカー、労働者)をアクションスペース(建物)に配置することで、ターンオーダーでアクションを選んでいく

大空さんはゲームの構造を踏まえて、『社畜牧場』の遊びにおいては派遣や収益を高めるための経営のプロセスが表れると分析し、今後の人材育成類ボードゲームの制作において「ワーカープレイスメント」の活用の可能性、プレイヤーの当事者意識を入れるなどを検討しました。

自分は「Game2Text」という、GITHUBで無料に配布されたオープンソースのゲームでの外国語学習のため活用できるツールキットを取り上げました。基本機能としてはOCRでゲームのスクリプトを特定し、アドオン辞書と組み合わせてゲームテキストを簡単に調べたり翻訳したりすることができ、単語帳アプリと連携することで暗記カードを簡単に作れます。

「Game2Text」はゲームを活用した外国語(特に日本語)の学習と復習には有用性が高いと考えられます。しかし、今のバージョンだとOCR機能にはまだ正確性に欠ける、インストール・利用する際のハードルが高いなどの課題点により、学習ギーク・ゲームギーク・パソコンに一定程度詳しい説明人でなければ、利用するモチベーションが低いとも考えられます。

最後に、木村さんの「ゲームと人を対象とした心理学研究の方法とその範囲」というテーマで発表しました。木村さんは、Schellの『ゲームデザインバイブル』の中で心理学について説明している項にある行動主義派と現象学派の切り分け方を批判し、心理学では質的なアプローチも多く用いられてきたことを強調しました。その後は、「即時的な反応を要求するゲームとその熟達が感情経験に与える影響」(木村, 2020)における実験の例を挙げ、「感情の円環モデル」についても説明してくれました。

その時就活に苦戦していた自分は、「疲れた」と「警戒した」という複雑の感情に陥って、ただ一つのモデルはまだ説明しきれない部分があるだろうと思っていました。皆さんはこの記事を読む時は、どのような「感情」にいるのでしょうか?

では今回はここまでです!次回は対面の回で、初めて新入メンバーと会う回ですので楽しみしています!皆さんもぜひ次回の記事を楽しみにしてください〜

  • 木村 知宏 (2020). 即時的な反応を要求するゲームとその熟達が感情経験に与える影響デジタルゲーム学研究, 13(1), 21–29.
  • Russell, J. A. (1980). A circumplex model of affect. Journal of Personality and Social Psychology, 39, 1161–1178.

【5月13日】ゼミ活動のご報告

いつもお世話になっております。M1の叶(イェ)です。
5月に入り、東京は暖かくなりましたね。緑にあふれたキャンパスで対面のゼミができないのは残念ですが、早速、今週のゼミ内容について報告させていただきます。

今週のゼミは、事例研究(叶、升井さん)と研究テーマの関連論文3本概要紹介(K.I.さん、張さん)という流れで行われました。

・事例研究(1)-「Word Castle」(担当:叶)

2018年に2人の開発者により作られた、中国のある英単語学習系インディーゲームです。「Word Castle」は実は「ローグライクゲーム」と「英単語ドリルアプリ」の融合だと思われます。基本的なルールとしては、語彙力(単語を覚えるの)がゲーム進行の必須条件(手段)になり、ゲームを楽しみながら英語の語彙力を身につけることができます。

ゲームのレビューを分析してみたところ、ゲームの形より、学習のデザインの厳密性や効率性がプレイヤーに懸念されていることがわかりました。「World Castle」のような学習ゲームは、学習に関する部分がさらによくデザインされれば、未来のいいシリアスゲームになるのでしょうか?

・事例研究(2)- 「Geoguessr」(担当:升井さん)

ランダムに飛ばされたGoogle ストリートビューの場所を当てる「地理系シリアスゲーム」です。升井さんは過去の面白いゲーム経験を踏まえて、ゲーミフィケーションカードを使ってそのゲームシステムを詳しく分析しました。

その後、Geoguessrに取り入れられなかった「ロールプレイ要素」を加えるのであればどんなゲームデザインが可能なのか、日常生活でどんなモノがゲーム化できるのかについて皆の意見を交わし、「学術論文を探したり整理したりする際はゲーム化できるのか」についての議論が盛り上がりました。

とても面白いゲームで毎日5回無料で遊べますので、興味がある人はぜひやってみてください!(東大に飛ばされたら安田講堂と駒場キャンパス1号館が似ているのにお気をつけくださいね:D)
https://www.geoguessr.com/

・研究関連論文3本紹介(1)(担当:K.I.さん)

①富田誠, 2019, 「共創の場における視覚的対話手法の比較」『芸術学研究 = Tsukuba Studies in Art and Design』 24 : 31-39.
②伊藤ふみ子・田代和子,2020, 「独居高齢者の社会的孤立に関する文献検討」『淑徳大学看護栄養学部紀要 』12 : 69-77.
③阿部彩,(2019)「包摂社会の中の社会的孤立 – 他県からの移住者に注目して – 」『東京大学社会科学研究所 社會科學研究』 65巻1号, 13-30

社会的孤立に関する2本の論文(②、③)の他に、論文①はデザインゲームの定義、歴史と現状を述べた論文で、まちづくりだけでなく、他の領域のデザインゲームに関する研究でも先行研究として引用できる論文でした。

研究関連論文3本紹介(2)(担当:張さん)

①『The Seeds of Speech』Chapter 2:  5. The Family Tree & 6. A Devious Mind
② Tseng, V., & Fuligni, A. J. (2000). Parent‐Adolescent language use and relationships among immigrant families with East Asian, Filipino, and Latin American backgrounds. Journal of Marriage and Family, 62(2), 465-476.

『The Seeds of Speech』の第2章は言語誕生の仮説、人間に言語が必要な理由、言語がなにかできるのかなどを述べた章で、論文②は移民家族の言語使用状況と親子関係の関連性の実証研究です。どれも言語学に関する興味深い論文で、ぜひチェックしてみてください。

以上は今回のゼミ報告でした。研究室の説明会、皆様のご参加をお待ちしております!