月別アーカイブ: 2025年5月

【5月15日】ゼミ活動のご報告

こんにちは!特別研究生のヨハンナです。今回のゼミ活動をお届けします。
今回は、友利さんとLeafyさんの発表でした。

友利さんは、プレイヤーインタラクションとco-located console gamingについての論文を三つ紹介しました。中学生と大学生のコミュニケーションを育てるスペースを作るのは、友利さんの研究のチャレンジです。ゲームとゲーミングセットアップは、両方大事です。Voida et al. (2010)は、group-oriented とindividual-orientedのインタラクションパターンを調調べまして、Emmerich & Masuch (2017) はインタラクションに対するplayer interdependence, time pressure, shared controlの影響を調べました。研究結果から、social interactionを高まるゲームを選ぶ事ができると思っています。例えば、相互依存性が高いデザインは、social interactionを向上かもしれません。そして、Szentgyorgyi et al. (2008)の研究では、ゲームセットアップについてでした。友利さんはshared displayの重要性を強調しました。

Leafyさんの発表テーマは、lateral thinking(水平思考)でした。Vertical thinkingと言う考え方は、順番を守ってシーケンシャルですが、lateral thinkingは飛躍を生み出せるジェネレーティブな考え方です。Lateral thinkingを利用するゲームもあります(例:ウミガメのスープゲーム)。Leafyさんは、アンチフィッシングシミュレーションゲームのデザインプロセスにもlateral thinkingを使う事になりました。シーケンシャルなシナリオより、ダイナミックとリープレイ性なゲームの方が作りたいと考えているそうです。ゼミの最後に、私はゼミの皆さんに短いゲームプレイのビデオを見せました。

先週、私 (ヨハンナ) は大阪万博のドイツのパヴィリオンで、circular sustainabilityに関するシリアスゲームをプレイする機会がありました。Game-based learning in a public spaceの目的について良い例だと思っていましたので、ゼミの皆さんに見せて良い点を話し合いました。

今回のゼミも、面白かったです!発表者の皆さん、ありがとうございました。論文の結果をどんな感じで自分の研究に使うか考える事も、新しい考え方をやってみる事も難しいですね。ゼミでプロセスの大変な所もシェアするのは、良かったと思いました!

さて、以上、今回の活動報告でした!


Emmerich, K., & Masuch, M. (2017). The impact of game patterns on player experience and social interaction in co-located multiplayer games. In CHI PLAY 2017: Proceedings of the Annual Symposium on Computer-Human Interaction in Play (pp. 411–422). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/3116595.3116606

Szentgyorgyi, C., Terry, M., & Lank, E. (2008). Renegade gaming: practices surrounding social use of the Nintendo DS handheld gaming system. In CHI 2008: Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 1463–1472). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/1357054.1357283

Voida, A., Carpendale, S., & Greenberg, S. (2010). The individual and the group in console gaming. In CSCW 2010: Proceedings of the 2010 ACM conference on Computer supported cooperative work (pp. 371–380). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/1718918.1718983

【5月1日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは!M1の叶です。
2025年度Sセメスター第4回ゼミ活動についてご報告します!

今回は春休みを経て、それぞれの研究進捗を共有する機会となりました。新しいメンバーも増えて、活気あるスタートになりました! では、さっそく今回のゼミ内容を見ましょう!


大空さんの発表

大空さんは、研究倫理教育におけるゲーム活用の可能性について発表されました。
まず、近年問題となっている研究不正(STAP細胞事件など)を例に挙げながら、研究倫理教育の必要性とその限界を分かりやすく整理されました。特に現行のeラーニング型教育(知識詰め込み型)の問題点や、現場での倫理教育(ORT)だけでは不十分であることを丁寧に説明し、「スキル開発を重視した双方向型の学び」の重要性を訴えられました。
また、既存のDilemma Gameの長所と課題を分析し、大人の学習者特性(自律性・目的志向性など)を踏まえた新たなゲーミフィケーションの方向性も提案されました。
非常に体系的で、問題意識が明確な発表で、聞いていて背筋が伸びる思いがしました!Sセメスター後半の実践がとても楽しみです。

蓮池さんの発表

蓮池さんは、語学学習アプリのゲーミフィケーション要素と学習継続率の関係について研究計画を発表されました。
元々は『Rocksmith+』という音楽ゲームをきっかけに、ゲームの教育的可能性に興味を持たれたそうですが、今回はさらに進めて、語学学習アプリ『スピークバディ』を対象に研究を展開されます。
特に、ゲーミフィケーション要素(即時フィードバック、報酬ポイント、リーダーボードなど)が、日本人英語学習者の内発的・外発的動機づけにどのように作用するか、またそれが継続率にどう影響するかを、自己決定理論(SDT)に基づいて検討される予定です。
アンケートとインタビューを組み合わせた堅実な方法設計で、動機づけタイプ別の比較にも挑戦するとのことで、非常に意欲的なプランでした!
発表後には、友利さんから「英語能力をどう測るか?」という実践的な質問があり、大空さんからもDoulingoの検証研究が紹介されるなど、活発な議論になりました。これからの設計ブラッシュアップも期待しています!

友利さんの発表

友利さんは、児童養護施設に入所する中学生を対象に、大学進学への興味を促すためのゲーム共同プレイ環境に関する実践報告をされました。
この春休みには、実際に東京都内の施設で『Super Smash Mitaka Cup』というゲーム大会を開催され、小中高生と大学生を交えてチームプレイを実施されました。
大会中、大学生に中学生が興味を持って話しかけたり、進路について自然な会話が生まれる場面も観察できたとのことです。一方で、もっと積極的に交流を引き出すには、ゲームの設定やルール設計に工夫が必要だと感じたそうです。
木村さんと藤本先生からは、「今後、ボードゲームとの比較も試してみると面白いかもしれない」とアドバイスがありました。友利さんのフィールド感覚に基づいた実践報告は非常に臨場感があり、次の改善実践が本当に楽しみです!

私(叶)の発表

私は、動物保護をテーマにした教育型協力カードゲームの設計に向けた研究進捗を発表しました。
春休み中には、ドキュメンタリー映画の限界について文献レビューを行うと同時に、市販されている動物保護関連ゲーム(『Animal Shelter』『Steer Madness』『Shelter』『Endangered』など)を実際にプレイ・レビュー調査しました。
それぞれの作品が「感情喚起」や「知識提供」にどこまで貢献できているかを自分なりにまとめ、現状では「個人の具体的行動」にまでつながる設計が不足していると分析しました。

また、新たにTheory of Planned Behavior(計画的行動理論)を理論枠組みとして取り入れることにしました。これはゼミメンバーのJohannaさんからアドバイスを受けたもので、「態度」「主観的規範」「行動意図」が実際の行動に結びつくプロセスを説明できるため、動物保護行動の促進にも適用できると考えています。

さらに、今回の発表後、藤本先生と厳さんから以下のような重要なフィードバックをいただきました。

  • 「対象が小学生〜中学生の場合、自分ができる個人支援行動を思い出すのが難しいことがある。できれば、ヒントカードや選択肢提示などを工夫してサポートするとよい」
    この指摘は、今後のゲーム設計に非常に重要な視点だと感じました。次のステップでは、具体的なヒントシステムの導入を検討していきたいです!

最後に

今回のゼミは、全員が春休み中にしっかりと手を動かしてきたことがよく伝わる、非常に密度の高い会でした。
それぞれの研究が理論面でも実践面でも確実に前進しており、これからの展開がますます楽しみです!

今年度のSセメスターも、新メンバーも増えて、新たな風が吹き込んでいる藤本研。研究室全体で切磋琢磨しながら、いい形で進めていきたいと思います!

それでは、今回の活動報告は以上になります!

【4月24日】ゼミ活動のご報告

こんにちは!M2の莫です。

4月も終わりに近づき、新年度のゼミも本格的にスタートしましたね。
今回は研究計画・進捗報告、そして研究員発表という豪華な内容でした!
それでは早速、今回のゼミの様子をお届けします。


莫:研究進捗報告
まずは私から、修士研究の進捗報告を行いました。
「Enhancing Team-Based Learning with Murder Mystery Game: A Psychoeducational Workshop Design on Stress Management」というテーマで、マーダーミステリーゲーム(MMG)の仕組みを活用し、チームベース学習(TBL)における情報共有の質を高めるワークショップデザインについて発表しました。
TBLにおける情報共有の偏り(Information Sampling Model)という課題に対して、MMGの役割分担・情報交換のメカニズムがどのように貢献できるかを考察しています。
今回は特に、今後のワークショップ実施に向けた実践面でのアドバイスをたくさんいただきました。本当にありがとうございました!

Leafyさん:研究進捗報告
続いてLeafyさんからは、前学期に配布したアンケート調査の分析結果を共有していただきました。
「ゲームを活用した金融リテラシー向上:アンチフィッシングシミュレーションゲームの設計と評価」というテーマのもと、異なる国・文化圏におけるフィッシング詐欺経験や、対策教育に対する認識の違いなど、興味深い洞察がたくさん紹介されました。
また、アンケート設計や実施における工夫や課題についての振り返りも共有され、非常に実践的な学びが得られました。

Johannaさん:研究計画発表
Johannaさんは、臨床心理学に由来するSORKCモデルについて紹介してくれました。
行動分析の枠組みとして、刺激(S)-個体特性(O)-反応(R)-結果(C)-連関(K)の要素に分け、なぜある行動が起き、持続するのかを分析する手法です。
GBL(Game-Based Learning)にも応用できる理論で、特に行動や感情の観察、介入設計に役立つとされます。
(個人的には、普段の生活でも応用できそうなとても実用的な考え方だなと思いました!)

XIE:自己紹介+研究計画発表
XIEさんは、第一回に間に合わなかった自己紹介を今回してくれました!
自身の研究テーマは「文化遺産をテーマにしたシリアスゲームの設計」。
これまで中国で手掛けた文化遺産関連のゲームプロジェクトや、取得した特許についても紹介してくれて、すごく印象に残りました。
実は、彼女の指導教員が昨年うちの研究室を訪問した際、私も立ち会っていたので、不思議なご縁を感じています!

坂井裕紀先生:研究員発表
最後は坂井先生による、JSET2025春季大会での発表内容のご紹介でした。
テーマは「オンライン学習環境における学びのエンゲージメントとゲーミフィケーションとの関連の検討 ―学習者のタイプに着目して―」。
オンライン講座を対象に、ゲーミフィケーション要素が学習者のモチベーションやエンゲージメントに与える影響を検討したものです。
特に、「プレイヤー型」(報酬志向型)の学習者にとってはゲーミフィケーションがポジティブな効果をもたらす一方で、必ずしもすべての学習者に有効とは限らないという、非常に示唆に富む結果が示されました。
学習支援デザインにおいて、受け手の個性に合わせた工夫が一層重要であることを改めて感じさせられました。

以上、4月24日のゼミ報告でした!
それではまた!

【4月17日】ゼミ活動のご報告

皆さん、こんにちは! M1のLeafyです。

2025年度Sセメスターの第二回ゼミ活動の報告をお伝えできることを大変光栄に思います!今回のゼミ活動は特別なものであり、歴史教育の研究者とのゲストセッションでした。

お二人はMario Carretero教授(以下、カレテロ先生)と池尻良平准教授(以下、池尻先生)であり、彼らの発表は非常に魅力的で、多くの有意義な示唆を私たちに与えてくださいました。


まず、広島大学大学院人間社会科学研究科の池尻良平准教授が、彼の研究課題や最近の活動についてご紹介くださり、新たな視野を開いてくださいました。池尻先生の主な研究分野は、歴史を現代の問題解決に応用できる教材を開発し、高校の授業で実践・評価を行うことです。歴史から学べる人類レベルのラーニング・システムを構築することが夢であり、その専門は教育工学、歴史教育、そしてゲーム学習に及びます。

本日、池尻先生は伝統的歴史と現代教育というテーマで共有してくださいました。その中で、主に「歴史タイムマシーン」という教育的意義を持つシリアスゲームプロジェクトについてご紹介いただきました。このプロジェクトは、学生がゲームを楽しむ中で、歴史と現在の社会問題とのつながりを深く理解することを目的としています。

具体的には、「歴史タイムマシーン」では、社会問題を含むリアルタイムなニュースを入力し、いくつかのカテゴリを選択することで、関連する歴史情報を検索することが可能です。このゲームは、出てきた歴史上の因果関係を応用し、新しい視点でニュースの問題を捉え直すことを目指しています。また、この学習支援システムは、高校の先生が世界史の授業で利用したり、世界史を履修している高校生が授業の中で活用したりすることを想定しています。

池尻先生は、このゲームの操作画面を生き生きと示してくださいました。プレイヤーは、社会問題を含むリアルタイムなニュースを入力するだけで、複数のカテゴリを選択し、システムが関連する歴史情報を提示してくれるという仕組みです。これにより、学生は歴史の因果関係を通じて、現代のニュースの深い意味を理解することができます。このゲームは単なる学習ツールではなく、学生の歴史に対する好奇心や参加感を引き出すインタラクティブなプラットフォームとして機能します。興味のある方は、ぜひこちらのリンクから体験してみてください:http://www.historymining.org/timemachine/


続いて、スペインのAutonoma Universityからカレテロ先生が、彼の研究やテーマについてご紹介くださいました。心理学の教授であるカレテロ先生は、歴史のナラティブ、ゲーム、そして集合的記憶に関する広範な研究を行っており、国際歴史教育のハンドブックの編集者でもあります。本日のゼミでは、カレテロ教授が百篇以上の論文を発表され、多くの引用を得ている、非常に優れた学者であることを知り、大変感銘を受けました。

カレテロ先生はまた、歴史や教育に関するさまざまな理論を共有し、特に「ナラティブ(narrative)」が歴史の形成や情報伝達において果たす役割について詳しく説明してくださいました。また、ナラティブの六つの次元(six dimensions of narrative)についても、多くの生き生きとした事例を用いて、物語を通じて歴史のナラティブを理解する方法を示してくださいました。

現在、カレテロ教授は池尻先生と共に新たなプロジェクトに取り組んでおり、歴史に関連するゲーム(例:文明シリーズ)を探求し、プレイヤーがゲームを体験する中でどのように歴史を学び、理解していくのかを調査しています。このプロジェクトの今後の進展を非常に楽しみにしています!

さらに、二人の教授は日本での考察中に訪れた博物館の体験や撮影した写真を共有してくださいました。これは非常に意義深い学術の旅であり、私たちの研究室のメンバーと共にその経験を分かち合い、質問に答えていただき、心より感謝申し上げます。


ゼミ活動を主催している藤本研究室の藤本徹教授も、ゲストスピーカーと共に、教育工学やゲーム学習に関する研究課題を皆さんとシェアしてくださいました。具体的には、藤本先生と研究室のメンバーは、人の学びや成長につながる「楽しい経験(Ludic Experience)」を創出する学習コンテンツの開発や、教育プログラムのデザイン方法論について研究しています。

今日のゼミ活動は、時間があっという間に過ぎてしまうほどでした。皆さんの交流は非常に面白く、熱気に満ちていました。

以上をもちまして、報告を終了させていただきます!ご覧いただき、ありがとうございました!

【12月05日】ゼミ活動のご報告

皆さん、こんにちは! 外国人研究生のLeafyです。12月5日のゼミ活動では、莫さん、犬田さん、アマンダさんの研究進捗発表、そしてLeafyが準備したプレイセッションが行われましたので、ご報告です。

■【大空さん】ゲームジャム

発表の開始前に、大空さんが参加したScientific Game Jamについての経験を共有しました。ゲームジャムは、ゲーム開発者やデザイナー、そしてゲーム愛好者が集まり、限られた時間の中でゲームを制作するイベントです。大空さんは『ULTRA FAST WAR』という対戦ゲームをチームで開発し、サイエンスゲーム賞及び観客賞を受賞しました!

■【莫さん】研究進捗発表

次に、莫さんが自身の研究進捗を発表しました。彼女の研究は、murder mystery game(MMG)のデザイン要素を活用し、学習の向上を目指すものであり、具体的にはケーススタディおよび標準化患者を通じてチームワークの強化を図る、いわゆるteam-based learningに関連しています。

莫さんは、研究問題「MMGメカニズムの活用はCoR理論を通じてTBLを向上させるか」を設定し、追加的な文献研究を進めつつ、ワークショップの作成に着手しています。現在、彼女が直面している課題は、ワークショップ作成の参考文献としてMOOCを選択するか、それともより伝統的な教科書を選択するかという点です。莫さんは皆から意見を募り、日本の臨床心理学に関する書籍を参考にしてワークショップを最適化する方針を決定しました。木村先生は、莫さんの研究テーマが主に日本人を対象としていることを確認し、日本の学生や関連する心理系の医師との接触に関するアドバイスを提供されました。

さらに、莫さんは謎解きゲームによる東京大学制作展への参加経験や、今後の短期的および長期的な計画についても報告しました。

■【犬田さん】研究進捗発表

犬田さんは「ゲーム手法を用いたデータ収集法の開発と評価」という研究テーマについて発表しました。彼は今回の進捗発表において、データの収集と分析が既に完了したことを説明しました。犬田さんは、Googleフォームを利用した調査結果、およびその分析方法について詳細に解説しました。

自由記述のセクションでは、共起ネットワーク図の解釈や概要に重点を置き、特にゲーミフィケーションを活用した調査における興味を引く要素およびその頻度について議論を行いました。犬田さんはKH Coderを用いた分析結果も提示し、具体的な説明と共に分析を行いました。

最後に、犬田さんは自身の論文作成の進捗についても触れましたが、その詳細についてはここでは省略いたします。

■【アマンダさん】研究進捗発表

特別研究学生のアマンダさんは、非常に魅力的な研究進捗を報告しました。アマンダさんの研究テーマは「ビデオゲーム、知識、意味生成の絡み」です。アマンダさんは、彼女の研究において重要なゲーム開発者チームであるConcernedApeとのインタビューについて発表しました。インタビューは、アマンダさんにとって学術的にも非常に意義深い時間となったようです。

続いて、アマンダさんは今後6ヶ月間の研究タイムラインや現在進行中の論文について説明し、また日本の学術環境におけるインタビュー設計での参加者報酬に関する問題についても意見を求めました。

■【Leafy】プレイセッション

12月5日のゼミ活動の最後には、私が主催したプレイセッションが行われました。今回のプレイセッションのテーマはボードゲームであり、Leafyはドイツ式とアメリカ式のボードゲームの種類やスタイルについて紹介し、持参した手作りのボードゲーム、つまり「Splendor」メカニズムに基づいたドイツ式の戦略ボードゲームを紹介しました。皆さんにドイツ式ボードゲームの魅力を感じていただけたかどうかわかりませんが、参加者全員が非常に楽しんでいただいた様子でした ♪

以上が、12月5日のゼミ活動に関する報告です。ご覧いただき、ありがとうございました!

寒さが厳しくなり、インフルエンザも流行していますので、皆様は健康に留意し、忙しい学業や仕事の中でも体調に気を付けてください。

【10月17日】ゼミ活動のご報告

みなさん、こんにちは!研究生の叶馨霖と申します。それでは、10月17日のゼミ活動を報告させていただきます。この度のゼミでは、研究生の進捗報告が行われ、発表者は斉さん、厳さん、アマンダさん、そして叶(私)でした。


斉さん

まず、斉さんは研究課題の変更について説明しました。知識の不足により、文献を読み進めた結果、研究テーマを「第二言語語彙学習ゲームの評価と設計のためのGameFlowヒューリスティクス」へと修正しました。テーマ自体は変わったものの、研究の動機は基本的に変わっていません。

次に、斉さんはフローモデルについて紹介しましたが、このモデルはさまざまな分野で応用されています。ゲーム学習に特化した研究に集中するため、斉さんはゲームにおけるフローモデルの研究に焦点を当てる予定です。

先行研究において、ある学者はゲームフローモデルを用いてリアルタイムストラテジー(RTS)ゲームを分析し、その結果からRTSゲームの評価や設計に役立つ詳細なヒューリスティクスを提案しました。斉さんも同様に、ゲームフローモデルを使って第二言語語彙学習ゲームを分析し、評価と設計に役立つ詳細なヒューリスティクスをまとめたいと考えています。

さらに、斉さんはゲーム分野と教育分野におけるフロー理論の違いについても説明しました。教育ゲームは明確な教育目的を持つため、楽しさと学習のバランスを見つけることが難しくなります。この時にヒューリスティクスがより重要な役割を果たします。

次に、なぜ第二言語学習を選んだのか、その理由を詳しく説明し、今後の研究計画も示しました。

その後、アマンダさんとモさんからいくつかの質問や提案がありました。アマンダさんは、もっと多くのゲームレビューを行うことを提案しました。莫さんは、どの種類のゲームを対象に調査するのか、また、異なる学年の学生に対する研究には多くの外的要因が絡む可能性があると指摘しました。加えて、ゲームの難易度も考慮すべき重要な要素です。

藤本教授からもコメントがありました。言語学習には単語や文法など、さまざまなタイプがあり、またゲームの形式にもパズルやクイズなど多くの種類があるため、これらの実例研究をもっと明確にする必要があると指摘されました。

最後に、フローゾーンの分類がこの研究の焦点となるのか、またそのデータはどのように収集・統計されるのかという点についても議論が行われました。

厳さん

まず、厳さんは自身のビジョンについて説明しました。彼の目標は、ゲームを通じてプレイヤーに経済や金融の知識を学んでもらうことです。その理由として、多くの人が金融詐欺の被害を受けていることが挙げられます。しかし、このテーマに関する背景調査では、いくつかの問題に直面しています。たとえば、被害者が自らの詐欺被害を共有したがらないことや、多くの人が「自分には関係ない」と考え、調査に協力しないという点です。

厳さんは、通常の詐欺防止教育のように「信じないで」と繰り返し説得する方法ではなく、詐欺のシミュレーションゲームを設計し、プレイヤーが詐欺のシチュエーションに参加することで防止策を学べるようにしたいと考えています。ここで重要なのは、被害者がどのようにして詐欺に引っかかる決断をするのか、そして被害の可能性についてです。

次に、厳さんはゲームをどうすれば魅力的にするかについて、プレイヤーの動機を基に説明しました。しかし、これはゲームデザイン理論のサポートが必要であり、今後さらなる文献研究を行い、どのようなゲームデザインやメカニズムがゲームをより説得力のあるものにするかを探っていきます。

その後、厳さんはこの研究が直面する可能性のある問題をいくつか挙げました。たとえば、実験結果の評価方法、ゲーム形式と金融詐欺教育の融合性、このゲームが金融や経済教育の他の側面に応用できるかどうかといった点です。

評価方法については、厳さんはすでに大まかな考えを持っており、質的調査と量的調査の両方を含む予定です。ただし、これらの具体的な方法については、金融詐欺やゲームデザインに関連する文献から答えを見つける必要があります。

最後に、厳さんは今後の研究計画をいくつか提示しました。

その後、藤本教授は「非常に創造的な発表だ」と感想を述べました。アマンダさんは「今後の研究の方向性は科学研究に重きを置くのか、それともゲームデザインに重点を置くのか?」と質問し、厳さんは「前者です」と答えました。続いて、莫さんからは「脆弱性(vulnerability)の定義は何ですか?」と質問があり、厳さんは「具体的に詐欺にかかりやすい人々の特徴や彼らのプロファイリングを指します。そして、詐欺の過程は意思決定の過程でもあります」と答え、私たちは新たな知識を得ることができました。

アマンダさん

まず、アマンダさんはゲームの人気と、それが現代生活に与える微妙な影響について紹介しました。その後、彼女は自身の主張を述べ、ゲームは文化的な芸術作品であると考え、ゲームが日常生活において人々の思考やアイデアにどのように影響を与えるかを探りたいと語りました。

次に、ゲームが思考を形作るメカニズムを探るために、アマンダさんは彼女が行った文献研究を紹介しました。主に以下のテーマが含まれます:ゲームと学習ゲームと知識構築意味形成(Meaning-Making)です。

特に「意味形成」について重点的に説明しました。Meaning-Makingとは、プレイヤーが自身の知識や経験に照らしてゲーム内の出来事を解釈し、意味を創造することを指します。これには次の3つのアプローチがあります:

-Knowing through games (e.g., games as group collaboration)

-Knowing by games (e.g., game developers embed their values into the game)

-Knowing with games (e.g., players co-construct knowledge alongside the games)

文献研究に基づき、アマンダさんは次の研究質問を提案しました:

RQ1: 「知識の実践」はどのようにして、ゲームによって、ゲームを通して、ゲームとともに実現されるのか?

RQ2: どのようにゲームを設計すれば、知識の実践をよりよく促進できるのか?

アマンダさんの研究の方法論設計は非常に興味深いものでした: 彼女のケーススタディでは、ゼルダの伝説: ティアーズ オブ ザ キングダムスターデューバレースカイリムに焦点を当て、プレイヤーがこれらのゲームとどのように相互作用し、学んでいるかを分析します。

データ収集方法として、今後の質的研究に役立ついくつかの手法を紹介しました:

デザイナーインタビュー:ゲーム開発者のデザイン意図がプレイヤー体験にどのように影響を与えるかを探るインタビュー。

プレイヤーインタビュー & 日記:プレイヤーが7日間にわたってゲーム体験を記録し、その学びと反省を明らかにします。

ストリーミング観察:プレイヤーのリアルタイムのゲームプレイを観察し、ゲームとプレイヤーの相互作用を分析します。

データ分析については、テーマ分析とクロスケース分析を組み合わせ、プレイヤーとゲームにおける知識の実践を理解する予定です。

ウォークスルー:研究者が自らゲームをプレイし、ゲームデザインや技術的要素を理解します。

初期の発見として、アマンダさんは次のことを紹介しました:プレイヤーは、ゲームプレイスキルの向上現実世界の情報(例:植物の識別)の学習、自己認識の向上、創造的なインスピレーションなど、ゲームを通じてさまざまな知識を習得しています。また、ゲームは動的なコミュニケーションの一形態としても機能し、プレイヤーはゲームの「言語」を理解しながら関与しますが、時には誤解が生じることもあります。

最後に、アマンダさんは今後の計画について語りました:
  • 日本のプレイヤーを対象とした研究を行い、ゲーム体験における文化的な違いを探る予定です。
  • 開発者インタビューの継続:ゲーム開発者のデザイン意図とプレイヤー体験を比較するためのさらなるインタビューを計画しています。
  • 分析の拡大:ゲームが学習や知識形成をどのように促進するかについてのさらなる洞察を得るための分析を進めます。

その後、莫さんから質問がありました:プレイヤーがゲーム日記の記録を維持し、フィードバックを続けることをどのように保証しますか? これに対してアマンダさんは、重要なのは被験者のコミュニティ意識を強化することであり、データ収集の前に「このプロセスはそれほど難しくない」と伝えることで彼らの自信を高めると回答しました。被験者自身も、ゲーム日記を記録することをゲームコミュニティの一部として共有するプロセスだと感じています。

また、厳さんからも質問がありました:なぜこの3つのゲームを選んだのか?これらのゲームは建築や冒険、経営の要素を含み、非常に面白いですが、ゲームが人の思考を形作るというテーマにおいて、バイアスが生じる可能性はありますか? アマンダさんは、「確かに多少の偏りがあるかもしれない」と認め、3つのゲームの違いを紹介しました。さらに、FPSゲームを追加することが良いかもしれないと述べ、後の研究者がこの研究からインスピレーションを得て、異なるタイプのゲーム研究を行うことも良いと言いました。

まず、私の研究テーマの変更についてお知らせします。VR開発の難しさに加え、マグロの漁獲管理が十分に進み、個体数も回復傾向にあるため、もはや絶滅危惧種保護のゲームテーマとして適切ではなくなりました。今後、研究の焦点を海獺(ラッコ)の保護に置いたゲームデザインに変更いたします。

今回のゼミでは、以下の3つのテーマについて紹介しました:

なぜラッコを選んだ?

なぜゲームやRPG通じて保護意識を高めるか?(メリット)

動物保護テーマのゲームのレビュー

ラッコは絶滅危惧種に分類されており、世界全体の個体数がかつて2000匹ほどまで減少しました。北海道は日本におけるラッコの生息地の一つですが、現在、推定される生息数は50匹を超えないとされています。また、日本の水族館で飼育されているラッコはたった3匹で、そのうち来館者が実際に観覧できるのは2匹のみです。

さらに、ラッコは海底環境の修復にも重要な役割を果たしており、エコシステムの中で欠かせない存在です。私は個人的にラッコを非常に可愛いと感じており、「可愛さ」こそがラッコを研究対象に選んだ大きな理由でもあります。

ベビーフェイス理論」によると、幼い特徴を持つ動物は人間の保護本能をより引き出しやすいと言われています。また、動物の親子関係や仲間同士の助け合いなどの親社会的行動は、人間に共感を与え、保護意識を促進する要因になります。ラッコは社会性が高く群れで行動する動物であり、この点からも研究対象として適していると考えました。

日常生活であまり接する機会がない動物に対する人々の関心は低くなりがちです。ラッコのように国内で展示されている数が非常に少ない場合、その存在自体が忘れられやすいと言えます。一方で、動きのある映像は学習の没入感を高める効果があり、さらにプレイヤーが自ら選択や行動をすることで、より深い没入体験を提供できます。これらの点から、ゲームは保護意識を高めるための効果的な手段だと考えました。

私はゲームの没入感について文献調査を行い、大きく3つのタイプがあることを確認しました:Sensory Immersion、Challenge-based Immersion、Imaginative Immersion。

複数のゲームを分析した結果、動物保護意識を高めるには、感覚的没入よりもタスクベースの没入想像的没入のほうが効果的であると感じました。今後の研究では、この2つの没入感と保護意識の育成との相互作用に注目していく予定です。

私の発表後、藤本先生から「研究問題が複雑すぎるため、没入感のどれか一つに絞って進めたほうが良い」というアドバイスをいただきました。これは非常に有益な指摘であり、今後の文献調査では、最も適切な没入感のタイプを選び、それに基づいてゲームを設計する予定です。


プレーセッション

最後に、藤本先生が紹介してくださったのは「Rocksmith」でした。これは音楽の学習とゲーム要素を融合したリズムゲームで、Ubisoftによって開発されました。従来の音楽ゲームとは異なり、『Rocksmith』は本物のエレキギターやベースを使用してプレイすることができ、単なる模擬コントローラーでの操作に留まりません。USBケーブルで楽器をパソコンやゲーム機に接続し、実際の音符やコードをリアルタイムで演奏できる点が特徴です。

他の特徴は以下です:
  • リアルな音源の提供
  • 基礎スキル習得のミニレッスン動画
  • 基礎スキルを楽しみながら学べるミニゲーム(Guitarcade)
  • 速度調整や反復練習が可能
  • プレイの上達に応じた難易度調整
  • 複数人プレイや多様なプレイ設定

藤本先生は実際にこのゲームのプレイを私たちに披露してくれ、その魅力を存分に体感することができました。


待ってください!まだ話は終わっていませんよ!ゼミの後には、新人歓迎会とJonaさんの送別会がありました。場所は学内のレストランで、とても美味しいイタリアンをみんなで楽しみました。食事の間には、たくさんの楽しいおしゃべりやゴシップ話で盛り上がり、とても素敵なひとときでした!

それでは、来週の研究室活動もどうぞお楽しみに!
あ、最後にお知らせです。10月30日には藤本研究室の説明会が開催されます!研究室に興味のある受験生の皆さんは、ぜひご参加くださいね~!

【7月11日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは!研究生のジョナです。

今回のゼミでは、坂井先生の研究員発表と莫さんのプレイセッションの2本立てで行いました。それでは早速、ゼミ活動のご報告に移りたいと思います。


坂井先生:研究発表

坂井先生は「死と喪失をテーマにしたゲームの影響」について研究発表を行いました。若者の自殺は他の年齢層に比べて多く、近年では増加傾向にあります。その一因として、自分の命に対する態度、すなわち死生観の欠如が挙げられます。このため、死生観に影響を与える要因の検討は極めて重要です。

従来、死生観の空洞化については、伝統儀礼からの離脱や大衆娯楽文化の影響が指摘されており、特に死を繰り返すことができるゲームが死生観を揺るがしているのではないかという意見がありました。しかし、ゲームでの死の繰り返しが現実世界との混同を引き起こすという指摘に対しては、ゲームは現実世界と切り離された空間であり、若者は混同していないという反論もあります。

坂井先生は自身の研究で、ゲーム(殺傷表現のあるゲーム)がどのように死生観に影響を与えているかを検討しました。そして、適切な使用モデルを提示することで、若年層のWell‐Beingに貢献することを目指しました。この研究では大学生と短期大学生を対象に、バトルロイヤル形式のゲームのプレイ時間と死生観の関係を分析しました。その結果、殺傷表現のあるゲームのプレイ時間が長い若者は、短い若者に比べて死への恐怖・不安が低く、人生の目標意識が低い、死後の世界観が希薄であるという結果が得られました。

このことから、ゲーム自体が死生観に影響を及ぼすのではなく、ゲームとの接し方が関連していると推測できます。適切な指導を行い、現実世界での習慣や活動への参加を推進することで若者の死生観を育み、自殺予防につなげることが可能と考えられます。

発表後、ゼミメンバーで活発な討論が展開され、プロゲーマーなど異なる背景を持つ対象者についての検討、死を積極的にとらえるゲームの効果についての検討など、様々な見解が提示されました。


莫さん:プレイセッション

莫さんからは、自分の設計した室外謎解きゲームのテストプレイを行いました。このゲームはキャンパス内の建物やスポットでヒントを探し、チームで協力して謎を解く内容でした。

私はこのゲームを通じて、学校に関する新しい知識や今まで知らなかったスポットを知ることができました。建物を観察し、歴史などの関連知識を得ることもでき、校内をゆっくり散歩するには最適なゲームだと思いました。

今回のテストプレイを通して、レベルデザインや安全性の確保、言語の適切性などについて先生方から非常に有益な意見がありました。この経験を基に、進化したゲームの完成が楽しみです。ゲームの完成版は来学期の制作展で公開されるとのことです。皆さんもぜひお楽しみください!

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_9488-768x1024.jpg

今回のゼミ活動報告は以上となります。

お読みいただきありがとうございました!

【6月6日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは、研究生のジョナです!

今回のゼミ活動は、プロマインクラフターとして名高いタツナミシュウイチ先生のゲストセッションでした。前半は講義と質問コーナー、後半は教育版マインクラフトでの実況プレイを通じて、タツナミ先生はマインクラフトが教育にどのように活用されるかを具体的に示してくださいました。

前半:講義&質問コーナー

講義部分では、タツナミ先生が自己紹介をし、マインクラフトとの出会いや現在の仕事に至った経緯を話してくださいました。マインクラフトはCave Gameというゲームから始まり、後に様々な機能も拡張され、教育と深く関わるようになりました。マインクラフトの教育上の可能性は多岐にわたり、言語、情報、化学、歴史、建築、更に特別支援にも役立っています。これらはタツナミ先生自身の経験や活動を通じて検証されてきました。

従来の教育は暗記中心でしたが、これからは思考して応用できる教育へと変わっていくでしょう。学びを将来に繋げることは非常に重要であり、子供の頃にはその価値が分かりにくいため、楽しいものにする必要があります。また、マインクラフトをただの消費で終わらせず、子供の創造性に繋げることも非常に重要です。

タツナミ先生は自身のいくつかのプロジェクトを紹介してくださいました。例えば、JAXAとの共同プロジェクト「Lunacraft」では、マインクラフトで月面の環境を模擬したワールドを作成し、現実に即した重力や環境、月面での活動条件が再現されています。月面のリアルさが高いため、全世界で有名になったそうです。特に驚いたのは、月の表面に存在するレゴリスのブロックがなかったため、新たに作ったという点です。タツナミ先生はどのプロジェクトでも「誰かのために何かを作る」という心を持って行動しており、その心が教育の最も重要な部分だと私は感じました。

新しいメディアや娯楽の手段がどんどん現れる中で、大人はどのような態度を持って教育者として立つべきかが重要です。マインクラフトを楽しむ子供たちに対して、その探求心と好奇心を応えるために、大人も一緒に取り組むことで、変化する環境に柔軟に対応できる次世代が育つでしょう。タツナミ先生の教育者、プレイヤー、プロマインクラフターとしてのご知見を拝聴できたことは、とても大きな学びと経験になりました。

質問コーナーで特に興味深かったのは、マインクラフトやマインクラフトでのモノづくりに慣れていない子供たちに対して、どのように興味を引くかという質問への回答です。YouTubeやショートビデオが日常生活に溢れる中で、子供たちの好きな配信者がマインクラフトを使って何かをすると、それは一つの入口になることができます。このような導きにより、まずはプレイヤーとしての楽しみを体験し、次第に創造性を発揮し、さらには学びへと発展していくことが可能となるでしょう。

後半:「教育版マインクラフト」実況プレイ

実況プレイ部分では、タツナミ先生のプレイを現場で観るという機会に恵まれ、マインクラフトでどのような偶発的学びが生じるか、また学習ワールドではどのように学びがアレンジされているかを体験しました。例えば、以前ゼミでも紹介された化学ワールドでは、元素を構成したり化学物を作成したり、物質を元素に還元することなどができます。同じ成分と思われがちなダイアモンドと石炭は実は還元されると違う成分になっていました。このように、マインクラフトでは非常に細かく現実が再現されており、それが遊びを通して自然に身につく知識となります。

また、タツナミ先生は教育版マインクラフトで「脱酸素ワールド」と「金融学習ワールド」の2つのワールドを紹介してくださいました。いずれのワールドからもマインクラフトの膨大な可能性が感じられました。ゼミ後のお食事の際にも、タツナミ先生からいろいろなお話を聞けることができ、非常にありがたい時間を過ごせました。

今回の講演で紹介された内容を皆さんにもシェアしたいと思い、以下にURLを共有します。興味深い内容ばかりですので、ぜひご覧ください!

Lunacraft:https://edu.jaxa.jp/contents/other/game/LUNARCRAFT/

脱炭素ワールド:https://cn-tokushima.jp/

金融学習ワールド:https://www.promise-plaza.com/qof/


最後、金曜日に参加した講演会について少しご紹介できればと思います。東京大学B:AI Global Forumから主催したインタラクティブ講演会で、トロント大学のPaolo Granata氏がMarshall McLuhanのメディアの法則をご紹介し、後半ではMcLuhanの理論を用いたボードゲームを体験させてくれました。McLuhanのメディアの法則では、あらゆるメディア(人工物)には強化(EXTEND)、衰退(OBSOLESCE)、回復(RETRIEVE)、反転(FLIP/REVERSE)という4つの内在があります。メディアをこの四つの角度で分析することもあれば、四つの角度から新たにメディアを考え出すことも可能であるのがとても不思議でした。

この法則をボードゲームに具現化したものがPaolo Granata氏のThe MediuMです。プレイヤーはカードに書かれたメディアをいずれの側面で分析し、チームメイトがその中心となるメディアを当てるというルールです。具体的に言うと、私はVRというカードを引き、「このメディアは【場所】の回復である」と発言します。チームメイトはそれをヒントに「そのメディアはVRだ」と答え、チャレンジに成功します。ゲームの結果、チームの皆様と協力しながら優勝し、McLuhanの名言「The Medium is the Message」が書かれたTシャツをいただきました。

さて、ここまでお読みいただき、大変ありがとうございました。今回のゼミ報告は以上になります。

暑い日が続きますが、皆さんお体に気をつけてください。

では、Bayartai!

【5月30日】ゼミ活動のご報告

みなさんこんにちは!M1の莫です。
5月30日に行われたゼミ活動をご報告させていただきます。
今回は濱田さんの進捗報告+関連論文紹介、大空さんの文献研究とショナさんのプレイセッションでした。

濱田さん:進捗報告+関連論文紹介

 濱田さんは先週主催したMinecraftワークショップについて、感想と学びを共有してくれました。Minecraftを通じで小学生ができる限り英対話をすることを試みましたが、単にMinecraftをプレイするだけでは英語を話す動機付けが不十分であることが分かりました。これを解決するために、具体的に「何が達成されるのか」を示す・明確に基準を設定することで、生徒たちに動機づけを向上させながらコミュニケーションに迫ると考えられました。

関連する論文も紹介しました:
Çeliktürk, H., & Bektaş-Çetinkaya, Y. (2023). The impact of a digital game on EFL students’ willingness to communicate in English. Eurasian Journal of Language Teaching and Linguistic Studies, 3(1), 317-333.

 この論文では、Minecraftを通じて高校生の「英語で話す意欲(Willingness to communicate, WTC)」が対面とオフラインの両方で向上することが実証されていました。続いて、WTCの分類と要素についても解説してくれました。論文研究とワークショップでの実体験を比べた結果、論文では学生の英語を話す意欲が高まったのに対し、ワークショップではそうならなかった理由として、実験対象の英語レベルの差・Minecraftの利用方法・環境なと、様々な要素の違いが考えられました。研究室のメンバーとのディスカッションを通じて、ワークショップで学生たちの「英語で話す意欲」を高めるための改善策も提案されました。

大空さん:文献研究

 大空さんは、福島先生の「正統的周辺参加」の概念をゲームデザイン理論と結びつけ、企業内教育における実践的な方法について考察ました。文献「ルールズ・オブ・プレイ:ゲームデザインの基礎」の「魔法円」と「主要図式」を通じて、学習とゲームの関連性を明確に示しました。

 正統的周辺参加とは、社会的な実践共同体への参加を増すことが学習であるという考え方です。これに対して、現場では学習に必要な「ゆとり」「タイムリーな教授」「失敗への寛容」が欠如しているため、効果的な学習が困難であるという論点があります。今回大空さんが紹介した文献は、ゲームが提供する「魔法円」での学びは、この課題を解決する一つの案として考えられます。

 「時間的制約」「経済的制約」「法的制約」の制約を取り除く手法として、シミュレーションやゲームを活用することの重要性を強調しました。特に、ゲームの「魔法円」は、特定のルールから特別な空間を提供し、プレイヤーが失敗を怖くないで学べる環境を作り出します。また、ゲームデザインの図式における「ルール」「遊び」「文化」の関係性を通じて、企業内教育における学習の実験的領域を検討しました。福島先生の「正統的周辺参加」理論を具体的な企業内教育の文脈に応用し、ゲームデザイン理論との関連性を明確に示したことですごく勉強になりました。

ジョナさん:プレイセッション

 ジョナさんが紹介したボードゲームは、モンゴル語の授業で遊んだボードゲームです。モノポリーのメカニズムを参考にしていて、「他人が購入したアルファベットを避ける」をゴールに単語を思い出して、自分のアルファベットを購入するというゲームです。


 特に面白い点は、時間制限の中で、つい他のプレイヤーが購入したアルファベットを使ってしまい、ポイントを支払わなければならないことと感じました。また、どうやって他のプレイヤーを誘導し、彼らに自分の購入した英語の単語を言わせるかと、ほどんどのアルファベットが購入された後にどうやって自分の損失を最小化するか、ゲーム戦略性も非常に高いと思います。
 このようなブレインストーミングの中で、参加者全員が非常に多様な英単語を思いつきました。遊びとして楽しむだけでなく、英語の語彙力を増やし、クリエイティブな思考も生み出せると思います。ジョナさんの紹介から、言語学習の新しいアプローチとして、このゲームの可能性を感じました。

これで、今回のゼミは以上になります……?

まだです!
そして、いよいよ研究室のみんなが準備した秘密のサプライズイベントです!
🎉藤本先生、お誕生日おめでとうございます!!🎉


【4月18日】ゼミ活動のご報告

みなさん、こんにちは!今年からLudix Labに入りましたM1の莫と申します。

研究テーマは「Enhancing Team-Based Learning with Murder Mystery Game: Design and Evaluation of an Interactive App」です。

Murder mystery gameは、チームの中にそれぞれの脚本をに基づいてキャラクターを演じながらストーリーを推理するボードゲームです。学部時代の卒論研究はそれをインスピレーションとしてチームに関する研究していましたが、その際にメンバー間の情報共有に問題があることが見つかりしました。今後、このゲームの特徴を活用して、チーム学習のエンゲージメントを高めるために取り組みたいと思います。

――――――――――――――――――――――――――――

では早速、今年度の第一回ゼミを報告致します!

今回は、オリエンテーションとして各メンバーの自己紹介と春休みの活動報告でした。

先ず藤本先生からSセメスターの活動・ゼミ内容・研究段階について紹介しました。

とても充実なセメスターになりそうな予感で、ゲストセッションも楽しみにしています!

新メンバーの自己紹介

の自己紹介と関心している研究内容が前↑に述べましたが、ここでもう一言あります。Murder mystery gameは、今学期でゲーム脚本を日本語に訳してみんなと一緒に遊ぶことを目指しています!

斉さんは、私と同じ今学期研究室に入る新入生で、ゲーミフィケーションについてのフロー体験を研究趣味として取り組んでいます。学部時代で教育工学を学んでいで、すごいデザインがたくさんありました。これから一緒に日本語を勉強しましょう!

広瀬先生は地域活性化やライフデザインなど研究領域は多岐にわたり、私たちの日常生活や学習に直接関連しています。特に越境学習が成人のキャリアライフ発達に与える影響に焦点を当てた研究は、私は日本への越境留学生として深く共感を感じています。これからも広瀬先生に多くのご指導をお願いいたします!

自己紹介と春休みの活動報告

ジョナさんは内モンゴル出身で、ゲームを通じて少数言語や文化に興味を持っています。春休みには、色んなゲームを体験しただけじゃなく、山登りもして千葉でのモンゴル教室でモンゴル語の教育経験も積みました!次回のモンゴル語教室の先生に担当すると聞きました。私もジョナ先生のモンゴル語教室に通いたいです!

犬田さんは春休み中色んなゲーム学会やシリアスゲームジャムに積極的に参加し、ゲーム開発や教育に関する取り組みも行いました。また、ポートフォリオサイトを拡充しながら、将来のキャリアに向けて準備も進んています(ゲーム会社の内定おめでとうございます)!

濱田さんはMinecraftに関する研究を行い、Minecraftに関するハンドブックを創作者の一名として出版しまして本当にすごいと思います。さらに、小学校の英語教育にMinecraftを活用するワークショップのスライドからも勉強になりました。プレイヤーとして、私もMinecraftからでたくさんの英語を学びました(特に鉱石に関する単語が覚えやすいです)。また、滨田さんは今年の秋にカナダへ留学する予定だそうで、羨ましいです!

大空さんは今年の春にボードゲームをテーマにした企業内での研究倫理に関するワークショップを主催しました。ゲームを用いた研修プログラムを開発する会社で働きながら、大学院での研究生活を両立させることは、本当に素晴らしいと思います。今学期もよろしくお願いします!

木村先生は主にゲーム心理学に焦点を当てて研究を行っています。特にfNIRSなどの生理指標を用いて、プレイヤーのフロー状態や感情の変化を調査しています。ゲームに関しては、「グラブル」シリーズをよくプレイしていることを紹介しています。今学期のサブゼミでも、ご指導のほどよろしくお願いします🐱

坂井先生は、自身の研究関心や共同研究の内容を紹介しました。研究関心には、シリアスゲームの開発に基づく生活支援・社会福祉・死生学など、さまざまな分野が含まれています。また、最近の研究分野での関心の変化(死の回避から福祉の向上へ)についても紹介しました。さらに、社会に関連する複数の共同研究プロジェクトについても紹介し、研究の中にの面白い話も共有しました!

新居先生はLudix Labに協力している学術専門職員で、研究室の日常の進行を管理し、またメンバーにアドバイスや支援を提供しています。これからもよろしくお願いします!

では、今回の活動報告は以上になります。

今後とも、よろしくお願いいたします!