月別アーカイブ: 2022年12月

【12月8日】ゼミ活動報告

皆さんこんにちは、M2の叶です。

最近おすすめのスポットは三四郎池です。論文執筆期間の気晴らしの良い場所です。(雨天は足元を注意すべき)

冬(?)の三四郎池

早速今週のゼミ内容を共有します。今週は関連研究と文献輪読の回でした。発表者は叶、M1の大空さんと特任研究員の木村さんでした。

「Introduction」と「Literature Reivew」の書き方(叶)

自分は今回、少し変わったテーマではありますが、論文執筆時の「Introduction」と「Literature Reivew」の書き方について共有しました。最近は英語論文の書き方について色々調べた情報を整理しました。南カリフォルニア大学図書館の論文執筆ガイド(①)とユーチューブでの論文執筆に関する動画(②③)を参照して、この2章の書き方と構成などを以下の図にまとめました。

イントロダクションの内容と構成
文献レビューの準備と執筆時の構成

参考文献


インストラクショナルデザイン理論とモデル(①)(第1章&第8章)(大空さん)

第1章は「学習者中心の教育パラダイム」です。「学習者中心」とは、個々の学習者と学習そのものに焦点を当てる立場であり、「指導者中心」の反対とも言えます。その普遍的原理には、①達成基盤型のインストラクション、②課題中心型のインストラクション、③個人に合わせたインストラクション、④役割の変化、⑤カリキュラムの変化があります。

第8章は「学習のためのゲームのデザイン」です。ゲーム型基盤の教育アプローチは、豊かで没入型の経験を通した学習促進を目指しています。その普遍的原理には、①ゲームのビジョンを創造する、②ゲーム空間の設計、③教授空間の設計があります。

大空さんは、今回紹介した理論から自分の研究の気づきを得て、研究に「学習者中心」というキーワードを導入して説明し、また、ゲームのデザイン上はレベル分け、カードのカスタマイズ性の活用、ミルフィーユ型プログラムなど、デザイン上のアイデアを共有しました。今後の大空さんの研究のゲーム型ワークショップデザインのさらなる具体化を楽しみしています。

参考文献

  • ① C.M.ライゲルース, B.J.ビーティ, R.D.マイヤーズ(編), 鈴木克明(監訳)(2020)学習者中心の教育を実現するためのインストラクショナルデザイン理論とモデル.北大路書房.

ビデオゲームの活用と脳活動に関連する実証的研究の紹介(木村さん)

特任研究員の木村さんは、①医療のシリアスゲーム研究、②高齢者の認知制御トレーニングのシリアスゲーム研究、③ビデオゲームトレーニングと報酬系の研究という3本の論文を紹介しました。

その中で、自分が最も面白いと思ったのは②です。この研究は『ニューロレーサー(NeuroRacer)』という視覚運動追跡課題と同時に知覚弁別課題に取り組む型のシリアスゲームの実証実験です。この研究は、「ニューロレーサー」を60歳〜85歳までの高齢者46名を毎週3時間の頻度で、1か月の間にプレイしてもらいました。プレイしていない対照群と比較すると、実験群は1か月後でマルチタスクのパフォーマンスが有意に向上しました。しかも驚くことに、実験効果は6か月後も持続していました。簡単に言いますと、脳はマルチタスクのシリアスゲームのトレーニングにより活性化できることが証明されました。

最後に、木村さんはビデオゲーム研究の現状についての所見を述べました。

  1. インパクトのあるシリアスゲーム研究は、実証的研究の専門性とビデオゲームの開発力を両立させている。
  2. 厳密な人対象の実証的研究では,複合的刺激であるビデオゲームの扱いが非常に難しい。
  3. 研究データとして行動ログを取得可能なビデオゲームを開発することが重要である。

参考文献

  • ① Cole, S. W., Yoo, D. J., & Knutson, B. (2012). Interactivity and reward-related neural activation during a serious videogame. PLoS ONE, 7(3),e33909.
  • ② Anguera, J. A., Boccanfuso, J., Rintoul, J. L., Al-Hashimi, O., Faraji, F., Janowich, J., Gazzaley, A. (2013). Video game training enhances cognitive control in older adults. Nature, 501, 97–101.
  • ③ Lorenz, R. C., Gleich, T., Gallinat, J., & Kühn, S. (2015). Video game training and the reward system. Frontiers in Human Neuroscience, 9, Article 40.

今回の報告は以上になります。最後にお読みいただきありがとうございます。

【11月24日】ゼミ活動報告

皆さんこんにちは。外国人研究生の蔡です。

今週のゼミ記事も私によりご報告させていただきます。

よろしくお願いいたします。

今回は研究進捗(叶さんと升井さん)と研究員発表(財津さん)でした。

・研究進捗 「進捗報告」 叶さん

叶さんは、現時点での研究進捗と成果などをご紹介してくださいました。

①洗練された概念、カテゴリーと結果図

②考察

③論文のアウトラインと進捗

叶さんは、ゲームプレイヤーの第二言語学習の過程での概念をより深く洗練することを通じて、統計の数に合う合理的な概念で、ゲームプレイヤーの学習過程のフローチャートが出来上がりました。その図を見ると、ゲームプレイヤーがゲームをするとき、面白さと効率の重視の差ため、心理的な変化と行動の変化になるということをよく納得できました。

そして、叶さんは、研究の過程で考えた面白いアイデアなどをご紹介してくださいました。例えば、

①図の違う点いて、異なるプロセスを経る

②一般化しきれない部分がある

最後に、叶さんは、現時点での論文のアウトラインと進捗をご紹介してくださいました。

叶さんの今後の研究成果を期待しています。

・研究進捗 「進捗報告」 升井さん

升井さんは、研究のテーマと内容、そして、現時点での進捗と今後のスケジュールをご紹介してくださいました。筆者が新入生のため、升井さんは特に研究のテーマと内容をご紹介してくれまして、感激します。

①章立て

②執筆方内容の修正

③今後のスケジュール

升井さんは論文の構成、もらったアドバイスによる修正した執筆方内容などを紹介してくれまして、升井さんの進捗をわかりました。そして、升井さんの今後の論文スケジュールを見ると、升井さんが順調に論文の作成を進めていることをわかりました。升井さんの今後の研究成果を期待しています。

・研究員発表 「小学校高学年向けのゲームジャム型ワークショップの実践とその教育的効果に関する研究ー創造性に着目して」 財津さん

財津さんは、ずっと行われている研究の成果をご紹介してくださいました。

財津さんは、ゲームジャムに関する教育的効果の測定は少ないことがきっかけを紹介して、「ゲームジャム型ワークショップの参加者の創造性への影響」と「小学校高学年の子どもたちを対象にゲームジャム型ワークショップを開発・実施する」を注目し、「新しい家事」という子供向けの親子ゲームジャムを設計しました。

ゲームジャムの時間設定は二日間の12時間です。実施した場所は第一回の福岡県福岡と第二回の東京都文京です。具体的な内容を以下のリンクをご参照ください。

夏休み親子ボードゲームジャム2021in福岡(2日目)を実施しました!https://note.com/saikorojuku/n/n78feccfbf3ad 

【制作ゲーム公開】夏休み親子ゲームジャム2022 

そして、財津さんは、実施されたゲームジャムから様々な面白いデータを収集していたので、それをよく分析し、紹介してくださいました。

まず、財津さんは、ワークショップ実施前、実施直後、実施1ヶ月後の三つの時期に分けて、評価のプロトコルと測定指標を設定し、主要な従属変数「子どもの創造的自己効力感」、「行動変容ステージ尺度」を決めました。

次に、結果として、行動変容ステージの変化は「ステージ移行(-)」予想以外の結果が出てきました。そのほかには、「家事」より、「ゲームを作ること」に対するmini-cがたくさんあったので、最初に設定された目的とちょっと違い、今後の研究の方向性になりました。

最後に、結論は、統計的有意差が見られなかったため、教育的効果があったとは言えないということです。

そして、みんなさんはなぜ予想通りのデータが出ていないかと今後の研究の方向などディスカッションを行うことができました。財津さん今後の研究を期待しています。

今回の報告は以上になりました。

最後までお読みいただきありがとうございます。それでは、また来週!

【11月17日】ゼミ活動報告

皆さんこんにちは。外国人研究生の蔡です。

最近、寒いですが、いよいよ秋の感じが強くなりますよね。

東京大学本郷キャンパスの正門に入って、銀杏並木の黄葉は綺麗です。

葉を散らしている

さて、今週のゼミ報告に移りたいと思います。今回は文献研究(升井さん)と事例研究(春口さん)とプレイセッション(木村さん)でした。

・文献研究 「研究テーマ関連論文の概要紹介」 升井さん

升井さんは、研究テーマ関連論文2つをご紹介してくださいました。

一つは、英語文献「Toward Truly Accessible MOOCs For Persons With Cognitive Impairments A Field Study」です。障碍者と非障碍者の離脱率の違いを測定することで、ビデオ学習においてユーザーにカスタマイズの権利があることが大切だということをわかりました。これも、升井さんの修論と同じ主張をしています。

そして、論文の実験結果から見ると、障碍者と非障碍者による履修の脱落率の違いはなかったという結果をわかりました。

もう一つは、「日本における自己調整学習とその関連領域における研究の動向と展望」です。この論文を通じて、自己調整学習という今後の研究の方向性を明らかにする概念をわかりました。

自己調整学習とは、

①メタ認知:獲得したカスタマイズアイテムを俯瞰して学習履歴を認知

②動機づけ:自己決定理論にもとづくモチベーションの維持

③学習方略:自分に適したシステムデザインで自らの学びに責任を持つ

それで、今後の自己調整学習研究の方向性は以下の2つが有力である。

①理論をもとに実践を創る研究

②理論をもとに実践を切り取る研究

最後に、升井さんは、「Readable」というpdf翻訳工具をご紹介してくださいました。とても便利なので、助かりました。

・事例研究 「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」 春口さん

春口さんは、任天堂より製作された『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』という言語を使わずにゲームプログラミングのゲームをご紹介してくださいました。

このゲームに対して、学習の観点から見ると、良いところは、

①言語感の無いシステム

②アイデアを思いつくから完成までのプロセスが早い

一方で、悪いところは、

①ゲーム作成に必要なテクニックは学べない

②ゲームの規模に制限がある

以上のようにまとめると、みなさんがよく注目のポイントは、ゲーム自体で自己完結しているのでその後への繋がりをどうするかが学習ゲームとしての課題である。

・プレイセッション 「手続き記憶としてのコマンド入力」 木村さん

木村さんは、記憶の種類の中で、非宣言的記憶の一種としての手続き記憶をテーマにして、今回のプレイセッション「格ゲーのコマンド入力の習得に挑戦!」をいただきました。

手続き記憶とは、自転車の乗り方、キーボードの入力、ビデオゲームの操作など繰り返し訓練することによって自動化や無自覚化が進んで、いったん十分な水準で獲得されると長期間にわたって忘却されにくいということです。

これによって、今回のプレイセッションで、『ソウルキャリバー V』という格闘ゲームの中で、みなさんは「波動拳!」(↓↘→+ボタン)というスキルの入力を一緒に挑戦してみるという感じになりました。

プレーするルールは、「波動拳!」の練習と挑戦を10回ずつで、可能な限り技を繰り出します。そして、皆さんは二つのチームに分けて、達成数が多いチームは勝利になります。

プレーする時間は早いですけど、非常に楽しかったです。

このように、結果を見ると、やったことがある人とやったことがない人も、コマンド入力は意外と難しいです。そして、操作の方法の説明も伝わりにくいということを感じました。最後に、「↓↘→+○ボタン」を手続き的記憶として定着させたプレイヤーは「↓↘→↓↘→+○ボタン」などのより複雑なコマンド入力をより早く習得すること、つまり、正の転移があるということをわかりました。

今回の報告は以上になりました。

最後までお読みいただきありがとうございます。それでは、また来週!

【10月20日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは。M2のイェです。
最近は寒くなってきて、本郷の並木は黄色に染まっているところです。
今回のゼミは、初めて情報学環本館の教室で行われました。
高層なので秋の午後の青空と日暮れを満喫しました。

教室から眺められた景色!きれい!

本題に戻りますが、今回のは升井さんと自分の事例紹介とサイさんの進捗報告でした。

・「桃太郎電鉄教育版」(升井さん)

升井さんは自分のTGS2022とEDIXオンラインの経験を踏まえて、長年に日本で愛されてきた「桃太郎電鉄」シリーズの教育版を紹介しました。今冬リリースする予定で、その特徴としては、ブラウザ環境、教育現場に導入無料、普通版と比べて学習に適している内容や機能の追加(*)などが挙げられます。

* 具体的には①地方を限定してプレイ、②情報の補足的表示、③先生側のコントロール、④「貧乏神」の排除などがあります。

升井さんは、一般人と社会科教員の意見のレビューも共有してから、最後にはゼミがチームに分けて、「教育版ならではの新たな機能を追加するなら何を入れるか?」というテーマでディスカッションをしました。提案のまとめは以下になります。

  • 学習効果を測れる機能 
  • レベルアップ、バッジ 
  • 図鑑をつくる機能
  • 駅の物件を追加する機能
  • 過去の地図でも遊べる機能 変遷機能

・「Disco Elysium」(叶)

夏休みの時にプレイした積みゲーであり、110万ワードがある刑事物語アドベンチャーRPGの「Disco Elysium」をメイン事例として紹介しました。

自分的に思う本作の良い点としては、芸術性が高い、テキストベースのわりにはインタラクションが多くて自由度が高い、サイコロを振るという運的な判定で即時的なフィードバックをもらえるなどが挙げられます。

また、(研究テーマ的に)最も重要なのは多国語対応で言語学習のためにも役立つという点です。「L」ボタンで簡単に言語を切り替えられる英語のフルーボイズ付いているといった機能がゲームの学習効果を高めたと考えられます。

私はプレイする時には中国語をメインでプレイし、時々原文の英語に切り替えて照らし合わせるようにしていました。ゼミでは今までの研究でM-GTAで生成した概念を自分の体験で説明してみました。


・蔡さんの進捗報告

蔡さんは「歴史教育ゲームの開発 -洛中洛外図屛風絵のシリアスゲーム化-」という新たな研究テーマを提案しました。

洛中洛外図屏風は、京都の市街(洛中)と郊外(洛外)の景観や風俗を描いた屏風絵です。蔡さんは、洛中洛外図屏風をモチーフにしたゲームで遊ぶことを通じて、歴史場所や歴史人物などの知識を勉強すると考えています。そのアイデアに基づき、ゲームのデモを制作して建築と人物のモデリングを報告しました。ゼミメンバーがその制作の素早さと完成度の高さに驚きました。

その後のディスカッションでは、皆さんが蔡さんの研究テーマに対して問いを投げました。「誰かにどのような場面でプレイするのか」、「どのような内容を勉強するのか」、「ゲームをどのようにプレイするのか」、「それがどのように学習と繋がるのか」など、研究計画をさらに明らかにする際に答えなくてはならない質問がたくさん挙げられました。これらの問いに対して、蔡さんの今後のご報告を楽しみしております。

今回の報告は以上でした。最後までお読みいただきありがとうございます。また来週!

(ちなみに、「Disco Elysium」はSTEAMでセール中ですので興味がある方はどうぞ…

10月13日 ゼミ活動報告

こんにちは、春口です。
10月13日のゼミ活動報告をさせて頂きます。

今回のゼミでは、M1:研究計画発表、M2:研究進捗発表の形で行われました。
以下がそれぞれの発表内容についてです。

M1:研究計画発表 春口
 今回報告したのは2点です。
 1点目は、作成するシリアスゲームテーマとして、情報通信分野の通信プロトコルを題材としたいということ。2点目は研究としてどういった測定を行うのかを模索しているということです。
 通信プロトコルはゲームにしやすいテーマであることや、様々な特徴を持ったプロトコルの理解が初学者には難しいといった点からゲームテーマとして選びました。しかし、そこから研究として何を測定するのかという点で行き詰ってしまったといった報告でした。
この報告に対して、研究員の財津さんからの「ゲームにしやすいから選んだ、ではなくほかに何か課題を感じるから選んだのだろう」という指摘や藤本先生からの「なぜゲームにするのか一度立ち返って考えてみるとよい」といった助言などを頂きましたので、今一度学習という観点から通信プロトコルを考え直す事としました。3歩進んでは2歩下がるような事ですが、研究においてもっとも重要な部分ですのでじっくり考えていきたいと思います。

M1:研究計画発表 大空さん
 大空さんが報告された内容としては4点です。
 1点目は、研究背景となる文献調査について。2点目は、ゲーム内容のブラッシュアップについて。3点目は、オンライン版への展開について。4点目は、研究テーマについての報告でした。
 オンライン版の報告内で、当初はWebなどの形式を考えていたが企業の方からセキュリティの都合でGoogleスプレッドシートかExcelが望ましいと言われたためそちらで作成する事となった、という経緯が話されておりゲーム制作の隠れた壁を感じました。また研究テーマについての報告では、夏休み中に参加されたボードゲームジャムで経験や授業での経験などから研究テーマとしての方向性を見出されていて、ボードゲーム制作者としての大空さんの能力の高さが垣間見えました。私も見習っていきたいです。

M2:研究進捗報告 升井さん
 升井さんの進捗報告は大きく分けて2点です。
 1点目は論文の章立てについて、2点目は夏休み中に行った研究の結果についてです。
 1点目は論文の章立てについて、全6章として整えたとの報告でした。いよいよ修士論文作成の話題が上がってきました。後輩として来年のためにも参考にさせて頂きます。
 2点目では、夏休みに行った研究結果の集計結果を報告されました。研究で作成したシステムの有効性や各機能と個人の特徴との関連性など、おもしろい結果が多数報告されていました。どのように論文としてまとめられるのかがとても楽しみです。

M2:研究進捗報告 叶さん
 叶さんの進捗報告は3点でした。
 1点目がインタビュー内容の報告、2点目が概念分析の結果報告、3点目がこれからの予定についてです。
 インタビューについては、最終的には18人まで対象が増えたとの事で素人目からはとても多い人数だと感じました。インタビューだけでなく概念分析もそれぞれに行うためとても体力の使う活動だったかと思います、お疲れさまでした。
 概念分析からカテゴリーの試作や結果図の作成などを行われていましたが、結果図が少しシンプルすぎるとのことで、これから詰めていく事になりそうでした。私はシンプルで分かりやすくて良いなと感じていただけに、思わぬ所で自分の勉強不足を感じました。

以上が13日のゼミ内容の報告です。
皆様お疲れさまでした。

【7月7日】ゼミ活動のご報告

こんにちは、M2のイェです。
今週のゼミ活動を報告させていただきます。

研究テーマ関連論文紹介 升井さん
升井さんがゲーミフィケーションのパーソナリティに関する以下の2本の論文を取り上げられました。

  1. User types HEXAD (Marczewski, A. 2015)
  2. The Gamification User Types Hexad Scale (Tondello, G. et al.,2016)

1本目の論文は、ゲーミフィケーションのパーソナリテイ分類の基礎となった文献です。バートルをはじめ、様々なゲームプレイヤーのタイプ分類がなされてきましたたが、ゲーミフィケーションに特化したものはこれまでなかったです。そこで、この論文は、ゲーミフィケーションを使用する際には、ターゲットの属性に適したゲーム要素を取り入れてデザインすることが大切だと主張しています。

2本目の論文は、Marczewski の提唱したHexad user types の測定方法(テスト)を考案した研究です。Marczewskiの提唱したHexadモデルは、①Hexadユーザーの嗜好を測定する標準化されたプロトコルがない、②実験的な実証がされていない、という問題点が存在しています。本研究はその二つのギャップを埋め、テストの妥当性が担保され、ゲーミフィケーションのデザインに有用なことが示されました。

関連論文概要紹介 春口さん
発表のキーワードは「産業界の実践」とされ、日本とイタリアの情報セキュリティを学ぶ大学院のカリキュラムコンセプトから、情報セキュリティ教育の要点とシリアスゲームが有効である切り口などについて検討しました。具体的には、日本の情報セキュリティ大学院大学の実践と、バーリ大学(University of Bari) の修士課程である「The Hack-Space」のコンセプトが取り上げられました。

調査結果における注目点は二つあります。まず、①理論の構造や抽象的な概念ではなく、産業界の実践をもとにカリキュラムが構成されている点という点です。例えば、情報セキュリティ大学院大学は、「技術」「管理運営」「法制度」「情報倫理」という概念によってカリキュラムが作られています。

また、②SOU、CSIRT、SUの3つに業務を整理することに知識の有用性に説得力があるという点です。例えば、情報セキュリティ大学院大学はコースの内容を技術系とマネージメント系の2 つに分けています。

今回の報告は以上になります。

M2の皆さん、再来週の中間発表会に向かって頑張りましょう!

参考文献

  • Marczewski, A. (2015) User types HEXAD. Even Ninja Monkeys Like to Play: Gamification, GameThinking &Motivational Design. CreateSpace Independent Publishing Platform, pp.69–84.2.
  • Tondello, G. F., Wehbe, R. R., Diamond, L., Busch, M., Marczewski, A., and Nacke, L. E. (2016). The Gamification User Types Hexad Scale. In Proceedings of the 2016 Annual Symposium on Computer-HumanInteraction in Play , pp.229-243.
  • Teaching Cyber Security: The Hack-Space Integrated Model Maria Teresa Baldassarre, Vita Santa Barletta, Danilo Caivano,Domenico Raguseo , Michele Scalera

【6月9日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは。M2の叶です。

最近は紫陽花の季節になり、本郷三丁目駅から本郷キャンパスまでの景色は最高ですね。ゼミ活動も、対面で行うことになっており、ゼミに行くたびに花見ができて幸せです。

早速、先週のゼミ活動について報告させていただきます。 先週はまず、M1の二人の研究進捗発表の回とでした。 それぞれの発表についてご紹介します。

研究テーマ:初学者のための情報セキュリティ教育ゲームの開発(春口さん)

春口さんは今回、二つのキーワードを取り上げて先行研究の調査結果を報告しました。

一つ目のキーワードは情報セキュリティ分野においての専門用語「CTF(Capture The Flag)」です。CTFは、実践型の情報セキュリティ学習システムでもあり、提示された情報やお題から特定の文字列(Flag)を見つけ出し、フォームに入力する事が目的となり、クイズ形式と攻防戦形式があります。取り扱う分野の種類は、リバースエンジニアリング、エクスプロイト、WEB、フォレンジックスなどがあります。

二つ目のキーワードは「成人学習理論*1」です。その紹介を踏まえて春口さんはアンドラゴジー(Andoragogy)とペダゴジー(Pedagogy)の比較をしました。情報セキュリティの学習がアンドラゴジー的だという結論に至りました。その後のディスカッションの中では、学習者の年齢にこだわらず「経験学習モデル」なども先行理論として適用できるのではないかというゼミメンバーの意見もありました。

以上の調査した結果に基づいて、春口さんの研究テーマの中の「初学者」の定義がさらに明らかになってきました。また、今後のゲーム開発においては、特に初学者のモチベーションを高めるためにCTFを扱う可能性も検討されました。」


研究テーマ:企業の人的資本経営に資するゲーム型研修プログラムの開発・検討(大空さん)

大空さんは、学部時代に制作したキャリアデザイン研修「CAREER MAKER」とこれから作成する新作ゲームを一つのプログラムとして、同一の被験者に対して実施し、その評価を行うという研究の構想を今回のゼミで発表しました。

調査対象者に関しては大手企業の新入社員層、20名程度(社会人1年目〜3年目)に特定されました。調査項目は、職業的側面に限った狭義の意味の「キャリア観」の変化とプログラム自体の満足度と設定されました。

大空さんが制作予定の『企業内人材育成ゲーム』は、仕事人生の設計について考察の機会を与えるという新入社員のニーズだけでなく、会社のニーズ、例えば会社の構造・システムの理解・早期離職の予防・就業へのモチベーション向上などにも対応しています。今回は、『ビールゲーム』というMITの教授が考案したビジネスゲームの影響を受け、大空さん自作したプロトタイプを紹介しました。ゲームのイメージとしては、各プレイヤーは別々の企業の人事になり、次世代リーダーの育成を担当し、各年ごとのKPIを達成することを目標としている。勝利条件としては、多くの次世代リーダーを輩出できた人が勝つ、という設定になっています。


M1の二人は入学2ヶ月ばかりですが、先行分野の調査は既に進まれ、既にできたプロトタイプの発表まで行われ、毎回のゼミはとても刺激的で、毎回もとても勉強になりました。

最後にはプレイセッションで、今回は大空さんが取り上げたのは『合意形成ゲーム』です。プレイヤーが街の代表者になり、街全体と各個人が作りたい街を相談しながら作っていく全員協力型ゲームです。ゲームの流れは以下のようになっています。

このゲームは、今後公開にリリースする予定がありますので、詳しいことは引き続き大空さんの報告をお待ち下さい!

では、今回の記事は以上になります。長くなりましたが、最後に本郷キャンパスの近くの白山神社の紫陽花一枚で終わらせていただきます。お読みいただきありがとうございました!

参考文献

*1 M. ノールズの成人教育理論に関する考察―理想的な成人教育者像に焦点をあてて― 島 美佐子

【5月12日】ゼミ活動のご報告

皆さん、久しぶりです。M2の叶です。

早速、先週のゼミ活動についてご報告いたします。
今回は私と大空さんの事例研究と、木村研究員の研究発表の回でした。

大空さんは、ゲームマーケットで購入した『社畜牧場』というボードゲームについて紹介しました。このゲームではプレイヤーが「社長」となり、「社畜」を使って自社の「株価」の上昇を目指す対戦し、ワーカープレイスメントというメカニクスでゲームを進めます。

ワーカープレイスメント:プレイヤーが自分のポーン(ワーカー、労働者)をアクションスペース(建物)に配置することで、ターンオーダーでアクションを選んでいく

大空さんはゲームの構造を踏まえて、『社畜牧場』の遊びにおいては派遣や収益を高めるための経営のプロセスが表れると分析し、今後の人材育成類ボードゲームの制作において「ワーカープレイスメント」の活用の可能性、プレイヤーの当事者意識を入れるなどを検討しました。

自分は「Game2Text」という、GITHUBで無料に配布されたオープンソースのゲームでの外国語学習のため活用できるツールキットを取り上げました。基本機能としてはOCRでゲームのスクリプトを特定し、アドオン辞書と組み合わせてゲームテキストを簡単に調べたり翻訳したりすることができ、単語帳アプリと連携することで暗記カードを簡単に作れます。

「Game2Text」はゲームを活用した外国語(特に日本語)の学習と復習には有用性が高いと考えられます。しかし、今のバージョンだとOCR機能にはまだ正確性に欠ける、インストール・利用する際のハードルが高いなどの課題点により、学習ギーク・ゲームギーク・パソコンに一定程度詳しい説明人でなければ、利用するモチベーションが低いとも考えられます。

最後に、木村さんの「ゲームと人を対象とした心理学研究の方法とその範囲」というテーマで発表しました。木村さんは、Schellの『ゲームデザインバイブル』の中で心理学について説明している項にある行動主義派と現象学派の切り分け方を批判し、心理学では質的なアプローチも多く用いられてきたことを強調しました。その後は、「即時的な反応を要求するゲームとその熟達が感情経験に与える影響」(木村, 2020)における実験の例を挙げ、「感情の円環モデル」についても説明してくれました。

その時就活に苦戦していた自分は、「疲れた」と「警戒した」という複雑の感情に陥って、ただ一つのモデルはまだ説明しきれない部分があるだろうと思っていました。皆さんはこの記事を読む時は、どのような「感情」にいるのでしょうか?

では今回はここまでです!次回は対面の回で、初めて新入メンバーと会う回ですので楽しみしています!皆さんもぜひ次回の記事を楽しみにしてください〜

  • 木村 知宏 (2020). 即時的な反応を要求するゲームとその熟達が感情経験に与える影響デジタルゲーム学研究, 13(1), 21–29.
  • Russell, J. A. (1980). A circumplex model of affect. Journal of Personality and Social Psychology, 39, 1161–1178.

【1月13日ゼミ活動】藤本研ゼミのモデルの探究

皆さんこんにちは。M1の叶です。

今回もゼミ活動を報告しますが、タイトルだけでも記事の内容をわかりやすくするため、それをいつもと違った形にしました。

学期末を迎えて、今回のゼミは来年度のゼミ活動に向け、「藤本研究室ゼミのモデルの探究」というテーマで行われました。

藤本先生はまず、来年度のモデルの方向性を以下三点にまとめてくださいました。

  1. プレイフル・ミーニングフルな学習ネットワーク化
  2. 学習ニーズに合わせてカスタマイズ可能な範囲を増やす
  3. 共通基盤確立・各自のトレーニング・メンバー間相互学習

これをもとにして、ゼミの6人はまず前回のゼミ活動で行れた「大学院生活に役立った経験の振り返り」の結果を踏まえて、今後のゼミ活動の形をデザインしていきます。具体的には、①話を聴いてみたい人、②受けたいトレーニング、③交流機会など他のコメント、という3点から出発して考えます。その後、M1ペアー・M2ペアー・スタッフペアー3組のチームを組んで、相互にチームメンバーの意見をインタビューします。最後に、その成果のまとめをゼミ全員に共有する、というような形で進みました。

共有された成果のいくつかのポイントを述べますと、「話を聞きたい人」に関しては、先輩(ゼミ生4人しかいない藤本研の成長はまだこれからの話なので)、ゲームと教育現場で働く人(ゲームクリエイターが高得票)、ゲームと教育それぞれの領域の研究者、などが挙げられました。

「受けたいトレーニング」に関しては、ゲームデザインと授業設計の学び(藤本研にしては案の定ですが)、文献管理と読み方や研究法についてサブゼミで情報共有など、色々な意見が集まりました。また、特任研究員の財津さんは、大変面白い活動企画(ゲームプレイセッション?)の話を持ち込みました。少し説明してもらっただけで、自分は既にワクワクしていますので、皆さんもぜひ来学期のゼミ活動報告をお楽しみに!

「交流機会と他の意見」のところ、ゼミ内外の飲み会、交流会、ゲーム会などの意見には大賛成です…新型コロナが一刻も早く収束するように!!

今回の報告は以上でした。来週の今学期の最終回ゼミを楽しみにしています!(つい少しバケーション気分になってしまいましたが)

ではまた来週!

【12月9日】ゼミ活動のご報告

皆さんこんにちは。M1の叶です。

クリスマスに近づき、都内はところどころにイルミネーションがライトアップされましたね。紅葉はなくなりつつ、皆さんは勉学、仕事、研究が疲れた時に綺麗な人工風景を見たりするのもいいチョイスなのではと思います。

さて、早速今回のゼミ活動を報告させていただきます。

今回は、藤本先生が準備してくださった「研究テーマ探究」ワークショップでした。ワークショップの「ゴール」としては、研究で取り上げる「問題状況」を整理してよりよい研究活動につなげるための新たな気付きを得ることであり、「ルール」としてはソフトシステムズ方法論を思考ツールとして使ってみると設置されました。

ここでは、ソフトシステム方法論(SSM)についてもう少し説明します。SSMとは、90年代に英ランカスター大学のピーター・チェックランド教授が開発したアクションリサーチ方法論です。現実の問題状況を吟味して、活動システムとしてモデル化し、実行可能な変革行動を探索する時に活用できる方法論です。

藤本先生がSSMについて説明した後、ゼミのメンバーがその中4つの方法を活用してそれぞれ考える作業を行い、段階的にその成果を共有し、藤本先生からフィードバックをいただきました。4方法の詳細は以下のようになります。

  1. リッチピクチャー:自分の研究対象の状況を図解化してみる
  2. 基本定義:「Z を達成するために、Y によって、X を行うシステム」という形式で状況を定義する
  3. CATWOE 分析:システムにおける対象と条件などを詳細に分析する
    • Customer :顧客
    • Actor :行為者
    • Transformation process :変換プロセス
    • Worldview :世界観
    • Owner :所有者
    • Environmental constraints :環境制約
  4. 概念的活動モデル:1、2、3に基づいて、システムの細かい手順を示す

今回のワークショップを経て、ゼミの皆さんは自分の研究テーマの背景を再び整理したり可視化したりすることによって自分の研究テーマに対する理解を深めました。

実はこの方法論は、最初には学術的な場合に使うとは想定されていなくて、むしろ仕事の研修の場で多く使われています。今回研究テーマの整理のために活かしてみると、SSMは発想的思考法のモデル一つとしてとても使いやすく、効率よく自分のアイデアを整理したり、その中の盲点に気づいたりするのに役立ち、新たな発想にも繋がると感じています。

今回の報告は以上になります。

M2の二人とも、修論頑張ってください!!!