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【11月21日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-12-05   投稿者:   qikeyi

皆さんこんにちは!研究生の斉です。

11月21日のゼミは、叶さんの文献研究、私の関連論文紹介と坂井先生の研究員発表の3本立てでした。

それでは、早速報告させていただきます。


叶さん:文献研究

叶さんが Experiential Learning Theory(経験学習理論)について紹介してくださいました。この理論に基づいて提案された Experiential Gaming Model(経験型ゲームモデル)についても解説していただきました。このモデルを応用して分析されたゲーム「The Arctic」についても具体例として共有され、興味深い視点が提示されました。

叶さんは経験学習理論の4つのプロセスを紹介しました:

1.Concrete Experience:実際の体験活動にどっぷり没入する。

2.Reflective Observation:実際の体験活動を多角的に観察し振り返る。

3.Abstract Conceptualization:観察と思考を通じて論理的な概念と理論を抽象化する。

4.Active Experimentation:これらの理論を使用して意思決定を行い、問題を解決し、新しく形成した概念や理論を実際の作業で検証する。

また、この理論に基づいて、4つの学習スタイル(Diverging、Assimilating、Converging、Accommodating)が提案されています。

Experiential Gaming Modelは、Flow TheoryとExperiential Learning Theoryを融合させたもので、ユーザーのアプリオリ知識と経験がユーザーがゲーム世界をどのように体験し、認識するかに影響を与え、さらに学習者のスキルに応じた課題をシステムが提供できれば、フロー体験を得られる可能性が高くなると提唱しています。

Experiential Gaming Modelは、教育用ゲームの設計と分析に使用できます。ただし、このモデルは教育理論とゲームデザインの間のリンクとして機能するものであり、ゲームデザインプロジェクト全体に対する手段を提供するものではありません。

最後に、叶さんはThe Arcticを使用して実例分析を行い、詳細なフロー図を提供しました。


斉さん:関連論文紹介

今回私が紹介する内容は、ゲームユーザー研究(GUR)における一般的な研究ツールと、その中でも最新の「PXI(Player Experience Inventory)」についてです。

ゲームユーザー研究(GUR)は、ヒューマンインタラクションとゲーム開発を融合させた研究分野です。GURは、プレイヤー体験を測定、分析、理解し、ゲームデザインを最適化することに焦点を当てています。そのため、GURの専門家は、特定のゲームデザインの選択がプレイヤーにどのような体験をもたらし、それがどのように特定の感情的反応を引き起こすのかを理解することを目指しています。

現在のGUR研究ツールには、質的および量的なデータ収集と分析を含むさまざまな方法が含まれており、社会科学、心理学、ヒューマンインタラクションなどの分野から取り入れられています。

今回紹介する論文では、現在のところGURによって特別に設計され、こうした実用的なプレイヤー体験の洞察を提供できるツールが不足していると指摘しています。このギャップを埋めるために、研究者たちは「プレイヤー体験清単(PXI)」を開発しました。このツールは、手段-目的理論を参考にしており、機能的結果と心理社会的結果の2つの観点からプレイヤー体験を評価します。

藤本先生と木村先生は、実際のゲームテストプロセスの観点から、この調査方法が現実と多少異なる可能性があることを指摘しました。そして、ゲーム会社が実際に行っているゲームテストの方法について、皆さんと議論されました。私は引き続き、PXIを応用した実際の事例を探し、学習を進めていきます。


坂井先生:研究員発表

最後に、坂井先生が国際会議で発表した論文について共有してくれました。本研究では、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG」がストレス予防行動に及ぼす影響について検討しました。

近年、精神障害の労災やうつ病患者の増加が問題となる中、企業や従業員の中には、必要に迫られてメンタルヘルス対策を導入する動きがあります。特に、ゲーム要素を非ゲームシステムに導入する動きが注目されていますが、健康促進やストレス予防などの行動への効果はまだ検証されていません。坂井先生が紹介した研究では、この背景を踏まえ、メンタルヘルス教育ゲーム(SMG)を研修に取り入れることで、従業員のストレス予防行動にポジティブな影響があると考えられています。

この研究は、X市総務課が企画した中堅職員メンタルヘルス研修に参加した56名を対象に、ストレス予防行動に対する認識を測定するために「HSE(ストレス予防行動能力調査票)」を使用し、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG:Stress Management Game」を基に実施されました。その後、坂井先生はゲームの物語、役割、目標、ゲームの流れなど、具体的な内容について紹介しました。

最後に、調査結果は「SMG」実施前後のストレス予防行動の平均値と効果量として主に示されました。その結果、メンタルヘルス教育ゲーム「SMG」が従業員のストレス予防行動にポジティブな影響を及ぼす可能性が示唆された。

討論の中で、皆さんはゲームの具体的な細部について質問し、各国の従業員の仕事のストレス状況についても議論しました。


以上で今回のゼミ活動報告でした!