Ludix Lab @ UTokyo
東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2026年1月
投稿日時: 2026-01-12 投稿者: fhasuike
こんにちは。M1の蓮池です。
皆さま、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回のゼミの冒頭では、修士課程2年生の3名が無事に修士論文を期限内に提出できたという嬉しいニュースが共有されました。皆さん、本当にお疲れ様でした!
さて、本日のゼミでは、修士論文審査を控えた友利さんと莫さんによる練習発表と、特任研究員の木村先生によるフォーラムの発表報告が行われました。
友利さんは、「ゲームを介した交流による児童養護施設の中高生の大学生のイメージの変容に関する研究」というテーマで修士論文の進捗を報告しました。
日本の児童養護施設で暮らす子どもたちの大学進学率は約20.9%と、全国平均(57.0%)に比べて大きく乖離しています。友利さんは、この背景に「大学進学への意欲の欠如」や、身近にロールモデルがいないといった課題があることを指摘しました。
そこで本研究では、子どもたちの共通の遊びである「ゲーム」を媒介にした大学生との交流を設計・実践し、それが大学生に対するイメージや進学意欲にどのような影響を与えるかを調査しています。
発表後の質疑では、本研究で定義した「Game-mediated Activity」という用語の独自性や、限られた発表時間の中でいかに背景と成果のバランスを取るかといった、審査本番に向けた具体的なアドバイスが飛び交いました。
続いて、莫さんより、マーダーミステリーゲーム(MMG)をチーム基盤型学習に取り入れた心理教育の可能性について、修士論文の発表練習が行われました。
従来の心理教育は講義形式が中心で、「知っていること」と「行動できること」の間にギャップがあるという課題がありました。莫さんは、MMGの特徴である「役割に基づく視点」や「情報の非対称性」を活用することで、このギャップを埋められるのではないかと考えました。
実際にワークショップを行った結果、MMGは宣言的な知識(用語など)の習得よりも、状況に応じた判断や意思決定といった「シナリオベースの学習」において有意な改善が見られたことが報告されました。また、自分だけが持っている情報を共有するメカニズムが、チーム内の能動的なコミュニケーションを促進することも明らかになりました。
質疑では、専門用語(宣言的知識など)の分かりやすい説明や、実際のワークショップの様子が伝わる視覚資料の追加など、より説得力を高めるためのフィードバックがありました。
最後に、特任研究員の木村先生から、富山で開催された「ゲームの遊びと学びの未来フォーラム in 富山」での発表内容について報告がありました。
木村先生は、eスポーツがプレイヤーに与える心理的・認知的影響について、複数の先行研究と自身の知見を交えて紹介しました。 研究によると、熟達したプレイヤーはゲームプレイによって生じた「活力感」を、初心者よりも長く持続させることができるそうです。
また、プロのeスポーツ選手は、非プレイヤーと比較して、空間性のワーキングメモリや注意制御能力が優れているという興味深い結果も示されました。
フォーラムでの議論を踏まえ、集団で行う遊びとしてのeスポーツの盛り上がりを活かすためには、ジャンルを限定せず広義に活動を捉えることや、事前の活動計画、会場運営の人的資源の重要性が改めて強調されました。
2026年最初のゼミは、修士論文の集大成に向けた熱のこもった議論と、最新のゲーム研究に関する知見の共有で、非常に充実した時間となりました。審査を控えたM2の皆さんは、今回のフィードバックを活かして、本番までラストスパートですね!
本年もどうぞよろしくお願いいたします!
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