東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
カテゴリー: Lab news
投稿日時: 2025-09-11 投稿者: shokotange
2025年9月5日(金)~7日(日)、東北学院大学にて開催された日本心理学会第89回大会において、藤本徹教授、坂井裕紀研究員、木村知宏研究員が研究発表を行いました。
発表タイトルは、
「プレイフル状態とシングルマザーの経済的自立との関連 -自立支援プログラムを通して就職したシングルマザーの調査-」。
母子世帯の経済的自立をめぐる現状を踏まえつつ、支援プログラムの利用経験と「プレイフル状態(楽しさや面白さを感じられる心理的状態)」との関連を明らかにすることを目的とした研究です。
本発表では、2024年12月に実施した53名のシングルマザーを対象とする調査データをもとに、経済的自立感・自立意識の変化・プレイフル状態の関連について報告しました。分析の結果、経済的自立感とプレイフル状態の間に有意な関連があることを明らかにし、支援プログラムを「楽しい」「面白い」と感じながら利用することが自立の促進につながることを示しました。また、質疑応答では活発な議論が行われ、今後の福祉やキャリア支援のあり方を考える上でさらなる重要な知見が得られました。
投稿日時: 2025-09-11 投稿者: shokotange
2025年9月6日(土)、新潟市の開志専門職大学にて開催された日本キャリアデザイン学会 第21回研究大会において、広瀬由美子研究員が研究発表を行いました。
発表タイトルは、「多世代交流型ライフキャリア学習支援ワークショップの開発と評価 -映画を活用したプレイフルデザインに着目して-」 。大学生と50代社会人という異なる「移行期」にある世代を対象に、映画を媒介としたワークショップを通じてライフキャリアをめぐる対話と相互学習を促進することを目的とした研究です。
発表後の質疑応答では、対象世代の設定理由やオンライン実施の是非をはじめ、多世代展開の可能性、さらに女性のキャリア形成への応用といった幅広い視点から質問が寄せられました。会場からは、高校生やリタイア世代を含めた取り組みの可能性や、地域連携活動・教育現場での実践のあり方に関しても意見が出され、活発な議論が交わされました。
こうしたやりとりを通じて、本研究が持つ応用可能性の広さと、世代やテーマを拡張しながら多様な場面に展開できる余地が確認され、映画を活用したプレイフルデザインがキャリア形成に寄与し得る新たな可能性が示されました。
大会詳細はこちら
投稿日時: 2025-09-05 投稿者: shokotange
藤本研究室の卒業生・犬田さんが、研究協力者としてボードゲーム『シランティア』の開発プロジェクトに参加しました。
このプロジェクトは、東京大学の学生と吉本興業の芸人・スタッフが協働し、オリジナルボードゲームを企画・制作する取り組みです。
ゲームの監修にはプロのゲームデザイナーが携わり、イラストは吉本興業所属の芸人・ネゴシックスさんが担当しました。完成した『シランティア』は、簡単なルールで誰でも楽しめる内容となっており、東大生協などで販売されています。売上の一部は、東京大学の体験学習プログラムの支援に充てられます。
本プロジェクトに研究協力者として関わった犬田さんは、研究室で培った知識を活かし、社会連携を通じた教育的取り組みに貢献しました。
詳細は東京大学公式記事をご覧ください。
👉 東京大学ニュース「学生が吉本興業とオリジナルボードゲームを開発」
投稿日時: 2025-08-29 投稿者: shokotange
2025年8月23日(土)・24日(日)、東京大学本郷キャンパス福武ラーニングスタジオにて「夏休み親子ゲームジャム2025@東京大学」が開催されました。本イベントは藤本徹研究室が主催し、9歳から14歳までの子どもとその保護者、計10組が参加しました。
今回のテーマは「防災」。災害時の協力や資源の活用といった課題をゲームの仕組みに取り入れることを通じて、「日常生活における創造性」(mini-c)を育むことを目指しました。
1日目は、宝石の煌きやキングドミノ、ウボンゴなどの人気ボードゲームを体験し、ゲームデザインの多様な仕組みに触れると同時に、親子や参加者同士の交流を深めました。さらに保護者向けには「創造性を育てるための子どもへの関わり方」に関する講義も行われました。
2日目は、いよいよゲーム制作に挑戦。プロのボードゲームデザイナーや編集者も加わり、アイデアの具体化をサポートしました。試作と改良を繰り返し、最終的に5グループから6つの防災ゲームが完成し、子どもたちの自由な発想と保護者のサポートが融合した作品が発表されました。
参加者からは「プロのデザイナーと作業できて貴重だった」「発想や技術的なこと、メモの取り方など、子どものサポートの仕方も学ぶことが多かった」「自分の作ったゲームを大人が遊んでくれて嬉しかった。また挑戦したい」といった声が寄せられ、会場は熱気と充実感にあふれました。
本イベントは、子どもたちが創造性・協働力・表現力を育み、親子で新しい学びを共有するよい機会になりました。
投稿日時: 2025-08-22 投稿者: shokotange
2025年8月7日〜9日に韓国・仁川で開催された国際学会 「International Conference for Media in Education 2025(ICoME 2025)」 において、藤本教授が Invited Speaker として登壇しました。
今年の大会テーマは、
“Transforming Educational Media: Towards Accountable and Inclusive Future Learning”
であり、教育メディアを通じた未来の学びの在り方を国際的に議論する場となりました。
藤本教授は“Inclusive Futures through Play: Exploring Game-Based Learning for Diverse Learners”というテーマのもと講演を行いました。ゲームのもつ柔軟性や協働性に注目し、多様な学習者が参加しやすい学びの形を探る視点を提示し、研究者や実践者と活発な意見交換を行いました。
大会の詳細はこちら
投稿日時: 2025-08-22 投稿者: shokotange
修士2年の濱田璃奈さんが2025年8月7日〜9日に韓国・仁川で開催された国際学会「International Conference for Media in Education 2025 (ICoME 2025)」において「Young Scholar Award」を受賞しました。
ICoMEは、日本教育メディア学会(JAEMS)、韓国教育情報メディア学会(KAEIM)、中国教育工学会(CAET)、アメリカTCC(Teaching, Colleges and Community)との連携によって開催される国際学会です。同賞は、研究内容やプレゼンテーション力、学術的な貢献度が特に優れていると評価された若手研究者に贈られるもので、濱田さんが選出されました。
投稿日時: 2025-08-21 投稿者: shokotange
8月14日(木)13時30分から16時30分にかけて、長崎原爆資料館 平和学習室にて、ゲーム体験ワークショップとトークセッションを開催しました。
冒頭では、研究室代表の藤本教授より、本イベントの趣旨と研究室の主な活動について説明がありました。その後、坂井特任研究員の進行により、喪失から人生の大切さを学ぶゲーム『Dice of Destiny: Memories of Nagasaki』を用いたワークショップが行われました。
参加者からは、ゲーム体験を通じて「喪失から学ぶ意味」や「非戦・非核を伝える重要性」などの感想が寄せられました。続いて、木村特任研究員からは平和学習に効果的なビデオゲームの事例が紹介され、さらに坂井特任研究員からは、ビデオゲームを用いた悲嘆を軽減する研究についての説明がありました。
その後、登壇者3名による対話では、教育におけるゲーミフィケーションをデザインする際に配慮する点について意見が交わされました。
終盤には、参加者も交えてゲーミフィケーションの歴史を振り返りつつ、平和教育とゲーミフィケーションの可能性について活発な議論が行われました。
本イベントは、会場とオンラインのハイブリッド形式で実施され、トラブルもなく無事に終了しました。
最後に、参加者の皆さまと共に、平和教育とゲーミフィケーションについて積極的に議論を深められたことに、心より感謝申し上げます。
【参加者からの感想(抜粋)】
Mさん 40代 女性
昨日は大変楽しく有意義な機会に参加させて頂き、ありがとうございます。以前シリアスゲームに参加した際は、ゲーム外も深刻で重いムードだったので、今回覚悟して臨みましたが、心理面への配慮が随所に凝らされており安心しました。頂いた資料でより振返りやすくなります。今後の人生に役立てたいと思います。
Sさん 20代 女性
心に残る素敵な体験をさせていただき、誠にありがとうございました。喪失というテーマでありながらも、ゲームの流れに沿って人生を振り返り、取捨選択することで、楽しく喪失を体験することができました。また、他の参加者の価値観や言葉に触れることで、新たな知見を得ることができたうえ、時には他の参加者の人生経験に励まされることもあり、ポジティブな気持ちでゲームを終えられました。トークセッションでは、ゲームの作り手の葛藤に触れることができ、大変勉強になりました。
投稿日時: 2025-07-15 投稿者: fhasuike
こんにちは!M1の蓮池です。暑さが増してくる季節になりました。
本日は、各々の研究の進捗状況をまとめて、中間発表として報告するゼミ活動となりました。
発表は、社会的課題の解決から、職業倫理教育、文化表象、研究方法論に至るまで、ゲームやインタラクションを共通の軸とした多岐にわたる内容となりました。
友利さんは、「大学生とのゲームを介した交流を通して、児童養護施設で生活する若者の大学に対するイメージの形成」と題した修士論文の中間発表を行いました。
この研究は、児童養護施設の子どもたちの大学進学率が全国平均に比べて著しく低いという背景から出発しています。友利さんは、進学率の低さの一因として、大学進学への具体的なイメージや身近なロールモデルの不足があると考え、大学生との交流がその解決策となりうるかを探っています。
研究では、「ボンバーマン」を用いたゲーム大会「Bomber Cup」を企画・実施。児童養護施設の生徒と大学生がチームを組んで交流する場を設け、その前後での意識変化をアンケートやインタビューを通じて調査しました。
研究結果より、ゲームを介した交流は、施設の子どもたちが大学生個人やその生活(学業、アルバイトなど)へ興味を深めるきっかけとなることが示されました。今後は、修士論文提出を目指し、得られたデータのさらなる分析に取り組むそうです。
大空さんは、「職業倫理教育に資するゲーム学習プログラムの開発と評価」と題した研究の進捗を報告しました。近年、研究不正や企業の不祥事が社会問題となる中、既存の倫理教育が一方的な知識伝達に留まり、実践的でないという課題意識から本研究はスタートしました。
大空さんが開発したカードゲーム「QRP GAME」は、「疑わしい研究活動(Questionable Research Practice)」をテーマに、参加者同士が対話を通じて倫理的な判断軸を自ら考えることを促す教材です。これまでに複数の領域でワークショップを実践し、プログラムの改善を重ねてきました。
ワークショップは参加者から高い満足度を得ており、特に価値観の異なる他者との「対話」のプロセスが学びや楽しさにつながっていることが確認されました。
ゲームの設計は、参加者の多様な価値観を引き出し、それがゲームの面白さに寄与するよう意図通りに機能している可能性が示唆されました。
今後は、収集した質的・量的データをさらに詳細に分析し、学習効果のメカニズムを解明していく予定です。
質疑応答では、『公正感受性尺度』は簡単に変わるものではない等の評価指標に関する議論が活発になりました。
Leafyさんは、「Playful Orient? – ビデオゲームにおける東アジア文化の(再)構築とプレイヤーのアイデンティティ・フィードバック」というテーマで新たな研究計画を発表しました。
当初はフィッシング詐欺対策のゲーム設計を検討していましたが、自身の関心を再考し、ゲーム研究の分野へと方向転換しました。
この研究は、西洋製の人気ゲームに含まれる日本、中国、韓国などの東アジア文化の表象(侍、武術、K-POPなど)を分析するとともに、それらの文化圏のプレイヤーがその表象をどのように受け取り、解釈し、あるいは批判しているかを探るものです。
分析は、『Ghost of Tsushima』『Sifu』『Overwatch』といったゲームのテキスト分析と、SteamやReddit、Bilibiliなどのプラットフォーム上でのプレイヤーの受容分析を組み合わせて行われます。
また、本研究内容は、2025年10月にソウル大学で開催される「SNU-UTokyo-NCCU合同シンポジウム」で発表される予定です。
楽しみです!
Johannaさんは、一連の研究活動の締めくくりとして、ゲームベース学習(GBL)における人間とゲームのインタラクションを分析するための方法論的フレームワークを提示しました。
Johannaさんの発表では、S-O-R-Cモデル(Stimulus-Organism-Response-Consequence)に基づき、プレイヤーの行動を「行動レベル」「認知レベル」「生理レベル」といった複数の階層で捉え、体系的に分析・モデル化するアプローチが紹介されました。
これにより、ゲームがプレイヤーに与える影響や学習が起こるメカニズムを、仮説に基づいた理論的モデリングと、実際のデータに基づいた経験的モデリングの両面から解明する道筋が示されました。
また、日本での生活も存分に楽しんでいる様子が紹介されました。
日本語の勉強だけに留まらず、合唱団のイベント・ラボメンバーとのTTRPG(Tabletop Role-Playing Game)をするなど積極的な活動を行っています。
Johannaさんが、2ヶ月後に帰国してしまうのは大変寂しいですが、それまでにたくさんの思い出を作ろうと思います!
今回のゼミの報告は以上です!もうすぐ夏休みが始まりますね。
体調には気をつけて、これからも研究活動を進めていきましょう!
それでは、また次回のゼミもお楽しみに。
投稿日時: 2025-07-05 投稿者: keirinkyou
こんにちは!M1の叶馨霖です。梅雨明け直前の7月3日に、研究室小会議室にて定例ゼミを開催しました。今回は以下の3名が発表し、その後活発な質疑応答を行いました。
最初に発表を行ったの私は、認知負荷理論(Cognitive Load Theory, CLT)に基づく教育設計とそのゲームへの応用可能性について紹介した。CLTの基本構造として「内在的負荷」「外在的負荷」「学習的負荷」の三分類を取り上げ、教育/ゲームデザインにおける負荷調整の重要性を論じた。特にKesterらの実験を通して、ヒント提示のタイミングが学習効果に及ぼす影響を示し、「Supportive情報」と「Procedural情報」の提示タイミングを操作したデザインが紹介された。また、再生紙の利用などを例に、実生活への接続を意識した支援情報のゲーム内提示の意義についても触れた。
発表後には、荒さんより「CLTは教育ゲームの中で直接用いられる理論というより、支援設計や教材設計における方針として捉えるべきである」との指摘があり、この視点を踏まえてCLTの活用の位置づけについて理解を深める機会となった。実際のゲーム設計において、認知負荷という抽象的概念をどのようにデザイン原則に落とし込んでいくかが今後の課題として浮かび上がった。
続いて謝さんが、フロー理論(Flow Theory)に関する文献紹介を行った。発表では、チクセントミハイによる理論の提唱から始まり、教育ゲームへの応用事例(例:『Minecraft教育版』や中国の語彙学習アプリ『開心詞場』)を通じて、明確な目標設定・即時フィードバック・課題と技能のバランスがもたらす没入体験のメカニズムについて解説された。フローの六大特徴と、それらを活かしたゲームメカニクスとの具体的接続がわかりやすく整理されていた。
発表後には、学生との共同制作によるゲーム映像の紹介もあり、そのビジュアルと構成に対して参加者からも好意的な反応が寄せられた。莫さんからは「フロー状態とこのゲームの関係性」についての質問があり、藤本先生とLeafyさんからは関連文献に関する具体的なアドバイスがなされた。次回の発表では、さらに具体的な事例や設計プロセスの説明が加わることを期待しております。
最後に木村さんより、「暴力的ビデオゲームが攻撃性に与える影響」に関する研究紹介が行われた。Sestir & Bartholow(2010)などの実験に基づき、暴力的ゲーム・非暴力的ゲーム・ゲームをしない対照群の3条件における攻撃的思考や援助行動の変化が詳細に紹介された。特に、「単語完成課題」や「ストーリー完成課題」などを通じた測定手法の工夫や、研究における統計解釈の誤解(misleading)の危険性にも触れ、正確な論文読解の重要性が強調された。
討議では、Johannaさんから「動作性の高い非暴力ゲームと暴力ゲームの区別」に関する問いが出され、木村さんは「本研究ではこのようなジャンル分類を行っているが、異なる結果が出る可能性はある」と応じた。友利さんは「非暴力的ゲームで15分後に攻撃性が高まった理由」に注目し、私も「非プレイ群をコントロール群としてどこまで有効といえるか」について質問を行った。木村さんは、「社会心理学的実験における条件対照の限界性」について具体例を交えて回答した。大空さんは「今回の研究では大学生を対象としているが、被験者が小学生であれば結果が異なるのではないか」と、研究の一般化可能性についての意見を述べた。最後に浜田さんが「攻撃性の測定に文字課題を使う理由」や「他に測定方法はあるのか」といった測定法に関する質問をし、木村さんがその根拠を補足するかたちで説明を加えた。
今回のゼミでは、それぞれ異なる理論的視点からゲームと教育の接点が丁寧に論じられ、改めて「理論を読む力」と「それをどう使うか」の両輪の重要性を実感しました。私自身も、他の発表者の工夫や熱意に多くの刺激を受けました。これからの自分の研究や実践にも活かしていきたいと思います。
学期もそろそろ終わりですね。みなさん、もう夏休みの計画は立てましたか?
投稿日時: 2025-07-01 投稿者: ziminmo
こんにちは、M2の莫です。梅雨でじめじめしていても、ゼミの時間はいつもどおり元気いっぱいです!
6月26日のゼミは3本立てで、豊かな内容となりました。
蓮池さん:関連論文紹介
最初の発表は蓮池さんによる、AI英会話アプリ『スピークバディ』を対象とした研究に向けた関連論文の紹介でした。
今回は、ユーザーの性格特性と学習体験の関係をテーマに、MBTIやビッグファイブなど複数の性格モデルを使った文献を丁寧に比較・整理してくれました。
特に印象的だったのは、内向的な学習者の方がゲーミフィケーション環境下で学習効果が高まるという知見や、国によって性格傾向が異なるため、適した学習設計も異なる可能性があるという点です。性格に基づいた学習体験のデザインという視点に、教育ゲーム研究の広がりを感じました。
発表後のディスカッションでは、最近話題になっているMBTI診断の学術的信頼性や、研究における性格分類の扱い方についても議論が深まりました。
「MBTIは正式な診断じゃないケースもあるよね」「研究ではビッグファイブの方がよく使われるかも」などのコメントもあり、性格診断そのものへの関心の高さが伝わってきました。
大空さん:文献研究
続いては大空さんによる文献研究の発表でした。今回は「創発」という概念をキーワードに、ゲームプレイ中に生まれるプレイヤーの自己表現や意味の生成について考察されました。
事例として挙げられたのはボードゲームDixitで、シンプルなルールから複雑で多様な表現が生まれる構造が「創発」の典型だとされます。
また、問いかけに対して明確な正解がなく、参加者同士の対話を通して意味が創出される構造が「還元不可能性としての創発」に当たるとのことでした。
「創発」がもたらす創造的対話は、学習との関連も深く、これをどう研究の中で捉えていくかが今後のテーマになりそうです。ご自身のゲーム制作との接点にも触れながら、具体的な研究計画にもつなげてくださったのが印象的でした。
大空さん:プレイセッション「Moon Shooters」
最後は、大空さんによるプレイセッションでした。今回は“Moon Shooters”というゲームを体験しながら、「研究者/市民」という異なる立場から同じ課題をどう捉えるかを考える機会となりました。
プレイ中には、「倫理的」「法的」「社会的」な視点からの問いが提示され、それぞれがとても実践的で示唆に富んだ内容でした。
ちょうど私自身も最近、倫理審査の書類を作成しているところだったため、「この考え方、参考になりそう!」と思う場面が何度もありました。
また、ひとつの出来事に対して複数の立場があることで、見方の違いや意見の対立が生じる可能性にも改めて気づかされました。
でも、それこそが物語の厚みを生み出したり、ゲームの設計において重要なエッセンスになったりするのではないかと思います。今後の創作にも活かしていきたい気づきでした。
以上、6月26日のゼミ報告でした。
今回はそれぞれの発表が異なる角度から「学び」と「ゲーム」を見つめていて、とても勉強になりました。
それでは、また次回のゼミもお楽しみに!