東京大学 大学院情報学環 藤本研究室
月別アーカイブ: 2024年12月
投稿日時: 2024-12-11 投稿者: leafyyan
皆さん、こんにちは! 外国人研究生のLeafyです。12月5日のゼミ活動では、莫さん、犬田さん、アマンダさんの研究進捗発表、そしてLeafyが準備したプレイセッションが行われましたので、ご報告です。
■【大空さん】ゲームジャム
発表の開始前に、大空さんが参加したScientific Game Jamについての経験を共有しました。ゲームジャムは、ゲーム開発者やデザイナー、そしてゲーム愛好者が集まり、限られた時間の中でゲームを制作するイベントです。大空さんは『ULTRA FAST WAR』という対戦ゲームをチームで開発し、サイエンスゲーム賞及び観客賞を受賞しました!
■【莫さん】研究進捗発表
次に、莫さんが自身の研究進捗を発表しました。彼女の研究は、murder mystery game(MMG)のデザイン要素を活用し、学習の向上を目指すものであり、具体的にはケーススタディおよび標準化患者を通じてチームワークの強化を図る、いわゆるteam-based learningに関連しています。
莫さんは、研究問題「MMGメカニズムの活用はCoR理論を通じてTBLを向上させるか」を設定し、追加的な文献研究を進めつつ、ワークショップの作成に着手しています。現在、彼女が直面している課題は、ワークショップ作成の参考文献としてMOOCを選択するか、それともより伝統的な教科書を選択するかという点です。莫さんは皆から意見を募り、日本の臨床心理学に関する書籍を参考にしてワークショップを最適化する方針を決定しました。木村先生は、莫さんの研究テーマが主に日本人を対象としていることを確認し、日本の学生や関連する心理系の医師との接触に関するアドバイスを提供されました。
さらに、莫さんは謎解きゲームによる東京大学制作展への参加経験や、今後の短期的および長期的な計画についても報告しました。
■【犬田さん】研究進捗発表
犬田さんは「ゲーム手法を用いたデータ収集法の開発と評価」という研究テーマについて発表しました。彼は今回の進捗発表において、データの収集と分析が既に完了したことを説明しました。犬田さんは、Googleフォームを利用した調査結果、およびその分析方法について詳細に解説しました。
自由記述のセクションでは、共起ネットワーク図の解釈や概要に重点を置き、特にゲーミフィケーションを活用した調査における興味を引く要素およびその頻度について議論を行いました。犬田さんはKH Coderを用いた分析結果も提示し、具体的な説明と共に分析を行いました。
最後に、犬田さんは自身の論文作成の進捗についても触れましたが、その詳細についてはここでは省略いたします。
■【アマンダさん】研究進捗発表
特別研究学生のアマンダさんは、非常に魅力的な研究進捗を報告しました。アマンダさんの研究テーマは「ビデオゲーム、知識、意味生成の絡み」です。アマンダさんは、彼女の研究において重要なゲーム開発者チームであるConcernedApeとのインタビューについて発表しました。インタビューは、アマンダさんにとって学術的にも非常に意義深い時間となったようです。
続いて、アマンダさんは今後6ヶ月間の研究タイムラインや現在進行中の論文について説明し、また日本の学術環境におけるインタビュー設計での参加者報酬に関する問題についても意見を求めました。
■【Leafy】プレイセッション
12月5日のゼミ活動の最後には、私が主催したプレイセッションが行われました。今回のプレイセッションのテーマはボードゲームであり、Leafyはドイツ式とアメリカ式のボードゲームの種類やスタイルについて紹介し、持参した手作りのボードゲーム、つまり「Splendor」メカニズムに基づいたドイツ式の戦略ボードゲームを紹介しました。皆さんにドイツ式ボードゲームの魅力を感じていただけたかどうかわかりませんが、参加者全員が非常に楽しんでいただいた様子でした ♪
以上が、12月5日のゼミ活動に関する報告です。ご覧いただき、ありがとうございました!
寒さが厳しくなり、インフルエンザも流行していますので、皆様は健康に留意し、忙しい学業や仕事の中でも体調に気を付けてください。
投稿日時: 2024-10-10 投稿者: leafyyan
本日のセミナーは、修士研究の計画と進捗報告に焦点を当てて行われました。濱田さん、莫さん、大空さん、犬田さんが、それぞれ熱意を持って取り組んでいる研究を発表しました。
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山内研の李佳誠さんも参加しました!彼は自身の課題に関する紹介で今日のセミナーの幕を開けました。彼の研究課題は、オープン教育資源(OERs)および大規模オープンオンラインコース(MOOCs)を通じて、学習者の自己調整学習を支援することに焦点を当てています。
この研究は、学習者が学習過程で自分の時間を効果的に管理し、学習計画を立て、学習動機を維持することの重要性を強調しています。彼の研究の核心は、「共調整」という方法が学習者の自己調整能力を強化し、学習効果を向上させる方法を探ることにあります。これにより、学習者により効果的な支援方法を提供し、彼らの独立した学習能力の向上を促進することを目指しています。
濱田さんの研究課題は、「Minecraftを使用した英語学習の研究」です。まず、過去の夏に埼玉県の学習塾で小学生を対象に実施したワークショップ実験について紹介しました。このワークショップには、計画を立てる(make a plan)、図書館を建てる(build a library)、図書館を共有する(share your library)などの手順があり、特に英語の使用を奨励するルールが重要視されました。さらに、Minecraft教育版を使って長崎の歴史を学び、ゲーム内で地元の歴史的建物を再現するなどの事例を展示しました。濱田さんが紹介した子供たちの作品は非常に素晴らしく、興味のある方はぜひご覧になるように勧めています。
研究課題の紹介では、Minecraftがどのようにwillingness to communicate(WTC)に影響を与えるかを探討しました。具体的には、以下の2つの側面に注目しました:
1. trait WTC:個人の性格に関連し、長期にわたって安定した意欲。2. state WTC:短期的な状況に応じて変化する意欲。濱田さんは、「再生面接法」やidiodynamic methodの2つの主要な方法を用いて、WTT質問紙、参加者の英語学習歴、Minecraftのスキルレベル、活動中のMinecraft画面の録画などのデータを統合的に使用し、trait WTCを測定する計画です。
アマンダさんからは、co-designというツールの使用が助けになるのではという助言があり、濱田さんに期待されています!๑╹◡╹)ノ
犬田さんの研究課題は、オンライン調査における問題、特に消極的な回答者の対応を、ゲームを活用して最適化することに焦点を当てています。セミナーでは、この方法の心理的効果、ユーザー体験の向上、動機付けの向上、参加率の向上といった、多方面にわたる効果について説明しました。
犬田さんは、先行研究における問題や、現在の実験哲学における複雑すぎる課題が、参加者の消極的な回答を引き起こす原因であることを紹介しました。
彼は、ゲーム制作ツールや画像生成ツール(AI:Midjourneyなど)を使用している現在開発中のデモを紹介しました。犬田さんが披露したデモ作品は非常に興味深く、多くのインタラクションとさまざまなシナリオが含まれており、ユーザーフィードバックも非常に良いものでした。従来のアンケート調査よりも明らかに魅力的であり、彼の今後の作品が楽しみです!
莫さんが今日のセミナーで、「殺人ミステリーゲーム(MMG)を用いてチーム学習を強化する」という課題を紹介しました。彼女は殺人ミステリーゲームの要素と形式を詳しく説明し、昨年の研究計画に基づいてさらに深い補足を行い、MMGを通して教育プロセスに新しい価値を加えることを目指しています。
彼女はチーム学習(Team-Based Learning)という学習方法について説明しました。この方法は、5~7人の学生チームを中心としたもので、構造化されたワークフローを持つグループ学習の形式です。一般的なグループワークとは異なり、読解、証拠収集、分析、投票の4つの段階に分かれ、教師の指導による事前学習から始まり、significant problem, same problem, specific choice, simultaneous report「4S原則」に従います。そして最後にピアレビューで締めくくられます。莫さんは、この学習モデルはチームのコミュニケーション能力を向上させるものの、学習効果に対する影響は未確定であると指摘しています。彼女は、その研究結果を検証するために、対照群と定量的メタ分析(Meta-Analysis)を導入しました。
さらに、莫さんは彼女の研究と密接に関係する資源配分理論について紹介しました。この理論での「資源」とは、MMGゲーム内の情報を指します。彼女は情報サンプリングモデル(Information Sampling Model)を使用して、MMG内でのプレイヤーの情報交換パターンを探りました。最近の研究では、チーム学習を通じて大衆心理教育(Popular Psychoeducation)、すなわち一般向けのメンタルヘルス啓蒙を紹介する部分も追加し、この分野でワークショップを設計・実施することを計画しています。
本学期、莫さんは卒業に必要なコースを可能な限り修了し、その後はワークショップのデザインに集中できるようにする計画です。同時に、修士論文の文献レビューも完了させる予定です。彼女の応援をしましょう!⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ˂̶͈́)۶⁾⁾
大空さんは参加者に向けて、彼の研究計画の時間表を詳しく説明しました。その中には、KJ法を活用した情報整理、計画の策定、そして将来の発表日程や会議参加の予定が含まれています。研究に初めて触れる人々に向けて、「QRP Game」というカードゲームを通じて研究倫理を学ぶ方法について魅力的な紹介を行いました。これには事例確認、評価、発表、そして採点といったプロセスが含まれています。さらに、「Moon Shooter(Moon Shop Project)」についても紹介し、多くの関心を引きました。
また、大空さんは現在進めているワークショップ計画を共有しました。これらの活動は異なる場所で3回開かれ、幅広い参加者情報を集める予定です。彼は長期および短期の目標についても述べ、例えば学習分析スキルの向上やNHKや高等教育機関での研究推進を目指しており、カードゲームを倫理教育に革新的に活用することを意図しています。この一連の計画は彼の最終的な目標に向けた基盤を築いており、期待が高まります!
最後に藤本准教授は藤本研究室が主催する研究発表に関する企画「ゲームの遊びと学びの未来シンポジウム」を紹介しました。次回の開催に向けて準備を進めていますので、今後のお知らせを楽しみにお待ちください!