カテゴリー: Lab news

【1月18日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-01-26   投稿者:   hamada

みなさん、こんにちは。M1の濱田です。
1月18日に行われたゼミの活動の報告です。

今回のゼミは、以下の3本立てでした。

・春口さんによる修士研究発表
・ジョナさんによる研究生活動成果報告
・大空さん、犬田さん、濱田による春季研究活動計画

 春口さんは、修士論文口述試験の練習も兼ねて、2年間の研究成果をまとめた発表を行ってくださいました。先行研究からゲーム開発、分析に至るまで丁寧にまとめられており、これまで春口さんが積み重ねてこられた研究成果が伺える発表でした。修士研究お疲れさまでした。ジョナさんは、研究テーマをより具体的にし、継承語に焦点を当ててモンゴル語学習のためのゲームを作られるとのことでした。プロトタイプも作られていて、モンゴル語とモンゴルの文化が同時に学べるように上手く設計されていました。完成がとても楽しみです。大空さん、犬田さん、濱田は、研究に加えて、仕事や就活、学会発表など、それぞれ春休みみの活動計画を発表しました。各自やりたいことが明確にあって、それに向かって着実に進む姿は勉強になる部分が多くあります。

 さて、今回が今年度最後のゼミとなりました。時間が過ぎるのはあっという間ですね。
 ふり返るとこの1年は、大学院入学もさることながら、Minecraftカップでインターンをさせていただくなど、自分の研究を大きく進める年になったと思います。その一方で、新たな環境に慣れつつ、次々と目の前に現れてくる経験や情報を処理するというのは、なかなか大変な面もありました。新しい世界が見えるにつれて当然疑問も増えていくもので、常に頭の中が?だらけだったような気がします。
 ただ、この自分が持っている疑問に対して真剣に考える時間があるということ、そして一緒に考えてくださる方々がいるというのは、非常にありがたいことだと思っています。研究などなど、悩みつつとりあえずの答えを出しつつで来年度も頑張っていきたいと思います。

以上が今回の活動報告です。また次回!

【1月11日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-01-26   投稿者:   hamada

みなさん、こんにちは。M1の濱田です。
1月11日に行われたゼミの活動の報告です。

今回は、大空さん、犬田さん、濱田による研究進捗発表と、犬田さんによるプレイセッションでした。

 研究進捗発表では、各自が今学期行ってきた研究の成果を発表しました。修士研究に関しては、それぞれ紆余曲折ありながらも研究手法が具体的に固まってきた印象です。その他、研究に関するワークショップの開催や学会発表の準備など、これまで行ってきた活動についても報告しました。来年度も頑張りたいです。

 プレイセッションでは、犬田さんが制作したゲーム「Shall we dance? 一緒に踊らないかい?」をプレイしました。このゲームはその名の通り、英語で口説き文句を作るゲームです。ルールは、口説かれる1人が場面設定のカードを引き、それに対して他のプレイヤーは英語の助動詞や主語、動詞などが書かれたカードを組み合わせ、英語とその日本語訳を言いながら口説きます。そして、その中でNo.1口説き文句に認定された人が勝ちというゲームです。カードはランダムなので、どのような文章になるのかわからないという運の要素もあります。

 作った口説き文句は、例えば、交差点で信号待ちの人に対して「車でカフェにいきませんか?」という少し怪しげなものから「猫と一緒に宇宙に行きませんか?」といった突拍子のないものまであり、どれもおもしろいものばかりで、いちばん良い口説き文句を選ぶのが大変でした。

 そして、今回のゲームは、ゴールが「助動詞を学ぶ」ではなく「口説き文句を作る」という、学習とは少し離れた位置に置かれており、楽しみながら意識せず助動詞の疑問文を学べるゲームでした。機会があればまたプレイしたいです。

以上が今回の活動報告になります。また次回!

【1月4日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-01-15   投稿者:   inuda

みなさん、あけましておめでとうございます!M1の犬田です。

みなさんは年末年始をどのように過ごされたでしょうか。私は、ボードゲーム制作をしたり、論文を整理したりと中々手を付けられていなかったことに取り組んでいました。年末年始感は全然感じられなかったのですが、実家でのんびりと過ごして英気を養っていました。今年も楽しく充実した1年にしたいなと思います。

今年もみなさんどうぞよろしくお願いいたします。

さて、1月4日に行われたゼミ活動の報告をします。発表内容は、大空さんの事例研究と濱田さんの研究関連論文紹介です。


【大空さん】事例研究

大空さんは、食肉倫理をテーマにしたシリアスカードゲーム『マナーな食卓』について紹介されました。『マナーな食卓』とは、異なる種族が互いを食べ合いながらも共存する世界で、他種族に配慮した食事マナーを考えるカードゲームです。このゲームは、食材となった命にどのように敬意を払うかを考えることで、プレイヤーに命をいただくという行為について再考してもらうことを目的としています。

大空さんは、感想として、テーマ「食肉倫理」とゲームメカニクス「大喜利」の相性があまり良くない点を指摘されていました。一方で、今回の事例研究を通じて、役割カードの重要性と専門家レビューの大切さについて学習されていました。

私はこの発表を聞き、シリアスゲーム開発において、表現したいシリアスさとメカニクスによって起こされる感情が上手く嚙み合わないと、込められたメッセージが十分にプレイヤーに伝わらないのだなと思いました。この点については、自分がボードゲームを制作するときも意識したいと思います。

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【濱田さん】研究関連論文紹介

濱田さんは、以下の2つの論文を紹介されました。その後、その2つの論文を受けての、研究計画についても発表されました。

①Macintyre, P. D. (2012). The Idiodynamic Method: A CloserLook at the Dynamics of Communication Traits. Communication Research Reports, 29(4), 361–367.

この論文では、研究方法に焦点を当てて紹介されました。この研究では、 “Idiodynamic Method”という、コミュニケーションにおける情意の変動を学習者自らに評価してもらう方法が取られています。具体的には、会話を録音・録画し、それを視聴してもらいながら自己評価してもらう。そして、インタビューを行い、それを解説してもらうという方法が取られています。

②Pawlak, M., & Mystkowska-Wiertelak, A. (2015). Investigating the dynamic nature of L2 willingness to communicate. System, 50, 1-9.

この論文の目的は、コミュニケーション意欲(WTC)の変動のパターンとその要因を分析することです。研究方法では、「参加者にペアで即興の対話をしてもらい、その様子を録音する。そして、その対話のなかで30秒ごとに、WTCの自己評価を行ってもらう。その後、その変化の要因を質問紙で回答してもらう。さらに、録音を聞きながらその変化の詳細な説明を参加者に説明してもらう。」という手法が取られています。結果としては、WTCは話を聞いているときは低下し、意見を述べるときには増加するなどが分かっています。

濱田さんは、この2つの先行研究を受けて、Minecraftを複数人でプレイしながら英語でコミュニケーションをとったときのWTCの変化とその要因を研究していきたいと発表されていました。


以上が、1月4日のゼミ活動報告です。ぜひ来週のゼミ報告記事もお読みください。

それでは!

【12月21日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2024-01-04   投稿者:   jona

皆さん、こんにちは。研究生のジョナです。

12月21日に行われたゼミ活動のご報告をさせていただきます。

今回は犬田さんの事例研究と春口さんの修論チェック大会でした。

事例研究(犬田さん)

犬田さんはGamified Surveyを開発するに必要な参考事例として、プレイヤーのデータを収集し分析するゲームを2つ紹介しました。

1.Refind Self: 性格診断ゲーム

このゲームでプレイヤーは感情を持つロボットとなり、自分を作った博士との思い出の場所をたどりながら、ストーリーを進めていきます。プレイヤーのゲーム内での行為は主人公の性格要素と対応しているので、合計された性格要素で性格診断をすることができます。

また、ゲームを繰り返しプレイすることで秘めた性格や遠い性格がわかり、性格診断結果を他者と比較することもできるなど、独特な要素が含まれていました。

2.The Trolley Game

このゲームはトロッコ問題(Trolley Problem)をシミュレーションしたものです。トロッコ問題は「ある人を犠牲にして、より多くの人を救うのは許されるか」という論理学の思考実験であり、この問題には様々なバリエーションもあります。プレイヤーはレバーを引くかを判断し、自分の選択結果が反映されるのを、ゲームによってリアルに感じることができます。

以上のゲームはプレイヤーのデータをゲーム内で活かしています。特にRefind Selfは質問回答にかかった時間のログデータや他人との即時的比較データなど、とても細かいデータを利用し、プレイヤーの分析をしていました。また発表後には、データが何を反映しているのか、またその背景に科学的根拠をどう設置するかについて討論も行われました。

修論チェック大会(春口さん)

春口さんから修士論文のドラフトをGoogle Driveでゼミメンバーに共有し、ゼミの残りの時間を利用して、みんなでコメントや考えを書き込みました。修論チェック大会は論文の構成、フォーマットなど注意すべき点を身近で学ぶ貴重な機会にもなると考えました。

今回のゼミ活動報告は以上になります。

2024年も、どうぞよろしくお願いします!

【12月14日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-12-20   投稿者:   osora

皆さんこんにちは、M2の大空です。

12月になって、本格的に寒くなってきましたね。特に朝は冷え込むので、布団から起き上がるのも一苦労です。皆さんは布団から出たくない時の解決法はありますか?

私はなかなか起き上がれないタイプなのですが、実は一発で布団から出る方法を隠し持っています。それが「Another Day of Sun」という曲をかけることです。これをかけると条件反射的に起き上がれます。皆さんの布団から出るための解決の一助になれば幸いです笑


さて、12月14日に行われたゼミ活動の報告をいたします。
発表内容は大空の研究関連論文紹介、濱田さんの文献研究、坂井先生のプレイセッションです。


【大空】研究関連論文紹介

大空は「研究者を目指さない学生に研究倫理は必要か」をテーマに、研究関連論文の紹介を行いました。

テーマの背景としては、自身の開発したゲーム/ワークショップのターゲットに「研究倫理を受講する学生」が含まれており、その中には当然研究者にならない方もいるということで、そうした学生に対してどういう意味付けができるのかということを探索するために設定しました。

関連論文から、大学生が結果を捏造する行為は悪いと認識していてもそれがなぜ悪いのかを理解していない可能性があると考えられること、社会人のコンプライアンス研修においても判断と行動は異なると言われていることが分かりました。

これらを踏まえ、今後、自身の研究倫理ゲーム/ワークショップの方向性として、市民や社会人としての基盤をつくるという視点を入れることにも取り組めればと考えました。一旦、それをゲームやファシリテーションに落とし込むことも行いつつ、さらなるバージョンアップデート進めていく予定です!

【濱田さん】文献研究

濱田さんは、文献『ルールズ・オブ・プレイ』を用いて、Minecraftをどのように定義するべきか(そもそも定義する必要はあるのか)について発表されました。

Minecraftは、一般的にゲームとして見られますが、ゲームの定義に沿うと、はたしてゲームと表現して良いのか?という疑問が生まれます。

ゲームの定義は、研究者によって様々な捉え方があります。濱田さんの発表では、それらの定義を紹介しつつ、どれに合いそうなのか/そもそも定義する必要はあるのかという観点から、研究室のメンバー含めてディスカッションを行いました。

Minecraftをどのように使うか、Minecraftの持つゲームとしての余白部分をどう捉えるかによって、その見方が異なるということが分かりました。また、文献『ハーフリアル』、ゲーム『Second Life』の時に起きた議論も参考になりそうとの声もありました。

いくらでも考えられるテーマですが、今後、濱田さんがどのようなポイントに着地してMinecraftを紹介していくか非常に興味深いです!

【坂井先生】プレイセッション

プレイセッションでは、坂井先生が開発に携わられたボードゲーム「Riskn * Taken(りすくんていくん)」をプレイしました。

“金融や投資を楽しく学ぶ”がテーマのボードゲームで、実際にプレイ中はとても盛り上がり、同時に個人のお金の捉え方や動かし方が見えて学びにもなりました。

こうした普段は学びづらいような内容をテーマにしたゲームは、学習の入り口にぴったりだなと改めて実感したとともに、ゲームをきっかけにその分野への興味の幅が広がっていけば良いなと思いました。

ゲームでは、私は犬田さんとチームを組んで、濱田さんとジョナさんを相手にプレイしたのですが、過激なお金の使い方をして無事負けてしまいました笑

ただ、このような失敗経験も現実ではできないことなので、貴重な学びになりました。またゼミの空いた時間等でプレイしたいです!

以上が12月14日のゼミ活動報告です。

それでは!

【12月7日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-12-11   投稿者:   osora

皆さんこんにちは、M2の大空です。

皆さんはどのような趣味をお持ちですか?私は趣味というものがないのですが、最近は何か夢中になれそうなことを探そうと色々と考えています。

今のところは、趣味としてカメラが良いかなと思っているのですが、どんなカメラが良いのか全く知らないので、まずはカメラについて学ぶことから始めています。いつ購入できるかわかりませんが、こんな感じなので、今のところはカメラ探しを趣味にしようと思います。


さて、12月7日に行われたゼミ活動の報告をいたします。
発表内容は春口さん、犬田さんの研究関連論文紹介です。


【春口さん】研究関連論文紹介

春口さんは「歴史の因果関係を現代に応用する力を育成するカードゲーム教材のデザインと評価(著:池尻良平)」の紹介を行っていただきました。

論文の選定理由としては、春口さんの修士論文におけるデータ分析方法と結果の書き方の参考にするためということでした。本論文では、知識テスト、アンケート、感想・フィードバックのデータを取っており、春口さんも同様のデータ取得を行っていたため、修論執筆にダイレクトで参考となるものだなと感じました。

春口さんは、論文からデータごとに5つの観点(目的、テスト内容、目的の評価法、評価法の裏付け、結果)を抽出し、自身の研究と照らし合わせる形で整理されていました。

結果の書き方は、私自身もとても参考になることが多く、論文の書き方のお手本的に活かせそうだなと感じました。また、データ分析に関しては、著者のオリジナリティが出る部分であるため、池尻先生の論文をベースにしつつ、春口さんがどのような分析を行うか非常に楽しみです!

【犬田さん】研究関連論文紹介

犬田さんには、下記3つの論文を紹介いただきました。どれも犬田さんの研究が必要な理由を裏付けたり、研究をさらに進めていくための材料となっていたりする論文で、私もとても学びになりました!

①Gamification of Online Surveys: Design Process, Case Study, and Evaluation(著:Johannes Harms , Stefan Biegler, Christoph Wimmer, Karin Kappel, and Thomas Grechenig)

本論文では、10代と若年成人を対象にした既存の調査にゲーミフィケーションを適用し、ゲーミフィケーションの心理的および行動的結果に関して60人の参加者を対象に評価しています。結果として、ゲーミフィケーションがユーザーの楽しさの認識、平均滞在時間、そして調査の使用および推奨意欲を増加させたことを示した一方で、全体的な応答率は低下したということが明らかとなっています。犬田さんは、この研究から、研究方法としての活用や実験における技術的な部分の参考にされるとのことでした。

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②The rise of motivational information systems: A review of gamification research(著:Jonna Koivisto a, Juho Hamari)

ゲーミフィケーションの概念に関する既存の文献を包括的にレビューした論文になっています。本論文では、現代におけるゲーミフィケーションの特徴や課題が示されており、ゼミ生全員の参考文献としても活用できそうな内容でディスカッションも深まりました。こちらの文献は、犬田さんの研究の背景として大いに活用できそうだなと感じました。

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③実験哲学入門(編著:鈴木貴之)

こちらは「実験哲学」に関する内容整理を行ったものです。犬田さんの研究テーマは「ゲーム的手法を用いたデータ収集法の開発と評価」ですが、それを考える上で実験哲学の話は切り離せません。なぜ犬田さんがこの分野でゲームを用いる必要があるのかを説得する材料になるものだと感じました。今回の発表を聞いて、ゲームであるからこそできる、これまで実現できなかった結果が期待できそうだと思いました。

以上が12月7日のゼミ活動報告です。

それでは!

【11月30日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-12-01   投稿者:   haruguchi

こんにちは。M2の春口拓人です。
11月30日に行われたゼミ活動の報告を致します。
発表内容は大空さんと濱田さんの研究進捗報告と大空さんのプレイセッションです。

大空さんの進捗報告では11月18日に開催されたサイエンスアゴラの出展内容とその際に行ったアンケートの集計結果についてでした。
12名の参加者がおり、それぞれの方からのゲーム内容のフィードバックについて発表されました。
特に印象的だったのが研究者や大学学部生とビジネスパーソンの間にある評価の違いです。
前者の方はゲームに好印象な意見が多いのに対して後者の方は批判的な意見が多く、研究が身近にある人ほど意欲的に取り組める内容である印象でした。この点を、学びを消化する場所が見つけられなかったからではないかと考察されており私も同様の考えでした。ほかにもゲームの進行時間が長く途中で飽きが来るため、対象によって事例をカスタマイズするべきという考察もあり、ゲームの面白さや有効性が確認できたのと同時に改善点も多く発見できていたと感じました。

浜田さんの進捗報告では前半がサイエンスアゴラの活動報告で、後半は研究内容についてのお話でした。
Minecrafと英語学習をテーマに関心のある分野が徐々に絞り込まれてきており、ワークショップの経験から研究の方向がしっかりと定まってきていると感じました。卒業後のキャリアについてのお話も少しされており、様々な方をロールモデルとしながら濱田さん自身のキャリアを決めていかれると良いのではないかと感じました。

プレイセッションでは大空さんが準備されたMOONSHOOTERという国の事業について告知を行いながら科学技術コミュニケーションを促進させる、科学技術と社会の接続に資するボードゲームのプロトタイプを遊びました。MOONSHOOTERに採択されている研究を知りながら様々な視点からその研究を考える事ができる良いゲームだと感じました。研究に対する市民の期待と不安を考えるというテーマにピッタリだと思います。

以上が11月30日のゼミ活動報告です。

【11月16日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-11-28   投稿者:   inuda

こんにちは、修士1年の犬田です!

ゼミ活動報告の前に、今月あったイベントの報告をさせてください。11月16日から20日にかけて、東京大学制作展が開催されていました。私は、プロデューサーとして全体の方向性の決定をしながら、個人で作品の制作を行いました。様々な背景を持った人たちと協力しながら、1つの展示会を作り上げる経験は、今後の大事な財産になったと思います。また一方で、面白い人たちと関わる中で、自分の強みと弱みを考える良い機会になったなと思います。今後の人生で何を武器にして生きていくのか、そしてどのようなキャリアを歩んでいくのか、制作展が終わった今改めて考えてみる必要があるなと感じています。制作展にご来場いただいた皆様本当にありがとうございました。

さて、11月16日のゼミ活動報告に移りたいと思います。今回の内容は、研究進捗報告(春口さん、犬田)と研究員発表(坂井先生)になります。

■研究進捗発表(春口さん)

春口さんは、修士論文の進捗について共有されました。「通信プロトコルと階層の学習を支援するシリアスゲームの開発と評価」という題目で修士研究を進められています。現在は、シリアスゲームの評価に関する実験と並行して、論文の執筆も進められています。実験参加者は20名を目標とされていて、徐々に集まりだしているそうです。現在集まっている参加者の属性はばらばらで、大学学部生や教育関連企業、薬品会社勤務など多様な職業の方が実験に参加してくださっているようです。もし、参加可能な方がいらっしゃれば、こちらのフォームからご参加ください。

■研究進捗発表(犬田)

私は、質問紙調査のゲーム化に関する研究の進捗を共有しました。ゲーム化する質問紙の研究分野を、実験哲学に決定し、ゲーム化に適した既存の研究を探していることを報告しました。また、Gamified Surveyのデザイン・評価に関する論文や問題点がまとめられたレビュー論文が見つけられたので、今後精読していきます。加えて、制作展でゲーム要素を加えた、クラウドソーシングゲームのプラットフォームを開発したので、今後こちらも学会で発表できればと考えています。制作展を無事終えることができたので、今後は研究に集中して取り組みたいと思います。

■研究員発表(坂井先生)

坂井先生は、”Ephemeral games: Is it barbaric to design video games after Auschwitz?”(G.Frasca,2000)という論文を紹介されました。その後、プレイヤーに恐怖や不安を与えるテーマ(例えば,死)を扱うシリアスゲームを開発・利用する是非とその際の注意点についてディスカッションしました。紹介された論文は、ゲームにおける多くの行動は可逆的であるため、死などの概念は倫理的、歴史的、社会的価値を失うことになるが、死などを扱うシリアスゲームをデザインする上では、不可逆的で、刹那的であることが鍵となってくるといった内容でした。その後のディスカッションでは、恐怖や不安を与えるテーマ(例えば,死)を扱うシリアスゲームを開発・利用する是非について賛成か反対かで分かれ、意見を共有し合いました。そのようなゲームを開発・利用する際の、倫理的側面や効果について活発な議論が展開されました。

以上で、11月16日のゼミ活動報告は終了となります。ぜひ来週のゼミ報告記事もお読みください。それでは。

【11月9日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-11-17   投稿者:   jona

こんにちは。研究生のジョナです。

段々と寒くなっているこの季節ですが、外で食べる暖かい焼き芋の美味しさなど、この時期ならではの幸せも多く感じ取っています!みなさんはいかがお過ごしでしょうか!

早速ですが、先週のゼミ活動のご報告に入りたいと思います。今回のゼミ活動は文献研究(M2大空さん、M1濱田さん)とプレイセッション(木村先生)でした。

文献研究 M2大空さん 

<教育デザイン研究の理論と実践> 第6章 評価と省察

文章では評価と省察の全体像からはじめ、それぞれがどういうものか(評価はデザインとプロトタイプについて洞察を得るため用いる、省察は評価から得たものを振り返って考察する)、またそれらを行う理由及び効果、実施する際のポイントなどが紹介されました。

評価は計画、フィールドワーク、意味づけという3つのステップで構成されます。省察は有機的な省察と構造化された省察の2つのステップで構成されています。

大空さんは自分の研究の各段階が文章でどのステップと当てはまるかを詳しく説明してくださいましたので、内容を非常に具体的に理解することができ、今後自分の研究を進める参考にもなりました。

発表後の討論では「自分の研究を他人に伝える際にちゃんとしたフレームに従って文書化する必要性」や、「brush upを繰り返し行う開発研究では、経験をリソースとして次の開発に繋ぐ時に必要」、「実験ノートの必要性」などと、先生方から多くの貴重な意見がありました。

文献研究 M1濱田さん 

Reinders, H. & Wattana, S. (2014). Can I Say Something? The Effects of Digital Gameplay on Willingness to Communicate. Language Learning & Technology, 18(2), 101–123.

この論文はEFL(English as a Foreign Language)に関する論文で、コミュニケーション意欲(WTC, Will to Communicate)の調査方法などを取り扱った、濱田さん自身の研究ととても関連性の高い内容でした。

この研究ではオンラインゲームをプレイすることが英語学習者のコミュニケーション意欲にどんな影響を与えるかを調査し、特別に設定されたクエストを行うことでWTCにどんな変化が生じたのかをアンケート調査で測定しています。結果、学生の英語への自信や言語不安、コミュニケーション能力などの領域で明らかな改善が見られたことで、ゲームベース言語学習の教育効果が肯定されています。討論の段階では、論文で扱う調査方法の適切性についての議論が行われました。

プレイセッション 木村先生 

<トラベル島のニャンコ>

今学期の始まりに一度木村先生が紹介してくださった<トラベル島のニャンコ>という農場経営ゲームをメンバーでプレイしました。自分のペースで「適当に遊ぶ」組(5人)と何かを目的にして「頑張って遊ぶ」組(5人)に分け、ゲーム内で自由に活動しました。プレイ前後にはFlowの研究調査として事前テストと事後テストを行いました。

このゲームは農作物や畜産物を収集又は加工し、島を訪れる猫たちに売ることで、経験値と財産を増やしていく流れとなっています。私は頑張って遊ぶ組でしたので、ゲーム内でコインを多く集めることを目標とし、時間ギリギリまで挑戦しました。ゲーム内で得た成果をみなさんで共有した結果、頑張り組のランクがやや高いとなりました。

討論の段階ではFlowに関して、ゲームをやっている最中にデータを取れない点、個人差が存在する点、<トラベル島のニャンコ>は適切なゲームになるかどうかなどについて議論されました。木村先生によると、Flowの研究で最も多く扱われているゲームはTetrisだそうです。Tetrisを思い出すとなんとなくその理由がわかる気がしました。

以上が11月9日のゼミ報告となりますが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

では、また次の記事でお会いしましょう!

11/2 ゼミ活動報告

投稿日時:   2023-11-14   投稿者:   hamada

こんにちは。M1の濱田です。11月2日のゼミ活動報告です。

今回のゼミは、以下の3本立てでした。

・春口さん 文献研究

・犬田さん 文献研究

・木村さん 研究員発表

春口さん 文献研究

春口さんは、「私たちはどう学んでいるのか」第2、3章の発表でした。

第2章は、知識とは伝えることができるものではなく、人の中で創発されるものであるという構成主義についての話でした。私たちが知るという経験をするとき、あらゆる感覚(味、食感、重さ、香りなど)や感情を複合して、私たちの経験を作り出し、知識を形成します。また、知識は環境や状況に依存しており、それらと互いに影響しあうことで、知識は構築されていきます。このように、知識は誰かが直接伝えることができるものではなく、主体の持つ認知的リソース、環境が提供するリソースの中で創発されるものであると筆者は述べていました。

第3章は、練習による上達についての話でした。練習によってマクロ化(別々の動作が一連のまとまりを持つ)、並列化(いくつかの動作を同時に行える)、環境の再構築(身体の動きを仮想的なイメージの中で再現する)が行われます。これらにより、徐々に上達していくのですが、スランプというものも存在します。このように、上達とは直線的なものではなく、うねりを伴うものです。しかし、このうねりが次の飛躍へと繋がると述べられていました。

犬田さん 文献研究

犬田さんは、「デジタルゲーム研究」第9章の発表でした。

内容は、ゲームをメディア論の観点から捉えるというものです。「すべてのメディアは人間の感覚の拡張である」というマクルーハンの主張を軸に、ゲームは人々の集団意識や社会慣習をコード化し、拡張するという意味で、ゲームもメディアであると説明されていました。そして、どのメディアも他のメディアですでに表象されたものに過ぎないという再媒介化の概念を取り上げ、デジタルゲームも他のメディアを再媒介化したものであると述べられていました。

木村さん 研究員発表

木村さんは、Ryan&Deci(2006)のコンピュータゲームに自己決定理論を適用した研究についての発表でした。これらの研究では、精神的幸福につながるとされる自律性、コンピテンス、関係性に着目して実験、調査が行われ、ゲームのプレイ動機やその違い、ゲーム内の満足度がその幸福にどのような影響を与えるかについて調査されていました。全体的な結果としては、ゲームプレイによる自律性やコンピテンスと精神的幸福の間には肯定的な関連が認められるとのことでした。

以上が今回のゼミ報告です。