カテゴリー: Lab news

10月26日 ゼミ活動の報告

投稿日時:   2023-11-02   投稿者:   osora

こんにちは、修士2年の大空です。

皆さんはどうしても譲れないものはありますか?色んな切り口があると思いますが、例えばそれがダーツだとしたら、僕は一つ譲れないものがあります。ブルを狙うことです。ブルとはダーツボードの中心部を指します。しかし、ゲームルールによっては、必ずしもそこを狙う必要はなく、ブルに入れることで負けてしまう状況もありえます。ただ、僕はどうしてもブルを狙いたくなってしまうんです。ブルに入る嬉しさ>ゲームに勝つ嬉しさなのかもしれません。ゲームに負けたとしても、僕は今後もブルを目指していきたいと思います。

さて余談はこれくらいにして、10月26日のゼミ報告を行います。

発表者は大空、濱田さん、ジョナさんの3人です。


 大空の発表では、修士研究で開発中の「QRP GAME」で参考にしたゲームの事例紹介を行いました。

「QRP GAME」を開発してちょうど1年が経ったのですが、これまでそのデザインプロセスを他の人にお伝えできるかたちで整理していなかったので、このタイミングでまとめるとともに、参考にしたゲームの紹介を行いました。

主に参考にしたゲームは、「Dixit」「キャットアンドチョコレート」「宝石の煌めき」という3つのゲームで、それぞれからコアとなるメカニクス、サブとなるメカニクスを抽出し、オリジナルの要素も加えて制作しました。また、制作前に行ったゲームの課題発見・定義やアプローチ選定等についてもご紹介しました。

現状、一旦プロトタイプですが、教育デザイン研究における「分析と探求」「デザインと構築」のフェーズは終わったので、今後は「評価と省察」「実装と普及」に向けて動いていこうと思います。まずは、11/18(土)にサイエンスアゴラというイベントでワークショップを行うので、そこで良い成果が出せるように努めます!


 濱田さんの発表では、教育版Minecraftで実装されている化学の機能を使って、楽しみながら化学を学ぶことができる「Minecraft 化学のチュートリアル」の事例紹介を行われました。

この機能では、そもそも元素の概念が既に存在しており、化合物作成器(元素を組み合わせて30を超える化合物を作成できる)や実験テーブル(元素や化合物を組み合わせ新たな物質を作成することができる)といったアイテムが使用可能となっています。

ゲームならではの学びとして、即時的なフィードバックがありますが、このゲームでは機器を操作すると物質ができる / 誤った操作をすると爆発して廃棄物ができるというように、その結果がすぐに出るようになっています。だからこそ、現実では不可能なこともゲーム内では可能で、失敗から学ぶことができます。また、ゲームによるビジュアル化で複雑な概念の理解を促しやすいというメリットも挙げられます。

今回の発表をうけて、改めてMinecraftと科学教育の相性の良さを実感しました。濱田さんの研究では、英語教育におけるMinecraftの活用ですが、他分野の事例として紹介できるとともに、実際の教材づくりの参考にできそうな点も多いなと感じました!



 ジョナさんの発表では、研究計画のより詳細な内容と今後の方向性について発表を行っていただきました。ジョナさんの研究では、モンゴル語学習を例に、小学生を対象とした少数言語・文化の学習を促すゲームの設計や開発、使用者調査を行い、デジタルゲームが少数言語・または文化の習得にどんな効果をもたらすかを明らかにすることを目的としています。

この研究目的を達成するために、参考になりそうな講義やゲーム「天穂のサクナヒメ」をご紹介いただくとともに、実際にどのようなゲームが良さそうかということも発表いただきました。モンゴル語に焦点を当てたゲーム案ではモンゴル語構造を列車のメタファーを使って表現する方向性を、文化の習得に焦点を当てたゲーム案ではモンゴル独自のチーズ作りを「天穂のサクナヒメ」のように表現する方向性を提示されました。

特に前者のモンゴル語に関しては、日本語とも英語とも構造が異なっており、純粋に言語として面白いなと思いました。そして、それを列車というメタファーを使って表現されることも感覚的でわかりやすいと感じました。今後のジョナさんの研究進捗が楽しみです!

以上が10月26日のゼミ報告となります。

それでは!

10月19日 ゼミ活動の報告

投稿日時:   2023-10-25   投稿者:   haruguchi

こんにちは、修士2年の春口です。
10月19日に実施されましたゼミの活動報告をさせて頂きます。
発表者は春口、犬田さん、財津さんの3人です。

 春口の発表では、Amazon社が公開している「AWS CloudQuest」というゲームの事例紹介を行いました。
 このゲームはAmazon社が提供しているAWSというサービスを扱えるようになるためのゲームで、実際のAWSのコンソールを使いながら課題を作る事でAWSの使い方が学べるようになっています。ゲームはRPG形式でクラウド島という仮想の島の課題を探すパートと課題解決を通してAWSの使い方を学ぶ学習のパートに分かれています。
 学習のパートは、「Learn」「Plan」「Practice」「DIY」という4つのSTEPで構成されており「Learn」「Plan」でAWSの使い方の座学を「Practice」「DIY」で基礎的な課題と応用課題の作成をそれぞれ行います。座学では資料を読む事が中心となっていますが、AWSサービスの構造や専門用語の解説がしっかり行われておりわかりやすい内容でした。課題の作成ではAWSコンソールを使って課題を作成しますが、こちらもしっかりとした解説があり詰まる事なく課題を作成することができました。
 総じて内容が分かりやすく、ゲーム形式で取っつきやすいためAWSをこれから触るという学習者にピッタリの内容だと感じました。

 犬田さんの発表では、ゲームによってデータ収集をしている事例を調べるという目的で「Skill Lab Science Detective」というゲームの事例紹介が行われました。
 「Skill Lab Science Detective」はScience At Homeによって作成された認知スキルを試す様々なミニゲームを遊ぶことができるゲームです。ゲームの目的は、よりよいゲーム体験の開発やより効果的に科学問題に貢献させる方法の検討、認知マップ・認知指標の作成、認知スキルの正常な理解などとなっています。
 ゲーム内では様々な認知スキルを試すミニゲームを遊ぶ事ができ、これらを遊ぶ事で自分の認知スキルについての認知マップが作成されます。このゲーム単体でどのようなデータが取れるのか、個人の継続的なデータを取るのが目的なのかなど様々な議論が行われましたが、継続的なデータの収集が目的だろうという結論に落ち着きました。
 また、このゲームの紹介を通して犬田さん自身の研究についての整理も行われたためとても有意義な発表であったと思います。

 財津さんの発表では、「Board Games Enhance Creativity: Evidence From Two Studies」という論文についての発表でした。
 論文では、創造性が従来の教育法ではなかなか育たずゲームのような代替的で強力な方法を用いる事は理にかなっているがボードゲームと創造性の関連性を調べた研究はほとんどないとして、ボードゲームのプレイ頻度と創造性に関するいくつかの指標との関連を探るアンケート調査とボードゲームをプレイすることが創造的パフォーマンスに及ぼす影響を調べる実験的手法の2つの研究の結果が示されていました。
 アンケート調査の方では、ボードゲームのプレイ頻度と創造的潜在能力及び創造的パフォーマンスの2つに関連性が認められており、ボードゲームを定期的にプレイすることがより高い潜在的能力と関連することが示唆されました。実験的手法では、創造的なボードゲームをプレイすることが被創造的なボードゲームをプレイすることよりも独創性の改善につながる事が示唆される一方で、この独創性の改善は事前の創造的潜在能力が低いほど強くなるという仮説が否定されました。
 発表後の意見交換では、ボードゲームのプレイ頻度が創造的パフォーマンスと関連がある点はとても納得ができる一方で、独創性の改善について事前の能力が低いほど強くなるという仮説が否定された点には、チーム組みの方法やチーム内の創造的潜在能力の偏りが影響がでたのではないかなど様々な意見がありました。私もより中長期的な創造性の熟達の部分にはボードゲームはどのような効果を発揮するのかが今回の実験では明らかではなかったため気になる所でした。ボードゲームと創造性の関連については、財津さんがご自身の研究でデータを蓄積されている所のためこれからの財津さんの研究結果が気になる論文紹介の時間となりました。

以上が10月19日のゼミ報告となります。

【10月12日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-10-20   投稿者:   inuda

みなさん、こんにちは!M1の犬田です。

もうすっかり秋となり、寝るときには布団が恋しくなる季節になってきました。今年も大好きな厚手のパーカーを着ることができるようになり、テンションが上がるなーと思っているこの頃です。

今週のゼミ活動報告の内容は研究生活動計画発表(ジョナさん)と研究計画発表(濱田さん、犬田)、研究進捗発表(大空さん、春口さん)になります。

■研究生活動計画発表(ジョナさん)

ジョナさんは、モンゴル語学習を例に、小学生を対象とした少数言語・文化の学習を促すゲームの設計や開発、使用者調査を行い、デジタルゲームが少数言語・または文化の習得にどんな効果をもたらすかを明らかにする研究をされています。この研究を進めるにあたり、5つのことを計画されています。1つ目は、内モンゴルと日本のモンゴル語教室に訪問し、授業の相違点と共通点を見つけること。2つ目は、言語学習ゲームの事例研究。3つ目は、モンゴル語教師へのインタビュー。4つ目は、C#などゲーム開発に必要な能力を磨くこと。5つ目は、授業デザインについて学習することです。今後研究を進めるにあたって、必要なアクションがしっかりと計画されていて、自分も頑張らないとなと思いました。

研究計画発表(濱田さん)

濱田さんは、夏休みに運営として参加したワークショップを通じて得た気づきや学びをもとに、研究計画を考えられていました。「英語学習における言語不安と動機付け」を研究テーマに、日本人中学生の言語不安の要素を測定する計画を立てられていました。方法としては、マインクラフトを利用したPBLを行った中学生とマインクラフトを利用しないPBLを行った中学生とを比較検討する計画をされていました。今後の計画としては、渋谷区の学校に研究協力していただけないか交渉に行くことと、英語学習の評価法を調べることを挙げられていました。様々なアクションを積極的に起こされていて、見習わないとなと思いました。

研究計画発表(犬田)

犬田は、「ゲーム的手法を用いたデータ収集法の開発と評価」をテーマに研究を進めています。具体的には、WEB調査におけるSatisfice行動、質問内容を理解していない回答者の存在、動機づけの欠如という課題を解決できる、ゲーム手法を用いた新たな調査法を開発・検討しています。今後の計画としては、10月-11月で調査で扱うテーマを決定し、11月後半、12月からゲーム作成に取り掛かる計画を立てています。調査法の開発と並行してエンゲージメントやユーザー体験を測れる既存の尺度がないか調べようと思っています。

研究進捗発表(大空さん)

大空さんは、研究倫理教育のカードゲームの作成とそのカードゲームを用いたワークショップの開発を研究としてされています。ゲームもワークショップもほとんど完成されていて、今後はワークショップ形式の予備的実験と学会発表を重ね改良を重ねていく計画を立てられていました。具体的には11月にサイエンスアゴラでワークショップを行い、2-3月にDiGRAJでポスター発表、時間があればJSETで口頭発表もされるそうです。さらに、来年5月に科学技術IP養成プログラムへの出願、来年8月にDiGRAJで口頭発表とGENSEKIでピッチすることも計画されていました。かなり先まで綿密に計画されていて、本当にすごいなと思いました。

研究進捗発表(春口さん)

春口さんは、夏休み期間でプロトコルの階層化を学習することができる、トロッコで荷物を運ぶゲームを作成されました。今後は、知識テストの作成、評価の手続き、時間配分の決定、実験参加者の募集、ゲーム内部で取得する情報の決定をされる予定です。その後このゲームを用いて実験を行い、得られたデータを分析・評価されます。ゼミ生も今後実験参加者になるので、詳細については知ることができませんでした。実験に参加することが楽しみです。デジタルゲームを作成し切り、実験内容まで考えられていてさすがだなと思いました。

以上で、10月12日のゼミ活動報告は終了です。ぜひ来週のゼミ報告記事もお読みください。それでは!

【10月5日】ゼミ活動のご報告

投稿日時:   2023-10-11   投稿者:   jona

Sain Bainuu(こんにちは)!

皆さん、初めまして。研究生のジョナです。

中国内モンゴル出身で、今学期から研究室でお世話になります。

先週10/5に行われたAセメスター初のゼミの報告を担当することという、ありがたい機会をいただきました。

早速ゼミ活動のご報告をしていきたいと思います。今回のゼミ活動は私(ジョナ)の自己紹介と皆さんの夏休み活動報告でした。

最初に、藤本先生から研究室の紹介をしていただきました。活動報告では自分が取り組んでいる教科書の出版や事例研究のゲームなどを紹介しました。その中、ポケモンスリープについて、メンバーで何人か遊んでいるようで、使いやすさなどについて面白い討論もありました。

続いて、私から挨拶と自己紹介、研究関心について発表しました。

私の研究テーマは少数言語学習・文化体験ゲームのデザインです。具体的に説明しますと、モンゴル語学習を例に、ゲーム内で言葉や文化の環境を体験することで、いかなる学習効果を得るかについての研究です。大学では情報科学・技術を専門としていました。言語学習にも以前から興味を持ち、これからは今まで学んだ知識を活かしながら、少数言語学習に役立てるゲームをデザインしたいと思っております。

引き続き、夏休みの活動について発表順にご報告したいと思います。

M2春口さん:いくつかの会社から内定をもらい、その中で、とある会社で就職することがお決まりになったそうです。おめでとうございます!友達との東京観光や修士の皆さんでお食事など活動もいろいろあったようで、とても思い出の残る夏休みだと思いました。

M2大空さん:研究ではDIGRAでの発表、ゲームのテストプレイ、デザインの完成、FOST申請、論理審査申請など、研究以外にも親子ゲームジャムや関連論文と事例の研究など多くの活動を行ったようです。今後の履修登予定や日程の計画をはっきり立てていることが非常に勉強になりました。

財津先生:八月末に行われた親子ボードゲームジャムとその調査などについての報告を行い、実験の準備や論文執筆などを進めたようです。過去のデータと合わせて、今後の論文化や発表を目指しているとのことです。研究外活動で上方から撮ったアローラナッシーの写真は面白かったです!

M1濱田さん:多くのワークショップに参加し、自分でも企画したとのことを聞いてとても憧れました。この夏は広島に行って、Minecraft Eduのワークショップに参加したそうです。歴史や平和教育にゲームの活躍する可能性について新たな知識を得ることができました。

M1犬田さん:発表や学会活動以外にフロントエンド言語やphotoshopなど勉強し、就活にも力を入れたようです。自分で作ったゲームプラットフォームをお見せしました。研究や学習以外も美術館や映画など豊富な活動をしていて、とっても充実な夏休みの過ごし方が参考になりました。

坂井先生:家族、仕事、そして研究活動、全てに「Mission Complete」という印象的なマークをつけたかっこいい報告でした。特に、論文の文字数の変化には驚きを感じました。また、下鴨神社の御手洗祭については初めて知りましたが、その紹介を聞いて、ぜひ訪れてみたいと感じました。

新居先生:夏休みにはユニバーサルスタジオで楽しい時を過ごされたとのことです。キュートなポケモンの食べ物の紹介もしていただき、非常に興味を引かれました。楽しく遊べるための経験談もいっぱい共有していただき、ユニバーサルに行くときは参考にしたいと思いました。

木村先生:基礎文献紹介の記事の執筆、心理学の主要な概念の整理、研究メモのノート作成などの内容で報告をしました。事例研究で二つのゲーム(トラベル島のニャンコ、グラブル)を取り上げ、それぞれのゲームについて様々な情報を共有してくださり、大変興味深かったです。

以上がゼミ報告となりますが、不十分も多くあると思いますので、次からは皆さんが発表する際に十分な記録をして、知らないものを検索し、多様な感想を出せるようになりたいと思います。

また、藤本先生の冒頭の研究室紹介で、InputとOutputを重視していることを知り、これからは両方も欠かせないように、Inputしているもの(論文、事例研究)をよく整理し、Output する力(発表、文章作成)を高める方面で頑張っていきたいと考えました。

今回のゼミ活動の記録もまた、Output の力を高める一つの機会であり、大切にしたいという気持ちで書きました。

ゼミの後、メンバーの皆さまから温かい歓迎会を開催してくださり、美味しい料理と飲み物を沢山ご馳走になりました。お腹も心も幸せに満たされ、楽しい時間を過ごしました。OBの方(升井さん、池尻さん)も参加してくださり、いろんな話を聞くことができました。皆さんといろんな共通話題を見つけることができて、うれしい限りです。

次のゼミでは、研究計画について発表することになっており、研究室の皆さんの貴重なアドバイスや意見をお聞きできることが楽しみです。

これからは研究に限らず、いろんな方面でメンバーの皆さんから学ぶことになると思います。人間としての成長を得られることが楽しみです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。これから、どうぞよろしくお願いいたします。

また次の報告記事でお会いしましょう!

Bayartai(さようなら)!

ジョナ(卓娜/Jona Honuud)

夏休みの活動報告【8月】濱田

投稿日時:   2023-10-05   投稿者:   hamada

こんにちは。M1の濱田です。

 8/4, 5に開催された「教育版マインクラフトで広島の歴史を学ぼう」ワークショップに参加してきました。このワークショップは、Minecraftカップ、広島テレビ、東京大学大学院の渡辺英智研究室、そして藤本徹研究室の共同で開催されました。

 ワークショップの目的は、原爆投下前の広島の暮らしや街並みを子どもたちに理解してもらうことでした。広島平和公園レストハウスや広島テレビの展示、事前に準備した当時の写真、原爆を経験した田中稔子さんの講演をもとに、子どもたちは当時の暮らしを想像しながらマインクラフトで再現していきました。お寺や幼稚園、商店街などをテーマとし、グループに分かれて作業をしました。

 さらに、セリフを追加できるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)を制作した建物に設置し、ワークショップを通じて感じたことや考えたことをNPCに話させたり、当時の人が何を思っていたかを想像してセリフを追加したりしました。

広島平和公園レストハウスでの様子
子どもたちを前に話す藤本先生

 今回のワークショップで最も印象に残っているのが、田中稔子さんがおっしゃった「当時、芝生なんてほとんど生えていなかった」という言葉です。今回使用したマインクラフトのワールドは、地面が全て緑色の草ブロックで覆われていました。普段マインクラフトをプレイしていると、地面が緑色なのは当たり前のことで、子どもたちも全く意識していないポイントでした。この言葉を聞き、子どもたちはさっそく、地面の色を茶色に変えていました。これは田中さんと子どもたちの何気ない会話の一部でしたが、マインクラフトというゲームが、当時暮らしていた人の記憶を蘇らせるツールにもなるし、マインクラフトを通して被爆者の方の当時のイメージが子どもたちにも共有されるのだということを知り、マインクラフトの可能性に感動しました。

子どもたちの作品を見る田中稔子さん

 私は、このワークショップに企画段階から関わらせていただき、とても貴重な経験となりました。子どもたちに伝えたいことは何か、どうしたらわかりやすく伝えられるかをメンバーのみなさんとひたすらに考え、形にすることができました。このことで、ワークショップを企画する際の核の部分が何となくつかめたような気がします。これから自分で企画し運営していく機会が増えていくと思うので、今回の経験を糧に精進していきます!

 最後に、ワークショップ開催にあたり、非常に多くの方のご支援をいただき、子どもたちの新たな学びにつながる機会を作ることができたと思います。この場をお借りして感謝申し上げます。ぜひ、機会があればまた開催したいです。

 ワークショップの詳細については、こちらにわかりやすくまとめてくださっているので、ぜひご覧ください。

『「教育版マインクラフトで広島の歴史を学ぼう」ワークショップ開催報告(2023年8月4,5日)』

https://labo.wtnv.jp/2023/08/2023845.html

夏休みの活動報告【9月】 大空

投稿日時:   2023-09-30   投稿者:   osora

皆さんこんにちは。大空からの活動報告です。

今月は、9/2(土)に行われた<日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会>についてご報告します。

自身もライトニングトークセッションで参加したので、その振り返りを行いつつ、どのような発表があったかもご紹介していきます。


本研究発表大会のテーマは「拡大するゲーム空間 発展するゲーム研究」でした。そのテーマ通り、ゲームが貢献する領域や空間をさらに拡大できるような発表や企画が多くありました。

また、今回は新型コロナウイルスの感染拡大以降、2回目の対面での開催でした。オンラインではなかなか感じづらい雰囲気や対面だからこそできるゲームのデモ機も見せつつ行うポスター発表が行われ、普段出会えない人と交流を深める機会となりました。

そして、基調講演では「新しい文化としてのeスポーツ」として、東京都eスポーツ連合会長の筧 誠一郎氏に語っていただきました。eスポーツへの注目が集まっている中、あらためてeスポーツとは何か、その魅力、面白さ、可能性について考える機会を得ることができました。

eスポーツに関しては、これまで研究対象として見ていなかったのですが、今回の講演を聴いて、自分のテーマとも結び付けられるのではないかと考えることができ、「拡大するゲーム空間 発展するゲーム研究」というテーマに沿う学びが得られました。

そして、発表に関しては本当に様々なテーマがあり、聴く側も非常に有意義で学びの多い時間となりました。

個人的には、今回の研究発表大会では、普段あまり触れていない分野・領域の理解を深めようと考えており、「中国におけるゲームの在り方」や「ゲーム資料の保存」に関する発表を中心に聴いていました。

大会予稿集やプログラムに関しては、こちらのURLから確認できますので、ぜひ御覧ください!

https://easychair.org/cfp/DiGRAJAPAN-2023Summer

最後に、冒頭でもお伝えした通り、大空はライトニングトークセッションにて発表を行いました。

今回が初めての学外での発表ということもあり少し緊張していたのですが、藤本先生、財津先生、坂井先生、犬田さんが会場に来てください、リラックスしていつもの調子で発表を行うことができました。

様々な分野の方から意見や質問をいただけたことは、自分の研究を前に進めてくれることにも繋がり、自分自身にとっても良い経験になりました。

今後も、日本デジタルゲーム学会をはじめ、他の学会にも積極的に参加して発表というアウトプットを重ねて行きたいと思います。まずは、2月頃に次回の日本デジタルゲーム学会が開催されるため、そこに向けて準備を進めていきます!

 


以上が、報告となります。

夏休みも終わり、10月からAセメスターが始まりますが、体調には気をつけて、引き続き研究を進めていきたいと思います。

それでは!

夏季休業の活動報告 9月版 春口拓人

投稿日時:   2023-09-30   投稿者:   haruguchi

こんにちは、春口です。
夏休み活動報告の9月版をご報告致します。

活動報告と言っても夏休みで行った事の大半は研究で作成しているゲームの改修作業でした。
ですので、ここでは私がゲーム制作で使用しているUniRxとObserverパターンの簡単な紹介をしたいと思います。

UniRxは、リアクティブプログラミングというプログラミングの手法をUnityで利用するために使用するライブラリです。リアクティブプログラミングがゲームプログラミングと相性が良いため、Unityで使用できるようにライブラリとして開発されました。
リアクティブプログラミングは、「データを通知すること」と「データを受け取って処理すること」を扱ってプログラミングを行う手法です。「キャラクターが敵の攻撃に当たりHPバーが減少する」という処理を実装する場面を例に取ると、攻撃に当たったという事が「データを通知すること」HPバーが減少する事が「データを受け取って処理すること」に相当します。

UniRxではリアクティブプログラミングの実装のためにObserverパターンを導入しています。Observerパターンでは、SubjectとObserverという2つの概念を取り扱います。Subjectは何か通知したいデータ(あるいは通知したいイベントなど)を持っている側が作成します。Subjectは自身に登録したObserverに対してイベントメッセージを発行できます。先ほどの例だと、攻撃に当たったというイベント(データ)をキャラクターはSubjectを通して通知します。Observerは登録されたSubjectからのイベントを受信できます。HPバーはキャラクターのSubjectからの通知をObserverを使って受信し、受けたダメージによってHPバーを減らすという処理を行います。UniRxではSubjectのイベント通知にSubject.OnNext();、SubjectへのObserverの登録にIObservable.Subscribe()を使用するようになっています。

こうした機能を使用する事で、イベント通知が必要な様々な場面でスマートな実装を行う事ができます。また、インゲームの実装だけでなくMVRPというデザインパターンを利用してUIの実装も行う事ができます。このようにObserverパターン及びUniRxは使い方を覚えると色々な場面で助けてくれる頼もしい存在です。是非Unityを使ってゲーム開発をされる際は勉強してみてください。

夏休みの活動報告【9月】犬田悠斗

投稿日時:   2023-09-28   投稿者:   inuda

みなさん、こんにちは!

修士1年の犬田悠斗です。今回は夏休みの活動報告9月版です。

 私は、夏休みのテーマの1つとして、「たくさんのコンテンツに触れること」を掲げていました。夏休み期間に、美術館、博物館、ギャラリーを回ったり、映画やアニメ、漫画を見たり、もちろんゲームもたくさんしました。その中で、今回はゲームの展覧会である「Cygames展 Artworks」について書きたいと思います。

 「Cygames展 Artworks(以下、Cygames展)」とは、2023年9月2日(土)~10月3日(火)に上野の森美術館で開催されている展覧会です。この展覧会では、Cygamesがこれまでに開発したゲームのイラストや設定資料、映像などが展示されていました。最後には現在開発中のゲームの設定資料や映像も展示されていました。たくさん見どころがあったのですが、今回の報告記事では自分がいいなと思った3つの展示を紹介したいと思います。

 1つ目は、『Shadowverse』エリアにあった、ゲーム内のすべてのカードがタッチパネルで表示されていて、それらのカードをタッチすると進化するという展示です。1つのスペースに膨大な量のカードが展示されていて、その多さに圧倒されました。また、カードをタッチするとかっこいい演出とともにそのカードが進化するというインタラクティブ要素も、子供心がくすぐられ面白かったです。

『Shadowverse』の展示

 2つ目は、『ワールドフリッパー』エリアにあった、アナログのドット絵を重ねることで、デジタルのゲーム画面を再現した展示です。ドット絵のゲームをアート作品としてアナログな手法で表現するときに、このような見せ方があるのかと驚きました。単にドット絵を展示するのではなく、部分的にドット絵を重ねる箇所を作ることで立体感を表現することができるのだと勉強になりました。

 3つ目は、ARカメラでかっこいい写真を撮ることができる『バハムート像』です。バハムート像自体が非常に大きく、かつ精密に作られており、像だけでも見ごたえがとてもありました。さらに、専用アプリのARカメラを使用することで、黒い煙と雷を背景にした超絶かっこいいバハムートを撮ることができ大興奮でした。

バハムート像

 Cygames展に行き、もっとゲームのアート的な側面に光が当たってほしいなと改めて思いました。そして、ゲームのアートとしての価値が高まり、多くのゲームに関係する人々が美術館やギャラリーで展覧会を開けるようになったら面白いだろうなと思いました。2026年にみなとみらいにゲームアートミュージアムが建てられることもあり、今後ゲーム×アートは日本でもますます注目されていくだとうなと思います。

 以上が、犬田の9月の活動報告になります。また次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。

それでは!!!

夏休みの活動報告【8月】犬田悠斗

投稿日時:   2023-09-06   投稿者:   inuda

みなさん、こんにちは!

修士1年の犬田です。今回は夏休みの活動報告です。

私は、8月11日に研究室の有志のメンバーで「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023横浜みなとみらい」に行ったことについて書きたいと思います。ポケモン世界大会に初めて参加したのですが、想像以上に大規模で驚きました。幼少期をポケモンゲームやアニポケ、ポケモン指人形に囲まれて過ごし、現在もアルセウスやスカーレットを楽しんでいる身からすると、大興奮の1日でした。

集合時間が15時だったので、早めにみなとみらいに付近に着き辺りを散策していました。すると、みなとみらいの至る所にポケモンがいました。赤レンガ倉庫には、ミジュマルバスやヤドンタクシーなどが置かれていて、近くの乗船場には海上に浮かぶ等身大ラプラスがいました。また、すれ違う人の多くがポケモングッズを身に着けていて、ポケモン愛に溢れているなと思いました。

ミジュマルバス

散策をしていたらあっという間に時間が過ぎ、15時になりそうだったので、急いで集合場所であったパシフィコ横浜の「ポケモンアクティビティゾーン」に向かいました。研究室の方々と無事に合流することができ、世界大会の観戦スペースに向かいました。途中に、等身大のカビゴンがいて、とてもかわいかったです。観戦スペースはほぼほぼ満席でポケモンの人気の凄さをまざまざと見せつけられました。観戦後に、パシフィコ横浜内を散策していたところ、「はらぺこベトベター」というベトベターのゴミ箱がありました。缶やペットボトルを入れると、ベトベターの鳴き声を聞くことができ、ゴミの種類で聞こえる鳴き声が変わっていました。初期のゲーミフィケーション事例でゴミを捨てると面白い音が鳴るゴミ箱がありましたが、それのアレンジかなと思いました。また、ポケモンによる地方創生の活動を展示するスペースもありました。8つの県に各県に合ったポケモンが割り当てられており、多くのコラボグッズが販売されていました。ポケモンというIPの力を使うことで、地方まで盛り上げることができるのかと感動しました。

はらぺこベトベター

アクティビティゾーンを散策した後は、ポケモンアート巡りをしました。「ポケモンカード151イラストコレクション」という赤・緑に登場する151匹のポケモンたちのポケモンカードイラストが展示されているスペースや「Pokémonカード伝説の回廊」という1m近くありそうな伝説のポケモンのポケモンカードが展示されているスペースなどを順々に見て回りました。他にも、各地に各世代の御三家の銅像が置かれていたり、屋外の至る所にポケモンカードの展示があったりしました。近年ポケモンカードが高騰していますが、これだけ魅力的なイラストが載っているとなると、価値が上がっていくのも納得だなと思いました。展示方法も、一か所に集めるのではなく、展示スペースが点在しているような形をとっており、みなとみらいを観光しながら展示も楽しめるような構造になっていました。はじめて横浜に来た自分からすると非常に面白かったです。インスタレーション作品や絵画作品など多様な作品を見ることができ、大満足でした。

「ポケモンカード151イラストコレクション」で一番好きなリザードのイラスト

一通り見終わった後、夕食を食べ、「We move!!」というダンスとドローンによるパフォーマンスを見に行きました。ダンサーの方々のダンスも、光とBGMの演出もすごくかっこよかったのですが、何よりドローンによるパフォーマンスが圧巻でした。ドローンを効果的に用いることで空中で立体的な表現をすることが可能になっていて、立体的でかつ自由に操作できる花火を見ているようでした。パフォーマンスを見終わった後、興奮冷めやらぬ中、帰路につきました。

帰りに撮ったピカチュウが映った観覧車

総じて、ポケモンというIPの凄まじさを体感する一日になりました。そして、これだけ多くの人がポケモンというコンテンツを愛しているのだと実感した日でもありました。ゲームから生み出されたものがこれだけの影響力を持つ時代になったことに、興奮と感動を感じつつ、ゲーム研究を頑張ろうと改めて思いました。

以上が、犬田の8月の活動報告になります。また次回の記事もお読みいただけると嬉しいです。

それでは!!!

夏休みの活動報告【8月】 大空

投稿日時:   2023-08-31   投稿者:   osora

皆さんこんにちは。大空からの活動報告です。

今月は、先週末に行われた<夏休み親子ゲームジャム2023@東京大学>についてご報告します。

2日間どのような活動が行われたのか振り返りつつご紹介していきます。

※ゲームジャムとは、初対面の人と一緒に短時間でゲームをつくるというイベントです。

【1日目】ゲームプレイによるインプット

1日目は、実際にゲームをプレイすることがメインでした。

ここで、共通のゲームプレイの体験を経ることで、共通言語を持った状態でゲーム制作に取り組むことができます。ゲームを通してお互いを知る機会でもあるので、ゲームを楽しんでいるうちに、徐々に緊張が解けていった様子も見られました。

またゲームプレイの合間に、親御さんにはゲーム制作や創造性に関する導入講義を、お子さんにはチャレンジゲームに取り組んでいただきました。本ワークショップは、財津さん(研究員)の研究としての面もあり、その効果や新たな発見に関しては、今後報告される予定です。

ちなみに、僕はチャレンジゲームの進行も務めたのですが、子ども達の豊かな創造性や感性に触れることができ、自分にとっても学びが多かったです。

最後に、本ワークショップでつくるゲームのテーマ「地球温暖化」が発表され、皆さんどのようなゲームをつくろうかとお話されながら1日目を終えました。

【2日目】ゲーム制作によるインプット

2日目は、いよいよゲームを作る本番です。外部からゲームデザイナーの方もお招きし、2〜3組の親子でグループを結成し制作に取り組みました。

午前中は、どのようなゲームをつくるか全く見えない状況から「地球温暖化」というテーマに対する課題を発見し、その中から具体的にコンセプトをつくることを目指して、付箋やフローチャートを使いながらアイデアを整理していきました。

どんな内容を知ってほしいのか、それをどの程度学んでもらいたいのか、どのような場面で遊んでもらいたいのかなど、具体化させていくことで、ゆるぎないコンセプトをつくることに励みました。

午後からはどのグループも、そのコンセプトに従って、昨日プレイしたゲームに基づいたルール構築とプロトタイプの制作に移りました。

しかし、ここで最も多くぶつかる課題がゲームが面白くない、現実っぽくならないということです。ここからは、改めてコンセプトに立ち戻り、ゲームと照らし合わせながら改良を加えていく必要があります。

かなりハードは作業ですが、親御さんはもちろん、お子さんもしっかり改善のアイデア出しを行い、どんどんブラッシュアップされていきました。

制作したゲームの発表時間になる頃には、どのチームもテストプレイを繰り返し、しっかりと遊べる状態になっていました。

実際に、他のグループのゲームを遊んだ子ども達からは「楽しかった」「もう一度遊びたい」という声もあり、すべてのチームがゲーム制作を行うことができました。

丸一日、普段使わない頭を使って皆さんかなりお疲れのようでしたが、しっかりとやりきった達成感に満ちた表情をされていました。


以上が、報告となります。

僕個人としては、2年目の参加ということもあり、よりオペレーショナルな部分でもさらに良くなったと実感しています。

また来年行われることが楽しみですし、藤本研究室では親子ゲームジャム以外にもマインクラフトを使ったワークショップも行っています。

こうした場で皆さんとぜひ直接お会いできればと思うので、研究室ブログもときどきチェックしてみてください。

それでは!